今、シリウス・ブラックはとても機嫌が良い。しかし、その近くには魂の双子とも呼ばれるジェームズ・ポッターはいない。
なぜこのような状況になっているかと言うと、先ほどジェームズとシリウスはいつも通りにスニベルスこと、彼ら二人の天敵、スリザリンのセブルス・スネイプと壮絶なおおよそ3年生がやるような戦いではない、呪いの掛け合いをして、シリウスはスネイプに覚えたばかりの妨害の呪文をかけることができたのだ。しかし、その時スネイプの幼なじみであり、ジェームズの片想いの相手であるリリー・エバンズが通り、ジェームズとシリウスに対し注意してきた。リリー大好きなジェームズはすぐさまリリーのご機嫌伺いにいったが、シリウスはスネイプに呪いをかけられてご満悦なのだ。しかし、そんな彼の日常は今日この日を境に大きく変わることになる。
「お?あそこに誰かが倒れてる?スニベルスはあんなに小さくないからな、誰だ?」
その時、彼はその倒れている者の怪我の異常さに気づいた。
「なんなんだ、これは… 闇の魔術をかけられたのか?」
その者は、全身血だらけでピクリとも動いていない。一刻も早く治療を施すべきだろう。そんな時、どこからか走ってくる音が聞こえた。
「ブラック、貴方その子になにをしたのですか?貴方に今まで何度言ってきたことか。人に無闇に呪いをかけるべきではないと!」
「いえ、違うんですマクゴナガル先生。俺がさっき歩いてたらこの子が倒れてるのを見つけて、どうすれば良いか考えていたんです。」
「フム、そのようですね。いくら貴方が優秀とはいえ、これは明らかに強力な闇の魔術によるものでしょう。3年生に出来るような呪いではないのは確かなようです。」
「ミスターブラック、貴方はダンブルドア校長を探して医務室へ連れてきて下さい。私がこの子を医務室へ運びましょう。」
「わかりました。」
俺は、マクゴナガルと別れた後、なんとか ダンブルドアを見つける事ができた。
「どうしたのじゃ?シリウス?そちからわしを訪ねてくるとは?」
「先生!今それどころじゃないんです!早く医務室へ、マクゴナガル教授が呼んでいます。」
そう言うと、ダンブルドアの雰囲気がガラリと変わり、老人とはとても思えない速さで走り始めた。俺は、ダンブルドアについていった。ダンブルドアが走りながら質問してきた。
「シリウス、何があったのじゃ?」
「俺が、歩いてたら全身血だらけの子が倒れていて、マクゴナガル教授は強力な闇の魔術によるものだっと言っていました。」
「その子の周りに不審な点はなかったかの?」
「わかりませんでした。」
そう言うと、もう医務室の前に到着していた。そして扉を開けると、マクゴナガルとマダム・ポンフリーがひとつのベッドの周りで何かをしていた。さっきの子がいるのだろう。
「ミネルバ、ポピー容態はどうじゃ?」
「アルバス、まだ厳しいことに変わりませんが一応は落ち着いてきました。」
「ようやってくれた、二人とも。」
「ただ…」
「どうしたのじゃ、ミネルバ?」
「この子は、ホグワーツの生徒ではないようなのです。」
「それと、この子の首筋に謎の傷痕があるのです。私が知っている呪文は全て試して見ましたが、消せませんでした。」
「わしが見てみようかの。」
ダンブルドアはそう言ってその子に近づいていった。ホグワーツの生徒ではなく、マダム・ポンフリーでさえ、治せない傷を持った子ってどんな子なのだろう。そう思って、俺もその子を見ると俺は心臓が止まりかけてしまった。なぜなら、その子はリリーにそっくりでどこかジェームズにも似ている女の子だったのだ。そして次に俺はもっと驚くべき物をみた。
「マクゴナガル先生そのマントはその子のなのですか?」
「えぇ、この子が持っていました。あと、この指輪とアルバスのによく似ている杖も持っていました。」
「なんと、これはまさか…」
「アルバス、どうしましたか?」
「いやいや、それよりシリウス、このマントに覚えがあるのかね?」
「ダンブルドア先生、そのマントはジェームズの物なはずです。」
「なんと。 そしてこの杖はわしのと寸分たがわず同じもののようじゃ。」
「アルバス、それはどういう意味でしょうか?この子は一体?」
「わしの推量じゃが、この子は未来から来た子なのかもしれん。わしの見立てが正しいのならおそらくこの子は、ジェームズとリリーの娘じゃろう。」
そうダンブルドアが言った瞬間、時間が止まったような気がした。俺もマダム・ポンフリーも驚いてその女の子をみているし、普段あんなにしっかりとしているマクゴナガルでさえ、驚きを隠せないようだった。
「はい?アルバス今なんと?」
一番最初に復活したのはマクゴナガルだった。
「おそらく、この子は未来から来たジェームズとリリーの娘じゃよ。」
「なぜ、そうお思いに?」
「まず、この子の所持品じゃの。わしの杖にジェームズのマント、その指輪はこの世に一つしか存在しない唯一無二の品じゃ。彼女の持つどの品もどれもが、本物のようなのじゃ。次に、ポピーが治せなかったこの傷はの、わしも今まで見たことがないものじゃ。恐らく、強力な闇の魔術によってつけられたのじゃろう。もし、そのような事件が発生しておれば、わしらの耳にも入っておるじゃろうからの。そして、これがジェームズのマントと言うのなら、ジェームズが未来で自分の娘に譲っておってもおかしくはなかろうからの。それに、この子はよくリリーに似ておる。そういうわけじゃ。」
