転生したけど、海賊でも海軍でもなく賞金稼ぎになります   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第3話更新です。
意外と筆が進む…。ネタを思いつける時に更新。


※もう1個の連載では多少自重している為、この小説ではご都合主義が目立ちます。


第3話 “義兄”も心配してくれているようです

 プルプルプルプル…!

 プルプルプルプル…!

 プルプルプルプル…!

 プルプルプルプル…!

 プルプルプルプル…!

「ガゥ…。」

 (すで)に太陽も中天(ちゅうてん)に差し()かろうとしている(ころ)

 宿の一室で鳴り響く電伝虫(でんでんむし)に全く気付かずに惰眠(だみん)(むさぼ)主人(ターニャ)の姿に、相棒の()(とら)・ドゥーイが(あき)れたように鳴く。人間であれば()め息を()いている状態だろうか。

 久々(ひさびさ)に師である“鷹の目”と語り合い、少々羽目(はめ)を外してしまったターニャだったが、元々その前に3日間徹夜していた事もあり、その眠りは深かった。

 プルプルプルプル…!

 プルプルプルプル…!ゲホッ……!!

 ずっとプルプルと言い続けて()き込み、ちょっと(うら)めし()に見てくる電伝虫(でんでんむし)に、ドゥーイが仕方(しかた)無いとばかりにターニャの足元からのっそりと身を起こした。

 のそのそとベッドを歩き、ターニャの枕元(まくらもと)に腰を下ろしてその(ほお)を自身の肉球(にくきゅう)でムニムニと押す。

「むぅ…。」

「ガルル。」

 鬱陶(うっとう)しそうに(うめ)き、手でドゥーイの前脚(まえあし)を払うターニャはまだ夢の世界を彷徨(さまよ)っている。

 その間も電伝虫(でんでんむし)は鳴り続けており、(ごう)を煮やしたドゥーイは最終手段に打って出た。

「ガルゥ。」

 フンッ、と言わんばかりに鼻息を()らし、仰向(あおむ)けで寝ているターニャの顔の上に腹這(はらば)いとなる。

「ぐむ………。」

 くぐもった声の後、30秒程は微動(びどう)だにしなかったターニャだったが、徐々(じょじょ)に手足がバタバタと布団(ふとん)の中で暴れ始めた。

「むぐぐ………!!!っっっぶはっ!!!!!」

 やがて手探(てさぐ)りで自身の顔の上に“何か”がある事に気付いたターニャが、顔の上を陣取(じんど)っているドゥーイをグイッと胸元まで引き()り下ろす。

「ゲホッゲホッ…!!!ドゥーイ!!!!殺す気??!」

「ガゥッ!!グルルルル…。」

 涙目(なみだめ)怒鳴(どな)るターニャに、ドゥーイがテーブルの上で鳴り続ける電伝虫(でんでんむし)の方を振り向いてみせる。

「あ――――…、ゴメン。全然気が付かなかった。」

 さっさと出ろ。そう言いた()な目でじとっと見てくる相棒(ドゥーイ)に、ターニャがそそくさとベッドを下りて受話器(じゅわき)を取る。

「はい。ターニャです。」

(おせ)ェ。いつまで寝てやがる。』

 その瞬間、電伝虫(でんでんむし)から発せられた声にターニャが目を丸くする。

 この聞きようによっては気怠気(けだるげ)にも聞こえる、深いテノールは。

「お兄ちゃん?」

 (えん)あって自身(ターニャ)と義兄弟の(ちぎ)りを交わした海軍将校(しょうこう)、トラファルガー・ローに間違い無かった。

 “原作”では“コラソン”ことロシナンテ“中佐”と死に別れ、海賊の道を歩んだローだったが、ふとした運命の悪戯(いたずら)によってロシナンテと共に無事に海軍に保護され、オペオペの実の能力者として海軍入りが半強制的に決定。現在は持ち前の腕っ(ぷし)とオペオペの能力により、若くして海軍本部准将(じゅんしょう)として活躍している。

 保護されて2年程はセンゴクの元で療養(りょうよう)していた事もあり、ターニャとは言わば幼馴染(おさななじみ)の関係にあったが、とある事がきっかけで義兄弟の(ちぎ)りを交わすに至った。

