本当にすいません。
読みに回っていました.....。
次回は何時になるのか.....。
一応これで2章終わりです。
それではどうぞ。
-士道side-
スバルに言われた通りに誘導するため、<鏖殺公>を構えて子犬に向かって走る。
と、すぐに足を止めざるを得ない状況となった。
仔犬が唸りだし、身体を縮めたかと思いきや、爆発的に肥大化する。
「こ.....れは...ッ!?」
「マジか、オイ!」
物理的には不可能だが、仔犬は超ド級と言ってもいいほどの大きさとなる。
でかくなる予想はしていたが、それでも予想よりもデカかった。
周りのジャガーノートも、巻き込まれないように離れていく。
狂三へと殺到するジャガーノート達は収まることを知らないが。
「スバル!この大きさになったことで作戦は失敗か!?」
「いや、大丈夫だ!いける!」
予想内だが予定外のことが起こり、それでスバルの考えた作戦に支障が出るかどうか心配だったが、杞憂だったようだ。
とりあえずすることは.....。
「誘導.....でしたね、士道」
「ああ。そうだった」
鞠亜と話して緊張をほぐしつつ、<鏖殺公>を構えて様子を伺う。
今現在、治癒の焔によって体は快復したが、今日一日だけで何度も<鏖殺公>を振っていた影響で出ている疲労感はどうしようもなかった。
脱力感がものすごく、気を抜けば<鏖殺公>すら地面に。落とすかもしれないほどだ。
おそらく、<鏖殺公>を振るえるのはあと二、三回ぐらいだろう。
いや、それ以下かもしれない。
自分自身の分析をし、それでも走り出した。
あくまで俺がすることは誘導だ。
であれば、まだやりようはある。
巨大化した魔獣の手前で減速し、前足による薙ぎ払いを誘う。
案の定、イメージ通りに攻撃してきた。
鞠亜と話して緊張がほぐれたのが効果あったのか、冷静に<氷結傀儡>の盾でもって防ぐ。
<鏖殺公>をすぐさま振り抜き、斬撃を生み出す。
だが、巨体に見合わず俊敏で、スレスレで躱される。
体が悲鳴をあげて治癒の焔に包まれる。
痛みに顔を顰めるが、気にしている場合ではない。
立ち止まっていたら殺されるから。
『うおおおおおおッ!』
痛みに逆らうように叫ぶ。
同時に、何故か少し楽になった。
走る。ただ、ひたすらに。
鞠亜の声が響き、魔獣の攻撃を避けつつも、着々とスバルの下へと近づいていく。
そしてーーー。
「十分だぜ、士道!もう離れていい!」
その声が聞こえて、すぐさま<鏖殺公>を消し、今の己が出せる全力でその場を離れる。
逃げる俺を追うことをせず、スバルの方に狙いを帰る魔獣。
だが、それはスバルの思うつぼだった。
「くらえぇッ!シャマァァァクッ!」
本日二度目の、シャマクという魔法を使ったスバル。
スバルを中心として、黒い靄が爆発的に広がる。
そしてスバルは、マナ切れで倒れた。
シャマクは攻撃の魔法ではない。
だから、これで魔獣が死ぬ、ということはないだろう。
スバルは倒れた。
本来ならば、ここで靄に乗じて俺が倒す算段だったが、もう体が動かなかった。
では、ここからどうするのか?
