「……で、気づいたらここにいたと。」
「まぁ、そんなところだな。」
俺は目の前にいる着物の女に事情を説明した。
「ところで貴方の名前をまだ聞いてないにゃ。」
「……サソリだ。」
「私は黒歌にゃ!」
……何なんだこいつは?急に警戒を解いて嬉々として自己紹介って。
まるで訳がわからない。こんなタイプの人間にはあった事が無い。
「私は人間じゃないにゃ!猫又にゃ‼︎」
「何でもいい。興味はねぇ。それから勝手に心を読むな。」
「……猫又って聞いて驚かれないのは初めてにゃ。」
「かつての仲間が文字通りの不死身や蛇野郎、生きた大剣を持った鮫野郎に神の力を持った目を使うやつ、人外しかいなかったからな。滅多な事では驚かねぇ。」
「じゃあ貴方は?」
「傀儡になりきれなかった人間だ。」
「?」
今改めて思ってみればあの身体もくだらねぇ。そして穢土転生の身体もな。
『俺』を含めた三機の傀儡はアイツがきっと後世まで受け継がせるだろう。
そう思うと自然と顔もほころぶ。
「ようやく見つけたぞ!SS級はぐれ悪魔の黒歌‼︎」
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黒歌side
目の前の奇妙な少年、サソリの話を聞いて驚いたにゃ。だって一度死んでるとか言ってるし、蘇ってまた死んだらここにいたってもう訳がわからないにゃ。
でも『傀儡になりきれなかった人間』ってどういう意味か凄く気になるにゃ。
なんか心の闇を感じるにゃ。
「ようやく見つけたぞ!SS級はぐれ悪魔の黒歌‼︎」
しまったにゃ‼︎見つかったにゃ‼︎
「ん?人間もいるぞ!どうする?」
「殺せばいいだろ?下等な人間など1人2人殺したところで大した問題じゃない。」
「ま、まずいにゃ‼︎サソリ!一緒に逃げ……。」
「クックックッ。
俺を殺す?身の程知らずが。
相手の実力も図れねぇやつはすぐに死ぬ。お前らのようにな。」
サソリがそう言うと何かを投げたにゃ。あれは……苦無?
でも悪魔たちは剣でそれを簡単に弾いてるにゃ。
「大口叩いた割には大した事無いな。この程度の攻撃で俺たちを……ウッ‼︎」
「なっ!やめろレイス‼︎何で俺たちを攻撃するんだよ⁉︎」
「ち、違う‼︎身体が勝手に‼︎」
何にゃ?仲間割れかにゃ?
でもそれにしては襲いかかってるやつが動揺しているように見えるし……。
「慢心しているから簡単に術にかかる。こっちからしてみれば只のいいカモだ。」
ものの数分で追手の悪魔は1人になったにゃ。
そしてその最後の一人も自分で心臓を剣で突き刺して死んだにゃ。
「一体何をしたのかにゃ?」
「何、あいつを操っただけだ。
ところで話してもらおうか。悪魔ってのはどういう事だ?」
こうなってしまった以上、しょうがないにゃ。
「あいつらが言っていた通り、私は悪魔にゃ。人間の何倍もの力と寿命を持った存在。はぐれ悪魔って呼ばれてたのは自分の主人を殺して逃げたからにゃ。」
「成る程な。じゃあこいつらはお前を殺しに、又は捕らえに来たって訳か。」
「そうにゃ。わかったなら早くここから離れ……って何してるにゃ‼︎」
「見りゃ分かるだろう。死体を運んでいるだけだ。」
まるで意味がわからないにゃ……。何で死体を運んでるのにゃ。しかも何で私が拠点にしている洞窟に入っていくにゃ。もう何もかもメチャクチャにゃ……。
「って今度は何してるにゃ‼︎」
「煩い女だ。死体の解体に決まっている。」
もう嫌……。
黒歌sideout
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全く、騒がしい女だ。
死体の解体でそんなに騒ぐ事は無いだろうに。
「……サソリは何で私と一緒にいるにゃ。
私はお尋ね者ってやつにゃ。」
「そういう奴と一緒にいるのはよっぽどのバカか同類だけだ。」
「‼︎」
「最も元いた場所ではそうだったって話だがな。
今みたいに人傀儡を作っていればそうなるのも当然だ。
お前と一緒にいるのはお前といれば素材の調達に事欠かないからな。」
事実、こいつの張った結界に気づかなかったら傀儡は作れていなかったしな。ここにはあまりいい木がないからな。
にしても柄にもねぇな。こんなに喋る事になるとは。
「人傀儡ってその悪魔を人形にしちゃうって事かにゃ?」
「そうだ。だからこいつをバラしている。」
「なんか……凄いにゃ。」
「変な奴だ。」
人傀儡を凄いと称する奴は初めてだな。
大体は嫌悪するというのに。
「変な奴ってどういう意味にゃ‼︎」
「そのまんまだ。」
「ヒドイ‼︎」
騒ぐこいつは放っておいて仕込みでも作るか。
次回から原作入ります。