デートから始める異世界生活   作:シークレット/K

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遅くなりました。


第十九話 日常への帰還

俺が<鏖殺公>で斬撃を飛ばし、レムがそれを避けてモーニングスターを飛ばし、それを俺は<氷結傀儡>の盾で防ぐ。

 

<鏖殺公>を振った影響で体が悲鳴をあげて、治癒の炎が強制で俺の身体を灼く。

 

だが、ここで怯むわけにはいかない。

 

「レム!やめてくれ!」

「うるさいです!」

 

対話をしようとするも、レムは話を聞いてくれない。

レムのモーニングスターを<氷結傀儡>の盾で防ぎつつ、治癒の炎が身体を回復させるのを待ち、<鏖殺公>を扱えるくらいになった瞬間に振り、斬撃を飛ばした。

当然、レムは避ける。

 

「俺は、お前と戦いたくない!」

「でしたら、大人しく殺されてください!」

「大体、魔女教って何なんだよ!」

「とぼけるなぁぁぁ‼︎」

 

レムのモーニングスターを<鏖殺公>で受ける。

そして、<氷結傀儡>の冷気でモーニングスター、鎖を凍らせていく。

だが、レムはモーニングスターを放さずに、<鏖殺公>ごと俺を吹き飛ばす。

 

崖の壁にぶつかり、痛みが襲うが、ここで悶えていてもレムにその隙を突かれる。

だから、すぐに立ち上がった。

 

「とぼけてなんかいないッ!本当に分からないんだ!」

「でしたら、なぜあなたから魔女の匂いが出ているんですか!」

「だから、まず魔女ってなんなんだよ⁉︎」

 

話が成立しない。

そう感じながらも、話しかける事はやめない。

やめてしまったら、諦めたことになる。

そう思うことで自分を奮い立たせていると、レムは言った。

 

「私は!もう姉様が傷つく所なんて見たくないんですッ!」

 

その瞬間。

俺は、大体の事情が分かった気がした。

要は、簡単なことだ。

魔女教徒なる団体に、家族が襲われた。

ただ、それだけ。

だが、俺にはそれが、どれほど大事な事なのかを知っている。

 

折紙は未来の自分......精霊に両親を殺されたことが、ASTという精霊を殺す機関には入るきっかけとなったし、俺だって、琴里や十香、精霊のみんなが傷つけられたりしたら自分でもどうなるか分からない。

 

だけど。

それでも、諦めるわけにはいかない。

 

「今のお前は、数日前の俺の知り合いと似てるよ。.....レムはさ、精霊って知ってるか?」

「そんなの当たり前....」

「パックやエミリアがいつも話してる精霊じゃない。.....特殊災害指定生命体。現れる時に空間震という時空間振動を起こす。.....それが、精霊だ」

「そんなの知りません!」

 

レムが知らないのは当たり前だ。

この世界には存在しないのだから。

 

レムがモーニングスターを飛ばし、自分も加速する。

<氷結傀儡>の盾で防ぎ、近づいてきたレムは<鏖殺公>で牽制する。

.....が、レムはモーニングスターを手放し、俺の背後にまわった。

手刀で俺の意識を刈り取ろうとするが、<氷結傀儡>の盾を背後に展開したおかげで無傷だった。

 

この距離なら!

 

「狂三!」

「ええ、ええ。分かっていますわよ。わたくしたち!」

 

レムと俺が、それぞれ影から出てきた狂三よって影に飲み込まれていく。

美九の時と同じだ。

 

「ここは.....どこですか⁉︎」

「落ち着いてくれ、レム」

 

こんな所じゃ、落ち着いていられないのもわかるけどな。

 

「俺は、レムと話したいだけなんだ」

「.....嫌です」

「じゃあ、勝手に話をするから、聞いてるだけでいい」

 

これから話すこと。

それは、さっきもレムに教えた、『精霊』について。

 

「レムにさっき、精霊ってものを教えたよな。俺が知ってる精霊。最初に出会ったのは、名前すら無い一人の女の子だった。空間震を起こして現界する精霊ってだけで、ASTっていう殲滅部隊に狙われる対象になって、その子は自分一人で寂しさに震えていたよ」

