インフィニット・ストラトス―失われた未来―   作:レイブラスト

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第7話 姉の想い、妹の覚悟

「……まさかかの有名なアーマードライダーの本拠地に来るなんて、人生何が起きるかわかりませんね」

 

しばらくして更識姉妹は亡国機業(ファントム・タスク)に連れられ、食堂でお腹を満たした後に目の前に座った凌馬へ言った。

 

「ほう、その口ぶりだとアーマードライダーのことについて、色々と知っているみたいだね」

 

「知ってると言っても、亡国機業(ファントム・タスク)とアーマードライダーが何らかの繋がりを持っているってことぐらいで、まさか篠ノ之博士等の有名人や織斑一夏がここに居ることは驚きましたけど」

 

「え? 私のことを知ってるの?」

 

「前に貴女が行方不明になった時、手掛かりを探す為に情報を細かく調べたのよ。で、色々なことを知っちゃった訳」

 

「そうだったんですか……」

 

一夏は彼女の言葉から、過去に自分が受けた仕打ちも知っているんだろうと思ったが、それ以上は何も追求しなかった。同時に刀奈も、一夏のことに関してはもう何も言わなかった。

 

「で……そろそろ私達をここに呼んだ理由を話してもいいんじゃないんですか?」

 

「なんだと思う?」

 

「大方、アーマードライダー等の秘密事項について口外しないことを約束しろ……とか?」

 

「それもあるけど、本筋はこれさ」

 

床に置いてあった2つのアタッシュケースをテーブルの上に置いた凌馬は、それを開けて戦極ドライバーとゲネシスドライバーを刀奈達に見せた。

 

「そういうことね……秘密を共有する者同士で、一緒に戦えと。でもわざわざ2つ用意したのって、もしかして簪ちゃんも巻き込む気ですか?」

 

「そうだとしたら?」

 

「断固反対します。私はともかく、簪ちゃんまで危険な目に遭わせないで頂戴!」

 

「……君の意見は最もだ。でも当の本人は興味を持ってるみたいだよ?」

 

肩をすくめて言う彼にチラリと隣を見ると戦極ドライバーと、一緒に入っていた表面がドングリを象っており『L.S.-03』と書かれたドングリロックシードを持ってじっと見比べていた。血相を変えた刀奈は簪の肩を掴み、自分と向き合わせた。

 

「どうしてなの、簪ちゃん! 貴女が戦う必要は「あるよ、お姉ちゃん!」……え?」

 

「私、今までお姉ちゃんに足手纏いって思われてたように感じてた。でも違った……お姉ちゃんは、私を守ろうとしてあんなことを言ったんだよね? さっき見せた表情でわかったもん」

 

「! それは……」

 

「でもそのせいで必要以上に負担が掛かっているんでしょ? だから私、戦う! お姉ちゃんがもう負担を背負わなくていいように……!」

 

「簪ちゃん……」

 

初めて妹が見せる覚悟に刀奈はたじろぐと同時に嬉しくなった。いつの間にか自分の妹は、自らの力で歩み出そうとしているのだと。

 

「……わかったわ。一緒に頑張りましょう、ね?」

 

「! うん!!」

 

「決まりだね」

 

ゲネシスドライバーと『E.L.S.-05』と書かれ表面がマツボックリの形をした、マツボックリエナジーロックシードを手に取った刀奈と簪が笑顔で見合う中、凌馬は目を閉じて微笑ましげに言った。

 

2人の様子を近くで見ていた一夏は、微笑みながら目に滲んだ涙を拭っていた。

 

「? どうした一夏。何故泣いている?」

 

「……うん、ちょっとね。私も春也と、ああいう風になりたかったなって……」

 

「一夏さん……」

 

箒に問いかけられた一夏が少し悲しげに言うと、セシリアがそっと手を握ってきた。貴女は1人じゃない……そんな気持ちが伝わってくるようで、一夏は嬉しくなった。

 

その時、オータムの携帯が鳴り、彼女はすぐに電話に出た。

 

「おう、どうした? ふむ……そうか、よしわかった。んじゃ、後は頼むぜ」

 

「誰からだい?」

 

電話を切ったオータムに凌馬が尋ねると、彼女は「ああ」と短く答えてから説明した。

 

「レイドワイルドからだ。連中、ウチの専属部隊と一緒にターゲットを追い詰めてるってさ」

 

「レイドワイルド?」

 

