デートから始める異世界生活   作:シークレット/K

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遅くなりました。
二人が活躍するのは、もう少し先でしたすいません。
UAが20000突破ですね。ありがとうございます。
それではどうぞ。


第二十一話 救うために

「シオリさん、スバルくん。そろそろ帰りますよ」

 

そんなレムの声が聞こえて、俺は意識が子供達から暗くなった空へと向いた。

 

「もう、そんな時間か」

 

本当に、遊んでいると時間が早く感じるな。

 

「お前ら、俺仕事あるからさ、離れろ。あーー残念だなー。時間があればもっと遊べたのになーー」

 

スバルは、清々しく笑いながら、そう言った。

それに対して、子供達は思うことをそのまま口にするが、スバルは聞こえないフリをする。

 

そんな光景を見て、平和だな、と思ってしまう。

 

俺とスバルは、レムの元へと戻ろうとして.....スバルが止まったことに気がついた。

見ると、一人の女の子が、スバルの袖を摘んでいた。

 

それも、さっきから執拗に話しかけてきた子達ではなく、外から様子を伺っていた子だった。

 

「どした?言いたいことがあるなら聞くぜ」

「えっとね、こっち」

 

少女が指差す方は、ロズワール邸への道ではない方だった。

スバルはレムと俺を見る。

 

「.....仕方ありませんね。もう少しなら、いいですよ」

「俺も大丈夫だ」

 

俺たちの返事を聞いて、スバルは少女に手を引かれるままに歩いていく。

もちろん、俺たちもついていくし、子供達も当然のようについて来る。

やってきたのは、仔犬の所だった。

 

『.......う、うう』

 

といううめき声が影の中から聞こえる。

狂三.....触れたいなら、出てこればいいのに.....。

 

「あーー。そういや、こんなイベントもあったな」

「ああ。確か、この仔犬に噛まれるんだっけ?」

「そうそう、って痛え⁉︎」

 

案の定だった。

俺はレムと一歩離れた所に居たから、噛まれることはなかった。

 

「大丈夫ですか?」

「あー、大丈夫だよ。これくらい。治すまでもないから、心配は無用だ」

「いえ、シオリさんならともかく、スバルくんを心配はしていませんので。ただの社交辞令です」

「それひどくねぇ⁉︎」

 

スバルのツッコミが響く。

まあ、レムも冗談で言っているのだろうし、スバルも分かってるだろうから、大丈夫だが。

 

「それでは、そろそろ帰りましょう」

「ああ。行くぞ、スバル」

「分かりましたよ〜っと。じゃ、チビたち。今度こそじゃあな!」

 

こうして、俺たちはロズワール邸へと戻って来た。

 

===================================

 

帰ってきたのは、夕刻となってからだった。

帰ってくると、ロズワールがいつもと違う装いで立っていた。

 

「ちょーぉうどよかったーぁね」

「余所行きの服.....か?」

「その通りだーぁよ。ちょーぉっとだけ外出するんだ」

「何かあったのですか?」

「それこそ、ちょっとねーぇ。まあ、心配はいらないよぉ、レム」

「そうですか」

 

何があったのかはわからないけど、いい方向に進むといいな。

ロズワールの用事にしろ、俺たちの問題にしろ。

 

その後、ロズワールが空を飛んで行き、スバルはベアトリスの所へ行くと言って消えて、俺はレムとラムと仕事を続けた。

 

数十分は経っただろうか?

スバルが血相を変えて走って来た。

 

「どうした、スバル?」

「しd....士織!呪術士の正体が分かった!」

「本当か⁉︎」

 

スバルはベアトリスの所で、呪いの解除をして貰ったらしく、その時に判明したのが.....呪術にかけられた場所が、村にいたあの、仔犬に噛まれた所だったらしい。

 

.....っていうか、いちいちこんな時に名前言い直さなくていいだろ.....。

 

「それが本当だったら.....」

「村の人達が危ない!」

 

俺たちは、レム達にこの事を言うために、邸内を走る。

.....いた。

 

「「レム!」」

「シオリさん、スバルくん.....?」

 

いきなり叫んで近づく俺たちに、レムは困惑しているようだったが、話をしていくうちに、血相を変えていく。

 

「それは、本当なんですか?」

「ああ。ベア子のお墨付きだしな」

「スバルを信じてやってくれ!」

 

レムはチャンスをくれただけであって、まだ本当の奥底まで俺たちを信頼してくれているわけではない。

だから、協力してくれるのかは、わからnーー

 

「分かりました」

「.....え?」

「マジでか?」

「何でシオリさん達が驚いているんですか。村の事で、驚いているのはレムなのに」

 

