難しくて.....。
今回は自分でも納得出来ていませんが、いつまでも悩んでいるわけにもいかず。
こんな駄文ですいません。
それでもいいという方は、どうぞ.....
-スバルside-
「すばる.....?スバルだーー!」
小屋の中で、ペトラ、ミルド、リュカ、メイーナ、カイン、ダイン.....村の子供達六人全員が生きていた。
ーーー何が守れなかった、だ。守るべきものはちゃんと守ってるじゃねえか。
内心でスバルはそう毒づく。
だが、素直には喜べない。
「まだダメだ!」
スバルは反射的に叫んだ。
今小屋から出たら、士道の死体がある。
それを見せたくなかったのだ。
子供達はスバルの声にびっくりし、その場で固まる。
その瞬間、スバルにも予想のつかなかったことが起こる。
ドガァァァァンという何かが砕けるような音が聞こえたのだ。
怯える子供達に、もう少し此処で待っとけ、と言い残してスバルは小屋の外に出る。
すると。
ロズワール邸が、見るも無残に崩れ落ちていた。
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-二亜side-※数秒前
二亜達が魔女教相手に奮闘している時、それは起こった。
二亜やラム、神無月と一緒にエミリアを守っていた琴里に、限定霊装だったのが精霊としての姿に完全に変化したのだ。
「.....え?」
琴里は呆然としていた。
神無月は言わずもがな、二亜も話を聞いてはいたので、驚愕に目を見開く。
つまり。
士道が、死んだ。
それを理解した琴里は即座に反転してしまった。
「.....これは、流石にやばいかも.....」
「一旦外に出ましょう!」
二亜は冷や汗を感じながら神無月に従ってエミリアとラムを抱えて窓から邸外へと出る。
二亜は士道に対して好意的には思っていたが、士道に接した時間が短かった故に"好き"というところまで至っていなかった。
だから、反転しなかった。
困惑するエミリアとラムに説明する暇もなく、魔女教から逃れるために上空に留まる。
神無月は屋敷の方に視線を向けていた。
見れば、反転した精霊たちは無差別に攻撃していた。
「うっはー。これなんて無双ゲー?」
反転精霊が魔女教のフード達に対して一騎当千する姿を見て、思わずそうつぶやく二亜。
そして、気づく。
反転した十香だけ、その手に持つ魔王を振るっていないことに。
「ねえ、二亜!私達、落ちそうになってるんだけど.....」
「もっとしっかり抱えなさい!落ちてしまうわ!」
「おおっと、めんごめんご」
どうやら十香を気にして、腕の力を緩めていたらしい。
すこしだけ反省した。
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-スバルside-
崩れた館を見て、スバルは内心焦る。
今の崩壊で、エミリアが大事に至っていないか、と。
「狂三!お前は此処で子供達守っといてくれ!!」
未だ士道の側にいる狂三に一緒に来てくれ、なんて言えず、スバルは一人で行こうとする。
「.....待ってくださいまし」
その声でスバルは立ち止まる。
振り返ると、影から狂三の分身体が何人も出てきていた。
「わたくしはここに残りますけど、"わたくしたち"が助力しますわ。.....ご武運を」
「ああ!」
スバルは走る。
士道が死んだ時点で死に戻ることは確定したスバルだが、だからといってこれ以上の悲劇を生ませるのは嫌だった。
エミリアもまだ生きているのだから。
空を見上げる。
エミリアとラムを抱える精霊が見えた。
名前は確か、二亜だったはずだ。
そして、その真下のロズワール邸は館だった面影も無くなっている。
チラリと見えるのは、真っ黒な鎧を纏った士道の世界の"精霊"という存在。
その周りを警戒して宙に浮く神無月さん。
.....なんかいろいろと反応に困る。
「まず、何で精霊は露出度ヤバい鎧なんか着てんの?っていうか、館壊したの完全に精霊だよね!?やべえ、十香って娘と目が合った!!」
エミリアが無事であることに安堵しつつも、落ち着きなく思ったことを口にするスバル。
そんなスバルについていきながら呆れる狂三の分身体達。
「スバルさん。精霊のあの状態は"反転体"といって、絶望、不安などの負の感情が貯まることで起こるものですわ。人格から変わりますし、あの状態の十香さん達は味方と考えない方がいいかと」
「マジで?.....ちょ、その十香がこっち来てんだけど?!」
分身体の一人から得た情報。
近づいてくる十香。
.....どう考えても"ここでの"スバルの運命をいい方向に持っていく様子ではなかった。
しかし、足を止めるわけにはいかない。
そうやって自身のモチベーションを上げているうちに、十香はスバルの前まで来ていた。
