Fate/alternative   作:ギルス

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繰り返す都度に──
聖杯戦争は繰り返す、召喚の祝詞にも似て。

人理焼却の火は、消えてはいなかった。
そこに待つのは──
如何なる悪か。

人類悪は立ち塞がる。
彼らの前に、彼女の前に。

さあ、グランドオーダーの再開だ。



第35話『胎動』

これはFate/staynight、及びFate/GrandOrderの二次創作です。

 

鳴動する大地。

揺れに従い左右に振れるビル。

 

「…始まったぞ、マスター。」

 

「な、なんだこれは?」

 

ゼウスの力と、英雄王の突然の不調に救われる形で争いが止まり、僕とエレインはホテルに戻り、今後どうするかを話し合っていた、その時だった。

 

「…この箱庭の再編よ。」

 

「箱庭、だと?」

 

「えぇ。」

 

確かに違和感はあった。

確かに見知ったはずの冬木だというのに、どこかに違和感を感じていた。

 

「文字通りの意味とすればここは、実験場のようなものか?…まさかとは思うが我々すら意志を持ったつもりの傀儡、などというオチは勘弁してもらいたいな…B級映画のラストでもあるまいし…神の玩具にされた哀れな泥人形、なんて事になりたくは無いぞ。」

 

「安心してください、我々はれっきとした人間…傀儡などではありませんよ、ただ…」

 

数瞬、言葉を止め何かを考えこんだ彼女だが、すくにこうべを上げて話しを続ける。

 

「この再編が終われば我々は一切の記憶を消され、あちらの思惑通りの位置からリスタートさせられます、一部例外的な加護を得ない限りは。」

 

「ええ、聖杯──、或いは神々の加護を。」

 

「…そうか、君にはアーチャーが…。」

 

「ええ、大神ゼウス…ギリシャの主神たる彼の力で私は再編…繰り返しを免れています…それと、さっきの泥人形云々の話は英雄王には絶対にしないでください…逆鱗に触れますよ、先のこのエロゴッドが地雷踏み抜いた時みたいに。」

 

「……肝に命じておこう、無駄にあんな破壊を撒き散らされても叶わないからな…マスターである言峰をどうにかすれば良いだけの話だ。」

 

「…お主にも協力関係になったわけだからな…ワシからの加護をやろうか。」

 

そうして、ゼウスが僕に手を翳す。

 

「──是は、我が妻、へーラーの加護である、畏れ、敬え…恐々たる女王権 (アルヒ・ティズヴァスィサス)…!!」

 

ゼウスの手の先に展開された積層型立体魔法陣、その輝きは僕を包み込み、その心に触れた。

 

「……っ、何を!?」

 

「本来ならば下級の神や魔物を支配し、操る術式だ…それに手を加えてマスター以外の人間にパスを通し、ワシの力の一部を貴様に植えつけたのよ、どうだ…力が湧いてこよう?」

 

確かに、丹田の辺りから熱を持ち、魔力が湧き出てくるかの様だ。

 

「…力、はいいが僕を精神支配なんかしてないよな?」

 

「ほ?…ああ、そうかそんな手段があったか!しまった、マスターに使っておけば今頃毎晩しっとりと──」

 

「…あ、あ、ちゃ、あ?」

 

怖い。

怖すぎる。

端正なエレインの顔が真顔になって、口元だけ釣り上がると美しいという前にどこか根源的な恐怖を覚えた。

 

「ひ、マスター、そう怒るな…ヘラじゃあるまいし…全く、冗談じゃ、冗談…第一この宝具は対象一人に一度きりじゃからして…マスターにはもう使えんから安心しろ、貴様にもな、小僧。」

 

「──まあ、貴方からすれば僕など小僧以下でしょう…とは言え…あまり舐めてくれないで欲しいところだ。」

 

袖に隠していたデリンジャー(超小型の単発式拳銃)を抜き、アーチャーの眉間を狙う。

 

「…は、そんな玩具が効くと?」

 

「弾丸は対神術式を刻んだ特別製だ、痛みくらいはあると思うが?」

 

「…やめてください、アーチャー、切嗣も。」

 

溜息をつきながら、エレインが割って入る。

 

「…本気でやり合うつもりはないけどね、舐められっぱなしでは共闘関係も何もない、僕なりに意地くらいあるさ。」

 

「ふ、そうか…まあ嫌いではないがの。」

 

「…今はそれより。」

 

「「ああ、異変、だな。」」

 

高層ホテルの窓から見えた円蔵山からは、白い光柱が立ち昇っていた───。

 

 

 

********

 

 

 

新都のビルの一室から、アーチャー陣営を見張っていれば円蔵山から光が見えた。

 

「…アヴェンジャー…君は聖杯に召喚されたと言ったな…なんだ、あれは?」

 

