東方project × ONE PIECE ~狂気の吸血鬼と鮮血の記憶~   作:すずひら

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前回のまとめ
・世界政府、海軍誕生
・コング、センゴク、ガープ、つる、ゼファー登場



「原作60年前~ 王の世代」編、開始です。

そしてやっと始められた原作キャラの過去篇突入でやっぱり筆が乗りに乗った結果15000字超えたので非常に長いです。


原作60年前~ 王の世代
世界の終わりと未知への新たな扉


美鈴と久しぶりに一緒に旅に出て世界を巡る中、少し物思いにふけった。

 

この七百年ほどで、世界も随分様変わりしてしまった。

世界政府と海軍が成立したことで小国家が乱立し覇を競う時代は終わりを告げ、世界政府という秩序とそれに従わないはみ出し者、という図式が成立した。

はみ出し者というのはいわゆる犯罪者なのだけど、覇気や悪魔の実なんてものがあるこの世界では個々人の実力が非常に高く、警察的な自警組織では相手にならないことが多い。

必然それらに対処するのは海軍ということになり、海で海兵に追われる彼らは海賊と呼ばれるようになった。

 

それでも世界は概ね安寧を保っており、七百年前の繁栄を取り戻しつつある。

 

 

美鈴に思うところがないわけでは、ない。

統一王国は間違いなくラフテルから派生した、私が育てた者たちの築いた国であり、その思想もまた目を見張るものがあった。

特に、ワンピース計画。

あれは本当に成就の瞬間が楽しみだった。

わくわくさせられた。

世界がガラッと変わってしまうような、革命だった。

 

でも、統一王国はもう存在しない。

それどころか、歴史書に登場すらしないのだ。

あれだけの栄華を誇り世界の半分をも手中に収めた国がほんの一行たりとも登場しないのは、あまりにも悲しすぎた。

だからこそ、私はてゐの悪戯――歴史の本文(ポーネグリフ)に書かれたアレを処分する決心がつかず、いまだに放置しているのだけれど。

 

ああ、話が逸れた。

 

とにかく、そうやって世界は変わってしまった。

だけれども、それでよかったと思う自分もまたいる。

仮にワンピース計画が成就していた場合、レッドラインは取り払われ、世界中の交通網が一気に発達する。

それは船だけでなく航空もだ。

そうなれば技術の発展、爆発は容易に起こり得、いずれ科学の時代がやってくる。

 

それは、私の死を意味する。

いや、私だけじゃない。

美鈴や、こぁや、文や、およそ魔の側、妖怪たちにとっての死だ。

 

たぶん美鈴は意識的にか本能的にかはわからないけれど、気づいていたんじゃないだろうか。

そうでもないと、世界政府に技術開発の統制をさせようとは思わないはずだ。

特に航空技術の開発は固く禁じている。

理由も「天を侵したとき龍の逆鱗に触れる」とさえ言い放ったらしい。

 

今ではこの制限はレッドラインの上にある都市、マリージョアに住む天“竜”人たちの領域を侵すことになるため、と解釈されているけれど、元々は美鈴の要請だったのは間違いない。

 

その天竜人達による旧時代的な支配を容認しているのも恐らくその一環だ。

彼女はけして民主主義や自由主義なんかを認めていない。

天竜人の権威を高めるために殺し程度ならまったく咎めることもなく、彼らの腐敗すらも進んで受け入れている節がある。

――トップが聡明で有能なら、どうあがいたって世界は発展してしまうものね。

 

唯一、本当に唯一譲れないのはやはり奴隷産業で、そこだけは頑なに否定しているけれど……それ以外では彼女は既におよそ人の感性をもっていない。

 

人助けはするし、他者に親切にしたりするそういう思いやりなんかはちゃんと持ち合わせている。

楽観的で享楽的で適当な感じに生きている。

だけれども、それが必要なことならば彼女はなんだってやれるし、どんな自分にだってなるだろう。

 

彼女は人から龍になったのだ。

姿形ではなく、その精神性が。

 

3000年以上をかけて、私が踏み越えられないその一線を越えていったのだ。

 

 

そうだ。

美鈴は本当によくやっている。

この七百年間というもの、ずっと働き通しで休む間もなく仕事をしていた。

それはきっと、自分が大戦の引き金を引いた負い目があったから。

 

あの大戦が彼女の責任だなんて、そんなことあるわけないのに。

確かに原因の一部、開戦の発端になったのは確かだけれどそれですべて彼女が悪いわけではない。

あれは様々な要因が絡み合って、起こるべくして起こった結果だった。

原因の比率で言うなら私と世界と美鈴で7:3:0くらいだと思う。

いやもう世界をあんな風にしたのが私だったんだから10:0:0かもしれない。

 

それなのに、美鈴は頑張った。

もし「君、明日から国連のトップね。世界中に指示出してね。世界は核戦争で荒廃しちゃったけど自分で軍隊も再編して世界を取り戻してね」と言われて動ける人がどれだけいるだろう。

 

美鈴は働くうちに分身の術まで覚えてしまい、束の間の休息すら自分自身と交代交代で取り始めたときは、私も思わず止めた。

フォーオブアカインドを使う私が言うのもなんだけど、分身までするのは流石にやりすぎだ。

 