自ら近づいたのだから当たり前ではあるのだが、十香が纏う雰囲気にスバルの足が若干減速する。
そして、回り込んででも突破しようと足を向けた時、あることが起きてスバルはその場に止まった。
「.....貴様は」
十香が、話しかけてきたのだ。
これには狂三の分身体達も驚く。
言葉の続きが気になったスバルは耳を傾ける。
「.....おい、貴様。あの男は死んだのか?」
あの男.....。
スバルには一人しか思いつかない。
「士道は、死んだ。.....死んじまったよ」
「.....そうか、死んだか」
十香は目を閉じて腕を組む。
そのまま数秒。
狂三が口を開いた。
「十香さん、わたくしたちはこの先にすすみたいのですが.....」
「.........."十香"、か」
狂三の言葉に対して、十香はまるでその名を確かめるかのように、ゆっくりと呟いた。
何を考えているのか、スバルには到底理解出来たものではないが、ただ、今の十香を見て恐怖は感じなかった。
「.....士道、とかいう男の死体はこの先か?」
「ッ!.....ああ、そうだ」
「そうか」
十香は士道の居場所を聞いて、それきり、スバル達を無視して通りすぎていった。
「、行こう」
「.....分かってますわ」
スバルたちもまた、エミリア達に向かって走ることを再開した。
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-反転十香side-
"私"が目を覚ました時、一番に感じたのは.....これ以上ないほどの哀しみだった。
なぜなのか、理由はある程度察しはついた。
"表の私"のマイナスの気持ちによって"今の私".....本来の精霊の私になる事は知っていた。
そして、"表の私"が哀しむ理由。
おそらくは、あの時の男.....目つきの悪い男によれば、士道、という名の男に関する事なのだろう。
思考しながら歩いていると、小屋が見えてきた。
庭は荒れ、傷ついているというのに、小屋は原型を留めていた。
小屋の前には一人の女性が立っていた。
こちらを警戒しているのか、天使を構えている。
「動かないでくださいまし」
「.....ふん」
警告を一蹴し、なおも近づく。
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた女性は天使を用いて攻撃してきた。
だが。
「.....その程度か」
「ッ!?」
<暴虐公>で弾く。
驚愕している相手を見据える。
「今、私に戦う気は無い」
「.....じゃあ、何が目的ですの?」
「そこで息絶えている、士道という男を一目見ておきたくてな」
そう言うと、少しの逡巡の後、女性は場所を開けてくれた。
女性を警戒することもなく近づく。
そして、その亡骸を見た。
死体には誰かの手に掴まれたように、身体の所々に手形の痣が出来ていた。
それに加え、"あの時"のように人の身で<鏖殺公>を扱っていたからか、全身ボロボロだった。
だが、あることに気づく。
不思議だが、士道の身体にまとわりつくようなナニカが存在するような、そんな気がした。
それがなんなのかは分からないが。
そこまで確認した私は、近づいてくる存在に気づいた。
「邪魔デス.....。ワタシはそこの"ゴミ"をちぎって、引き裂いて、握りつぶさなければならないのデス!!」
「ほう?」
おかっぱ頭で顔面蒼白な男。
その身体には傷があった。
その中でも大きな傷.....どうやら一度撤退して緊急で治療したのだろう。
おそらくは、<鏖殺公>での斬撃で出来た傷。
この男が士道を殺したことは容易に想像出来た。
様子を見ていた女性も天使.....銃を構えて警戒している。
「貴様の事情など、私には関係ない。消えろ.....」
「そういう訳にはいかないのデス!ワタシは、ワタシだけの寵愛だと知らしめるために!」
雄弁と語り出す男に苛立ち、<暴虐公>を向ける。
「関係がないと言った。三度は言わん。消えろ」
「そういう訳にはいかないといいマシタ!!」
その瞬間、ナニカを感じて女性の所まで下がる。
「.....どうかしましたの?」
「いや.....ッ!?」
話しかけてくる女性。
それに応える間もなく、<暴虐公>を薙ぐ。
斬撃が走り、ナニカが霧散する。
これに、相手は顕著に反応した。
「何故デスか.....。貴方にも見えていると、そう言うのデスか!!ワタシだけの権能がぁぁぁ一!」
「ッ!!」
再びナニカの気配がして、<暴虐公>を握り直す。
隣りに女性が立つ。
「力添えしますわ。.....いわゆる、利害の一致ということで」
「.....ふん。好きにしろ。足だけは引っ張るな」
ーーー戦闘が開始された。