「まさか、ヒロイン来た⁉︎」
またスバルが何か言っているが、そんなことより。
俺たちの視線の先には、銀髪の少女がいた。
十香に匹敵するほどの、美少女だ。
「待て待て待て!待ってくれ!こいつらは無傷で見逃す!だから、俺たちは勘弁してくれ...」
急に人が変わったように喚きだす男。
「潔くて助かるわ。まだ許してあげるから、私から盗ったもの...徽章を返して」
「...え?盗ったもの...?待て!話が食い違ってないか⁉︎」
「...何?」
「こいつらを助けに来たわけじゃないんで?」
「...変わった服を着てる人たちね。でも私は、無関係よ」
話をはぐらかされたとでも思ったのか、少女から怒気が感じられる。
ちょっと待て。この隙に逃げられるよな?
スバルや狂三も同じことを思ったのか、俺の方を見てくる。
...逃げるか。俺は、銀髪の少女の手を取り、後ろにいるスバルたちの方に走る。
「ちょっと!何を...!」
「後で説明する!それに、あいつらは徽章なんて持ってない!」
それだけ言うと、俺たちは路地を出た。
しばらく走って、あの男たちが追いかけてきていないことを確認して、俺たちは止まった。
「それで、あの人たちが徽章を持ってないって、どういうこと?あなたたちが持ってるの?」
「いや、俺たちは持ってない。多分、君が来る前に来た女の子が持ってると思うぞ?」
「本当に?信用ならないわ」
「でもリア。この人が言ってること嘘じゃなさそうだよ」
...ん?何処から声が...。と思ったら、目の前に猫が浮いていた。
「うわっ⁉︎」
「すげぇ!猫が浮いてるぞ!」
「僕はただの猫じゃあないからねー」
「しゃべった⁉︎」
猫が浮いてしゃべるって...。
異世界だからって、ありえないだろ...。
...あ。狂三が、パックを見て、愛おしそうにしてる...。
俺の視線に気づいたのか、狂三はすぐに横を向いた。
「もう、パック!なんで出てきたの!」
「だって、このまましゃべり続けてたら、どんどん逃げられるよ?犯人に」
「う...」
「だったら、俺たちも、探すの手伝うけど」
「ああ!こんなかわいい子が困ってるのに、手伝わないわけはねぇ!」
いちいち言い方が大袈裟だよな、スバルは。
まあ、それがスバルらしい...のか?
「なんでよ?メリットなんて、あなたたちにはないじゃない」
「人が困っているのを助けることが、何か悪い事か?」
「悪いわけじゃないけど...」
「よぅし!じゃあ決まりだな!」
スバルがテンションを上げて、手伝う事を決めた事を告げた。
「...それで、こっちで合ってるんだな、鞠亜?」
「はい。徽章、ですから、後でお金に換えるつもりでしょうし。だとしたら、盗品蔵というところにある確率がとても高いです」
そう。俺たちは今、盗品蔵に向かっている。
なんでも、蔵主が盗品を市場でまとめて捌いてくれるところらしい。
このスマホのスペックぶっ飛んでないか...?
なんで、異世界にいるのに場所検索ができるんだよ。おかしいだろ。
と思っていると、狂三にもふもふされながら、パックがこっちを見ている事に気付いた。
「どうかしたのか?パック」
「えっと、君のマナが、複数あるのが気になってね」
「マナ?」
「マナっていうのは、人が誰しも少しは持っているものだよ。マナの扱いが上手いほど、魔法の才能がある。でも、君の場合は、そのマナが、複数あるんだ。8...いや、ひときわ小さいのを合わせて9人分もある」
...もしかして、霊力の事か?
だとしたら、折紙、四糸乃、琴里、七罪、耶倶矢、夕弦、美九、十香の8人と俺自身で、9。ちょうど、パックが言った数と同じになるな。
「えっと...どう説明したらいいのか...。俺には、『精霊』の霊力を封印する能力があるんだよ」
「霊力を封印⁉︎どうしたらそんなことが...!」
「えっと...そこらへんは秘密ってことで...」
「わかったよ」
そんな話をしていると、よそ見してたのが祟ったのか、転んでしまった。それだけなら良かったのだが、その際に頭を強く打ってしまった。
「士道⁉︎」
スバルの声を聞きながら、意識を失ってしまった。
UA1500突破してました。
もう驚きでした。皆さんありがとうございます。
これからも読んでくれると喜びます。