ハイスクールD×D ~九つの尾を持つ妖怪~ 作:ちょこ0720
「のう黒歌、今日グレモリー眷属に会ったのじゃ」
「そうなのかにゃ」
黒歌は話半分程度に聞いていた。
が、次の天狐の一言で、度肝を抜かれることになる。
「その中にお主の妹も居ったぞ」
食事中、それは突然のカミングアウトだった。
「にや、にゃ、にゃんだってー!それは本当かにゃ!?」
黒歌には妹がいる。
それは、黒歌にとって世界で最も大切な人であり、自分がはぐれ悪魔になる原因になった人でもあった。
妹のことが分かり嬉しい半分不安でもあった。
長年、はぐれ悪魔として追われていた身であり、その間ずっと一人にしてしまい、悲しい思いをさせてしまい、許してもらえないのではないかという不安であった。
「うむ、やっぱり黒歌の手料理は美味じゃの」
そんな黒歌の心情を知ってか知らないでか天狐が続ける。
「それと明日、お主の妹を家に招待することにしたのじゃ。いろいろと思うところはあるじゃろうが、よろしく頼むぞ」
その後の食卓は終止無言であった。
天狐が黒歌に妹のことを話した次の日の昼休み、天狐は小猫を探しに一年生の教室がある階に来ていた。
「のう、そこの女子、ちょっとよいかの?」
天狐は近くにいた女子生徒に話しかける。
だが、その女子生徒は「え、えっと...はわわわ、す、すいませーん」と言い残して教室の中へ走っていってしまった。もちろん、この女子生徒が天狐のことを毛嫌いしていたわけではない。むしろ、その逆と言えるだろう。
天狐はまだ、転入してきて数日である。それにも関わらず、既にファンクラブなるものが存在していた。
見た目の幼さからは相反した古風な喋り方のギャップにときめいた者が多かったのだろう。
現にその女子生徒は教室の中で「天狐様に話しかけられちゃったー!!」と自慢していた。
その教室の中から騒いでいる女子生徒を訝しげな表情で見つつ、小猫が出てきた。
「...天狐さん、こんなところで何をしているんですか?」
塔城小猫の天狐に対する感情は、なんか良く分からないであった。
天狐という名前はもちろん聞いたことがあるし、同じ妖怪として、少し興味があった。
噂ではありとあらゆる妖術を使いこなし、中でも仙術に関しては右に出るものはいないと言われており、一度は会ってみたいとおもっていた。
だが、実際会ってみると、イメージとは全く違い、身長は私と同じくらいであり、風格というか、あまり強そうには見えないのである。
「ここではあれじゃから、場所を変えるぞ」
そう言うと天狐は歩いていった。
それについていくように小猫も後ろを歩いていく。
屋上。いつもの昼休みであればお弁当を食べる人達で賑わっていることだろう。
だが、今日は天狐と小猫を除けば人一人としていなかった。
「今日は人少ないんですね...」
それを不思議に思った小猫が不意に呟いた。
「それはそうじゃ、なんていったってこのわしが人祓いの術をかけたのじゃからな」
えっへん!とでも言いそうなくらい胸を張っている。
なんというか、こういうところは見た目とそう変わらないらしい。
「それはそうと、話ってなんですか?」
その言葉を聞いて天狐は、そうじゃったと手を叩き、続ける。
「時にお主、今日の放課後は暇かの?」
「...今日は部活もありませんし、特にすることがないので暇ですが...それがどうしたんですか?」
なんの話をされるのかと思えば、今日の予定を聞かれた。もしかして、この街の案内とかを頼まれるんじゃないかと思った。
もし、頼まれれば案内するのも吝かではない。
まだ、この街に来て数日であろうし、京都とは何かと勝手が違うだろう。
それに、ケーキが美味しい喫茶店を見つけたのだ。
ケーキを食べながら色々な妖怪のことを聞きたい。悪魔になってからそっちのことはあまり聞かなくなったのだ。
それに、もしかしたら姉さんのことも...。
「だったらわしの家に来んか?」
驚いた。
まさか大妖怪の家に招待されるとは思わなかった。
部長や他の部員達と一緒に招待されるのならともかく、私一人だけが招待されるなんて、思いもよらなかった。
「なんで私だけなんですか?」
「それはわしの家に来ればわかることじゃ」
理由は教えてもらえなかった。
だが、何かしらはあるのだろう。
「わかりました」
だから短くながら了解をした。
「じゃあ放課後、お主の教室まで迎に行くのじゃ」
そう言って天狐は校内へ入っていった。
「...あっ、お弁当食べ忘れた」
キーンコーンカーンコーンっと無慈悲にも昼休みの終を告げるチャイムが鳴った。
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