一人二役どころか世界政府や海軍ごとに複数の役職を兼務してサイファーポールをはじめとする世界各地への活動すら始めていて、過労で倒れるんじゃないかと心配した。

まあ龍である彼女は疲労程度ものともしなかったのだけど。

 

そして私はそんな美鈴をほとんど見ているだけだった。

 

私が関わることでまた同じような未来を辿ってしまうんじゃないか、そう思うとどうにもやる気がでなかった。

結局私はこの七百年のほとんどをオハラのヴワル魔法図書館に引きこもって過ごしていた。

外に出たのなんて美鈴から誘われて、マロンの子孫、モンブラン・ノーランドの処刑を止めて一緒に空島へと行ったあのときくらい。

 

 

はっきり言って、うじうじしすぎた。

いや、自分でも分かってるんだけどどうにも怠惰なのを止められなかったのだ。

でも七百年かけて最近ようやく吹っ切れた。

 

自分勝手に生きないでどうする。

私は妖怪だ、誇り高き鮮血の吸血鬼なんだぞ。

やりたいようにやって、それで滅びるなら私は所詮そこまでの奴だったってことだ。

 

とまあ、随分だらだら回り道をした挙句だけれど、私はそんな感じに葛藤を置き去りにして、今更ながら好き勝手やることにした。

してしまった。

もうどうなっても知るもんか。

私は私のやりたいようにやって好きなように死ぬのだ。

多分それが人間も妖怪も変わらない、善き生き方なんだろう。

私は4000年以上もかけてそんな答えにたどり着いた。

 

……そういえばもうすぐ私、4900歳になるのか。

最近は100年ごとくらいにしかカウントしてなかったけど5000の大台はちょっとわくわくする。

5000歳になったら誕生日パーティーでもやろうかな。

 

 

 

 

さて、そんな自由人と化したフランドール・スカーレットが最初にしたことは、美鈴を誘って旅に出ることだった。

これは、激務の彼女を連れ出して気分転換させるという意味もあったし、しばらく引きこもっていたゆえに世界を見て回りたいという彼女自身の思いもあった。

そこでフランはまず世界政府のトップ、五老星の元へ乗り込み美鈴の休暇をもぎ取った。

突然、代々の世界政府の上層部に申し送りされるほどの特秘存在にカチ込みをかけられた五老星の心労はいかばかりか。

彼らが禿げ上がっていないことを祈るばかりである。

 

そうして、将を射んとする者はまず馬を射よとばかりに上司から陥落させたフランは無事に美鈴と共にお出かけすることになった。

最初に訪れたのは美鈴のおすすめの国だという、ゲート王国だった。

 

「いい国なんですよー。特に入国の時に潜る門がいいです。しっかり主張しているんですが華美すぎず、大きいだけでもない。装飾も品があっていいですし、造りもしっかりしてます。五百年後、千年後にも残るだろう素晴らしい門ですよ。国の顔として文句なしです」

 

「美鈴、あなた前世で門職人か何かだったの……?」

 

「まあ門に関しては一家言ありますからね、私。アマゾンリリーの岩盤くり抜き一枚門とか、海軍本部の“正義の門”とか実際作ってますし」

 

「……それで、あれがその門なわけ?」

 

「そうですそうです、あの如何にも“破壊の爪痕”って感じの装飾がされた、今にも壊れそうな……って、ええ!?」

 

美鈴は素っ頓狂な声をあげるがそれも無理はない。

目の前に見えるのは、先の説明とはそぐわないボロボロの大門だった。

 

「嘘でしょう? 一体何があったっていうんですか?」

 

「うん? お嬢さん方、観光客か何かかね」

 

「え、ああ、まあ」

 

困惑するフランと美鈴に声をかけてきたのは、通りすがりの老人だった。

美鈴があまりにも大声で叫ぶものだから気になったのか。

 

「悪いことは言わん、あの国に行くのは止めときなされ。あそこはいまや無秩序と暴力が支配する国に変わってしもうた」

 

「あそこって、ゲート王国ですよね?」

 

「……ああ、昔はそう呼ばれていたこともあったのう。いまや国の形どころか名前すらも失った無法地帯じゃよ」

 

「一体何があったんです?」

 

「革命じゃ。当時の将軍が王に反乱を起こした。そうして玉座についた新しい王は、恐ろしいことに国庫を満たすためと言って“天上金”の納付を取り止めてしまったのじゃ」

 

「うわあ……」

 

「天上金?」

 

「世界政府に加盟する際の登録金や運営にあたって毎年徴収してるお金のことです」

 

「なるほど、入会費と年会費ね」

 

「そう言われるとチープな感じになっちゃいますが……まあその通りですね。これを払わないということは世界政府から脱退したってことです。そうなると海軍が守らないようになってしまうので、よほど国の軍がしっかりしてないと海賊なんかが襲ってきたりするでしょうね」

 

