アカメが斬る!〜雷を継ぐ者〜   作:Key9029☆

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第4話

 

 

同時刻 ズック邸

 

 

「おらぁ、もっと飯持ってこい!」

 

本日も計3人の尊い命を奪い満足気なズックは、部下達を広間に集めて宴会を開いていた。

 

「よーし全員に飲み物は行き渡ったな。じゃあ、この帝国という最高の国に……乾杯っ!」

 

ズックにとって、この帝国は最高の国だ。

 

人を幾ら殺しても何も罪に問われない。

 

確かに、ナイトレイドとかいう自分達のような者を対象にした殺し屋がいることはよく耳にするが、部下に隠蔽工作をきっちり敷かせているズックにとってそれはどうでもよいことだった。

 

「それに……」

 

ズックの口の端が邪悪に歪む。

 

「ナイトレイドなんざ、あいつがいれば……逆に血祭りにあげてやるぜ」

 

ズックの頭にある人物が浮かぶ。

 

残虐性で言えば、今まで自分が見てきた中では飛び抜けている。

 

加えて、()()()()を所持しているというのだから尚更だ。

 

「俺様が死ぬことなんざ、万に1つもありえねぇなぁ…ガッハッハッハ!!」

 

ズックの悪に染まった笑い声は、周りの部下達の笑い声で、誰の耳にも入ることはなかった。

 

 

 

 

 

「はぁ〜、やっぱりズック様は最高だなぁ。私のような下っ端ですら宴会に呼んで下さるとは」

 

ズックの部下である男が1人、酒が入って体が熱くなったのか襖を開け、縁側へと足を運び、夜の風にあたっていた。

 

 

「私のようなスラム出身の身でさえ拾って下さるとは……」

 

ズックの部下は大半がスラム出身者である。

今まで1日の生活さえ苦痛であった彼らからは食べ物、着る物、寝床などを与えてくれたズックはまさに恩人と呼べる存在だろう。

 

しかし、それこそがズックの思惑通りであり、貧民をどん底の生活から救うことで恩を与えて懐かせる。

 

あとはこうして今までのままでは到底ありえなかった生活を与えてやれば自身に従順な駒の完成、とういうわけだ。

 

そんなことを知るわけもない下っ端の男は、心地よい夜風に吹かれながらもう一杯酒をあおる。

 

そこでふと、視界の端に何か光るものを捉えた。

 

 

流れ星か何かと思い、光った方を向こうとすると、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ?」

 

何が起こったのか理解出来ていないかのような表情の男の首が宙を舞い、宴会の行われている部屋の中央へと転がり落ちる。

 

すると、先ほどまでワイワイと騒いでいた部下達の表情が一変、ズックも険しい表情を浮かべる。

 

「敵襲だ!ズック様をお護りしろ!!」

 

部下の中の1人が声を上げ、それに呼応して何人かの男達がズックを護るように取り囲み、他の数十名は敵の位置を探る。

 

宴会の席にいた部下の総数は約50名。

 

この数を相手に仕掛けてきたとすると、襲撃者は相当な手練れと見て間違いない。

 

「ナイトレイドか……?」

 

ズックが思い当たる襲撃者を思い浮かべるも束の間、部下の怒号が鳴り響く。

 

「貴様っ!何者だ!?」

 

部下の声のする方に目を向けると、迸る雷を身に纏い、冷徹な瞳でこちらを見つめる銀髪の襲撃者の姿が其処に在った。

 

 

 

******************

 

 

 

「1人目……」

 

刀に着いた血を振り払いながら、リンは周囲を見渡す。

 

数はおよそ50人といったところか。

 

冷静に状況を把握し、刀を構え直すと、1人の男が数名の部下に取り囲まれながら前に出てきた。

 

「おぅ、折角の宴を邪魔したのはてめぇか?」

 

男が野太い声で、若干の怒気を孕ませながらも冷静な口調でリンに問いかける。

 

 

身長は2mにも届こうかというほどの巨漢であり、筋骨隆々。

 

普通、このような男に凄まれたら誰でも怖気づいてしまうだろう。

 

しかし、リンはそんなことなど気にもとめず、身に纏った雷を解くと、目の前の男を見つめたまま返答する。

 

「はい、その通りです。では、こちらからも質問を。……貴方がズックですか?」

 

リンは少女と別れる前に聞いた、1人の男の名を発する。

 

リンの質問に男は邪悪な笑みを浮かべると、どこか嬉しそうな表情で答える。

 

 

「ほぅ、俺の名前を知っているか。何処のどいつに依頼されたか知らねぇが、此処から生きて帰れるとは思ってねぇよなあ?ナイトレイド」

 

男の口から聞きなれない単語が出てきたためか、一瞬リンの表情が曖昧になる。

 

その一瞬を見逃さなかったズックは、その表情から導き出される結論に多少の驚きを感じた。

 

「ん?まさかてめぇ、ナイトレイドじゃねぇのか?」

 

