女神異聞録デビルサバイバー2 with ペルソナ   作:時価ネットこみなと

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SundayⅤ

「白虎か……敵ながら良いサマナーだ」

 

 太陽が完全に沈み、普段ならば街灯やビルで明るい新橋も、あの大災害で全て停電。町は完全に機能を停止していた。

 その中で、峰津院大和率いるジプスが《セプテントリオン》の《ドゥベ》と交戦している最中のことだった。

 作戦は途中まで上手くいっていた。ジプスの構成員数名を犠牲にドゥベを誘き出し、峰津院が所有する悪魔で止めを刺す予定だった。

 しかし、その構成員が作戦遂行途中、白き獣の神聖獣、白虎を従える悪魔使いの少年によって彼らは救われた。

 そのことにより作戦が失敗し、結果ドゥベを見失ってしまった。そして白虎を従える少年もドゥベを追い、その後の行方を知らない。

 

 救われた構成員の話によれば、その白虎のサマナー以外にもう一人、銃火機を所有する少女がいるようだ。その少女は白虎でドゥベと交戦する少年を援護するようにマシンガンやロケットランチャーなどで援護射撃をしていた、と。

 それにより考えられるジプスの作戦を阻止した者の正体は二つ。

 

 一つは自衛隊に所属していた元自衛官。武具はこの災害の混乱を利用して入手したと思われる。現在自衛隊はジプスの傘下に入っているため、その自衛隊がジプスの作戦を邪魔することはあり得ない。そのため、元自衛官が候補に挙がる。

 

 二つ目は、黒い噂が絶えない日本に本社を置く、とある大財閥のとある組織。その組織では人型兵器の開発に成功したとの未確認の情報を得ていた。その人型兵器には銃火機が内蔵されているとの情報もある。

 

 その少女が元自衛官だろうと、人型兵器だろうと峰津院には関係ない。

 峰津院は邪魔をする者を全てなぎ払い、自分が求めている理想の世界を築くためにならば、どのような犠牲さえも問わない。

 

 全てを破壊するまでだ。

 

 

 

 

 

 

 

 日曜日の侵略者《ドゥベ》。

 

 キノコのような、大手菓子会社が販売しているチョコ菓子の某カプリコのような形をし、無駄にカラフルなそのフォルム。それが世界を蹂躙する侵略者であることを、一部の人間以外は、まだ気付いていない。

 大量の魔力を圧縮させて、その魔力を瞬間的に放出及び爆発させ、周囲を焼き払う攻撃が特徴の侵略者。

 

 ドゥベの特筆すべき能力は、その攻撃ではなく、鉄壁とさえ言える防御力。

 

 攻撃自体は攻撃範囲が狭く、近づかなければ問題はない。しかし、ドゥベはある一定以上の破壊力を備えていない物理攻撃を無効化、炎氷雷衝撃魔術といった全ての魔法及びスキルを通さない体質。半端なサマナー及びペルソナ使いでは歯が立たない。

 

「先輩! もう限界だよ! 早く逃げないと、死んじゃうよ!」

 

 そして、鳴上もその例外には当てはまらない。一年前ならばまた違ったのであろうが、今は違う。

 イザナギ以外のペルソナを持たない鳴上と、《オーガ》や《コボルト》などの低級悪魔しか持たないジョー。後方のりせがドゥベアナライズして得られる情報は、全て絶望に満ちた情報のみ。

 今の自分たちでは、倒すどころか傷一つ付けられない。

 

「あらら。俺の悪魔はもう限界みたいだ。たぶん、次の一撃で消えちゃうかな」

「だから、早く逃げないと! このままだと次の爆発でみんな死んじゃう!!」

 

「だからと言ってここで逃げれば、また人が死ぬ」

 

 鳴上達はドゥベとこの新橋で遭遇した時、偶然にもドゥベのあの攻撃を目の当たりにした。

 ドゥベのその姿に興味を示した一般人が近付いた瞬間、あの爆発が起き、十数人ほどの人間が既に灰と化した。

 

 ドゥベのキノコの傘のようなピンク色の円盤が膨張する。さながらレンジで作るポップコーンの袋が膨張するように、徐々に大きくなる。

 

 その円盤が限界まで膨れ上がった瞬間、またあの爆発が発生する。

 

「だからって、なんで先輩が死ぬまで戦うの?! ジプスの命令だからって、なんでそこまで、」

「そうだよ鳴上クン。俺達は充分頑張った。だからとっととおさばらしないと、本当に死んじゃうよ?」

「覚悟の上です。これ以上、誰かの大切な人を死なせたくない」

「先輩……もしかして菜々子ちゃんのこと……」

 

 何かを決意した鳴上は、集中し直して村雨を構える。

 死をも懼れぬその視線の先には、破裂寸前のドゥベがいた。

 

「りせ、ジョーさん。ここから逃げてください。これから先は、俺がやります」

 

 一か八か、そんな賭けに鳴上は乗ろうとしていた。

 

「ま、年下の君にそんなカッコされちゃあ、俺だって逃げてられないよ。

 それに、命の恩人を置いて逃げるなんて、俺にはムリ♪」

 

 絶体絶命。そんな状況だというのに、笑顔を絶やさないジョーが鳴上の隣に悪魔召喚アプリを起動させた携帯電話を構えて立つ。

 

「先輩、私も最後まで全力でサポートするよ。そしてまた、みんなに会おう!」

 

 一年前と変わらないりせの心強いバックアップに、鳴上は思わず笑みがこぼれた。

 災害発生から、一人で戦い続けたといっても過言ではない鳴上は、こんなにも仲間の存在が心を落ち着かせるものなんだと、改めて実感した。

 

 

 

「ありがとう、りせ、ジョーさん。必ず生きて、こいつを倒すぞ!!」

 

 

 

 ペルソナ。そう言って鳴上はカードを握り砕く。

 

 現れたペルソナはイザナギではない、別のペルソナだった。

 

 正義のアルカナを司るゾロアスター教の天使であり、時には下級神として崇められるもの。

 ペルソナ《スラオシャ》だった。

 

 

 

 

 

 

 

「前とは違うペルソナ、か」

 

 峰津院は新橋のSL広場を囲むようにジプスの構成員を配置させていた。

 峰津院にとってドゥベを倒すことなどいつでも出来る。しかし、こうして野放しにして鳴上をドゥベに引き合わせたのは、二つの思惑があった。

 一つ、先程の作戦の邪魔をした白虎使いをおびき寄せるためだった。その為隠密にジプス構成員を各地に配置させ、ドゥベを逃がさぬよう細心の注意を払っていた。

 

「見ろ、迫。あのペルソナ使い、複数のペルソナを召喚できるようだ。これは期待できそうだ」

 

 二つ、それは鳴上が信用たる人間で、そしてこれからの計画に使える人間かどうかのテストだった。

 

「あれは……まさかっ」

「そうだ。ゾロアスター教の天使《スラオシャ》。ペルソナは人の心を写す鏡だ。それで天使を呼び寄せたということは…………実に都合が良い」

 

 これでまた、理想の世界へと近づくことが出来る。

 しかしそのためにも、その前に鳴上が侵略者《ドゥベ》を倒さなければならない。

 

「きょ、局長! 来ましたっ」

「どうした? 端的に報告しろ」

 

 通信役のジプス構成員が慌てた様子で峰津院に駆け寄ってきた。

 

「あ、現れました! 十時の方向、白虎です!!」

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