アカメが斬る!〜雷を継ぐ者〜   作:Key9029☆

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第3話

 

 

 

帝都

 

千年前に始皇帝により統一、建国された国の首都。

国中の富が集まるこの街は繁栄の象徴であり、宮殿近くのメインストリートには煌びやかな街並みが存在している 反面、賄賂をはじめとした腐敗政治の横行で多くの市民は貧しい生活を強いられていた--------

 

 

 

 

「ふむ……なるほど」

 

7年ぶりの帝都の街並みを見て、ただ一言。小さく頷きながら、リンは頭の中で冷静に情報を整理していた。

 

 

この7年で帝都の市街はさらなる繁盛を見せており、物流はリンがまだ帝都にいた頃よりも遥かに良い。

 

メインストリートの賑わいも中々のものであり、辺りには行き交う人々の笑い声や元気に走り回る子供の姿が目に映る。

腹の立つ話だが、今の大臣が政治を行うようになってから金流も格段に良くなっている。もっとも、政治の方は腐敗しきっているが。

 

 

「まぁ……でも」

 

確かに、リンがいた頃よりも経済面はかなり良くなっている。

 

だが、改めてもう一度辺りを見渡してみると、笑いあう人々の片隅で暗い表情や苦しい顔をしている人々の方が多いことが見て取れた。

 

 

それもそのはず、いかに金流や物流が良くなっているといってもその恩恵を手にするのは上位社会に位置する者達だけであり、下層の人々は日々の暮らしを落ち着けるのもままならないのだろう。

 

 

そう、だからこそ……

 

 

「(そんな理不尽を壊すために…僕は戻ってきた)」

 

 

そっと、腰から下げられている刀の柄に手を添える。

 

他でもない、姉さんがそう言った。

この腐敗した帝都を壊してほしいと。

 

 

だから、僕はそうするだけだ。

 

 

そこに自分の感情はいらない

 

あるのは1つの願いだけ

 

 

 

「まぁ、なんにせよ今は……」

 

苦い顔で自分のお腹を見る。

すると、タイミングを見計らっていたかのようにぴったりのタイミングでグゥゥゥゥゥッと、お腹から食べ物を求める悲痛な声が聞こえた。

 

「お腹空いたなぁ……」

 

思えば、自分で節約だなんだと言ってしばらく何も口にしていなかったことを思いだす。

 

ルヴィスといた頃は楽しく談笑していたのでそこまで気にもならなかったが、今思うと最後に何か食べたのがいつかさえあまり覚えていない。

 

「ちょうどいい、情報収集がてら酒場にでも行ってみるか」

 

なけなしのお金を携えながら、先ずは酒場にでも行ってみようと思うリンであった。

 

 

 

****************

 

 

「おかしい……」

 

いつまで経っても、目的の酒場が見つからない。

 

それもそのはず、リンはこれまでの道のりを7年前の記憶だけで歩いており、その道が7年前と変わっていなかったことで失念していた。

 

街というものは7年もすれば大きく変わるものであり、酒場を目指すはずがいつの間にか見知らぬスラム街まで来てしまっていた。

 

つまり端的に言うと、絶賛迷子中である。

 

 

「まいった……本当に何処だろう、ここ……」

 

考えても答えがでるわけではないので、取り敢えず歩きだす。

 

 

これはスラムに入ってから気づいたことだが、ここで見る人々は先ほどメインストリートで見た人々のようなどこか暗い表情はしておらず、生き生きとしている印象だ。

 

生まれた時から貧乏であれば、少しはたくましくもなるのだろうか。

 

 

「雑草魂ってやつなのかな」

 

 

ここで暮らしている人達からしてみれば少し失礼なことを考えながらしばらく歩いていると、ふと、何か視界の端で動く物があった。

 

「なんだろう?」

 

そちらの方に目を向け、少し目を凝らして見てみる。

 

瞬間、弾かれるようにして駆け出したリンは、その正体のもとへ辿り着くと同時に激しく肩を揺すった。

 

「君!!大丈夫かい!?」

 

案の定、視界の端で動いた物の正体は、道の上に倒れ伏していた小さな少女のものだった。

 

息があることを確認し、死んではいないことに安堵するが、それでも倒れていたという事実は変わらない。

 

「んっ………ぅぅ」

 

 

リンが肩を揺すり続けていると少女も意識がはっきりとしてきたのか、小さなうめき声を漏らした後にポツリと一言。

 

 

「……お腹…空い……た」

 

 

「おぅ……」

 

 

そこでリンが出会ったのは、今の自分と境遇を同じくした、1人の小さな少女だった。

 

 

 

 

 

 

日が僅かに落ち始めてきた頃、変わった二人組が酒場に入ってきた。

 

 

「んぐんぐ………美味しい……」

 

 