俺たちが目を点にして驚いていると、レムはそう言ってきた。

 

「いや、だってーー」

「ーー困ったら、助けてくれるんですよね?それとも、あの言葉は嘘だったんですか、シドウ(・・・)くん」

 

その言葉を聞いて、俺は笑みを作り、即答した。

 

「そんな訳ないだろ」

「でしたら、今回は信じてあげます」

「.....ありがとな、レム」

 

レムと話していると、

 

「あーーーはいはい。二人の世界に入ってないで、早くしないと洒落にならねぇぞマジで!」

 

スバルが割り込んできた。

 

「あ、ああ。早く行kーー」

「スバル?」

「三人で、いったいどうしたの?」

 

エミリアとラムが階段から降りてきた。

.....再び説明することになったが、簡潔に終わらせて、レムとスバルと俺で村へと向かった。

 

===================================

 

「随分と村が明るいな.....」

 

隣で走って道を駆け抜けるスバルがそう、口にした。

 

「.....もう、何かが起きているのかもな」

「.....急ぎましょう!」

「分かった。レムはスバルをおぶって加速してくれ。狂三!」

「ええ、ええ。久しぶりの外ですわ」

 

一気に村まで駆け下りた。

 

「.....到着です。スバルくん、平気ですか」

「さすが、早いけど.....酔っちまったおろろろ.....」

「士道さんの方は大丈夫ですの?」

「ああ、何とかな」

 

村の状況は.....。

駆け寄ってきた青年によると、子供達の何人かがいなくなっているということだ。

 

「いないってのは、リュカとかペトラとかミルドか?」

「そ、そうですが.....何か心あたりでも?」

 

リュカ、ペトラ、ミルド.....買い物に来た時にしつこくスバルにくっついてた子供だったっけ。

スバルは、「クソ!」といいながら、地面を蹴る。

 

「子供達は森の中だ。村の中を探し回っても出てこねぇ」

「な.....⁉︎」

「何で言い切れるんだ?」

「分かるんだよ。ただ、それだけだ」

 

村の周りを囲っている柵に近づき、乗り越えて森の中へと入る。

 

「森の中と言っても、範囲が広すぎます。何か心あたりはあるんですか、スバルくん」

「ガキ共の言葉が確かなら、こっちの方に.....」

 

スバルが歩いていくのについていく。

心なしか足取りは重そうだったが、進んでいくうちに、異変のある場所にたどり着いた。

 

「結界が、切れてる」

 

レムが驚きの声を出す。

大樹に埋め込まれた結晶が、色を失っていた。

これが、結界らしい。

 

「結界が切れていると、どうなりますの?」

「魔獣が境界線を越えて出て来てしまいます。だからこそ、結界の確認は村人の義務なのに.....!」

「魔獣ってなんだ?」

「魔力を持った人類の外敵.....です。人類に仇なすために魔女が作り出したと言われています」

 

魔女。

再び出てきたその単語。

いったい、誰なのか?

 

「ということは、スバル」

「ああ。ガキ共はもっと奥だろうな」

「.....何か確証が?」

「俺の手の怪我が証拠だ」

 

スバルの手には、村で子供達が可愛がっていた仔犬に噛まれた傷がある。

死に戻りしてきて、そのどの時も、出会った時には噛まれるを繰り返した。

ベアトリスが示した呪いがかかった場所でもある。

仔犬に噛まれた所はレムも見ていたから、言わずとも分かるだろう。

 

「俺たちが、ガキ共を救うんだよ、レム」

 

レムが、俺たちを殺す対象としていた頃のレムだったら、何か文句を言ってきただろう。

だけど、今のレムは、一つだけ、質問してきた。

 

「どうして、あなたたちは、関係のない村人達を救おうとするのですか」

 

まるで、あの時、狂三の影の中での質問と同じようなものだ。

そして、その問いは、俺ではなく、スバルに向けたものだろう。

 

スバルは、子供達の夢の話をした。笑いをこぼしながら。

 

「関係ないことあるかよ。俺は、あいつらの顔も名前も、明日やりたいことだって知ってんだ。ラジオ体操、明日もやろうって約束もしちまった。俺は、絶対に約束を守るし、守らせる性質なんだ。.....それに」

 

"ガキ共"(友達)を見捨てるなんて男には、なりたくねぇからよ」

 

はっきりとそう言った。

 

「だから、行くんだよ俺は」

「そうですか。スバルくんはしょうがない人です」

「まったくだ」

 

でも、俺たちの方針は決まった。

いや、最初から決まっていた。

 

「行くぞ、みんな」

 

子供達を助けるために、森の中を駆けた。

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