唯湖アナザー~Where is my love~ 作:月の海
まどろみから醒め周囲の状況が飲み込めてくる。
数学の授業をサボるため裏庭に来ていた私は暖かな日差しに促されベンチでうたた寝をしてしまっていた。
どれほど寝ていたのか携帯で確認するとちょうど数学の授業が終わるところだった。
少し離れていたごみ箱に既に飲み終えていたコーヒーの缶を投げ入れ教室へと向かった。
教室では理樹君と鈴君が葉留佳君に詰め寄られていた。
葉「実際のとこ二人はどこまでいったんですカ?」
鈴「こ、答える義務はないっ!!」
葉「え~いいじゃん、じゃあ理樹君教えてくださいヨ?」
理「ノーコメントで」
小「はるちゃん、あんまり無理に聞いちゃだめだよ~」
魚「野暮ですよ……興味はありますが」
謙「外野がとやかく言うのは無粋というものだろう」
クド「そうですね~」
この会話から分かるように理樹君と鈴君は付き合っている。
例の修学旅行から二人は付き合い始めたのだった。
皆に祝福され照れくさそうにはにかんでいた二人の顔は今でもはっきり覚えている。
唯「私は是非じっくりねっとりと聞かせてほしいがね」
鈴「!?」
音も立てず鈴君の背後に立ち、羽交い絞めにした。
鈴「はなせ~!!」
唯「葉留佳君」
葉「了解ッス、姉御」
私の呼びかけに葉留佳君は手をわきわきと動かした。
葉「さぁ鈴ちゃん、早く吐いちゃった方が楽ですヨ?」
鈴「嫌じゃぼけ~!!」
葉「それ~こちょこちょこちょ」
羽交い絞めになってがら空きになった鈴君の両脇にくすぐりを開始した。
鈴「や、こら、やめろぉ~」
鈴君はじたばた暴れているが羽交い絞めが綺麗にきまっているため逃げ出すことが出来ない。
葉「それそれそれ~」
鈴「あはははははははは」
珍しい鈴君の笑い声を聞いて満足した私はホールドを解いた。
葉「へ?」
急に解いたことで暴れて出た鈴君の蹴りが見事に葉留佳君の腹にクリーンヒットした。
鈴「フカーーーッ!!」
威嚇した後、鈴君は走って教室を出ていった。
葉「…………」
葉留佳君はうずくまったまま動かなかった。
真「こういうの何つーんだったか、あの、その、あれだ」
謙「…自業自得か?」
真「ああ、それだ」
魚「少々難しくするなら因果応報とも言いますね」
葉「誰か心配してよ!?」
小「はるちゃん大丈夫?」
葉「こまり~ん」
葉留佳君は小毬君に抱きついた。
理「鈴が心配だからちょっと行ってくるよ」
鈴君を探しに行く理樹君の背中に私は胸に刺さるものを感じた。
唯「…………」
ク「?」
私は何も言わず教室から出ていった。