「その単語に聞き覚えはありませんが……少なくとも、僕はそのナイトレイド、というものではありませんね」

 

その返答にズックは多少面食らったような顔をしたが、一転、今度は豪快に笑いだした。

 

 

「ガッハッハッハ!じゃあてめぇ、此処に1人で乗り込んできたのか!?この数を相手に?だとしたら傑作だな!」

 

ズックの豪笑に続き、周りからもクスクスと笑い声が上がる。

 

それに対してリンはつまらなそうな表情を浮かべ、改めてズックに向き直ると、鋭角的な殺気を抑えることなく発する。

 

「最後に……もう1つだけ。貴方は何故、人を殺すのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

リンから放たれた相当の殺気が、ズックとその部下達に1つの幻覚を見せる。

 

「(ッ!?)」

 

まるで、自分の腹を冷たい刃物が突き抜けているかのような感覚。

 

一瞬、本当に自分は殺されたのだと錯覚するような、幻覚と呼ぶには余りにもリアル過ぎる幻覚が、ズックの頬から一筋の汗を流させる。

 

「(なるほど…相当な手練れだということは最初から見て取れたが、まさかここまでとはな……。)」

 

周りの部下を一瞥すると、今の殺気に当てられた者も少なくなく、最近入った新入りの奴らにいたっては戦意喪失一歩手前まできている様子だった。

完全に目の前の襲撃者が普通ではないことに気がついたようだ。

 

「(流石にこいつらじゃあ荷が重いか…)」

 

だとしたら自分がやることはただ1つ。

 

それを実行に移す為にも、先ほどまでの内心を切り離し、見事平静を装った顔でリンの質問に答えるべく彼の正面に歩み立つ。

 

「何故人を殺すのか?と言ったな。んなもん--------楽しいからに決まってんだろぅがぁっ!!」

 

言い放つと同時にズックの袖から現れるのは、1つの隠し拳銃。

 

それを相対する目の前の青年の眉間目掛け躊躇無く引き金を引く。

 

見事としか言いようのない完璧な不意打ち。

 

貧弱者と嘲る者もいるだろう。

卑怯者と罵る者もいるだろう。

 

だが、これは言わば互いの存在を賭けた戦争。

 

兵数で圧倒的に勝る自軍と、個の強さで圧倒的に勝る敵軍。

 

しかし、如何に千の兵を持ったとしても、10で1を殺す自軍に対し、1で10を殺す相手に勝てないのは道理というもの。

 

ならばこそ、不意を突くのは戦の常であり、それに文句を言われるのはお門違いというものだろう。

 

更にもう1つ。

 

敵が持つ刀は間違いなく世界に名高い帝具という武器だろう。

でなければ人が雷を纏い、誰にも気づかれぬまま縁側から侵入し、その過程で人を殺すことなど不可能だ。

 

しかし今、()()()()()()()使()()()()()()

 

先ほど、此方から近づいた時に彼の身に纏う雷が消えたのをズックは見逃さなかった。

 

これこそ敵の総大将を前にして、いつでも殺せると緩み切った証拠。

 

敵との距離はほんの数m。

弾が眉間を貫くのに1秒もかからない。

 

普通の人間の反応速度は約0.3秒、速い人でも0.2秒程だろう。

 

だが、この青年は普通ではない。

もしかすると0.1秒すら上回るかもしれない。

 

だが、頭で反応したとしても、それを動作へと伝えるには余りにも短過ぎる時間。

 

なればこそ、完全に虚を突いたこの不意打ちは必中不可避。

 

弾がリンの眉間まで数cmと迫り、勝利を確信したズックが次にくるであろう目の前の青年が崩れ落ちる音を待っていると--------------

 

-----------聞こえたのは、青年の崩れ落ちる音ではなく、甲高い金属音だった。

 

*****************

 

キィンッ!!

 

甲高い金属と金属がぶつかり合う音を鳴らしながら、自分の振るう刀が飛来する弾を完全に一刀両断する。

 

弐ノ型 空断(からたち)

 

これこそ、宮殿を抜け極東の師匠のもとで培った12の剣技の御技が1つ。

 

弐の型は、人の身でありながら物理限界を超えた速度で刀を振るう神速の太刀。

 

「てめぇ……その武器無しでも人間やめてやがったか」

 

ズックはその溢れ出る怒気を隠すことなく、リンにぶつける。

 

必中不可避、必殺の一撃。

 

それが防がれたということは即ち、自分の攻撃が何も通用しないことを意味する。

 

冷静であることをやめたズックの姿は、その巨躯も相まってまるで鬼のようだった。

 

「……確かに、僕は人として在るには行き過ぎた力を持っているのかもしれません。弱い人からみれば僕も、貴方と同じように……鬼のように見えるのでしょうね」

 

人は、行き過ぎた力を嫌う。

 

側から見れば、人を平気で殺す狂者と行き過ぎた強さを持つ強者は同じ類であって、そのどちらもが恐怖の対象なのかもしれない。

 