片や、テーブルに乗せられた料理の数々を豪快に咀嚼し、ボロボロの衣服を纏う幼くも可愛らしい少女。

 

 

「あはは、食べ物は逃げないからもっと落ち着いて…ね……うん……食べようね…」

 

 

片や、笑顔ながらも皮袋の中身を確認し、小さく肩を落とす銀髪の青年。

 

 

今日の夜は野宿に決まった瞬間だった。

 

 

 

「んっんっんっ……ぷはっ、おにーさん……いい人……」

 

あれだけあった料理を全て平らげ水を飲み終わった後、少女は素直に感謝を述べた。

 

 

「うん、満足してもらえて良かったよ。それより……なぜあんなところで倒れていたんだい?」

 

 

リンが何気なく少女に問いかけると、少女は体を僅かに強張らせる。

 

 

「(やはり……)」

 

 

内心で自分の予想が正しかったことを確認し、初めて会った時から少女から感じる、ある匂いについて考えを巡らせる。

 

それは、濃密な血の匂い。

 

それも人のものだ。

 

もちろんまだこんなに幼い少女に人殺しなど出来るはずがないので何か他の理由があるはずだと思い、今までの経験上から1つの結論に行き着いた。

 

 

「(そうか…この子は沢山の死を目の当たりにしてきたんだ。目の前で、しかも相当な数の……死を)」

 

少女の表情から感じる、ある違和感。先ほどからあまり感情の起伏がなく、元からそういう子なのかと思っていたが、そうではない。

 

この少女は、感情を殺されたのだ。

 

自分の体にこんなに血の臭気が染み付いてしまうほどの死を幼いうちから目の当たりにしてきたのだから、無理もない。

 

 

「私は……捨てられた」

 

 

「それは……両親にかい?」

 

少女は首を小さく横に振り、僅かに躊躇うような素振りを見せると、意を決したようにリンに告げる。

 

「怖い……オジサン。その人に…おとーさんも、おかーさんも、友達も、私ともう1人を残してみんな殺されちゃった…

 

 

 

瞬間、リンの表情が一気に険しいものになる。

 

自然と右拳に力が入り、肩が震える。

 

 

「(これが、今の帝都かっ……!)」

 

 

人の命をなんとも思わない、人の形をした魑魅魍魎たちが我が物顔で跋扈している。

 

 

それが許される国。

 

そんな理不尽がまかり通る国。

 

ふざけるな…そんなもの、許していいわけがない。

 

 

「おにーさん…?」

 

少女が心配そうにリンの顔下から覗き込んでくる。

 

 

その一言にハッとし、我に帰ったリンは先ほどまでの怒りを払うかのように頭を振る。

 

 

「……ごめん、少し取り乱しちゃったみたいだ」

 

 

そう言い、少し頭を冷やすために落ち着こうとすると、少女が自分の手をまだ小さな手のひらで包み込んでくる。

 

「おにーさんは……優しい人だね。まだ知り合って間もない人のことでそこまで怒れるなんて……」

 

 

少女が、今出来る最高の微笑みでリンを見つめる。

 

やはりというべきか表情に大きな変化は見られないが、それでも確かな感謝をリンは感じ取ることが出来た。

 

 

やがて、少女は何かを覚悟したかのように改めてリンに向き直ると、静かに、けれども力強い口調でリンに問う。

 

. . .

「ねぇ……おにーさんは…出来る人?」

 

その質問の意図を瞬時に察したリンは、静かにその首を縦に振る。

 

「うん……少なくとも今君がお願いしようとしていることに関しては問題無くこなせると思うよ。

でも……本当にそれでいいんだね?人を…殺してほしいなんて」

 

おそらく先ほどの彼女の質問は、『人を殺すことが出来る人』という意味合いだったのだろう。

 

僅かに語気を強め、彼女の目を見つめながら若干脅しを孕ませ問い返すも、覚悟を決した少女は決してその視線を逸らそうとせず、大きく頷く。

 

「確かに……この願いは普通じゃないと思う。……人として間違ってるってことも分かってる…。でも…私は絶対あの人を許せない……許せるわけがない……!」

 

 

僅かに声を荒げながらも、少女はそう言い切った。

 

 

本来、『人を殺してほしい』などという願いなどあってはならないものだ。

 

だからこそ、リンは試した。

 

そんな願いは普通じゃない、人ととして間違ってるということを改めて少女に考えさせる為に。

 

 

それでも、少女は頷いた。

 

自分が間違っていることも、こんな願いは異常だということも全て承知した上で、その首を縦に振った。

 

 

「君の願い……確かに聞き届けたよ。彼等のような人の命をなんとも思わない下衆は……僕が必ず斬ってみせる」

 

ならば、あとはもう何も言うことはない。

 

 

少女の願いを…覚悟を聞き届けた。

それ以上の理由など不要。

 

