しかも戦闘少ないです。
-神無月side-
「あなたは何者ですか。見た所、ASTの武装をしているようですが?」
エレンが感じた疑問を口にした。
「私が何者か、などどうだっていいでしょう。何にせよ、今の私は<ラタトスク>の一機関員でしかありませんし」
「.....そうですか」
ちなみに言っておくと、神無月はエレンに勝てるとは思っていない。
世界最強の魔術師であるエレンに勝てる、なんて思い上がりもいい所だし、そもそも神無月にはブランクがあるのだ。
いざと言う時にフラクシナスの操縦を一人ですることが出来るとはいえ、魔術師として出撃するのはしばらくぶり。
それでも、折紙達若い世代に負ける気は無いが。
まあ、どの道エレンを足止めしなければならないことは変わらない。
ここで彼女を自由にさせたら、目的達成が困難になるから。
「では、始めましょうか。.....私達の
「デート?そんなことしませんよ。.....物量に任せて、すぐに終わらせます」
元ASTのエースと、世界最強の魔術師が、激突した。
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-折紙side-
折紙は苦戦していた。
相手は何故かDEMに加わっているアルテミシア。
「く.....」
「遅いよ」
<ヴァルファズル>を突き出すが、アルテミシアはレイザーソード.....<アロンダイト>でその軌道を逸らす。
虚空を突くことになり、バランスを崩す。
そのスキを見逃してくれるはずもなく、アルテミシアは<アロンダイト>を水平に振ってくる。
その先にあるのは、折紙の脇腹だ。
「.....ッ!」
咄嗟にスラスターを全力起動させてその場を離れつつ、さらに体を捻ってギリギリで回避した。
「結構やるね。DEMにもあなたほど動ける人はそういないと思うよ」
「そんなこと、どうでもいい。ここで止まる訳にはいかないッ!」
再び突貫。
だが、同じことが通用するはずもない。
「.....それで勝てるとは思ってないよね?」
アルテミシアは話しかけるも、折紙は止まらない。
<ヴァルファズル>を突き出す。
必然、避けられる。
スキが出る折紙。
落胆しながら勝機を見出したアルテミシアは折紙に向けて<アロンダイト>を振る。
それを、
スラスターを全駆動させて一旦停止し、<ヴァルファズル>をアルテミシアの方へ水平に振り回した。
「フェイクだったんだね」
「.....」
だが、<ヴァルファズル>の刃はアルテミシアが無理やり軌道変更した<アロンダイト>に阻まれた。
「舐めてもらっちゃ、困るよ」
「.....別に、舐めている訳では無い!」
<ヴァルファズル>で<アロンダイト>を無理やり押し込み、一度離れて体制を整える。
そして再びアルテミシアに肉迫する。
なんとか死ぬことなく戦って、十分経過したくらいだろうか。
正直、限界だった。
真那の様子をチラと見れば、塵も積もれば山となる、ということわざの通り、大人数の魔術師を相手して疲弊していた。
そして。
折紙がつけているインカムから、朗報があった。
『第二の精霊を保護しましたわ』
その瞬間に、真那と目を見合わせて頷き、顕現装置を全駆動させて逃走を開始した。
元々、こういう作戦であったのだ。
折紙、真那、そして神無月に与えられた役割は、狂三が第二の精霊を見つけ出す時間稼ぎをすること。
だからこそ三人は強敵と会ってもまともに戦ったし、精霊を探すことを優先しなかった。
アルテミシアは突如逃げ出す折紙達に驚くも、すぐに追いかけてくる。
悔しいが、速度はアルテミシアの方が上だ。
それでもなんとか全力で逃げる。
やがて、神無月とエレンが戦っている場所まで戻ってきた。
神無月の状態は、良好.....なはずはなく、ボロボロだった。
だが、エレン相手にこの時間まで持ったということで、今回のMVPは神無月であろう、と思う。
ここで問題なのは、エレンがそう簡単に逃がしてくれるわけがないということ。
さらに、後ろからはアルテミシアが迫っているのだ。
だが、策はある。
「真那、捕まって」
「はい!」