「でも…」とリンは言葉を続ける。

 

「それでも僕は…在り方だけは損なわないようにしたい。貴方が弱きを挫く鬼なら僕は、弱きを救う鬼で在りたい…っ!」

 

瞬間、リンの瞳から光が消える。

 

「だからこそ、貴方は…貴方達は、これからの帝都に必要ない。此処で……死んでもらいます」

 

言い終わると同時に、その場から雷光が弾け、リンの姿が消失する。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁあっ!?」

「てっ!?てめ……ぁぁぁぁぁぁあっ!?」

「腕が…っ、腕があぁぁぁぁっ!?」

「おいっ!?しっかりし……うがあぁぁぁぁぁぁあっ!?」

 

始まったのは互いの存在を賭けた戦争。

などではなく、一方的な蹂躙。

 

紫電の速さで駆けるリンを捕らえられる者などいるはずもなし、50はあった命を数秒で摘み取る。

 

その姿を鬼と呼ぶにはあまりにも生温い。

 

ほんの一息で命の炎を吹き消す死神が如く。

 

「さて……貴方が最後ですね。ズックさん」

 

「くっ……テメェッ」

 

なす術なく崩れ落ちるズックの首筋に刀を添える。

 

刀身の冷たさが肌に伝わり、自分もここまでかとズックが諦める刹那------------

 

----------おいおい、まだその人は殺らせないぜ?

 

「っ!?」

 

得体の知れない殺気を背後から感じ取り、リンは咄嗟に着地を無視した強引なサイドステップでその場から飛び退く。

 

その刹那、リンは見た。

 

()()()()()()はずの空間が揺らぎ、其処から鈍く光る大型ナイフの刀身と、ケラケラと笑う、青年の顔を。

 

 

 

 

 

 

 

何も無かったはずの空間から、1人の青年が姿を現わす。

 

見たところ、自分と同年代か、それ以上。

 

先ほど見えた大型ナイフをくるくると器用に回し、ズックの元へ歩み寄る。

 

「何やってんですかー、ズックさ〜ん。こんな面白そうなことやってたのに直ぐ呼ばないなんて……」

 

先ほどまでケラケラと笑っていた青年の顔が、一気に冷める。

 

「いくらアンタでも……殺しちゃいますよ?」

 

先ほどまでのケラケラとした表情は何処へいったのか。

先ほどリンが放った殺気以上の殺気を青年は放つ。

 

ズックはその殺気に一瞬体をビクつかせるも、「ふん、悪かったな 」とだけ返すと青年の手を借り立ち上がる。

 

その一連の動きを油断無く見ていたリンは、自分の左肩に手を当てる。

 

そこには先ほど完全には避けきれなかったのか、服の肩口がスッパリと裂け、僅かに血が流れていた。

 

「(おかしい……さっきの攻撃、殺気どころか気配すら全く感じなかった)」

 

それに、こうして姿を見せている今でさえ、あの青年の気配は曖昧だ。

 

「(まるで、靄でもかかっているかのような……)」

 

頭の中で状況を分析していると、青年が此方の方に振り向く。

 

「いやぁ〜、さっきはいきなり斬りつけてごめんねぇ、リンくん。あっ俺アレクっていうんだ。まっ!仲良くやろーよ」

 

アレクと名乗る青年がノリの軽い挨拶を済ませると、再びケラケラと笑いだし、ナイフをくるくると回して遊びだす。

 

「(あのナイフ……まさか)」

 

リンの視線が自分のナイフに向いていることに気がついたのか、アレクは面白そうに口角を吊り上げ、自分の武器について語りだす。

 

「あっ、気になっちゃう?やっぱリンくん気になっちゃう!?

だよねー、だってこうして姿が見えてんのにも関わらず()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

嬉しそうに笑っているアレクを見据え、リンは頭の中で結論づけた1つの確信に近い可能性を言葉にする。

 

「やはり…そのナイフは()()ですか。それも、性能に至っては全ての帝具の中でも相当なクラスのものですね」

 

「やっぱさすがだね〜リンくんは。

幻影暗器 ミストエッジっていうんだ。僕にとって気配なんてものは有って無いようなものさ」

 

 

完全に気配を消せる。

 

シンプルが故にその能力は至って強力だ。

 

どんな暗殺の達人でも攻撃する瞬間には必ず髪の毛一本程の殺気が出てしまう。

 

対象が相当な達人ならばその殺気を感じ取り、暗殺は極めて難しいものになるだろう。

 

だが、刃が皮膚を切り裂くその瞬間まで、その殺気、気配を完全に消し去れるのだとしたら……

 

 

「でも…僕の攻撃を避けてみせたのはリンくん、君が初めてだよ……ねぇ、ズックさん、リンくんは僕が貰っちゃうけど…構わないよね?」

 

後ろに控えているズックに向かって、アレクは笑ってはいるが不気味な表情で確認を取る。

 

