デートから始める異世界生活   作:シークレット/K

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UAがいつの間にか30000超えていました。
こんなに投稿速度が遅いのに感謝しかありません!
ありがとうございます!

そして、例のごとく、遅れてしまって申し訳ありませんでした。

次回で多分二章が終わると思います。
それでは、どうぞ。


第二十八話 一時の休憩

-スバルside-

 

ジャガーノートたちをたばねる仔犬に遭遇した俺たちは.....。

現在、森の中を走っていた。

 

というのも、士道が限界となって倒れたのだ。

"天使"なんて呼ばれる、士道が扱う武器。

一振りで生身の体がボロボロになるという代物を、何度も振っていたのだ。

気絶しても、咎める人物などこの場には誰もいなかった。

 

癒しの炎が士道を包んでいるが、無視して背負って走っている。

そのせいで、現在進行形でやけど中だ。

あまりこのままでいたら、皮膚が溶けるという大惨事もありうるので、はやく安全な場所に落ち着きたいところだ。

同じく気絶しているレムも、ラムに背負われている。

 

チラリと後ろを見ると、あの仔犬は追いかけてきていなかった。

その代わり、ジャガーノートは追いかけてきている。

 

「熱ィ⁉︎もう限界だ!」

「仕方がありませんわね。士道さんはわたくしが背負いますわ」

 

女の子にやらせるのがかっこ悪いと思い、意地で背負っていたのに、途中で無理となって任せるという、さらにかっこ悪くなってしまった。

 

狂三に士道を渡した後、完全にやけどしてヒリヒリを越してがっつり痛む体にムチを打って走り続ける。

こんなことなら最初から任せておけばよかった。

 

今更思ってもしょうがない。

 

その後、なんとかジャガーノートを撒いた俺たちは洞窟で一休みすることにした。

俺と狂三は見張りで入り口付近にとどまる。

 

「っ痛.....」

「あらあら、スバルさん。あまり痛むようでしたら、なおしてあげてもいいですわよ?」

「このやけどをか?応急処置は出来ても、これだと跡が残るだろ」

「大丈夫ですわ。魔獣さんたちから奪った時間が有り余っていますし。.....<刻々帝>、<四の弾>」

 

やけどしていたところが、その一瞬で消えた。

 

「うおッ!すげぇ!あのときの足が速くなるやつといい、今のといい、狂三ってもしかしてめちゃくちゃ強いんじゃ?」

「そうでもないですわよ。わたくしにだって出来ないことはいくらでもありますわ」

「いやいや、人間なんだし、出来ないことくらいあるだろ!そんなこと言っちまったら、俺が出来ることなんて全然ねぇんだから」

「.....」

 

士道や狂三が扱っているような"天使"なんてものどころか、武器なんて村の人に譲ってもらったこの片手剣ぐらいのものだし、魔法もパックによるとゲートがガバガバなせいでまともに使えない。

 

レムみたいに"鬼化"ってものもない。

"死に戻り"の能力は持っているものの、戦闘に関しては剣道を少しかじっただけの一般人だ。

出来ることなんてほんのひと握りぐらいしかない。

 

「っと。辛気くさいのはやめだ!こんなの俺のキャラじゃねぇ!」

 

レム達と合流できたんだ。

今回はそれで万々歳だ。

 

.....と、その時。

 

「「っ⁉︎」」

 

異臭.....あの、獣特有の臭いが辺りに立ち込める。

 

「追いついてきやがった!」

 

ジャガーノートたちが、洞窟を囲んでいた。

中心にはあの仔犬もいる。

 

「スバルさんは奥にいるラムさんたちにこの事態を伝えてくださいまし!わたくしがここで足止めしますわ!」

「わかった。すぐ戻る!」

 

魔獣を狂三に任せて、洞窟の奥へと走る。

しばらくしてラムたちと出会い、狂三が戦っていることを伝える。

レムは起きた。

だが、士道は治癒の炎はおさまったものの、未だ眠っている。

 

体を起こしたレムが士道を背負う。

 

「お、おい。俺が背負うって」

「大丈夫です。スバルくんは先に行ってください。.....今日はもう限界ですから、これぐらいしかできないんです」

「.....わかった。ラムは.....」

「行くわよ。先に行って突破口を開かないと、レムたちが安全に出られないから」

 