帽子のツバを直しながら光柱を睨む復讐者。

 

「…ああ、絶望が始まるか。」

 

「絶望?」

 

「…正直、俺にもあれが何かはわからん、ただまともな力ではないな、俺を呼び寄せたこともそうだが…禍々しい何かを感じる。」

 

「…で、ツンデレなあんたは聖杯ではなく、こうして人間についたわけだ。」

 

アサシンが気怠げに呟き、律儀にアヴェンジャーが返す。

 

「ふん、言葉もなく俺を使い潰そうと言う聖杯の意志なぞに構ってやるものか、俺が見たいのは生き足掻く人間の業よ。」

 

「ふーん、なんだか俺には理解できないがね。」

 

「は、お子様には解るまいよ…昏く、消えることのない燠火の如きこの灼熱の感情──復讐とは、甘美で、恐ろしく、そして愚かな程に醜くも美しいものだ。」

 

悦に入った様に語る、アヴェンジャー。

 

「…復讐、ね…確かに人を怨むことすらなかった俺には理解できないね。」

 

「…怨むことが無かっただと?そんな事があるものか…いや、真実そうだとするなら貴様は人として壊れている。」

 

「ああ、俺は壊れている、だからこそ人を殺して、コロして、殺し尽くして──そして、救いながら、救われず…首を吊る羽目になったんだからな。」

 

…以前に見た、夢のイメージが蘇る。

あれはやはり、アサシンの。

 

「…は、自覚してそれか…救われんな。」

 

「…軽蔑したか?」

 

「いや、むしろ尊いとすら思うがね、貴様は壊れる事で己を貫いたのだろう…それもまた我とは違う形の人の業よ。」

 

なんだろうか、妙な疎外感がある。

 

「して、間桐雁夜よ…おまえは何を望み、何を成す?」

 

「…今度こそ桜ちゃんを救い、魔術によって不幸な目にあう人間をなくしたい…叶うなら聖杯の力で世界の魔術を消してしまいたいね。」

 

「…ふ、なるほどな…理解できなくはないが、愚か。」

 

に、と嗤うアヴェンジャーはどこか同情じみた感傷を匂わせる。

 

「…なんだと?」

 

「怒るな、怒るな。」

 

…怒るだろう、普通。

 

「…何、貴様の願いではな…魔術によって不幸になる人間はいなくなるだろう、しかし世界は魔術に変わる何かを当てはめてくるだけ…最終的に不幸な人間は減らぬし、世界の修正力が違う形でその娘や、魔術によって不幸になっていた人間を再び不幸にするだけだ。」

 

「…なら、どうしたらいいって言うんだよ?」

 

「何、一人の人間が護れるものなど微微たるものだ…そこを履き違えずにまずは目の前を救え、それを只々繰り返して…世界を救ってしまった馬鹿を、一人…いや、二人知っている。」

 

「二人?」

 

「ああ、愚かにも美しい…純粋過ぎて危なっかしい双子だった。」

 

「なんだいそりゃ。」

 

「…ふ、其奴らとて世界の有り様を変えたわけではない、そのままの、有りの侭の世界を焼滅から救っただけだ、もちろん…周りに助けられながらだがな。」

 

「…そんなものかい?」

 

「ああ、そんなものだ、結局一人の人間が巨大な力を得たところで…限度があるのだ…だから、絆を紡ぐ…青臭い話だ…おまえたちがもしその双子に出会えたとしても、オレがこんな事を話したなどと言ってくれるなよ?」

 

「恥ずかしくて死んじまうか?」

 

ニヤニヤしながらアサシンが割りこむ。

 

「ああ、火が出るな!」

 

「君の場合怨讐の炎が出そうでシャレにならないな…」

 

「クハハ!違いない、さて…では行くか…聖杯の元に皆集うであろうよ、あの光が悪さをする前に決着をつけに行かねばな。」

 

「…聖杯戦争、本当に正常に機能してるのか、コレ?」

 

「…してはいないだろうな。」

 

「…やっぱりか。」

 

「おいまて、じゃあ僕の努力は!?」

 

「…さて?」

 

「…面白いから見ていてやるよ、マスター。」

 

──趣味の、悪い事だ。

 

 

 

********

 

 

 

「…で?都合の良い事ね、キャスター。」

 

「…私も厚顔だとは思うけれどね、あの光、振動──貴方達も異常だとはわかるでしょう?」

 

あの振動と光。

それに反応したキャスターはいきなりの休戦を申し出てきた。

 

「…確かに、そうね。」

 

腰に手を当て、怒り心頭の顔で交渉をしているのは遠坂だ。

 

「あなたがたにはわからないかもしれませんが…この聖杯戦争は何度も繰り返しているわ。」

 