「あぁ、構わんさ。むしろ、お前じゃねぇとそこの小僧は倒せねぇだろうしな」

 

その応えにアレクは心底嬉しそうに「よぅし!」と笑うと、くるくると回していたナイフを手中に収め、リンを見据える。

 

「あぁ…久しぶりの強者だよ…。さて、どう殺してみようかなぁ。

顔の皮を剥ぐ、眼をくり抜く、腸を抉り出す……あ、磔にして急所を外しながらじわじわ殺していくのもいいなぁ…♡」

 

物騒な言葉を吐きながら恍惚とした表情でリンに近づくアレク。

 

「あぁ、でもやっぱり……何もわからないまま殺された顔を首から斬って、ずっと眺めるのが1番興奮する!」

 

それに対し、リンは静かに刀を構え直す。

 

そのリンの反応にアレクは小さく笑うと、自分も得物を構える。

 

「さぁ〜てリンくん!!楽しい楽しい殺し合いだ!いっぱいいっぱい愛し合おう(殺し合おう)か!」

 

言い終わると同時にアレクの姿を隠すように、周囲から濃い霧が立ち込める。

 

その霧が徐々に晴れていくと、アレクの姿はおろか、気配すら完全に消え去っていた。

 

--------さぁ!リンくん、僕を楽しませてよ!

 

どこからともなく声が響く。

 

「(さて…)」

 

姿の見えない敵など、それこそリンはこれまで幾らでも斬り捨ててきた。

 

だが、気配のない敵となれば話は違う。

 

姿の見えない敵はまだ、其処に在ると感じとるができる。

 

だが、気配のない敵から感じることができるのは、完全なる無。

 

殺気すら感じることができないので、攻撃のタイミングも読めず、気づいた時には自分の首は地を転がっていることだろう。

 

 

だがそれは、自分とこの帝具が相手でなかったらの話だ。

 

 

「いくよ……鳴神」

 

リンはそっと眼を閉じ、刀をそっと鞘に納める。

 

それが4分の3ほど納まりきったところで、リンは一気に刀を鞘にぶつけるように納刀。

 

当然、鍔と鯉口が勢いよく衝突し、キィィンッ!!という耳をつんざくかのような金属音がズック邸に鳴り響く。

 

ここまでは普通の刀となんら変わりはない。

 

だが、リンの刀もまた帝具の一種であり、普通ではないことは自明の理である。

 

金属音と共に、鍔と鯉口の衝突箇所を中心に小さな雷が同心円上に一瞬だけ弾けた。

 

 

「(なんだ…?何をした?)」

 

攻撃か何かかと感じ、防御姿勢をとったアレクだったが、それと感じられるものはいくら待ってもくることはない。

 

--------見えないからといって、ただの脅しかい?リンくん!だとしたら相当見下げ果てたよ!

 

またしても何処からともなく声が響く。

 

 

しかし、リンはその声などまるで聞こえていないかのように眼を閉じ、刀の柄に右手をそっと添えているだけだ。

 

その態度が気に入らなかったのか、アレクは先ほどの笑顔とは打って変わり、絶対零度の眼光でリンを睨む。

 

--------がっかりだよ、リンくん。僕の初撃を避けてみせた君ならもしかすると、って思ったんだけどなぁ。もう諦めて何もする気がないんじゃ……もういらないや。はやく死ねよ。

 

言い終わると同時にアレクはその首を掻き切ろうと駆け出す。

 

もちろん、リンにその姿など見えるはずもなく、先ほどの体制から固まったままだ。

 

--------「(()った!)」

 

アレクのミストエッジがリンの首目掛けて振り抜かれる。

 

 

呼吸、位置、タイミング、全てが完璧であり、加えて気配すら感じさせない必殺の一撃。

 

これこそアレクの十八番であり、今まで誰にも破られることのなかった必殺必中の絶技。

 

故に、その切っ先は狙いを違うことなくリンの首筋にぐんぐんと迫り--------

 

-------「(ッ!?)」

 

その時、アレクの動きが一瞬止まった。

 

「(ッなぜ!?なんで!?なんで()()()()()()!?)」

 

いつの間にか眼を開いていたリンが、真っ直ぐ自分を見据えているのだ。

 

あり得ない、あり得ない、あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない!!