真那に手を差し出し、真那はその手を掴む。
そして折紙は、限定霊装を纏った。
その瞬間、折紙はその場から光を纏って消える。
一瞬にして神無月がいる場所へと移動した折紙は、神無月の肩を掴む。
「な.....!」
「時間切れです、世界最強の魔術師。また逢う日まで」
「待ちなさ....」
さらに<ラタトスク>の空中戦艦のある方へとまた瞬間移動する。
逃げる用意が出来ているらしい空中艦の真下まで戻ってきた折紙達。
狂三とも合流し、空中艦に拾われる。
そして、琴里の号令によってさらに逃げる。
こうして、今回の作戦は完遂された。
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-士道side-
竜車に乗って王都へと向かっていた士道達だったが、士道の体調が急変し、さらに急ぎで王都に向かっている。
「はぁ.....はぁ.......ッ」
「もう少しですから、頑張ってください、士道くん!」
「これは本格的にやばいかもねぇ.....。体内のマナが荒ぶってる。ヴィル爺、王都に着いたらすぐに取りかかるから、士道くんすぐに運んで」
「了解です」
フェリスが水属性の魔法で士道のマナを鎮めようとするが、何もしないよりはマシ、程度のものにしかならない。
刻一刻と、士道が完全に暴走するまでの時間は着実と迫っていた。
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-琴里side-
地図にない島、ネリル島を無事離脱した琴里達は、眠ったまま起きない第二の精霊を検査することにした。
すると、強制的に眠らされていることが発覚。
さらに。
「.....これは、何かしら、令音」
「.....金属.....?小型の、機械?.....まさか」
休眠中であることを利用し、第二の精霊の脳内に埋め込まれていたものを摘出した。
それは、小型の顕現装置だった。
「なんで精霊の脳内に顕現装置があるのよ?」
「さあね。.....この顕現装置を調べれば分かるだろう」
「それもそうね。じゃあ、よろしく、令音」
「心得た」
取り敢えず、顕現装置を調べつつ、第二の精霊が起きるのを待つことになった。
精霊達がいる場所に戻ってきた琴里は、打ち合わせを始めた。
「みんな、よく聞いて。第二の精霊の力で士道がいる所に行く方法を知って、無事に行けたと仮定した時のことなんだけど.....。もう既に士道が暴走している可能性もあるわ」
「対策はあるの?」
こと細かく精霊達に告げると、珍しく七罪が質問してきた。
「.....正直、分からないわ。でも、私達に出来ることなんて、一つくらいしかないわよ」
「何をすればいいのだ!?」
十香が聞いてくる。
折紙を筆頭に、勘のいい人であれば分かるだろうが、十香には無理だったか、と苦笑しつつ、答える。
「キスをすることよ」
だが、十香はさらに首を傾げる。
「どうしてキスをするのだ?」
「え?.....それは、士道とのパスを広げるためよ」
「.....ん?キスをしたらパスとやらは広がるのか?」
どういうことだろうか。
十香はもしかして、霊力の封印の仕方も分かっていない.....?
「疑問。十香は霊力の封印の仕方をちゃんと分かっていますか?」
「........いや、知らぬ」
「えぇーーーーっ!!十香さん、なんで知らないんですかぁー!?十香さんもだーりんとキスをしたんですよねー?」
「あ、ああ、シドーとキスはしたが.....。.....む?まさか、キスが封印の方法なのか!?」
どうやら今知ったらしい。
「今まで、どうやって封印していると思っていた?」
「むぅ.....。他に方法があるものだと.....。だが、そうか.....」
折紙に質問され、十香はなにか悟ったように呟いた。
「とにかく!私達は向こうの世界に行ったら、士道とキスしないといけないわ。.....最悪、私達の中に残ってる霊力を使ってでも」
精霊の力が使える、ということは折紙が使えたことにより明らか。
士道を見つけ次第、キスをするということが、精霊達の間で決められた。