『まだ寝惚(ねぼ)けてやがるのか…。相変わらず寝穢(いぎたな)いヤツだ。』

「だって、昨日まで3日間完徹(かんてつ)だったんだもん。それよりどうしたの?お兄ちゃんから電話かけてくるなんて(めずら)しいよね。」

 まだ眠気(ねむけ)が完全に()めておらず、いつもよりも若干(じゃっかん)口調が幼い。

『…さっきまで寝てたならまだ知らねェんだな?』

「何を?」

 (めずら)し………、くも無いが重々(おもおも)しく話を切り出すローに、ターニャが首を(かし)げる。

『ドンキホーテ・ドフラミンゴが“王下(おうか)七武海(しちぶかい)”に正式に加盟(かめい)した。』

「は……?」

 信頼する義兄(あに)から伝えられた言葉に、ターニャの思考(しこう)が一瞬停止する。

『しかも、だ。“七武海(しちぶかい)加盟(かめい)による恩赦(おんしゃ)でヴェルゴが釈放(しゃくほう)された。』

「ヴェルゴが………?!!」

 ざっとターニャの顔から一気に()()が引いていく。

『…これで一応はあいつらも“政府の(いぬ)”だ。ガープの(じい)さんもまだ現役(げんえき)。お前に直接的に手を出して来るとは考え(にく)いが、特にドフラミンゴは目的の為なら手段を選ばねェ。気を付けておくに越した事はねェ。しばらくは大人しくしてろ。警戒を(おこた)るな。』

「うん…。」

『万が一、何か変わった事があったらすぐにおれに連絡しろ。おれじゃなくても、ガープの(じい)さんでもコラさんでも良い。深夜だろうが早朝だろうが、だ。』

 電話越しでも分かる恐怖に声を震わす義妹(いもうと)に、ローが気遣(きづか)うように言い聞かせる。

「うん。分かった…。しばらくこの島に滞在して…、ううん。やっぱりしばらくの間マリンフォード(そっち)に帰ろうかな…。お祖父ちゃんかお兄ちゃん、どっちかでも良いから海軍本部にいる…?」

 恐る恐る、といった様子で尋ねてくる義妹(いもうと)を安心させるようにローも頷く。

『ああ。センゴクのジジイが気を使ったらしい。おれもガープの(じい)さんも、しばらくは遠征(えんせい)も演習もねェ。しばらく本部に詰めてろだと。』

「良かった…。じゃあ、今日にでも出発するね。早くて5日位かな…?そっちに着くの。」

 ターニャが義兄(あに)と祖父の本部詰めに安堵(あんど)の息を()らす。

電伝虫(でんでんむし)はいつでも繋がるようにしておけ。もし7日以上かかるようなら連絡しろ。良いな?』

「分かった。じゃあ、今から準備するから、またね。」

『気を付けろ。』

 ブツッと声を上げて通話を切った電伝虫(でんでんむし)受話器(じゅわき)を戻そうとして、ターニャは自身の手がずっと震えていた事に気付く。

「ガゥ?」

「大丈夫。心配してくれてありがと…。大丈夫だから…。」

 様子のおかしいターニャを心配して足元に()り寄るドゥーイを抱き締めつつ、ゆっくりと深呼吸を()り返す。

 ドンキホーテ・ドフラミンゴ。そしてヴェルゴ。この2人の海賊は、ターニャにとっても浅からぬ(えん)を持つ者たちだった。11年前、偶然(ぐうぜん)が重なったとは言え、ヴェルゴが海賊である事を(あば)いたのは、幼き日のターニャであったからである。

 それがきっかけとなってドフラミンゴの計画に(ひび)が生じ、またヴェルゴが海賊のスパイである事が明らかとなった事でロシナンテは死なずに済み、ローと共に海軍へと保護された。

 ドレスローザの平和も(おびや)かされる事無く、様々な事が積み重なった事によってドフラミンゴの“七武海”入りも話自体出てこなかった為、てっきりこのまま(いち)海賊のままかとも思っていたのだが…。

「今になって…。」

 ドゥーイを抱き締めたまま深呼吸を()り返し、ターニャは11年前の事を思い返していた―――――――。

 

 




次回、過去編です。
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