未来で、我が親愛なる友、ジェームズが犯罪行為に走っていないことを願おう。片想いが実るような気はしないのだが。
「アルバス、仮にこの子があの二人の子だと仮定して、どうやってこの子は過去に来たのでしょう。いくら、タイムターナーがあるとはいえ、あれは10年以上も遡れる物なのでしょうか?」
「それは、まだ分からぬ。この子が起きて来たときに聞かねばならぬの。なぜ、彼女がこのような怪我をしていたのかも含めての。」
俺は、ちょっと気になったことを聞いてみた。
「ダンブルドア先生、この事はジェームズやリリーに教えるのですか?」
「いや、ダメじゃ。今はまだ、わしとミネルバにポピー、それと、君だけに留めておいた方がよかろう。」
「私も、ジェームズに未来から来たリリーとの娘がいると、伝えたらどのようなことになるのか想像したくもないです。私達教員の胃が持たなくなりそうです。」
「リリーにはどうして伝えないんですか?先生?」
「リリーはたしかセブルス・スネイプと幼なじみじゃたじゃろ?しかし、彼は今死喰い人の子供や、その思考が強い生徒と共に行動しておる。もし、この子の事がリリーから彼に伝わり、そこから死食い人さらには、ヴォルデモートに伝われば、どのようになると思うかね?」
「あの人に未来のことを聞くために捕らえられると言うことですか?」
「そういうことじゃ。そうなれば、この子だけではなくジェームズやリリー、さらにはその家族まで狙われるじゃろう。」
「今はとりあえずこの子からなぜ、このような事になったのかを彼女から聞くまで、この子の存在はわしらだけの秘密じゃよいな。」
その日から、今日でもう2週間もたってしまった。未だにジェームズとリリーの子は目覚めないらしい。俺は、この2週間ジェームズとリリーの子のことをずっと考えていた。見た目から判断するにまだ、11才やそこらの年齢なのに最初に見たとき、全身血だらけで倒れていた。それはマクゴナガル曰く強力な闇の魔術による怪我らしい。それに、マダム・ポンフリーでさえ治せない傷を負っていた。未来は一体どんなことになっているのだろう。未来で、俺やジェームズ、リリー、リーマスやペティグリューは何をしているのだろう。
「シリウス、君ここ最近なんかあった?」
ジェームズがこんなことを聞いてきた。
(ジェームズ、君の娘が血だらけで過去に来てるんだよ!2週間もたったのに未だに目覚めないんだよ!)
「特にないけど?どうしたんだ?」
「いや、最近の君何か考え事をしているように見えてな。」
(そりゃ、考え事もするわ!)
「そうか?」
あ、マクゴナガルが向こうからやって来た。彼女はジェームズをちらりと見て、
「ミスターブラック、ダンブルドア校長が校長室で呼んでいます。すぐに、いらっしゃい。」
「うわwww、シリウスお疲れ様。大広間で待ってるぞ!」
そんなことを言いながら、ジェームズは歩いていった。
「マクゴナガル先生、後でジェームズに呪いをかけても罰則はありませんよね?」
「ミスターブラック何かいいましたか?」
よし、後で何か呪いをお見舞いしてやろう。
~校長室~
「ダンブルドア、ブラックを連れてきました。」
「すまぬの、ミネルバ。」
「では、私はこれで。」
マクゴナガルは俺を校長室にぶちこんでから、直ぐに出ていった。
「さて、シリウスやなぜ、君をここに呼んだかと言うとの、君も予想しての通り、あの子のことじゃ。」
「あの子が目を覚ましたのですか?」
「そうじゃ。そして、先ほどわしは彼女と話してきた。おおよそわしの推測はあっとったようじゃ。」
「それじゃあ、あの子は本当にジェームズとリリーの子なんですか?」
「その通りじゃ。そして君の名付け子でもあるようじゃよ。彼女は今はまだ、記憶が若干曖昧になっておるようじゃが、それも時間と共に治るものではと、わしは考えておる。」
「本当ですか!?俺がジェームズの子の名付け親っていうのは。」´
「彼女いわく、そうらしいの。ハリエットと言う名前らしいの。いい名前じゃ。」
「すげぇー。ありがとうございます。」
「あっ、それでなぜ、彼女が過去に来てしまったのか分かったんですか?」
「どうやら、ヴォルデモートと一騎打ちをした結果、ヴォルデモートを倒したが、その時やつに何らかの呪いを掛けられたようなのじゃ。わしはその呪文の効果からその呪文を推測するに、それは異なる時空に飛ばさせるような物ではないかと考えておる。」
なんか、ジェームズの娘もあの人も規格外すぎやしませんか?
「問題は、彼女のこれからについてじゃ。未来から過去へ行く種類の魔法は無いことはないのじゃ。じゃが、過去から未来へ行く種類の魔法は今のとこみつかっておらんのじゃ。」
「わしは彼女に怪我が治り次第ここでまた、ホグワーツに通ってもらおうと思っておる。そこでじゃ、彼女の名付け親であり、今のとこ唯一ジェームズを止められる君に頼みがあるのじゃ。彼女をこれから、見守ってやってはくれんかの?彼女は君の事を好いておるようじゃから、君にとっても良い家族になるのではないじゃろうか?」
「(俺のことが好きな家族…)ダンブルドア先生、ぜひ俺に任せてください!」
「頼んだぞ。くれぐれも彼女の事について口外するでないぞ。特に、スリザリン生の前では気を付けるのじゃよ。」
「分かりました!ところで、彼女の寮と学年は?」
「グリフィンドールで、一年生として通ってもらうことにしておるぞ。」