 

帝具の能力はどんな力であれ絶対だ。

 

自分のミストエッジが気配をなくす能力ならば、その力は絶対のはず。

 

誰かに見られることなどあり得ない、あるはずがない。

 

なのに、目の前の青年は真っ直ぐに自分を見据えている。

 

--------「(だとしても…っ!ここまで迫った刃を躱せるはずがない!)」

 

動揺はしたが、結果が変わるわけではない。

 

もう自分の刃は避けられないところまできているのだ。

 

--------「(死ねぇぇぇぇっ!!)」

 

残り数cmまで迫った必殺必中の一撃。

 

今までこの絶技で殺せなかった人はいないという自信と、残り数cmまで迫った刃を躱せる人はいないという常識が、アレクに勝利を確信させた。

 

 

 

だが皮肉にも、その場に居合わせなかったアレクは知らない。

 

リンがどのようにこの屋敷に進入したのかを。

 

どのようにズックの不意打ちを防ぎ、部下達を屠ったのかを。

 

 

彼の--------

 

 

 

 

 

人知を超えた速度を。

 

 

 

瞬間、弾ける雷光と共にリンの姿が消失する。

 

 

次にアレクが見た光景は、薄れゆく意識と共に、自分を見下ろす白銀の死神の姿だった--------

 

 

*****************

 

 

 

 

「何もわからず死んだのは……貴方の方でしたね」

 

小さく息をつきながら、リンは横に振りぬいた刀を下げる。

 

その下には首と胴体が綺麗に両断された、アレクの死体が沈んでいた。

 

何が起こったかわからない、とでも言いたげな表情を張り付けながら。

 

「さて…後はズックさん、貴方だけですね」

 

冷たい声音と共に、リンは帝具の切っ先をズックに向ける。

 

対するズックは、まるで状況が理解できないでいた。

 

「(アレクが殺られた…だと!?ありえねぇ、どうやって!?それよりも、なんで体が動かねぇんだ……っ!!)」

 

アレクが目の前の青年と戦っている間に逃げるという選択肢もあった。

 

だが、彼が刀の鍔と鞘を打ち付け、小さな電気が見えた途端、体が痺れたように全く動かなくなったのだ。

 

 

これは恐怖ではない。

目の前の青年があの一瞬で自分の体に何かしらの攻撃を仕掛けたのだ……!!

 

目の前の青年は刀を振り、刀身に着いた血を払い落とすと、彼の帝具である刀の刀身でバチバチと弾けていた雷が消えていった。

 

すると、帝具による攻撃の効果が消えたのか、スッキリとした感覚がズックの体を駆け巡り、目の前の青年に対して隠しきれない動揺を含んだ声で話しかける。

 

「おい、テメェ……俺の体に何をした…っ!体が全く動かなかった…それに、あのアレクをどうやって!?」

 

怒りと動揺を隠すことなくリンにぶつける。

 

それほどまでにズックに対して先ほどまでの状況は理解の範疇を超えていたのだ。

 

ズックはアレクの殺り口を知っている。

 

だからこそ彼の腕に絶対の信頼を置いていたし、負けるなんて露ほどにも思わなかった。

 

しかし、目の前の青年は1度完璧に消えたはずのアレクの姿をどうやって見つけることができたのか。

 

 

ズックはリンに聞かずにはいられなかった。

 

「テメェの帝具はおそらく電気、雷を操るだけの能力のはずだ……そんな単純な能力でどうやってアレクを倒すことができる!?」

 

最早ズックの脳内に平静の二文字はない。

 

それをリンも感じ取ったのか、僅かなため息と共にズックに歩み寄る。

 

「そうですね…確かに僕の帝具であるこの刀、疾風迅雷 鳴神は雷を操る至極単純なものです。でも……()()だからこそ応用の仕方は無限大なんですよ。」

 

フーフーと荒い息を漏らしながらこちらを睨むズックを尻目に、リンは帝具である自身の刀を眺める。

 

「まず、どうやってアレクさんの姿を捉えたのかということですが、簡単なことです。この鳴神の鍔と鞘を打ち付けた際、周囲に微弱な電磁波を放ちました。その電磁波に触れた存在を、僕は感じ取ることが出来る。」

 

ズックの眼が見開かれる。

 

そんな方法で、彼はアレクの絶技を破ったというのか。

 

「姿や気配を無くすことが出来ても、この世界から存在まで消し去れるわけじゃない。その点に関しては、今まで戦ってきた姿の見えない敵達と同じです。」

 

ズックは自身の血の気が引いていくのを感じた。

 

元来、帝具使い同士が戦う場合には1つの"鉄則"があると聞く。

 

その性能故に殺意をもってぶつかれば例外なくいずれかに犠牲者が出てきた。

 

つまり--------

 

帝具使い同士が戦えば、必ず()()()()()()()

 

相討ちはあっても、両者生存はない。

 

 

だが…これはあまりにも--------

 

 

あまりにも--------一方的過ぎる。

 

初めからこの青年は自分たちを殺しに来たのではない。

 

()()しに来たのだ。

 

それくらいの気軽さでこの場にいた部下50名の命を一瞬で摘み取り、あまつさえ帝具使いであるアレクすらも簡単に屠った。

 

そんな常識外の襲撃者に目をつけられた時点で、自分たちは終わっていたのだ。

 

「ん、あぁそれと、僕がアレクさんと戦ってる最中に逃げられても困るので、少しの間体の自由を奪わせてもらいました。いかに人の形をしたゴミといえども、さすがに人の体をどうこうしようっていうのは気が引けるのでそこは謝らせてもらいますね。」

 