「「は??」」

 

「…やはりな…」

 

驚く俺たちの中で唯一、納得しているのはバーサーカー。

 

「バーサーカー、知ってたの?」

 

朔弥が不思議そうに聞き、アーチャーは訳知り顔で見つめるのみ。

 

「…ああ、正確に言うなら…俺だけが覚えている、と言うべきか。」

 

「…何ですって…なら、貴方はただのイレギュラーでは無く…?」

 

「ああ、おまえもそうなんだな、キャスター…いいや、メディア。」

 

目を剥いて驚きながら返すキャスター。

 

「…やはり、貴方はあのカルデアのサーヴァントでしたか。」

 

「ああ、そうだ…貴様が覚えているのならば争う意味も無かろう…確かに俺はカルデア所属のサーヴァント、バーサーカー…クー・フーリン・オルタだ。」

 

「ちょ、何を真名をバラし…え、クー・フーリン!?」

 

ケルトの大英雄じゃない!、とは凛の声。

 

「…そこで頷く貴方も、覚えているのかしら、錬鉄の英霊。」

 

「…ふ、真名をバラさない辺り配慮に感謝しよう…神代の大魔術師よ…しかし、俺は残念ながら断片的にしか覚えていない。」

 

「…貴方達…一体何の話を…!」

 

遠坂が理解ができない、と叫ぶ。

当然だろう、俺、朔弥、遠坂のマスター三人ともが完全に蚊帳の外だ。

 

アルトリアもまた困惑している様子だが、とりあえずは詮索せず静観の構えだ。

 

「時間も無い…全て、話してやる。」

 

そうして語られたバーサーカー、クー・フーリンの話は。

俺たちの想像をはるかに超えた話だった。

 

 

 

 

人理継続保障機関、フィニス・カルデア。

とある者の手により起こされた人類全て、人類史を焼き尽くそうとする途方も無い計画。

 

魔術協会も、聖堂教会も全てが歴史ごと無かった事にされた。

残った七つの特異点、それを修復し、黒幕を打倒したのが──

 

「それが…こいつ、九重朔弥と──」

 

「その兄、九重九狼。」

 

双子のマスターだ、と。

 

「え、えぇえ!?」

 

「…嘘、では無いみたいね…貴方達が揃って私たちを担ぐ理由が見当たらない…もの。」

 

唖然とする遠坂、九重、俺。

当然だろう。

 

「…わ、私身に覚えが無いんだけど…」

 

「そりゃあそうだ、おまえは朔弥だが、グランドオーダーを成し遂げた朔弥とは正確には別人…だろうからな、憶測ではあるが。」

 

「…ええ、貴女は変わらない…けれどおそらく…今話した貴女は、貴女の内に眠って…いえ、存在を重ねていると言えるかしら。」

 

「…わかるのか、キャスター?」

 

「ええ、エ…じゃない、アーチャー、貴方の様に霊核を重ねて存在を維持したのではない、彼女はあくまで人間よ。」

 

「…俺の推論は的はずれだった、か?」

 

バーサーカーが言うには、彼の記憶にも欠損があり、正確な所はわからないとか。

だから朔弥は、「カルデア」と言う群体の英霊として世界に召し上げられた存在であり、故にこそアーチャー同様に破損した霊基を補うためにこの世界の自分自信に同化して、生きながらえているのではないか、と。

 

「…惜しいけれど違うわ、カルデアは英霊の座についてはいない…もしそうなっているなら何故、私が記憶を維持していられるの?マスターがこの有様なのよ?」

 

「…確かに…しかし、どうなっているのだ。」

 

アーチャーが頷き、先を促す。

 

「…結論を言うならば…私には記憶がほぼ残っているわ、この聖杯戦争の黒幕に関する知識こそ奪われているけれど、ある程度推論はたっている、そうね…何があったかを話してあげる。」

 

流石は神代の大魔術師、魔女メディアと言ったところか。

 

後ろには葛木先生がふむ?、と頷きながら話しを聞いていた。

 

「──あの日、私達カルデアの英霊はマスター、朔弥…貴女に導かれてこの冬木の特異点を修正するために降り立ったわ。」

 

「…記憶が随分違うな…俺は冬木に来る前に光に呑まれたと覚えている、が…」

 

確かに、バーサーカーの話も聞いたが、どうも矛盾がある。

 

「…それは、貴方が一度目にレイシフトを行い、失敗したからよ、クー・フーリン・オルタ。」

 

「…何?」

 

「最初は…常に前線に立っていた朔弥、貴女の兄…九狼がレイシフトを敢行したわ。」

 

しかし、結果はバーサーカーの話の通りの失敗。

二度目にはそれを踏まえて、嘆いたカルデアスタッフの怒りに突き動かされた執念が相手の時空干渉を跳ね除けるだけのデータを得、対抗術式を刻んだ。

 

