ハイスクールD×D ~九つの尾を持つ妖怪~ 作:ちょこ0720
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放課後、各クラスホームルームも終わり、ある者は友達と街へ繰り出し、そして、またある者は部活へと走っていく。
そんな中、ゆったりとマイペースに一年生の教室へ向かう、小学六年生程度の身長の男の子が一人、言わずもがな天狐である。
そして、しばらく歩くと、とある教室の前で止まり扉に手を掛ける。
「おーい、小猫、迎に来たのじゃー!」
恥ずかしい。
小猫の今の気持ちはその一言に限るだろう。
かなり人気の高い先輩がおもむろに教室に入ってくるなり自分の名前を大声で呼ぶのだ。
まぁ、それは恥ずかしいだろう。
「...天狐さん、こっち来てください」
そう言うと、小猫は天狐の手を引っ張って教室の外へ出て、普段使われない階段へと連れていった。
「天狐さん、これからはあんな呼び方はやめてください」
小猫は来て早々に気持ちを伝える。
嫌なものは嫌なのだ。
「...何が気に触ったのかは知らんのじゃが、嫌ならやめるのじゃ。悪かったの」
「わかってくれたならいいです」
「さてと、ここなら丁度良いかの」
ぼそっと呟く。
「何が丁度良いんですか?」
「あぁ、こっちの話じゃ...さて、そろそろわしの家に向かおうかの」
と、天狐はおもむろに右手を前に出す。
すると何もなかった空間が裂け、目玉がたくさんあるスキマが開いた。
「...天狐さん、なんですかこの気持ち悪いのは?」
「やはりお主も不気味がるか...。まぁ、わしの友人の妖怪が教えてくれたのじゃよ。その代わり彼女にも協力したがの。というわけで、この中に入るのじゃ」
そう言うと天狐は、スキマの中へ入っていった。
「ま、待ってください」
小猫も天狐に続いて入っていった。
外から見てもわかるように、内側には目玉がびっしりとあった。
そして、中に入るとすぐに別の場所にスキマが開いた。天狐はどこからとってきたのか、小猫の靴をわたすと、こっちじゃ、と手招きをし、小猫は靴を履いてからそれに従ってついていく。
すると、眼前にはそれは見事な光景が映し出された。今は夏である。従って必然的に山の木は鮮やかな緑色になる。
その緑の中にかなり大きめの、木で建てられた平屋の家があった。
それは、森の緑と丁度良い具合にマッチし、まるで、一つの絵のようになっていた。
それに加えて悪魔である小猫にとっては丁度良い暗さなのである。悪魔や妖怪のような者達は夜に活発になる。動物で例えるのなら夜行性なのである。
必然的に明るい場所より暗い場所の方が居心地が良く、力もより強力になるのだ。
そんな光景に見とれていると、天狐がこっちじゃ、と手を大きく振り小猫を呼び、先に家の中に入る。
小猫もそれに続きに家の中に入る。
家の中に入ると玄関には天狐の下駄の他に女性用の履物が一つあった。天狐は大妖怪である。故に、従者の一人や二人いても何らおかしくはない。
だが、小猫はこの履物にどこか見覚えがあった。
(...どこで見たんだろう?)
小猫は疑問に思ったが、あまり深く考えなかった。
すると、
「お帰りにゃーん天狐!」
と、聞き覚えのある声が聞こえた。
そして、そのまま声の主は天狐の元へ走ってきた。
そして、その声の主と目が合った。
瞬間、世界が止まった。
いや、世界が止まったと感じるほど一瞬が長かった。
声の主は小猫がよく知っている人物であり、小猫が探していた人物であった。
「...姉様」
「し、白音...」
二人の再会は感動の再会とはかけ離れたものであった。まるでお通夜のような雰囲気である。
二人は何も喋らずに見つめ合っていたが、天狐の一言によってその均衡が崩される。
「あっ、そうだー、お菓子を切らしておったー!というわけで、わしはお菓子を買ってくるから、二人で話していてくれー」
わざとらしい棒読みであったが、黒歌には嬉しいものであった。
「し、白音...向こうに居間があるから...そこで話しましょうか...」
小猫は無言で頷くと黒歌についていった。
「姉様、まず一つ聞かせてください。なんで天狐さんと一緒にいたんですか?」
居間の座布団に座った小猫の第一声であった。
黒歌は今日、白音の質問には全て答えるつもりである。
故に包み隠さず、全てを話した。
「...なるほど、そんなことがあったんですね」
どうやらこの件は信じてもらえたようだ。
だが、本題は恐らく次のものだろう。
「では、次が本題です。なぜ...どうして私の前からいなくなったんですか!」
やはり、予想は的中していた。
もちろん、包み隠さず、全てを話す。...信じてもらえるかは別としてだが。
「それは...」
黒歌は包み隠さず全てを告白した。
主を殺したのは白音のことを思っての行動であったこと。そして、今までずっと白音のことを探していたということ。そして、白音のことをずっと想っていたこと。
そして、そして、そして...
気づけば黒歌は泣いていた。
いつの間にか目から涙が一筋流れ落ちた。
それを気に、一気に心のダムが崩壊した。
「ごめん...ごめんね白音...悲しかったよね...ごめんね...」
黒歌は小猫を抱きしめて泣いた。
対する小猫も泣いていた。
「...姉様はバカです。私はとても悲しかったんです...突然姉様がいなくなって...どれだけ不安だったかわかりますか...」
「ご、ごめんね...白音...本当にごめんね...」
「...だから、これからはその分も一緒にいてください」
「いいのかにゃ...私なんかが...白音のそばにいてもいいのかにゃ?」
「...当たり前です」
その後二人は泣いた。
「ただいま帰ったのじゃ」
それからしばらくして、天狐が帰ってきた。
「...寝ているのかの。それにしてもこの様子じゃ仲直りしたようじゃな」
天狐が帰ると、居間では小猫と黒歌が抱き合ってぐっすりと寝ていた。目が赤く腫れていたことを見ると泣きながら寝たのだろう。スヤスヤと寝息が聞こえる。お互いに再び再会できて嬉しかったのだろう。
「それはそうと...誰じゃ?こんなところを覗き見なんていい趣味とは言えぬぞ?」
と、柱付近を睨む。
「ハハ、バレていましたか」
柱の影から両手を上げたサーゼクスが出てきた。
「いや、実はね、今さっき黒歌さんのはぐれ悪魔としての危険性がなくなったと認められて、君の監視下という条件付きで手配書が取り消されたんだよ。そのことを報告しようと思ってね、急いできたんだけど、邪魔だったかな?」
そう言いながらサーゼクスは手配書取り消しの書類を天狐に見せた。
「やっとかの...サーゼクス、無茶を頼んですまぬな」
サーゼクスはやれやれと首を横に振る。
「何言ってるんだい?君と僕の仲じゃないか。それに、君にはいろいろとしてもらってるからね」
「それなら良いのじゃが...サーゼクス、このあとは暇かの?」
「あぁ、仕事は全て終わらせてきたよ」
「そうか、なら飲みにでも行かないかの?」
「僕は君と違ってお酒は強くないんだよ。でも少しなら付き合うよ」
「すまぬの」
そう言って二人は家から出ていった。
黒歌と小猫の仲直りを書かせてもらいました。
僕の力ではこれが限界でした。
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