 

名前を考えろなんて言われた時にはどうしたものかと思ったものだ。

十香、という名前を気に入ってくれてよかったと思う。

 

「俺は、その精霊.....十香、のような人を救いたいと思った。.....もちろん、精霊だけじゃない。全ての人とは言わないけど、俺が知り合った人達みんなだけでも守りたいと思った」

 

それを再確認したのは、七罪の時だ。

七罪は、四糸乃のパペット.....よしのんに変身して、俺の友達や精霊の写真の中から自分を探せと要求してきた。

外した時に消えるみんなを見て、俺は絶望という気持ちが限界突破したのを覚えている。

 

「その、"みんな"の中に、レムだって入ってる」

「.....そんなの」

「信じて貰わなくてもいい。無理矢理信じろなんて言わない!だから!少しだけでいい!チャンスをくれ!俺に、お前が、お前たちが信頼に足る人物だと、そう思わせて見せるチャンスを!」

 

その俺の言葉に、レムは。

 

「どうして、ですか。どうして、あなたはそこまで言い切るんですか。なぜ、あなたはレムたちを救うなんていうんですか!レムたちの事はあなたには関係無いでしょう⁉︎」

 

そう返した。

でも、俺は一歩も譲る気はない。

 

「関係無い事はないさ。ロズワール邸で出会って、一緒に仕事をした。その時点で、俺はもうお前が、ロズワール邸のみんなが好きだから。だから、関係なくない」

 

言い切った。

 

「では.....レムが困ったら、助けてくれるのですか?」

「当たり前だ」

「それが、死ぬ危険性があるとしても、ですか?」

 

そんなレムの問いかけに、俺は。

 

「当たり前だ!」

 

即答した。

 

「.....本当に、魔女との関わりは.....ないんですか」

「ああ。ないよ、レム。スバルの方も同じく。だから、もういいんだ」

 

最後に聞いてきたレムの問いかけ。

魔女との関わり。

未だに魔女のことがよくわからないから、後でレムに聞いてみようと思った。

.....鞠亜でもいいけどな。

 

そして、戦いは終わった。

 

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狂三の影の中から出た俺たちは、再びロズワール邸で住まわせてくれるようロズワールに交渉するためにロズワール邸への道を歩いている。

 

ちなみに、俺とレムが影の中に潜った後、木陰からラムが出てきて戦闘になったらしい。

レムをずっと見守っていたらしく、レムが消えてしまったので、出てきたらしい。

 

狂三には、再び俺の影の中に入ってもらって、戦闘中話せなかった鞠亜と話しながら、ロズワール邸に戻ってきた。

 

「ロズワール、もう一度、ここで住まわせてくれないか?」

 

正直、ダメと言われるかと思ってたけど、違った。

 

「んーー、いーぃよ。ただぁーし、スバルくんは執事として働いてもらうし.....」

 

あっさり承諾してくれたと思ったら、何故か嫌な予感が.....。

 

「シドウくんにはメイド服で仕事をして貰うよーぉ?」

 

.....メイド服から逃れることはできないようだった。

 

ロズワール邸に入り、再び自分の部屋に荷物(といっても無いようなものだが)を置き、仕事は明日からだと言われたから、どうしようか迷う。

 

スバルであれば、即エミリアの所に行くのだろうが。

.....そういえば、エミリアにまたお世話になることを伝えてなかったな。

 

ということで、エミリアを探す。

意外とすぐに見つかった。

庭で、夜の暗闇の中、精霊と話していた。

スバルはいないようだ。

 

「エミリア」

「わっ⁉︎びっくりした.....。シドウ?なんで戻って来てるの?」

「またここにお世話になるからだよ。スバルもいる」

「そうなんだ.....」

 

エミリアと話していると、俺が来て離れていっていた精霊達が、恐る恐るといった感じで近づいてきた。

右手を差し出すと、指に精霊が止まった。

 

「シドウ、すごい!なんでかはわからないけど、警戒をしながらだけど、精霊が自分から近づいて行くなんて.....」

「そうか?」

「スバルには懐かないの」

「.....そうか」

 

エミリアと話しているうちに、スバルもやって来て、話が長くなっていった。





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