「うむ、その通りじゃ。案の定国は荒廃しまた革命が起きた。今度はかつての将軍のような私利私欲での反乱ではなく、真に国を思うからこその革命じゃった。……しかし、力が足りず国は長い内乱状態に陥ってしもうた。そうして今ではもはやあの国に天上金を払う余裕などない。あとは滅びを待つのみ、じゃな」

 

そう言って老人はその場を去った。

残された美鈴とフランは顔を見合わせ、

 

「……まぁせっかく来たしとりあえず入ってみる?」

 

「……ですね」

 

とゲート王国へと足を踏み入れた。

 

その、元ゲート王国とでもいうべき地域は二人の想像の上を行っていた。

 

「あーなんか昔を思い出しますね。クーロンの裏路地がこんな感じ……いえ、さすがにここまでひどくはありませんでしたが」

 

「なんか世紀末って言うかもはや廃墟だよねこれ」

 

建物はことごとくが荒れ果て、道すらもボロボロ。

住人はやせ細り襤褸(ぼろ)を纏い、目だけを異様にギョロつかせている。

その視線は、見慣れぬ来訪者の、身なりのいい少女二人に向けられていた。

 

「とはいえ、流石に襲ってくるようなバカはいませんか。本能とでもいうんでしょうかね」

 

「まぁ私の場合はこうして完全に妖力を抑え込んじゃえば一般人だけど、美鈴は立ち居振る舞いからすでに只者じゃない感が滲み出てるもんね……武人というかなんというか」

 

「そうですか? 私門番やってるときは結構侮られてる感じですよ?」

 

「それはあなたが突っ立ったまま寝てるからでしょ……冷静に考えていつも立ったまま微動だにせず寝られる体幹とか何か事件が起きる前には必ず目を覚ます気配察知能力とか色々おかしいでしょ」

 

「ふうん? 妹様やけに私の勤務状態について詳しいですね。海軍基地には来たことがなかったと思ってたんですけど」

 

「裏文々。新聞とか花果子念報とか……いや、なんでもないよ」

 

「えっ、なにそれ気になる」

 

そんな会話を交わしながらもはや何の店が並んでいるのか、そもそも店なのかすら怪しい廃墟が並ぶ町中を歩く二人は、ふと、進行方向に目をとめた。

そちらから歩いてくる人影はこの国にきて初めて見る、横にも長いシルエットをしていた。

 

手には棒のようなものを持ち、傷だらけの顔と恰幅のいい体、着ている服は“力”と一文字デカデカと書かれた擦りきれたタンクトップ。

年は十の半ばを過ぎた頃か、その少年はずんずんとフランと美鈴の元へと歩み寄ってきた。

そのあまりのガキ大将的主張が激しすぎる出で立ちに、フランは思わず噴き出しそうになるのをこらえた。

 

「おいてめぇら、ヨソモンだな? 金目のもん置いてけ。そうすりゃ無事にこの国から出してやるよ」

 

「えーと、道案内の方? 間に合ってますよ」

 

「ちょっと美鈴、あんまり煽っちゃ……あ、素っぽいね……」

 

「ああん!? おとなしく金を出すか痛め付けられてから金を出すか選べって言ってんだよ。俺は女にも容赦しねぇぞ!」

 

「あれ、妹様。これってもしかしてほんとにバカが一人来ちゃった感じですか?」

 

「まあ、多分……」

 

「なんだとっ!?」

 

旅人の女二人に全く相手にされていない、それどころかバカにされていることを感じ取った少年はすぐさま怒りの閾値を越えて手にもつ棒を振り回した。

それは身の丈ほどもある長い棒の先端にナイフをくくりつけただけの簡素な武器ではあったが、少年の恰幅のいい見た目を裏切る速度と威力で振るわれたそれは相手の命を確実に奪う一撃と化した。

事実この少年はこの武器のリーチをもって大人をすらも打ち負かし、この地域一帯を暴力によって支配しているのだから。

 

もっとも、それは相手が一般兵士程度の実力であれば、だが。

 

「おや、思ったより速いし力もありますね。結構素質ありそうです。武器はちょっとお粗末ですが」

 

「鉄ってだけでこの国では貴重っぽいけどね」

 

少年の振るった刃は美鈴の人差し指と中指に挟まれピタリと止められていた。

ピースサインでもするかのような白羽取り。

どんな筋力を持ってすればこんな芸当が可能なのか。

 

「なっ!? くそっ動かねえ、離しやがれ!」

 

「なんか動作がいちいち格好いいよね。やろうと思えば私もできると思うけど、そもそもやろうと思わないかな」

 

「まあ見栄は大事ですから」

 

少年が武器を取り戻そうと必死に抵抗するが、指で挟まれたままのナイフは微動だにしない。

そして、ついには少年が動かそうとする力に負けて、刃がへし折れた。

 

「あらら。耐久性に難アリですね」

 

「畜生、なんなんだよてめぇ!」

 

その後も少年は素手で殴りかかるなどの奮闘を見せたが、すぐに美鈴に押さえ込まれてしまう。

しばらく体をよじるなどの抵抗を見せた少年は自分の体がピクリとも動かないことを悟り、諦めたように抵抗をやめた。

 

「この馬鹿力女が……」

 

「まあ私の力が強いことは否定しませんが、むしろこれは武術というか合気というか……まあいいですけど。それで君、名前は?」

 