「…九狼の、あの子の犠牲を無駄にするわけがないでしょう…朔弥や、あの子を慕うサーヴァント達がどれだけ怒り狂ったか…わかるでしょう、貴方は。」

 

「…ゾッとしねえな、俺、もしカルデアに帰れるなら…そんときゃただじゃすまねえな…」

 

しかし、ならば腑に落ちない。

 

「なあ、ちょっといいかキャスター?」

 

「何かしら、坊や?」

 

妖艶な笑み。

そう、底なしの沼に引きずり込まれそうな、暗い闇。

 

「…あ、ああ…対抗術式を刻んで…どうして朔弥は今こんな事に、あんただけが記憶を維持してるのは何故だ?」

 

「…私が、マスターの存在を証明するための、レイシフト理論上に必要な…サブの観測手をしていたからよ。」

 

「…そうか、合点が言った…常にデータを蓄積し、カルデアにバックアップを送り付けていたあんただからこそ…聖杯の力も無しに記憶を維持できたわけか…意味消失を防ぐための予防措置がまさか、記憶を維持するために役立つとはな。」

 

「ええ、殆どのサーヴァントがあの泥のような怨念に屈した今、カルデアとも繋がりを断たれて…最早諦めていたのだけれど。」

 

貴女が健在だと言うなら…まだ、希望はあるかもしれないわね、と。

メディアはそう言ったのだ。

 

「朔弥、貴女の記憶──戻すことができると思うわ。」

 

ここに、再びグランドオーダーが、始まる。

 

 






【後書き的なもの】

はい、皆様こんばんは。
貴女の、貴方の枕元に笑顔で夢枕、ライダー/ギルスです!

朔弥「やめて、それ通報案件だから、不審者だから!」

えー?

凛「えー、じゃないわよこの馬鹿作者。」

はっはっは、流石に本気じゃありませんよ、イッツカルデアジョーク!

凛「忘れてたわ、九狼の性格もそもそもあんたの心から湧き出た産物だものね…根源の貴方がましなはずがなかった…」

…イシュタルさんの記憶を持ち出さないで!
こっちでは貴女人間!
いちマスター!

凛「舞台裏だから良いじゃない、ケチ。」

そーいうことかなあ…まあ、いいや。

朔弥「いいんだ…」

はい、風雲急の展開をようしてきました、オルタニキで第五次聖杯戦争…Fate/alternativeシリーズ。

あ、そうそう、まずはゼウスの宝具データ。
これ、前に出た神々の系譜、の神具の一つね。

恐々たる女王権 (アルヒ・ティズヴァスィサス)

きょうきょうたるじょおうけん。
神々の女王、へーラーとしての女王の権能。
あらゆる種類の怪物を操り、呼び起こす。
ギリシャ由来の怪物ならば即座に召喚し、使役できる。
但し担い手たりえないゼウスに扱えるのは同時に一体のみであり、且つ契約済の魔物出なければ即時召喚は不可能。
契約を新たに行う場合は儀式魔術並みに時間が必要とされる。
本来の持ち主であるへーラーならば何体もの神代の怪物を同時に従える事が可能。

*今回はこの力を限定的に用いて切嗣との「擬似契約」としてパスを通しました。
マスターであるエレインにも同様の方法で魔力を通すパスだけでない、加護を授けるためのパスを通しています。

凛「なにこれ、まあた、チート…」

神様ですからね…さて!
物語のお話です!

凛「話すっとばしたわね!?」

カルデアとオルタニキ、メディアの関係。
繰り返される聖杯戦争。

ループするこの箱庭、とは何なのか。
はくのんはまだか!

様々な展開をしすぎて、フラグ回収大丈夫か、俺!

凛「うぉい!?」

まあ、なんとかします、しーまーすーよー!
後、書き終わってからロードのエピソード入れ忘れた!
…ま、次回でいっか☆とか思ったとか内緒、超内緒。

朔弥「自らバラしていくスタイル…そこに痺れたり憧れたりしない…」

真面目な話、はくのんはギルガメッシュと絡むため、もう少し後からに成ります。
もともとイレギュラーに参加させたいキャラでもあるのでちょっと無理矢理感あるけど最後までには出てきます。
時臣やら桜やら、雁夜のこともきちんとしなきゃね…回収が大変。

凛「ところでさ…アインツベルン陣営とか、シャケ的な智慧ランサーは?」

…………あ。

凛「あ、じゃなあああい!!プロットくらい作れ!馬鹿!?」

あははははは、では、次回更新で会いましょう!
さらばだ明智凛!!

凛「怪人二十面相かあんたは!」

しーゆーwwwww
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