思わず一夏はオータムが言った名称を聞き返した。レイドワイルドと言う単語は聞いたこともない。彼女の疑問に答えたのは、オータムではなく凌馬だった。

 

「そういえばまだ説明してなかったっけ。レイドワイルドってのは、黒影トルーパーで構成されたセカンドチームのことで、主に君達が任務中でいない時に別の任務が入った際、出動して戦う部隊なんだ。メンバーはウチの若い社員がほとんどだけど、選抜された民間人も何人か参加しているよ」

 

ふうん、と一夏は頷いたがふと胸中に抱いた疑問を口に出した。

 

「その民間人から選ばれたメンバーに、私の知り合いっていますか?」

 

「ん? ああ、いるよ。君達にとっては、ちょっと意外かもしれないけど」

 

意外……それが何を指すかはわからなかったが、一夏にとって他の知り合いと言えばあの4人しかいない。

 

(まさかね……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ・グランドキャニオン

 

一夏達がレイドワイルドのことを知った時、赤く染まった大渓谷が太陽の光に照らされたこの地で、当のレイドワイルド達は五機のISと戦っていた。

 

「そ、そんなバカな……ISが手も足も出ないだなんて!」

 

「年貢の納め時って奴だ。大人しく降参しろ!」

 

レイドワイルドの中で唯一試作型の戦極ドライバーで変身した、仮面ライダー黒影が槍型の武器・影松の切っ先を突き付けながら言う。

 

「巫山戯るな! まだ私達はやり遂げていないのよ!」

 

「男ばかりの政権を武力で崩壊させ、女性だけの、女性にとって優位な政権にする為にかい? それこそ巫山戯ていると思うけど」

 

黒影の隣に立つ、彼の親友と思しき黒影トルーパーが呆れたように言う。既に他のメンバーは捕らえられているのだが、往生際が悪く決して負けを認めようとはしなかった。

 

「黙れ黙れ黙れぇ! 貴様等男なんかに負けるくらいなら、私達は死を選ぶ!!」

 

「何を言っても無駄か……ならこっちも遠慮しねぇ! 行くぜみんな!!」

 

『『『応っ!!』』』

 

『『『ソイヤッ! マツボックリスパーキング!!』』』

 

一斉に戦極ドライバーのカッティングブレードを三回倒すと、相手が放った銃弾を回避するように高くジャンプし、高速回転しながら影松を持って体当たりをかました。当然ISが勝てる訳もなく、戦闘不能になり捉えられた。

 

「ようし、任務完了っと! お疲れ!!」

 

「うん、お疲れ!!」

 

『『『お疲れ!!』』』

 

変身を解除した黒影の正体―――五反田弾の声に黒影トルーパーの1人で親友の御手洗数馬。そして他のトルーパー達は笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって、再び亡国機業(ファントム・タスク)。デスクワークを終えた凌馬が一息ついていると、束がお茶を持ってやってきた。

 

「お疲れ様、りょーくん」

 

「おや? 珍しいね。君がこんな時間にここに居るだなんて」

 

「1つだけ、確かめないといけないことがあってね」

 

「確かめること? 何かな?」

 

真面目な表情と声色になった束に、凌馬はお茶を一口飲んでから真剣な面持ちで彼女と向き合う。

 

「いっちゃんに渡した極ロックシードとカチドキロックシード……アレって何らかの要因でいっちゃんの心臓と融合したんじゃなくて、そうなる様に(・・・・・)プログラムしてた(・・・・・・・・)からなんじゃない?」

 

「……根拠は?」

 

「いっちゃんを守る為……でしょ? はるくんの理不尽から身を守ることができるように。あのロックシードには、人知を超えた力が秘められているから」

 

「やれやれ、何もかもお見通しか……君の言ったことは正しいよ。私は最初から彼女に力を与える為に、アレ等を渡した。それで、勝手な真似をした私を君は糾弾するのかい?」

 

「まっさか~! むしろ感謝しているぐらいだよ。いつも誰かがいっちゃんについていてあげる訳にもいかないし、身を守る力があるのに越したことはないから」

 

おどけたように笑みを浮かべた彼女は、「でも」と言葉を続けた。

 

「私だって、いっちゃんの為にできることなら何だってするんだから。私にできることがあったら言ってよ」

 

「うーん、そういうことなら―――」

 

溜めてあった考えを、凌馬は束に一つ一つ告げていった。

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