そう言うと青年は、人当たりのよい笑顔を浮かべながら素直に頭を下げてきた。

 

青年の顔立ちはそれこそ美術品か何かと見紛うほど整っている。

 

故に、その笑顔は、まるで、朝の日差しみたいに柔らかく煌めいて、見るもの全てを魅了するかのよう--------

 

 

--------否。

 

だが、ズックには判る。

 

 

あれのどこが、()()だというのか。

 

 

あの精巧に作られた仮面の下には、直ぐにでもこちらの命を吹き消そうとする死神が嘲笑しているのが垣間見える。

 

それに、あの青年が今更人の体に干渉するのを躊躇うはずがない。

 

帝都に蔓延る悪を根絶やしにするためならば、あの青年は嬉々として自分を動けなくしたように対象の体の自由を奪い、部下達を殺したように惨殺するに違いない。

 

非人道的な行為を行ってきた自分がいうことではないのかもしれない。

 

だが、何が原因かは知らないが、それほどまでに目の前の青年は()()()()()()()()()

 

「さて、長話が過ぎましたね。では…そろそろ死んでください。」

 

言い終わると同時に、青年から夥しいほどの殺気が放出される。

 

その凄まじさたるや、先ほどアレクから向けられた殺気が優しく思えるほどだった。

 

心臓が限界まで鼓動し、体中に不必要なまでの血液が行き交う。

 

先ほど血の気が引き、冷たく感じられたはずの体の芯が、今は溶けてしまうのではないかと錯覚するほどの灼熱と化している。

 

--------カツン、--------カツンと、青年の近づいてくる足音が異常なまでに響いて聞こえる。

 

乱れる息を整えようと大きく伸縮する肺が苦しい。

 

乱れる思考を落ち着かせようと回転する脳が苦しい。

 

乱れる焦点を合わせようとする目が苦しい。

 

苦しい、苦しい、苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい!!

 

狂いそうなほどの苦しさに吐き気を感じ、塞きとめることもままならぬままにぶちまける。

 

そこで--------カツン、と今まで響いていた靴音が止まる。

 

「ぅ--------はっ……ぁぁ…」

 

苦しさに顔を歪ませた自分を、青年が見下ろし、刀を振りかぶる。

 

それが最後に見るこの世の光景だと理解した時、あぁ…そうか……と、1つ、目の前の青年に納得するところがあった。

 

目の前の青年は、それこそ鬼でもなければ、死神でもなかったのだ。

 

--------そう。

 

--------鬼でも持っているような()が無く、死神にすらあるような、人を弄ぶ感情()すら無かった。

 

この青年はただ、義務的に、作業的にに、機械的に、当然のことであるかのように、悪を殺す。

 

息をすることと同じであるかのように、悪を殺す。

 

その姿に、鬼も死神もなかった。

 

そう、彼は--------

 

 

 

「肆の型……彼岸花」

 

振るう刀が、肉を切り裂く。

 

噴き出す鮮血は、それこそ野に咲く一輪の彼岸花の如く、赤赫と咲き誇った。

 

 

 

 

 

 

--------そう、彼は……

 

 

化け物の類いであったのだ。

 

 

 

*****************

 

 

リンがズック邸で猛威を振るっている頃、暗い路地裏からズック邸を見上げる、ボロボロの衣服を纏った1人の少女の姿があった。

 

「おにーさん……」

 

あの優しい笑顔を浮かべる銀髪の彼を信じて依頼したのは自分だ。

 

だが同時に、ズックという男の恐ろしさも知っている。

 

あの残虐な男は侵入者を捕らえた瞬間、なんの躊躇いもなく惨殺するだろう。

 

自分を助けてくれた優しいおにーさんが、あの男に殺される。

 

そんな最悪な想像が膨らむに連れて、いてもたってもいられなくなり、ズック邸が見えるこの位置まで来たのだが--------

 

 

「--------きれい……」

 

先の心配など何処へいったのか。

 

少女は只、時折ズック邸の縁側から光って見える綺麗な雷光に心を奪われていた。

 

激しく明滅しつつもどこか優しく、見ていると心が安らぐような柔和な光。

 

そんな光は、あの優しいおにーさんとそっくりで--------

 

 

「……っ!ごほっ!…げほ!」

 

瞬間、胸の内から迫り上がる猛烈な不快感と共に、まるで体中の臓器を全て吐き出してしまいそうなほどの咳が立て続けに少女を襲った。

 

「ごほっ!……あぁ、そっか。私もうダメなんだ……」

 

一際大きな咳を手でおさえる。

 

その時、ボロボロに擦れた衣服の裾が捲れ、およそ人体にあってはならない黒い斑点模様が垣間見え、その指の間からは黒く濁った血が滴っていた。

 

少女の身体が力尽きたように前へ倒れる。

 

朦朧とする意識の中で思い出すのは、意外にもズックに惨殺された両親や友人たちではなく、今日初めて会ったあの銀髪の青年の姿だった。

 

