デートから始める異世界生活   作:シークレット/K

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遅くなりました。すいません。

前回の話から飛んでます。
省略させていただきました。

技量が足りなかったのです.....。


第三十八話 魔女教

-士道side-

 

約一日経って、エミリア達が帰ってきた。

そして、その中にスバルと狂三の姿はなかった。

狂三はスバルについているのであろうが、スバルがここにいないのはどうしてか分からなかった。

 

「な、なあ。スバルは」

「スバル、は.....」

 

士道が聞くが、どうにもエミリアの歯切れが悪い。

少し遅れて、ロズワールが来る。

 

「うーぅん?どうしたのかなーぁ?」

「いや、スバルはどうしたのかと思って」

「スバルくんは王都でゲートの治療に専念してるよーぉ」

 

その言葉で士道はなるほど、と納得する。

スバルが大人しく王都に留まるとは思えなかったが、ここにいないのであればどうにかしたのだろうと想像する。

 

「.....ねえ、シドウ?」

 

そのタイミングで、エミリアが口を開く。

不安そうな表情のエミリアに、士道は首を傾げる。

 

「なんだ?」

「シドウは、何で私を助けてくれるの?」

 

突然のことに、士道は驚く。

エミリアの問いの真意が分からないのだ。

 

「いったい、どういう事だ?」

「.....答えて」

 

こちらの問いには答えずに急かしてくるエミリアに若干たじろぎながら、真剣に考えた後、答えた。

 

「そうだな.....。.....重ねちまったからかもな」

「.....え?」

「自分の種族のことで糾弾されて、それでも王になることを諦めないで王選に挑む。.....そんなエミリアを、俺の世界での精霊と、知らず知らずの内に重ねたのかもしれない」

 

十香は名前も無く哀しそうにしていた。

四糸乃は自分のヒーローを創って平常心を保っていた。

狂三は自分の悲願のために生きていた。

琴里は正体を隠して士道に心配させまいとしていた。

耶倶矢と夕弦は自分の想いを押し殺して勝負に明け暮れていた。

美九は男を信じられずに同性を愛するようになった。

七罪は自分の姿を卑下していた。

折紙は親を殺した精霊を憎み続けた。

 

二亜はどうなのか分からないが、精霊の誰もが酷い境遇の中で生きていた。

 

エミリアだって同じだ。

 

どれだけ糾弾されて、非難されても、決して諦めずに王の座を狙うエミリアを見て、士道は手伝いたいと思ったのだ。

 

だから。

 

「だから、結局のところ、俺がエミリアを助ける、なんてことは俺自身の自己満足でしかないよ。俺が助けたいから助ける.....それだけだ。そもそも、これまでの中で俺がエミリアにしたことは、俺にとっては助けた事になんてなってない。だから、気にしなくていいんだよ」

 

それが、士道の答えだった。

 

心なしか、エミリアの表情が若干明るくなった気がする。

 

.....陰でそれを聴いていた精霊達は、やれやれ、とみんなして微笑みながら、部屋の中へと戻るのだった。

 

そして、次の日。

ロズワールが用事で出かけていった。

 

===================================

 

数日後。

異変が起きた。

 

「.....おい、なんだよ、あれ.....」

 

日が傾いてきて、休憩をしていた士道は、部屋の窓から村の方を見ていた。

すると。

黒煙が、上っていた。

 

「冗談だろ。火事でも起きたってのか?.....それとも」

 

襲撃されているか。

そんな言葉が頭に浮かび、冷や汗を浮かべる。

まして、今はロズワールが不在なのだ。

 

「取り敢えず、みんなに伝えないと.....!」

 

士道は駆けた。

先ずレムとラムに声をかけ、そして精霊達に声をかける。

最後にエミリアに声をかけて、応接間にベアトリスを除く邸内の全ての人物が集まった。

 

「それで、シドウくんはどうするつもりなんですか?」

「俺は村に行ってみようと思ってる。まずは煙の原因を知らないと。.....最悪、襲撃だった場合は逃げることも視野に入れとかないとダメだと思う」

「疑問。これが襲撃だった場合の相手の心当たりはあるのですか?」

「.....一応、あるわ。ロズワール様もある程度予測していたし。.....おそらくは、魔女教ね」

 

魔女教。

士道とスバルの二人がレムに疑われる原因となったワードに、士道は気を引き締める。

 

「魔女教ってどんな組織なんだ?」

「嫉妬の魔女サテラを信仰しているいかれてる集団だよ。活動内容は人殺しとか犯罪ばかり。救えない奴らさ」

 

士道の問いに答えたのは、いつの間にかエミリアの頭の上に乗っているパックだった。

 