「……俺に名前なんかねえ」

 

「名前がない? おやおや、それはまた……」

 

美鈴が思い出したのは、遠き過去の自分。

かつてクーロンという国にいた小さな女の子、その子も名前がなく、新しく見習いコックちゃんという名前をつけてもらったのだ。

のちに紅美鈴という自分には過ぎた名前をつけてもらったが、それまで慣れ親しんだ見習いコックちゃんの名前も実はかなり気に入っていたものだった。

 

「だがまあ、強いて言えば――俺は終焉(エンド)()世界(ワールド)。この終わりなきクソッタレの世界を終わらせる者だ……」

 

「へ……?」

 

「ふぁっ!?」

 

しかし、目の前の少年と過去の自分を重ねて感傷に浸っていた美鈴にかけられた少年の言葉は、予想外のパンチとなって美鈴を襲った。

隣で巻き込まれたフランに至っては変な声を出していた。

 

「不思議か? だが俺には他人とは違う特別な力がある。それこそが、俺がこの世界の支配者に相応しい証だ……!」

 

「はあ……」

 

「~~っ! ~~っ!」

 

組み敷かれている状態で何をいっているんだこいつはと首をかしげる美鈴と、少年の突然の中二病ムーヴに声を殺して体を震わせるフラン。

 

これが、後に世界を震撼させる男とその師匠たちとの出会いであった。

 

 

 

 

「悪魔の実ィ?」

 

「そうそう。まさかあなたが本当に“他人とは違う特別な力”を持ってるとは思わなかったけど……その能力は悪魔の実の力だね。小さい頃にでも、変な模様のついた美味しくない果物食べた覚えない?」

 

「そんなこともあったような……」

 

少年が吸血鬼と龍の二人組に出会ってから数日。

自分を遥かに越える力を目の当たりにしプライドを投げ捨て教えを乞うた少年は、素質を見込んだ龍人と濃いキャラに興味を持った吸血鬼に気に入られるという幸運もあり、今では共に旅をしていた。

そして今は、フランによる悪魔の実の説明が行われていた。

 

「とにかくその、水面に波紋を立てる程度しか役にたたない……なんだろう、ブルブルの実? ユラユラの実? も悪魔の実の一種で、世界規模でみれば別に珍しいものでもないというか……」

 

「……そうなのか。んじゃ、その、なんだ。お前たちもその悪魔の実の能力者とかいうのなのか?」

 

「あーえーと、まぁうん、そうだね」

 

実際にはその悪魔の実の製造(妖力)元の吸血鬼ではあるが、そこまで詳しく話すこともないだろうと適当に言葉を濁すフラン。

そしてそこに、やっと訪れた好機! とばかりに美鈴が首を突っ込んできた。

 

「そのとおり! 妹様は”ドラドラの実”の能力者、吸血鬼です。そして私は同じく”ドラドラの実”の龍人間! ドラキュラとドラゴンでどっちもドラドラなんですよ!」

 

「(――ああ、やっと長年の謎が解けた。美鈴が執拗にリュウリュウの実じゃないって言い張ってた理由って、私とお揃いにしたかったからなのね……)」

 

「(一般向けの説明では妖怪って言うより悪魔の実の能力者ってことにしておいた方が収まりがいいですし、絶対に”ドラドラの実”だと思ってましたからね)」

 

「(まぁバンバンの実モデルバンパイア、じゃあ語呂がね……)」

 

ひそひそと話すフランと美鈴をしり目に、少年は告げられた現実に震えていた。

自分が他人とは違う、選ばれた人間であるとの自信の源になっていた特殊な力。

それが実は世界を見ればそこまで稀少なものではなく、しかも自分のものは能力としては弱い部類に含まれてしまうこと。

確かに少年は力を持っているということだけで満足していたが、よく考えれば水面を揺らす程度の力で世界を終わらせる、エンド・ワールドとしての力になるとも思えない。

今更、自分の喉を震わせて変な声が出せる! と自慢したところで二人には笑われるのがオチだ。

少年は今、自分の中の価値観や自信がグラグラと音を立てて崩れていく様を幻視していた。

 

「そ、それじゃあお前たちの悪魔の実はどんなことができるんだ!?」

 

そして、それでもめげずに少年は師匠二人の悪魔の実の能力を尋ねた。

吸血鬼と龍とやらが何なのかは無学な少年にはよく分かっていなかったが、それが例えば子供でも頭が良くなる能力だったり、女なのに力が強くなる能力であるならば、自分を鍛えれば追い付き追い越すことができると考えたからだった。

 

「うん? 吸血鬼の能力を改めて聞かれるとねぇ……ええと、再生含めた不死性、怪力、飛行、霧化、蝙蝠化、吸血、催眠能力、あとは大量の悪魔を一声で召還できたりとかかな?」

 

「私は龍気を扱えたり龍になって空飛んだり、天候を操ることもできますよ。そこから派生で水とか風とか雷とか支配できるのと……あーあと地震も起こせます。そういえば最近は龍闘気で分身できるようになりました」

 

「…………」

 

少年は、白目をむいて倒れた。

 

