デートから始める異世界生活   作:シークレット/K

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お待たせ致しましたッ!
ようやく大学入試も終わり、やっと書き上げました.....。
久々の投稿なので、急な展開は大目に見てくれると嬉しいです。
今年もよろしくお願いします。(遅すぎ)


第四十四話 スタートライン

-スバルside-

 

「士道が死んだら危ないことは確かだけど、それだけで協力しろだなんて言わねえよ。俺が提案するのは、エミリア陣営とクルシュ陣営の同盟だ」

 

狂三が話を終えた後で、そう切り出す。

そして、そのタイミングで応接室のドアがノックされた。

 

扉が開いた先には、()()()()()

 

目を見開くクルシュ陣営と、少し驚く素振りを見せた後に目を細めて笑みを浮かべる狂三本体。

 

「遅かったじゃねえか。んで、どうだった?」

「ええ。少し遅くなりますけれど、必ず来てくれる、と」

 

その返答に、スバルは安心したように笑みを浮かべた。

 

#

 

スバルはカドモンとのやりとりの後、クルシュ邸に行く道のりの中であることに気づいたのだ。

ここ数日、やけに狂三がクルシュの下にいることを。

何かを話し込んでるのか、と思い至ったスバルは、人気のない場所で虚空に話しかけた。

 

「狂三、居るか?」

 

すると、スバルの影の中から顔を出してきた。

分身体の狂三だ。

 

「よく気づきましたわね、スバルさん。それで、要件は何ですの?」

「もしかしてだけど、お前ら、ロズワールからなんか伝言聞いてたりするのか?」

 

狂三はスバルの言葉に少しだけ目を見開き、キヒッと笑って頷いた。

 

#

 

上手くいった。

狂三に伝えられていたロズワールからの交渉材料と、士道の暴走時の危険性、そしてはったりではあるが、携帯電話のアラームで白鯨の出現する時間が分かるなどの情報を駆使して、どうにかクルシュ陣営、ひいてはアナスタシア陣営との協力関係の構築に成功した。

 

俺にしては上出来だ。

 

スバルは自分でそう思った。

まだ気は抜けないのだが。

 

携帯電話についてはヒヤッとしたりしたが、なんとか嘘はつかずにやり過ごすやり方でクルシュの風読みの加護をくぐり抜ける事が出来た。

 

「ようやく、スタートラインだな」

 

白鯨討伐に向けて準備が進む中、スバルはそう呟いた。

 

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-士道side-

 

「これで3周目か」

 

2周目ではスバルと狂三は俺たちが戦う前に現れた。

そこで、白鯨という存在を知った。

会って逃げてきたらしい。

1度目では終盤でここにも現れたと言っていた。

 

2周目でも結局死に、再び戻ってきた。

 

「俺はどうすべきか.....」

 

次があれば、今回白鯨に遭遇した地点.....フリューゲルの大樹にて、どうにか協力者を募って討伐してからこちらに向かうと、前のスバルは言っていた。

 

スバル達が来た時間からして、おそらく白鯨を討伐してから向かって来ても魔女教の騒ぎはまだ起きてはいないだろう。

ならば、白鯨討伐の救援に向かうべきか?

無いと信じたいが、スバル達が上手く協力者を手に入れたとして、それでも全滅したなんてことになったら本当にまずい。

 

本音を言うならば、今の時点で村の住人達を避難させたいところだが、2周目のときにエミリアやラムに直談判した結果許しを貰えず、スバル達が来るまで何も出来なかったということがあった。

脅威が現れてもいないのにどうしてわかるのかと聞かれてしまったのだ。

 

死に戻りしたからです、と言えればいいのだが、スバルから聞いた話ではそれは"異世界人"としての禁句となるらしく、あの時が止まった世界になってしまうらしく、琴里や十香にすら言えない。

 

「士道、さっきから何を考え込んでいるのよ?」

 

この時点に戻ってきたあと、ずっと士道の様子を見ていた琴里が話しかけてきた。

 

「琴里」

「何よ?」

「これから戦闘が起きるかもしれないって言ったら、信じてくれるか?」

「.....どういう事よ」

 