そう言ったラムが先行してそれについて行く。

入り口まで戻ってくると、狂三がまだ戦っていた。

魔獣の死体が無数に転がっている。

 

「きひひひひ!いいですわ、久しぶりですわ!」

 

一方的な蹂躙だ。

狂三無双.....そんな言葉さえ浮かんだ。

 

「ラム、どうする!」

「..........」

 

フーラで援護、といきたいところだが、かえって邪魔になってしまうだろう。

まして、俺にもできることもなさそうだ。

正直、あの狂三についていけるのは、鬼化したレムぐらいだと思う。

 

レムたちより早くここに来た俺たちだが、特にすることはなかった。

こちらに狙いを定めた魔獣を倒すくらいだ。

 

「バルス、魔獣は狂三に任せて、レムたちが来たら先に森を抜けるわよ」

「狂三を置いて⁉︎」

「私たちが出たら、狂三も出てくるでしょう。鬼化したレムのように理性を失った訳ではないのだし」

「.....そうだな。俺たちがここにいた方が足手まといになるか」

 

さっきも言ったように、俺たちでは狂三の戦いについていけない。

であれば、さっさと森を出てしまった方が狂三も安心して森を出られるだろう。

 

ただ、一つだけ。

やはり、仔犬が気掛かりだった。

 

子供たちを森へと誘拐したあの仔犬。

自分で一発かまさないと気が済まない。

 

「バルス、変なことを考えるのはやめなさい。目があの仔犬の方にいってるわ」

「マジか。そんなわかりやすかったか?」

「まじまじと見つめていたわ」

 

そんなにか、と思いつつ、逃走経路を探す。

しばらくして、レムたちと合流した。

 

「.....うう.....。.....ん?」

「.....!起きたか、士道!」

 

タイミングよろしく、士道が目を覚ました。

二人に、狂三を置いて先に森を出るという旨を伝える。

 

だが、士道が反対した。

 

「ダメだ。狂三を置いてはいけない.....!」

 

ラムと共に説得しようと試みるが、士道に効果はなかった。

ちなみにレムは聖母のごとく、微笑を浮かべて見守っているだけだった。

 

いくら言っても聞かない士道は<鏖殺公>を顕現して、狂三に加勢しようと俺たちの制止を振り切って走って行ってしまう。

 

「おい!ああ、くそッ‼︎」

「ッ!バルスまで....!」

 

士道に引っ張られるように、俺も魔獣の方へと走り出す。

申し訳程度に片手剣を抜き、そのまま前に突き出す。

最初に向かって来たジャガーノートに吸い込まれていく剣先は、しかしジャガーノートに触れることはなかった。

 

「やべ.....⁉︎がああああああ⁉︎」

 

ジャガーノートに足を噛まれる。

噛みちぎられないように足を動かさずに脳天に剣を突き刺す。

絶命して顎の力が抜けたのを感じてから、足に刺さる歯を抜く。

 

「大丈夫か、スバル!」

 

士道が心配して、俺のところまで戻ってきた。

 

「大丈夫だって。それより、士道。俺たちであの仔犬に一発かまさねぇか?」

「.....ああ、そうだな」

 

仔犬には、散々な目に遭わされたんだ。

やはり、士道も同じ気持ちだったようだ。

 

剣を支えにして片足で立ち上がる。

噛まれたところに激痛が走るが、ここまで来た以上止めるという選択肢はなしだ。

 

「狂三の様子はどうだったんだ?」

「全然大丈夫だった。.....若干形相が恐ろし.....かったかもしれないけど」

 

狂三も大丈夫。

であれば、ジャガーノートは狂三が片っ端から倒して行ってくれるだろう。

仔犬に専念できるのは結構大きい。

 

「士道、あいにくと今、俺は片足をやられたおかげで自由に動けねぇ。あの仔犬を、こっちまで誘導させることってできるか?」

「ああ、できる。できなくてもなんとかするよ」

「じゃあ任せる。この作戦、お前にものすごい負担がかかると思うけど、なんとか耐えてくれ」

「了解、スバル」

 

さあ、何度目の対峙なのか数えてねぇから覚えてねぇが、この回で絶対に終わらせてやる!

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