 

 

 

少年が悪魔の実の現実を知り、一歩大人に近づいた日より一週間ほど後。

船の上で美鈴が少年にある問いかけをしていた。

 

「宝?」

 

「ええ、君の一番大切な宝は何ですか?」

 

「んなもん……ねえよ。ゲートの、あの国で俺が集めていた宝はてめぇが全部吹っ飛ばしちまったじゃねえか!」

 

「いや、あれは宝とは呼べないですよ……」

 

少年が美鈴に食って掛かるも、帰ってきた反応は額を抑えてやれやれと首を横に振る仕草だった。

その反応に少年はたちまち沸点を超え、美鈴に全霊の攻撃を繰り出した。

もっとも今は稽古の時間であるため攻撃するのは何らおかしいことではないのだが。

 

美鈴は相変わらずやれやれと首を横に振る動作をしたまま、攻撃を見すらせず片手だけで少年の攻撃を捌く。

思い出すのは故ゲート王国で少年と出会った後、少年のアジトへと向かったときのこと。

そこで見せられたのは、それまで少年が窃盗強盗恐喝エトセトラで集めたという”お宝”の山だった。

しかし美鈴から見てそれはお宝どころかガラクタ、ゴミの山でしかなかった。

実際そこにあったものはほとんどが価値のないもので、荒廃した故ゲート王国の惨状を鑑みてもなおゴミの山であった。

理由は単純にして明快、少年が物の価値を知らなかった一点に尽きる。

 

そして、ゴミの山を見た美鈴はその山を軽い気持ちで吹き飛ばした。

 

「何て言うか、宝ですらないものを後生大事に守っている滑稽さが癪に障るというか、見ててイライラしたんですよねえ」

 

「何でだよ!? 他人の宝が何であってもてめぇには関係ねぇだろ!」

 

「まあそうなんですけどね。理屈じゃないっていうか。多分龍の血がそうさせるんですよ。龍といえば古来から宝の番人ですから」

 

「いや美鈴、それは龍というか竜……まあどっちも含めて美鈴か。案外それが理由で門に執着があるのかもね。宝の番人と門番は似てるとこありそうだし」

 

「ふむ、なるほど。となると私も竜珠的な何かを持っていた方がいいんでしょうか。こう、私に挑んできた相手に贈るとか」

 

「なにその参加賞:飴玉みたいな有り難みのない竜珠。ていうか勝たなくても挑んだだけであげるんだ」

 

「楽しめればそれでいいので。別に弱くても構いませんよ。でも、できればやはり私は強者への登竜門でありたいですねえ」

 

「竜の門番だけに?」

 

「「あっはっはっは」」

 

「くそっ、てめぇら! 俺を! 無視して! 盛り上がってんじゃねぇ! てか、お前は俺の攻撃を避けるにしろ、こっちを見るくらいしやがれ!」

 

少年の攻撃はよそ見をしながら談笑する美鈴に悲しいほどに通じていなかった。

その攻撃は、少年の方が美鈴を避けているのでは、と思わせるほどに当たらない。

 

実際、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それは美鈴の動きを見てから少年が当たらないように攻撃しているようにしか見えなかった。

あるいは、そうでなければ――未来予知。

 

「こないだ説明しましたけど、これが見聞色の覇気です。覇気の種類は覚えていますね?」

 

「覇王色、武装色、見聞色だろ」

 

「よろしい。さて、その見聞色のなかにも実は大別すると二種類の覇気があります」

 

に、と言いながら美鈴は人差し指と中指を立てピースサインを作った。

そしてそこに吸い込まれるように少年の振るった薙刀が振り下ろされ――ピタリと停止した。

それは少年と二人の師匠とのかつての邂逅の時の焼き直しのような光景である。

 

それを、「実戦はひとまず終了。座学の時間開始」と正確に師匠の意図を読み取った少年は、むすっとした顔で薙刀を手放してどっかりと胡座を組んで地面に座り込んだ。

 

実際、少年はここ一週間ほどの実戦形式の鍛練では闇雲に攻撃を行うばかりでまるで成長の手応えを得ていなかった。

むしろ座学と称して二人から教えられる世界の大いなる仕組みを知ることの方が少年を強く惹き付けていたし、美鈴からの武術の教えでは効率的な体の動かし方や洗練された技術の数々を、フランからの悪魔の実の訓練では能力の使い方を知り今では水面に波紋ではなく波を起こせるようになったし声を震わせるのではなく空気を震わせて遠くまで声を届けられるようになるなど、着実に成長を感じていた。

 

少年は頭が悪いわけではない。

ただ、環境ゆえに無知だった。

そして無知であることに自分で気づいていなかったのだ。

幸か不幸か、少年は頭が必要になる前に大抵のことは生まれながらに得ていた純粋な暴力でどうにかなってしまっていたのだから。

 

だから少年は師匠二人の話を聞くことを是として大人しく耳を傾けていた。

この二人はどうでもいいことをよく喋るし、今しがたのように馬鹿みたいなやり取りをよく行う。

しかしながら、そのうちの僅かには千金を払っても得られないような貴重な情報が混じっている。

少年はこれも「必要な情報を聞き逃さないようにする」という修行の一つなのではないかと真剣に考えているほどだった。

 

