-琴里side-
しかし、精霊を見つけるのに時間がかかった。
地球の近くにいることが分かっているとはいえ、宇宙という広大なところから一人の精霊を見つけることは困難を極めた。
二亜の
そして。
「........ッ!進行方向に霊力反応!精霊だと思われます!」
「すぐに映像取得!どうにかして天使とその力を七罪に記憶させないと」
「私の出番でやがりますね!」
「.....サポートで私も行く」
真那と折紙が既にワイヤリングスーツを来て待機していた。
宇宙空間でも随意領域を用いれば息もできる。
「そうね。真那と折紙はあの精霊と戦ってきて。七罪がもういいと判断したら連絡するわ」
『了解(でやがります!)』
真那を先頭に、二人は宇宙へと飛び立つ。
もうすぐ行くから、待ってなさいよ、士道!
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-スバルside-
スバル、狂三、エミリア、ロズワールの四人は現在、王都へと向かっていた。
スバルはフェリスにゲートの調子を治してもらうため。
狂三はスバルの付き添いで。
エミリアとロズワールは王選に参加するために。
だが、王都に近づくにつれて.....。
王都の様子が見える場所まできた時、竜車を急停止させざるを得なかった。
「なんだよ.....あれは!?」
「あれほどの霊力.....もしかして」
「.....あのマナは.....。まさか、シドウくんか.....?」
狂三やロズワールによると、"あれ"から士道のマナ/霊力が感じられるという。
そう.....。
王都は、巨大な災害に巻き込まれていた。
「あれが、シドウだって、本当!?」
「ええ。士道さんの霊力が感じられますわ」
「おそらく、あの渦の中心にシドウくんがいるのだろうね.....」
「こうしちゃいられないだろ!早く王都向かってくれ!」
「そうだねぇ.....。このままだとシドウくんが剣聖に殺されてしまうだろうし」
剣聖.....。ラインハルトのことか。
確かにラインハルトならあの災害を纏った士道を殺すことが出来るだろう。
尚更急がなければならない。
(畜生!士道.....。元に戻す方法は見当もつかないけど、絶対助けてやるからな!!)
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-ラインハルトside-
士道に打ち明けられて約三時間ほどたった時。
士道に異変が生じた。
突然苦しみだし、そして、尋常ではない風が士道を中心にして渦を巻き始める。
それを理解した瞬間に、この場にいる全員に避難するように呼びかける。
「.....これが、シドウの暴走.....」
この辺りの住民の避難誘導を終えたあと、思わずつぶやく。
最初は小規模だったが、今では天に届くほどの風の奔流に、吹雪、そして焔の渦が伸びていて、周りが淡く発光して存在感を放っている。
「風、水、火に、陽属性.....。シドウ、本当に君は何者なんだ.....」
疑問を口にしながら、懐にある剣.....龍剣レイドの柄に手を添える。
エルザには反応もしなかったはずの龍剣は。
ーーー簡単に、抜けた。
薄々分かってはいたが、抜けたことに驚きを隠せない。
「.....いや、驚いてる場合じゃあないな」
龍剣レイドは抜けた。
戦いの準備は完了した。
であれば、まずはこの災害の攻撃を捌きつつ、シドウを元に戻す方法を考えなければならない。
シドウを殺す気なんてさらさらなかった。
「名乗らせてくれ、シドウ。....."剣聖"、ラインハルト・ヴァン・アストレア.....」
だから、その思いを口に出す。
違えることのないように。
「僕は君を、絶対に助け出してみせるよ」
その瞬間。
"剣聖"と"災害"が、激突した。
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-琴里side-
「.....琴里。もう、いい.....と思う」
七罪の自信無さそうな声を聞くと同時に、真那と折紙の二人に戻って来るように指示を出す。
が、そう簡単に帰してくれることもなかった。
『むくの眠りを妨げておいて、無事に帰れると思わぬことじゃ!』
『く.....』
映像の中で、精霊は自身の天使.....
『
『しまっ.....!?』
随意領域が閉じられ、宇宙空間に点在する様々な人体に有害な物に直に触れることとなる。
咄嗟に折紙が随意領域を真那の場所まで広げるも、その一瞬で真那は満身創痍。
さすがに分が悪すぎる。
よって、ここから脱出するため、折紙は再び精霊の限定霊装を纏い、真那を抱えて光を纏った後、その場から消えた。
現れた場所は、空中艦の間近。
比較的折紙が真那の近くにいたことが幸いだった。
二人が艦内に乗り込んだ後、真那を医療室に運び、相手の精霊に睨まれながら空中艦は地球へと帰還した。
五河家リビングに戻ってきた精霊たち+α。
真那は医務室で令音に検査されているが。
その表情は焦り、だった。
地球に戻っている途中で、士道が暴走した時のサイレンが鳴ったから。
「早く、行かないと」
「焦燥。七罪、準備の方は出来ていますか?」
「いつでもいいけど」
「じゃあ、お願い」
七罪が<贋造魔女>を顕現させる。
「<贋造魔女>.....
箒状の天使だったのが、鍵状の天使.....<封解主>へと変化する。
そして、異世界への扉を開く.....その寸前で。
「ちょっと待った!」
二亜が、声を上げた。
「何よ、二亜」
「いやあ、行く前に、確認しといた方がいいかなって思って。琴里ちゃんの話だと、士道くんはもう既に暴走してるんでしょ?そんな士道くんを見て、ここにいるみんなが取り乱しちゃったら、助けられる人も助けられないよ」
確かに、二亜の言う通りだ。
士道が暴走した状態を見て、冷静でいられるかなど、自分でもわからない。
士道に直接デレさせられていない二亜だからこそ、出来た提案だった。
「.....そうね。みんな聞いて。といっても、私達に出来ることなんて一つしかないわ。士道とキスをして、狭窄した霊力のパスを広げる」
「あたしは何したらいい?」
「二亜は私達の援護よ。私達はなけなしの霊力を使って限定霊装を纏って天使を使うけど、それがいつまで保つか分からない。特に、折紙と今<贋造魔女>使ってる七罪はね。だから、援護をしてくれる人が必要なのよ」
「なるほど。狂三って子と、神無月っていう男の人と協力すればいいの?」
「ええ、そういうことになるわね」
そう。
今回、神無月も異世界に行くのだ。
その理由は言うまでもない。
世界最強の魔術師と渡り合えるほどの人材は、不確定要素の多い異世界でも心強い。
その神無月から、一つの質問が出た。
「すいません、司令。私からも一つ質問が」
「.....何?」
「士道くんが全員のキスを受けて、元に戻らなかったら、どうするつもりなんでしょう?」
それは、今一番考えたくない内容だった。
「それは.....。....その時に考えるわ」
「.....そうですか」
琴里が出した結論は、未来への丸投げだった。
「.....ともかく、確認もできたことだし、お願い、七罪」
「うん。.....
そして、異世界への扉が
ーーー開いた。
次で士道が元に戻る.....かも。