それは、簡単なことだった。
「わたくしの出番ですわ」
分身体を大量に通常サイズの魔獣達に残し、本体がシャマクの靄の中へと入っていた、狂三。
スバルの目的.....自分で一発かますことは果たすことができなかったが、仕方がないだろう。
俺はそんなにこだわってはいないし、これで決まるのなら万々歳だ。
視界が悪い中、狂三は歩兵銃と短銃を同時に構え、発砲する.....音が聞こえた。
靄が晴れると、倒れ伏す巨体とこちらにゆっくりと歩いてくる狂三の姿があった。
そして、周りのジャガーノート達が殺到しようとするが、狂三の分身体に阻まれ、さらにーーー
「.....ウルゴーア」
直後、炎弾が無数に降り注ぐ。
上空から、ジャガーノートへと。
「来るのおせぇよ.....」
「いやぁー。悪かったねーぇ」
ロズワールが、上空に浮いていた。
「しっかし、考えたねーぇ?シャマクを目印に使うなんてねぇ.....」
「ちっとは頭が回るんでね。.....だけど今はマジで疲労で.....。
寝かせて.....貰うわ.....」
ロズワールと地べたに寝転がるスバルの話はそれで終わり、そして俺も安心したのか、再び暗闇へと誘われていった。
鞠亜の労いの言葉を聞いて、そして何故かレムの声がすぐ近くでしたのを感じながら。
===================================
黒い靄が漂う世界に、俺はまた招かれていた。
結局何も起こることが無かったあの世界だ。
意識だけが独立したように感じる静けさ。
指一本.....それどころか、生きる為に必須である呼吸すらできない。
だが、変化が訪れる。
何も無かった世界に、一人、俺の目の前に誰かが現れたのだ。
顔も、姿も朧気だ。
だが、なんとなく、女性だと思った。
その人物は、俺に向かって手を伸ばす。
すると、意識だけだったはずが、何故か肉体を動かせるようになった。
たった右腕だけだが。
彼女は微笑んだ.....ような気がした。
誰なのか、検討もつかないが、これもまたなんとなく、知っている人のような気もした。
「ーーーつも、ーーーーう」
彼女が何か、一言発した。
その言葉は、聞き取ることができなかった。
そして、世界は消失した。
===================================
目覚めると、見覚えのある天井だった。
ゆっくりと身を起こす。
「ようやく起きたのですね、士道くん」
「おはようございます...ですわ、士道さん」
声のした方を見ると、レムと狂三が立っていた。
「ああ。.....おはよう、二人共」
ようやく、色々あった一週間を抜け出せたのを実感しながら、俺は返事をした。
「それで、大丈夫ですの?さっきは少しうなされていましたのよ」
「うなされて.....?」
「はい、少し、苦しそうでした」
狂三とレムのふたりが揃って言うのだ。
うなされていたのだろう。
「それはそうと、俺が気絶してからどうなったんだ?」
「それは.....」
レムによると、俺とスバルが倒れた後、狂三とロズワールによるジャガーノート掃討が行われた。
森の中にいた魔獣達は根こそぎ処分されたという。
よって、スバルが死ぬことも無くなったのだ。
「スバルは起きたのか?」
「はい、スバルくんは昨日の時点で起きました」
レムはスバルに謝ったらしい。
快く許してくれたとか。
スバルのことだし、そんなことよりも.....と、レムを笑わせにかかっただろうというのが想像出来て、おかしかった。
「少し話したいから、スバルを呼んでくれないか?」
「わかりました。呼んでくるので、少しだけ待っててください」
数分後、スバルがやってきた。
「起きたんだな、士道」
「ああ。.....スバルは、夢、見たか?」
「.....!ってことは士道もか?」
どうやら、同じような夢を見たらしい。
まあ、だからといって何かある訳じゃないが。
ただ確認したかっただけなのだから。
「スバル、そういえば、なんで一度目の魔法の時に倒れなかったんだ?」
「ガキどもがくれたもんの中に、ボッコの実っていうマナを活性化させる実がひとつあったから、それ使ったんだ。.....無かったらどうなってたんだろうな」
気になっていたことは聞けた。
「んじゃ、士道はもうちょい休んどけ。執事としての手伝いは全部俺が.....いや、お前はメイドだったな」
「忘れかけてたのに思い出させるなよ.....」
「いや、どっちにしろ、ロズっちがまた士織になってもらう.....っていうようなことを言ってたからな?」
考えるだけで憂鬱になった。
その後、エミリアが来て感謝をされた。
気にしないでくれ、という旨を伝えた後、スバルに会ってきたら、と提案する。
後になってスバルに感謝されたのは言うまでもなかった。