実際のところは、当人たちのみぞ知るところではあるが。

 

「二種類とはすなわち、(しん)(しん)。相手の動きを読む“身の見聞色”と相手の心を読む“心の見聞色”です」

 

「……よくわかんねぇ。相手の心を読むっていうのも、要は相手が次にどう動くか分かるとかってことだろ? だったらどっちも相手の動きを読むことには代わりねえじゃねえか」

 

「実に鋭い指摘ですね、グッドです。そもそも見聞色の覇気とは自分の覇気を相手の覇気にぶつけてその生命力を読み取る力のことです。人は誰しも大なり小なり覇気を持っていますからね。また、相手が覇気を自覚していないならば精度は上がります」

 

「逆に相手が優れた覇気使いなら、見聞色は意味がねえってことか?」

 

「いえ、効果が薄くなるだけで無意味とまでは言いませんよ。重要なのはこの時、変動する相手の覇気を如何に高精度に読み取るかです」

 

「――っ、そうか! そこでようやく身と心、何を読むかが大事になる。つまりさっきの種別ってのは極めた先の到達点、謂わば見聞色の覇気の第二段階……!」

 

「その通り。やっぱりエンド・ワールド君、地頭はいいんですよねえ。要所の言い回しも格好いいですし」

 

「ぶっ、ちょ、美鈴。急にその名前を呼ばないで。せめて姓か名かどっちかにしてよ。フルネームは不意打ち過ぎる」

 

「くそ、てめぇら真面目にやりやがれ!」

 

「私はいつだって大真面目ですよ?」

 

「真面目にこれだってのが一番タチ悪ィんだよ……」

 

「なんの話でしたっけ?」

 

「身の覇気と心の覇気の話だよ……」

 

「ああ、そうでしたそうでした。それで、身の覇気は相手の生命力が身体のどこで励起されているかを見抜くもので、心の覇気はそのまま相手の心を読むものです」

 

「覇気とは生命力……。だから表面化したそれを読めば次の動きがわかり、それはさながら未来視に。内在するそれを読めば生命の意思を知り、それはさながら読心に。そういうわけか」

 

「ほんとに理解が早いですねえ。ちなみに君はどっちの方が有用だと思いますか?」

 

「……心の方だ。身の方は既に表面化した覇気を読む以上攻撃までの間がない。心の方はそれより早く発生する以上、読み取ってから行動を起こせる」

 

「そうですね、概ね間違っていないと思います。ただ、やはりそのぶん習得は身に比べて難しいですよ。ちなみに人によって得手不得手もあります。私は身が得意ですし、妹様は心の方が得意です」

 

「概ねってのは?」

 

「人の心っていうのは摩訶不思議なものでしてねえ。何も考えずに無心で行動したり、そんなつもりはないのに手が出るとか体が意思に反して動いたり。行動の途中でいきなり思い付きで行動を変えたりする人もいます。つまり」

 

「……馬鹿にゃ効果が薄い」

 

「その通り。世の中には変な人がたくさんいるものですよ」

 

「お前に言われたくはないだろうけどな」

 

少年は一息ついて、天を見上げた。

仕組みは分かったが、だからといってそれを習得できるかというのはまた別問題だ。

これからまた、鬼のような修行でモノにしなければいけない。

それはどれ程遠い道のりか。

少年はいまだ見えぬ頂を思い、瞑目した。

 

「あ、ちなみに私くらいの使い手になればそもそも覇気を相手に気取られるような真似はしませんし、覇気によるフェイント、偽装も頭にいれて戦う必要があるのでまた話は変わってきますよ」

 

「あーそれね。美鈴は覇気と肉体の両方でフェイントいれてくるから困る困る」

 

「そんなこと言って妹様なんて心中偽装とかしてくるじゃないですか。そもそも見聞色の覇気を物質化させるのはずるいと思うんですよね。あればっかりはどうも私も習得できませんし」

 

「年の功って奴だね」

 

少年は何も聞かなかったことにした。

 

「あー、そういや、あれは何だったんだ。さっきの宝がどうのこうのって」

 

「ああ! すっかり話が脱線していましたね。そうそう、君の一番の宝物はなんですかって話ですよ」

 

「それはなんの意味があるんだ?」

 

「大事ですよー。宝物っていうのは別に物質に限りません。それは例えば曲げられない自分の信念でも、忘れられない思い出でも、なんなら愛する人でも構いません。人は何か自分の一番大切な何かを守るときに、最大の力を発揮するのです」

 

「一番大切なもの……」

 

「ですから、自分の宝物は何か、それをよく考えることが大切ですよ」

 

美鈴の言葉を聞き、少年は首を横に振った。

 

「俺にはそんな宝物はねえ。強いて言うならいままでの宝物は自分の力への自信とその積み重ねの結果のガラクタの山だった。そしてそれはもう木っ端微塵だよ。誰かさんのせいでな」

 

「別にそんなに悲観することはありませんよ? ないならこれから見つけて手に入れればいいだけなんですから。宝探しもまた強くなる過程では必要ですよ」

 