「……ふふ…、どうし…ておにーさんの…こ…とを…思い出すん…だろ……」

 

絶え絶えの息で、自嘲混じりにあの優しい笑顔を思い出す。

 

--------いや、理由なんてほんとはわかっていた。

 

自分みたいな子供は相手にされないってことぐらいわかってる。

 

でも、子供心ながらも感じていたんだ。

 

彼に出会って、そして。

 

そっか…私は、おにーさんのことが--------

 

「……っ、げほっ!ごほっ!」

 

今度は手でおさえることもできないままに大きく咳き込む。

 

吐き出した血の量は先ほどとは比べ物にならないくらいに多く、そして黒かった。

 

--------でも、だからこそ気づいてしまった。

 

彼の優しい笑顔の奥には、精巧に隠された想像もつかないほどの深い悲しみが宿っている。

 

その深さは、一生埋まるものではないのかもしれない。

 

でも……それでも、せめて私の分まで、彼が救われてほしいと信じて。

 

 

少女の小さな願いは、その小さな息遣いと共に、冷たい夜風へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮血に濡れた刀を一閃した後鞘に納め、縁側から見えるもう完全に夜闇に呑まれた帝都を尻目に、リンは1人の少女の姿を思い出す。

 

名前すら聞きそびれてしまった幼い少女。

 

彼女に残された時間がもう、あまりにも少ないことには気づいていた。

 

悔しさによって胸の内からとめどなく溢れ出てくるなにかを、ズック邸の壁を思い切り殴りつけることによって紛らわす。

 

それこそ、何度も、何度も。

 

皮膚が裂けたその拳から、血が出てきても、何度でも。

 

ルボラ病。

 

帝都に蔓延する難病の1つであり、発症者には体中に黒い斑点模様が現れるのが特徴だ。

 

末期ともなると、救う手立てはまずない、恐るべき病。

 

その感染経路は、血液感染。

 

目の前で多くの死を見せられた少女は、感情と共にその体まで徐々に蝕まれていたのだ。

 

だが、そんなことは本人である少女が1番よく理解していた。

 

それでもなお、自分はもう助からないと理解したうえで、自分に仇討ちを求めたのだ。

 

そんな小さな少女の大きな覚悟に、誰が口を挟めるというのか。

 

「……っよし、僕がくよくよしていても始まらないな。」

 

心を切り替え、リンはそっと刀の柄に手を添える。

 

「それに……」と付け足すと、リンは瞬時に抜刀し、縁側にある襖戸の裏に向けて殺気を放つ。

 

「さて、随分と前から見られていましたが、そろそろ出てきてはいかがですか?」

 

待つこと数瞬、襖戸の後ろから1人の人間が現れる。

 

否、あれを人間と言ってもいいのだろうか。

 

偽物とは到底思えない獣の耳に鋭い爪。

そして、まるで獅子のようにギラついた眼光。

 

「アチャー、やっぱ見つかってたか。できればこのままトンズラしたかったんだけどなー。」

 

そしてなんとも軽い口調の、綺麗な女性だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襖戸の裏から現れた1人の女性。

 

その姿を、リンは油断なく見据える。

 

「(この人……強いな。恐らく相当手慣れている)」

 

それが、自分のような経緯で慣れたのか、それともズックのように一般人を惨殺することで慣れたのかはわからない。

 

だが、後者だとするならば、此処で斬り捨てるだけだ。

 

「(人とは思えない姿形、あれは恐らく帝具による能力だろう…。帝具使いとの連戦はさすがに堪えるけど、やるしかないか)」

 

相手の外見からわかる情報を分析し、狙いを首に定め、一歩目を踏み出そうとした瞬間。

 

「あーちょっと待った青年!何も私はここで争う気はないし、てゆうかお姉さんはむしろ君の味方だよ!」

 

女性は待ったポーズをかけるように両手を振ったかと思えば、思い切り良い笑顔で親指を立ててきた。

 

「えーっと…、味方ってどういうことですか?」

 

女性の行動はさすがに予想外ではあったが、向こうに戦う気はないということは感じ取れたので、とりあえずリンは構えを解く。

 

「あぁ。私も此処のクズ野郎を始末するように依頼を受けてな。でもまぁ来てみたらこんな状況だったわけだけどねー。」

 

快活な笑顔でそう言う女性には、悪い気は感じられない。

 

「それにアンタ、相当強いな。相手に1人帝具使いがいたのに瞬殺だったじゃないか。」

 

「あぁ、それに関しては只、相性が良かっただけですよ。」

 

落ち着いた口調で返すリンに対し、女性は「ふぅーん…」と口元に手を当て数秒考えた後に、改めてこちらに向き直る。

 

「よし、決めた!なぁ青年、お前ウチの組織に来る気はないか?」

 

「……はい?」

 

余りにいきなり過ぎるその言葉に一瞬呆然としてしまった。

 

