「ハッ!セイッ!ウラァ!」
月明かりが眩しいとある森の奥底にて、懸命に木刀を振り続ける少年がいた。
彼の名は大星、なんの変哲のないただの村人の若い少年である。年は19歳、赤色の髪色で少しキザな髪型をしている。
「はぁ…はぁ…もう木刀振って4時間ぐらい経ってるな…腹も減ったしボチボチ飯でも食うか。」
彼は幼い頃に両親を無くし、今は村の村長の元で居候という形で居座っている。
「あんまりじいさんの所で迷惑になってるわけにもいかんしな。自分の飯は自分で作ってくわねぇと申し訳ねえ。確かここら辺には危険種とまではいかねえがなかなか強い牛がいるって話だからな…」
グォォォォ…
「へっ噂をすればってやつだな」
彼は木刀を構える。普通なら木刀で全長50メートルをも超える巨大な牛を狩ることなんて無謀である。
そう、普通なら
「くたばれぇ!!」
「ギャァァァア!!!」
彼は木刀を凄まじい勢いで牛の片目に突き刺す。猛烈な痛みに牛は素早いスピードで逃げようとする。
「逃がすかよ!今夜のディナーにみんなを喜ばせる餌となってもらうぜ!!さっさと眠りな!!」
ザンッ
彼は木刀で切りつけたはず。だがまるで本物の刀で斬られたかのように巨大牛に切り傷をつけていく。
牛は力尽きたのか気を失い倒れる。
「ヘヘッ!ローストビーフにでもしてやるぜ!あとは米に乗せて牛丼、いやステーキにもしてえなぁ!っと考えるだけでヨダレがでちまうぜ…」
少し休憩のつもりで岩に腰を下ろす少年
「素晴らしい動きだったな少年」
「⁉︎」ガタッ
急なことにびっくりした大星は戦闘態勢に入り身構える…が目の前を見てさらに驚く。
「…なんでこんなところに女の人が1人でいやがるんだ」
「フフフ…まぁ強いて言うならば私もお前のように狩りに来ていたってところだ。」
まさか、とは思ったが彼は内心ではかなり震えていた。
(なんだ⁉︎この女の奥から湧き出るようなオーラは…!たちまちこちらまで押しつぶされてしまいそうだ…!)
「まぁそう硬くなるな。私も少し疲れている。そこの木の陰で少し話でもしよう。」
そういって青髪の女は大きな木の下に座る。
「さぁ、早くお前も座れ。」
「…」
もしかしたら気を抜いた瞬間に殺されるかもしれない。大星はまだ警戒心を解かぬ状態で隣に腰を落とす。
「それにしても今の剣裁き、どこで身につけたのだ?並みの人間の動きとは思えんかったが…」
なんだ?この女は何を考えている?っと不審に思うがとりあえずは質問に応答する
「俺独自で技を磨いた。教えなどは習っていない。」
「ほぅ、1人でな…悪くない。お前ほどの人間がなぜここに1人でいるのだ?」
「小さい頃親が死んだ。身寄りのない俺を近くの村の村長が拾ってくれたんだ。おれはその恩義に従いこうやって狩りをしては村のみんなに食べ物を調達している。暇な時間は木刀を振ったり筋トレをしている。」
女は「ふむ…」と言ったまましばらく黙り込みそしてこう放つ。
「お前、名は何と言う。」
「…大星だ。」
「大星、私と共に帝都にこい」
「ハッ⁉︎」
思わず口に出てしまった。帝都にこいだと?あんな遠いところに俺が1人で行って何になるというのだ。
「俺になんのメリットがある。そもそも貴方は何者だ?」
「私は帝都で将軍をやっている。私はお前の強さを勝って私の軍に入れてやろうと言っているのだ。どうだ?悪くないだろう?お前だって今の生活には退屈しているだろう。私とこれば更に強くなれると思うが…」
…どうしよう。今の話を聞いただけで興味が湧いてしまっている自分がいる。
でも、村のみんながいるんだ…そういうわけにもいかない…
「悪いが俺は村のみんなに一生を恩で捧げると誓ったんでな。この話はパスだ」
「そうか…もし帝都に来ることがあれば私を訪ねるがいい。お前にはいいものを渡してやろう。」
「いいもの?」
「そうだ、お前の力を上げる代物だ」
強くなる…か…
正直今の生活には飽きが差してきたところでもある。
「まぁ、仕方ない。そろそろ頃合いだ。私はいくぞ。あ。あと…」
その直後俺の倒したと思われていた巨大牛が生きていて、俺に向かって角を突き刺そうと突撃してくる。
が、青髪の女から放たれた巨大なつららのようなもので心臓を潰された牛は絶命した。
「殺すなら確実にとどめを刺さなければお前は死ぬぞ?じゃあな。」
女はそう言い放ち去っていった。
「怖ぇ…恐ろしい奴だ…あ、名前聞き忘れてたな…まぁ帝都にはいかねぇから関係ないか、さいなら、氷のお姉さん」
先ほどの牛を担ぎながら少し前に考えていた牛の食べ方について再度ヨダレを垂らしながら村へと帰った少年。
しかし村は崩壊していた。
第1話終わりです。
まだまだ原作には触れていませんが、これから徐々に掻い摘んでいきます!