「宝探し、か」

 

「君が今一番欲しいものは何ですか?」

 

「力……ってのはダメだよな。力を得るために何が欲しいかって話なんだから」

 

「お、そこがわかっているのはセンスありますよ。人は往々にしてそこで躓くのです。目的と手段を混同してしまう。そして、時には望みさえも喪失する……ま、しばらく先までの宿題ですね。ゆっくりと考えるといいでしょう」

 

「そんなにゆっくりする気はねえが」

 

「まあまあそう言わずに。どうせ旅は長くなりますよ。そういえば妹様」

 

「ん、何? 美鈴」

 

「今回は結構長い旅の予定ですけど、昔みたいに海賊団は名乗らないんですか? 船長とコックに、雑用も加わりましたけど」

 

「特に考えてはいなかったけど……んー、別にいいよ。じゃあ今からスカーレット海賊団第二期結成というこで」

 

「四千二百年ぶり二度目ですね!」

 

「海賊団!? おい、何を勝手に決めてんだ。俺は雑用なんかやんねえぞ!」

 

「まあまあ、海の上ではみんな助け合いですよ。一つの船の上では船員は皆、家族なんですから」

 

「家族……?」

 

「そうですよー」

 

美鈴の言葉に少年は少し考え込んだ。

少年に家族なんてものはいない。

物心ついた時から親はなく、ずっと一人で生きてきたからだ。

家族どころか、友人すらいない。

 

だからこの喧しい二人が初めての自分の家族……?

 

「ハッ」

 

「えっ、なんで鼻で笑ったんですか?」

 

「いや、あんまりにも馬鹿なことを考えた自分にな。アホらしい」

 

少年は何を考えているんだと自重した。

少なくとも家族――初めてのそれを持つにしても、こいつらは願い下げだ、と。

 

そんなことを考えている少年を尻目に美鈴が、あ、と声をあげた。

 

「うーん、でも今の私の所属で海賊名乗るのも問題ですよねえ。海軍辞めちゃうのも勿体ないですし……」

 

「そういえば美鈴は捕まえる側かー」

 

「別に私の正義に反しないなら海賊を積極的に取り締まる気はないんですけどね。そこら辺は未来ある若者達に丸投げってことで」

 

「それでいいのか海軍大将……」

 

「いいんですよぅ。そうだ、偽名でも名乗っておきましょうか。対外的なポーズさえちゃんととっておけばバレたところでそうとやかくは言われないでしょうし」

 

「そうなの?」

 

「まあ自由にやってますし、上の方はみんな知り合いですから。それにまあ、治安が良すぎるのもそれはそれで問題というか。海軍も仕事なくなっちゃいますしね」

 

「警察とか自衛隊とかのジレンマだねえ」

 

「適度に闘争があった方が楽しいですよ、絶対。そうだなあ、コードネーム、“オールドレディ”とかでどうでしょう?」

 

「えーなんかダサ……というかそれで言うなら私の方がもっとオールドじゃないの」

 

相変わらずな美鈴のネーミングセンスに呆れるフラン。

 

「カッコよくないですか?」

 

「まあ人によるというか……あーそういえばウォースパイトの異名がオールド・レディだっけか」

 

「ウォースパイトってなんです?」

 

「私の世界にあった軍艦。世界屈指の殊勲艦で、一次大戦も二次大戦も生き残った通称“傷だらけの不沈艦”。「戦いのあるところ必ずウォースパイトあり」とまで言われたすごい船だよ」

 

「おー……おー! やっぱりカッコいいじゃないですか! ここまで私にピッタリなんて、やっぱり私の名前付けのセンスは冴えてますね!」

 

「……そうだね」

 

フランはウォースパイトが割といつもボコボコにされており故障と不調を抱えながら型落ちになった二次大戦では修復もロクにされないまま酷使されるといった不運なエピソードは語らなかった。

そこらへんも「あ、なんか美鈴ぽい」と思った訳ではない。

多分。

 

「ふっふっふ、今日から私はスカーレット海賊団のスーパーコック、謎の美女“オールドレディ”ですよ!」

 

「はいはい……。ああ、そうだ。どうせならあなたにも名前をつけようか」

 

フランはそう言って、いまだ考え込んだままだった少年に水を向けた。

 

「……は? 俺に名前?」

 

「そうそう。私は船員を名前で呼ぶけどさすがにエンド・ワールド君て呼ぶのはやだよ、私。シリアスな場面でも笑いそうになっちゃう」

 

「だから俺は船員になるなんて一言も……」

 

「あーじゃあ文ちゃんとはたてちゃんの時みたいに私と妹様で半分ずつ名前つけましょうよ! 今日の私のセンスはいつもよりも冴えてますよ!」

 

「まあそれでいいか。じゃあ私は名字の方で。……よし、思い付いた」

 

「話を聞けよお前ら! そして早すぎるだろ! 俺の名前なんだからもっとしっかり考えろよ!」

 

「え、いやちゃんと考えたよ。エンド……うふふ……ワールド要素も残しつつの割といい名前だと思うけど」

 

「だから人の名前を笑うんじゃねえ!」

 