「人、殺し.....」

「まあ、とにかく、魔女教が攻め込んできたとして、逃げることは難しいわね。まして、おそらく狙いはエミリア様よ。.....ここで戦力を整えて待ち構えていた方が勝算は上がるわ」

「だからといって、自分の領土の住民を見捨てると言うの?」

 

ラムの言葉に、琴里が反論する。

対してラムは頷いた。

 

「.....僕もラムの意見に賛成するよ。士道には悪いけど、これが魔女教の仕業だった場合、村はもう.....」

「.....ッ.....」

 

気の毒そうにいうパックに、士道は苦々しい表情をしてうつむく。

とにかく、戦闘の準備をしなければならない。

もう近くまで来ているかもしれないのだ。

 

「.....頑張るしか、ないよな」

 

小声で呟いた士道は、みんなが各々準備をしに出て行くのを見て、自分の部屋へと走った。

 

 

 

.....そして。

三時間後、庭に出ていた士道は見つけた。

こちらに走ってくる子供達と、レムを。

 

「.....!?レム、何で!?」

「シドウくんが村の人達を助けに行きたがっていたことがわかったからです。.....レムが代わりに行っていました」

 

驚いた。

これ以上ないほどに。

 

「.....ありがとな、レム」

「いえ。.....それよりも、構えてください、シドウくん。もうそこまで来ています」

 

見れば、黒いローブに包まれた人達がものすごいスピードで迫っていた。

あれが、魔女教の一員なのだろう。

 

「みんな、死んじゃった.....お母さんも、おじいちゃんも」

「シドー.....おれたち、生きていられるのかな.....」

 

子供達が泣いているのを見て、士道は物置の中に子供たちを押し込みながら言う。

 

「大丈夫だよ。.....俺たちが、絶対に守ってみせるから」

 

そう言って、扉を閉めた。

そして、魔女教との戦いが、幕をあげた。

 

===================================

 

-スバルside-

 

スバルはエミリアと喧嘩別れした後、クルシュ邸で大人しく療養していた。

クルシュ邸、と言っても、別荘であるが。

 

「スバルさん、来てくださいまし」

 

一緒に残ってくれた狂三が突然話かけてきて、首を傾げながらついて行く。

しかし、道中で話を聴いて、スバルの態度は激変する。

応接間の扉を慌ただしく開き、入室する。

 

「その様子を見ると、既に話は聞いているようだな」

 

クルシュが落ち着いた調子で発言した。

スバルは自分の息を落ち着かせる。

ここで焦っても意味が無いのだ。

 

「ああ、狂三から全部聞いた。ロズワール邸が襲撃されてるんだろ」

「そうだ。こちらの情報は曖昧だが、そちらの情報は胡散臭いが嘘ではないようだし、細かい。能力とやらはよほどのものらしいな、トキサキ・クルミ」

「ええ。あなたのことも聞き及んでいますわ。何でも、斬撃を飛ばすとか。人の身でやり遂げるとは、素晴らしいですわね」

 

飛ぶ斬撃か、とスバルは士道の<鏖殺公>を思い出す。

そこで話が脱線仕掛けていることに気づく。

 

「んなこと話してる場合じゃねえだろ。それで、襲撃してるのはどんな集団なんだよ」

「よく分からない。だが、話を聞く限り、領内の村人によるものでは無さそうだ」

 

あの村の人達がそんな事するわけねぇだろ、という思いを飲み込み、クルシュの話に耳を傾ける。

 

「おそらくは、魔女教.....。エミリアを狙ったものだろう。集団で殺人を起こしている集団など、それぐらいだからな」

 

魔女教というワードは聞いたことがあった。

レムの口からだ。

スバル達から魔女の匂いがするとかで追い回されたのは記憶に新しい。

 

それはそれとして、スバルはもう決断した。

 

「.....助けに行かなきゃ、だよな」

「いいんですの?また、約束を破ることになるんですのよ?」

「.....それでも、ここで大人しくしてて、手遅れになんてさせたくねえんだよ」

 

狂三に問われるも、スバルはそれを跳ね返す。

すると、狂三は微かに笑う。

 

「.....クルシュさん。スバルさんを責め立てようとしているところ申し訳ありませんが」

「.....む」

 

口を開こうとしていたクルシュを黙らせた狂三。

そして、立ち上がった狂三は、一言発した。

 

「失礼を承知の上で、地竜を一体、貸してくださらない?」

 

そして。

スバルと狂三の二人は、ロズワールの領地へと向かうのだった。




ペースがどんどん落ちてゆく.....。
亀よりも遅いペースですが、読んでくださる皆様には感謝を。

次は何時になるのか、自分でもわかりません。

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