眉をひそめる琴里を、ただ見つめる。

事情を全て晒すことが出来ないのがもどかしい。

 

「.....ハァ.....。信じるわよ、それくらい。そんな物騒な嘘なんて、士道にはつく理由もないでしょう。何処で、どうやって知ったかは聞かないわよ」

「ああ、助かる」

「それで、何が起こるって言うのよ?」

「ここに魔女教っていう宗教団体が攻めてくる。.....スバル達も多分こっちに向かって来てるし、本当に警戒するのはスバル達と合流してからでもいいと思うけど、用心していて欲しい」

 

できるだけ簡潔に詳しくこれから起こるであろうことを琴里に伝える。

だが、言い方が悪かったらしい。

 

「そう。それで、士道はどうするつもり?」

「え?」

「ここを離れるつもりなんでしょう?自分がいなくなった後の注意喚起みたいな言い方をしたんだから」

「そんなにわかりやすかったか、今の?」

「あんな言い方されたら誰でも察するわよ」

 

言葉の取り回しで内心を見透かされて、少しへこむ。

そんな士道の気持ちを知ってか知らずか、それで?、と琴里が話を戻す。

 

「俺はスバル達の救援に行ってくる」

「救援って.....魔女教とやらがスバルを襲ったとしても、狂三がいるんでしょう?あの最悪の精霊なら、そんな集団に遅れは取らないと思うけど?」

「それでもだ。万が一ってこともあるだろ」

 

琴里は呆れて片手で顔を覆う。

こうなったら士道は何を言っても聞かないことを分かっているから。

 

「仕方ないわね。ただし、数人は連れて行って貰うわよ。士道一人じゃ私達が不安よ」

「.....分かった。それじゃあ、誰を連れて行こうか.....」

 

考える二人。

だが、突如その思考は途切れた。

 

ガチャリ、と部屋の扉が開け放たれたのだ。

入ってきたのは.....

 

「士道くん。レムがお供します」

「シドー!何処かに出掛けるなら私を連れて行け!」

「士道が行くなら私も行く。士道あるところに私あり」

 

レム、十香、折紙の三人だった。

どうやら、一部始終を聞かれていたらしい。

こうなると、この三人を連れて行くので確定だ。

というか、他の精霊達がこのことを知る前に出発しなければならない。

知ったら皆、行きたいと駄々をこねるだろうからだ。

 

三人の強さは申し分ないし、レムがいるから竜車で移動することが可能になる。

扉の外に居たのが三人だけで助かったとも言えた。

 

とりあえず竜車をレムに準備させて、士道はエミリアやラムに会うために邸内を探す。

流石に琴里が残るとはいえ、何も言わずに出ていくのは気が引けたのだ。

 

途中で窓の外で庭の花壇の様子を見ている四糸乃と七罪の視界に入らないように影に隠れて進んだり、邸内を走り回って競走している耶倶矢と夕弦に見つからないように部屋の中に入ったらベアトリスの禁書庫だったり、本気で自身を探す美九から必死に隠れたりしたが、どうにかエミリアに会えた。

 

「シドウ?どうかしたの?」

「ちょっと数人で出掛けてくるから、残る皆を頼めるか?」

「それはいいけど.....どこに行くの?」

「スバルに話したいことがあるから、王都まで。竜車と、運転するレムも連れて行きたいんだけど.....」

「うーん、本当なら、ロズワールに相談するべきなんだろうけど、今はいないし.....。シドウにはすごーくお世話になってるから、私の独断だけど、行ってきてもいいわ」

 

許可を貰えたことに安堵する。

だが、背後から声をかけられる。

 

「ただし、ドウシ。不測の事態が起きたら、ちゃんとレムを守るのよ?」

「ラム.....。ああ、約束する」

 

ラムにもレムの同行の許可が貰えたことで、遠慮なく行くことができる。

耶倶矢達には悪いが、このまま出かけてしまおう。

 

竜車の準備を終えたレムと、既に乗り込んでいる十香と折紙。

士道も乗り込み、琴里の見送りを受けながら、フリューゲルの大樹へと向かう竜車は出発した。

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