「はいはーい! 私も思い付きました!」

 

「だからもうちょっとちゃんと考えろよ……!」

 

残念ながら少年の悲痛な叫びは二人には届かなかった。

そして、ついに考案時間三十秒の少年の名前がお披露目された。

 

「少年! 君の名字は今日から“エドワード”だ! ありふれたようでいて格好いい名字。しかしてその実態は“エンド・ワールド”を内包した隠し名! どう、パッと思い付いた割にはけっこう良くない?」

 

「流石妹様! ですが私も負けていませんよ? 少年! 君の名前は今日から“ニューゲート”です! 君の狭かった小さな世界は終わり(エンド・ワールド)、まだ見ぬ大海原への船出で新しい扉が開く(ニューゲート)! 元ゲート王国の出身でもありますし、門番の私が名付けた感もある素晴らしい名前ではないでしょうか!」

 

「ほう、なかなかやるね、美鈴……」

 

「ふふふ、私も日々成長しているのです……」

 

「くそっ、お前ら俺の名前で遊んでるだろ……!」

 

「あ、バレた?」

 

「人の名前付けるのって何度やっても楽しいんですもん。一応ちゃんと真面目に考えてはいるんですよ?」

 

「やっぱり真面目に考えてそのセンスなんだね……ニューゲートって人に付ける名前じゃないでしょ……」

 

「えーそうですか?」

 

「ふざけんな! 俺は絶対(ぜってぇ)そんな名前名乗らねえからな……!」

 

「ふふふ、私たちは常にこの名前で呼ぶからね。いつまで自分の認識を保てるかな……?」

 

「周囲の人にもちゃんと「エドワード・ニューゲート君です」って紹介しておいてあげますからね!」

 

「この……!」

 

内心「ちょっとカッコいいな」と思ってしまった少年が折れるまで、そう長くはない。

これがのちに時代に名を冠するとまで言われた、後の四皇『白ひげ』”エドワード・ニューゲート”の生まれた日であった。

 

 

 

 




美鈴や、こぁや、文や
あやややや

天上金
お金さえ払えば世界最強の軍隊が守ってくれる上に望めば支部を置いて常時駐留してくれる。
金額は国の規模によって変動するので小国なら少額と無理のない範囲に収まるようになっている。
その内実は実質的な軍事費相当を天上金として徴収することで各国の軍拡を押し留める目的が含まれる。
そのため、世界政府に加盟した場合はよほど強い国の産業がありでもしない限り軍拡の目途は立たず国防のほとんどを世界政府海軍に依存することとなる。
しかし、この世界は海賊が蔓延っていたり巨大生物が生息していたり個人規模で軍隊クラスの戦闘力を持つ者がうじゃうじゃいたりと修羅の国なので費用対効果を考えると実際安い。

ドラドラの実
原作には出てきませんが、ワンピースのゲームには動物系幻獣種、バットバットの実モデルバンパイアの悪魔の実を食したパトリック・レッドフィールドという尾田先生書き下ろしのキャラが存在します。
ロジャー世代の一人であり、生まれながらに強力な見聞色の覇気を持っていたりするインペルダウンレベル6の囚人で、異名は赤の伯爵、孤高のレッド。
バットバットの実の能力は自分と敵の年齢操作と暗闇を操る力らしいです。
しかし残念ながら作者はゲーム未プレイであり、全く活かせる気もしないので本作では彼はでてきません。
きっとバットバットの実はパチモンの吸血鬼とか不敬すぎるみたいな理由でラフテルの狂信者どもに厳重封印でもされていることでしょう。

喉を震わせて変な声が出せる
白ひげの十八番の宴会芸であり、これをやると場がドッカンドッカン盛り上がる。
ヘリウムガスを吸ったときのような高い声で喋る白ひげには誰も抵抗できず腹筋を破壊される。
グラグラの実の実用的な使い方としては振動を操ることで戦場で遠くに声を届けるのにも使えるし、周波数を操って他人の声も出せる。
ぶっちゃけ”振動”って応用範囲広すぎてヤバイのでは。
原作では大気にヒビをいれるとかそのまま空気を掴んで島を転覆させるとかどう考えてもおかしい性能をしているし……。
振動は”波”だしフランに鍛えられた白ひげならそのうち共振破壊とか光の波長操ったりとかしそう。
「世界を滅ぼす力」は伊達じゃないな!

宝の守護者
西洋竜の中でも特にギリシャ神話のドラゴンがこれ。
作者的には美鈴の門番設定はここから来ていると思っている。

オールドレディ
こんな変な名前は勿論、あからさまに伏線なのだ!



ごめんね白ひげ、中二病の黒歴史を作ってしまった。
原作並みのイケおじになるまで本作での君は斜に構えた中二ボーイだ!
なお力関係、年齢関係的にいじられ役で定着しそうな模様。
ちなみに前話の後書きにあるように、原作60年前時点のこの時の白ひげの年齢が14歳なので学校いってたらほんとに中学二年生。


あと震災直撃してしまったので次話ちょっと遅れそうです。
いろいろやること多くて大変な上余震も全然収まらない(つい5分前にも来た)くらいですが頑張りましょう……。

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