 

あるのは、今の帝都を…この少女を間違った方向に進ませてしまった元凶を斬ることのみ。

 

「ありがとう………っ!優しいおにーさん。出会えたのが……貴方でよかった…」

 

 

少女の表情が今までの無表情から、確かな笑顔へと変わる。

 

 

「(そうか……この子は、笑ったらこんなにも…)」

 

少女が見せた笑顔は、それこそ子供が見せるような眩しい笑顔であり、実に可愛らしいものだった。

 

だからこそ、この子から笑顔を…全てを奪った相手は生かしておけない。

 

 

「どうか……この晴らせぬ恨みを……っ!」

 

 

リンは静かに頷くと、酒場を出る。

 

空を見上げると、夕日が傾き始めている頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガッハッハ!!やっぱ殺しは最高だなぁおい!これだけはやめらんねぇぜ」

 

 

そう言いながら今も1人の命を奪い、満足気に高笑いする男が1人。

 

 

「おい、この前使えなくなったゴミ共を2匹捨てたからよ。新しいの補充しとけ」

 

 

「承知いたしました、ズック様。して、前にお捨てなされた2匹の処遇はいかが致しましょう?

我々としてはナイトレイドの耳に入る前に見つけ出し、早急に始末するのが得策かと」

 

 

「あぁ?あんなゴミ共ほっといても何も出来やしねーよ。あんだけ目の前で人の死を見せてやったんだ、下手したらもう感情なんてぶっ飛んでんじゃねーかぁ?ガッハッハッハ!!」

 

 

また1人、女の首を刎ねながらズックは笑い続ける。

 

そこには、人の皮を被った魑魅魍魎のけたたましい高笑いが辺りに木霊していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこか……」

 

 

家の屋根の上に立ち、ターゲットがいるであろう屋敷を目視にて確認する。

 

 

あの少女と別れてから夕日が落ち、辺り一面が薄暗い闇に包まれ始めた頃。

 

ついに標的の居場所を突き止めたリンは、どうやって屋敷内に潜入するかを考える。

 

 

「(あの子から屋敷の内部については少し教えてもらったけど、いざ入ってみると内部はもっと複雑だろう……

囲まれても抜け出せる自信はあるけど、退路はやっぱり確保しておきたい。そうなれば……)」

 

 

数々の可能性を考慮した上で、やがて最後は最もシンプルな方法に帰結した。

 

 

「やっぱり…窓を壊して正面から。これしかないか」

 

 

小さくため息をつきながら少し息を整えると、思考のスイッチを切り替える。

 

それだけで一気に頭は冴えわたり、目も今までの人の良さげな優しい瞳から氷を思わせるような冷たいものに変貌していた。

 

 

「さて…行くか。………久しぶりに少し、"アレ"を使ってみようかな」

 

そう言うとリンは、刀を鞘から引き抜く。

 

その刀身の周りには土竜戦で見せたようなパチパチと弾ける小さな雷光ではなく、はっきりと視認出来るような雷が刀身を纏うようにしてバチバチと音を立てていた。

 

 

ここからの距離は約500m弱。

 

 

もう一度目的地までの距離を目算すると、リンはおもむろに屋根の縁まで歩を進める。

 

 

もう一歩踏み出したら確実に落下し、死ぬとはいかなくとも無傷では済まない高さから下を見下ろす。

 

 

ここから地面まで約30m弱といったところか。

 

 

だが、リンは躊躇うことなく、その一歩を踏み出した。

 

 

当然、リンの体は重力に従って垂直に落下する。

 

 

ぐんぐんと迫ってくる地面を尻目にリンは静かに目を閉じ、そっと……その"名"を紡ぐ。

 

「頼んだよ、"鳴神"」

 

そして、地面があと数mというところまで迫ってきた時----

 

. .

その場から、リンの姿が消失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

後に、町人の間でこのような噂が流れる。

 

その日の夜、夜空を横切る一筋の稲妻が目にも止まらぬ速さで迸っていくのを見た……と。

 

 




……1つだけ言わせてもらってもよろしいですか?

話全然進まねぇっ……!!!


というわけで……はい、皆さんお久しぶりですKey9029☆です。

いやぁ〜全然進みませんね☆(ガチでごめんなさい)

プロットは一応作ってあるのでこの先の展開は決めてあるのですが、会話等が思いつきません!

プロって凄いなぁ……(遠い目)

そして、物語についてですがついにリンの帝具の名前が!?

楽しみにしていただけているならば幸いです


あと、ズックの名前についてですが
ズック→クッズ→クズ
などという超安直な命名です笑

次話はせめてナイトレイド加入のところまで書けたらいいなぁ……と思ってます笑


それでは、この拙い作品を読んでくれている読者の皆様に最大限の感謝を。

次話で会いましょう!



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