「えーっと、まず先ほど、貴女は此処の主を始末するよう依頼を受けた…と言いましたよね?ということは、その組織は殺し屋の類いですか?」

 

呆然としたのも一瞬。

 

瞬時に落ち着きを取り戻したリンは、女性の言葉に対して問いを返す。

 

「あぁ。ナイトレイドって言えば判るかな?」

 

「ナイトレイド……」

 

ズックが同じ単語を言っていたことを思い出す。

 

あの口ぶりからして、恐らくこの帝都に蔓延る悪人を殺害対象にした組織…というところだろうか。

 

「アジトはいつでも人手不足だからなー。それに、お前の強さなら即戦力だ。」

 

そう言う女性はもう一度「それに…」と付け加え、僅かに眼光を鋭くする。

 

「お前が此処の奴らを斬っている時の目、あれは明らかに()()()()()()()だという目だった。そんな奴にはウチはぴったりの職場だと思うんだけど。」

 

僅かに口角を吊り上げながら女性は話す。

 

確かに、ナイトレイドという職場は自分の目的に合っている。

 

斬った数だけ悪が減り、それが今の帝都を壊す糸口になる。

 

それに、帝都の悪を葬っていくならば、いづれ()()にも行き着くだろう。

 

だが、まだこの組織は得体が知れない。

 

それに、姉さんを殺した()()との殺し合いにだけは、誰も関わらせたくはない。

 

だからここは----------

 

「今はまだ、とだけ伝えておきます。すみません。」

 

その言葉に女性は若干意外そうな表情を浮かべたのも束の間、今度は僅かに微笑を浮かべ、静かに応える。

 

「今はまだ、か。ってことは脈ありってことでいいのかな?」

 

「はい。貴女方がこの帝都の悪を殺して回っているならば、また会うこともあるでしょう。正式な返事はその際に。」

 

リンの言葉に女性は「そっか」とだけ返すと、縁側の方へ歩いていく。

 

「それじゃ、私はこの辺で帰るなー。あんまり帰るのが遅くなるとまたボスに作戦時間が過ぎたことチクられる…。あ!そう言えば青年、名前は?」

 

「リンといいます。貴女は?」

 

「私はレオーネだ。んじゃ、リン、次会った時はいい返事を期待してるからなー!」

 

そう言い残し、レオーネと名乗った女性は縁側から飛び降り、夜の闇へ消えていく。

 

最初から最後までノリの軽い女性ではあったが、不思議と悪い気はせず、むしろ好感を持てた。

 

「さて、それじゃあ僕も後片付けして早く此処から出るか。」

 

血液感染によるルボラ病の蔓延を防ぐ為に、帝具による雷で1つ1つ死体を焼いていく。

 

せめてあの少女が、ルボラ病で命を落とす最後の患者であることを願いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それらの後片付けを全て終えた後、ついに地獄の時間がやってきた。

 

「はぁー……っ。さて、何処で寝ようかな……」

 

別に、野宿が嫌なわけではない。

 

ただ、完全な無一文となったことで、これから毎夜野宿になるのが憂鬱なだけである。

 

「とりあえず……何か食べたいなぁ…」

 

今思えば、酒場で少女に食べ物をご馳走したことに満足して、自分は何も食べていなかった。

 

最後に食料を口にしたのがいつかもわからないほどの空腹。

 

今ならこの空腹で野宿でも朝までぐっすり睡眠(気絶)することが出来そうだ。

 

その影響で少しふらついてきた足取りで寝床を探していると、ふと、道の端で人がゴソゴソと動いているのが目に入った。

 

年は恐らく10代後半、いかにも地方から帝都に出稼ぎにきたのはいいものの、門前払いを受け、挙句の果てに悪い人に有り金を全て騙し盗られたと言わんばかりの少年が野宿の準備をしているところだった。

 

「やぁ、準備してるところごめんね。君も野宿かい?」

 

「ん?あぁ、そうだけど。アンタもなのか?」

 

 

 

 

この日、この夜、この場所で。

 

 

何の変哲もないこの出会いこそが、後の帝都を大きく変える重大な会合となったことは、誰も知らない-----------

 

 

 

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さて…皆さん、とてもお久しぶりですkey9029☆です…

先ずは一言

ほんっとうにすみませんでした!!

ここまで長く間を空けてしまって本当に申し訳ありません。

こんな亀すら超越した更新速度の作者の作品でも読んでくださる読者の皆さん……あなたが神か


さて、本編ですが……毎回言ってる気がする マジでススマネェ

やっぱりオリジナル展開にするとほんとに会話が思いつきません。

みんなすごいなぁ……(死んだ魚のような遠い目)

次回には必ずナイトレイドとの会合を入れたいと思いますので、皆さん気長に待ってくれるととても嬉しいです。

というかこれほど間を空ける時は活動報告の方で事前に申し上げておきたいと思いますので、そうならないように頑張ります!

さて、長くなってしまいましたが最後に、この作品を読んでくださる読者の皆様に最大の感謝を。
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