それではどうぞ。
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彼が初めて花陽に出会ったのはとある夏。
小さなライブハウスでスクールアイドル”μ`s”がライブを開いているのを、偶々見に行った時だった。
どこにでもある普通のスクールアイドルだな
と、そんな第一印象を抱きつつ、彼は黙って見つめている。
そう、ただの一般客として
だけど、彼はすぐに気付く。
一人の女の子に心を奪われていることに。
パッと見て大人しそうで、遠慮しがちで...
だけど心から何かに一生懸命頑張っていて、とても可愛い女の子に。
ライブの後、彼はすぐにその子の詳細を調べた。
その子の名前は『小泉花陽』だ。
『会いたい』
『話してみたい』
だけど、彼と彼女は所詮一般人とスクールアイドル。
直接話すなんて水を掴む様なものだ。
だけど、そんな転機はすぐに訪れた。
それは路上ライブの時だった。
どうみても女物のタオルが落ちていた。
端に『花陽』とかかれていたので落としていったのだろう。
このタオルを持っていってしまおうか。
そんな考えが頭をよぎるがそんな考えは捨てる。
彼女はスクールアイドル、自分はただの一般人
彼女と自分では住む世界が違うのだ。身分をわきまえろ。
今回は自分がたまたま拾っただけにすぎない。
(ちゃんと返そう。ライブのときにスタッフの人たちに渡せばいいだろう。)
そんなことを考えていると
「その、、タオル、私の、、です。」
自分の目の前に天使がいた。
見惚れていた。
勇気を出して声をかけたであろうその姿に。
もじもじとしながらも上目遣いでこちらを見つめているその姿に。
反応しなかったことに動揺してオロオロしはじめた。
かわいい、、、」
「ふぇ!」
気づけば花陽が顔を真っ赤にして立ち尽くしていた。
どうやら口に出てたみたいだ。やってしまった。
「あ、いやごめん。いきなり知らない人からこんなこと言われても困るだけだよね」
「ううん、だい...大丈夫です」
ペコペコと、彼女は何も悪くないのに謝ってくるから
「あぁ、この子はやっぱり...」
なんて愛おしく感じてしまう
「君はμ’sの小泉花陽さんだよね?」
「ふぇ!?は、はいそうです」
ステージの前ではあんなにも笑顔を振りまいて楽しそうにしているのに、彼女はプライベートになると引っ込み思案になるらしい。
それがいいとか悪いとかそういう問題じゃなくてただただ愛おしい
「僕は...君のファンなんだ。君の事を見てきた」
まるでそれは彼女の事をストーカーしきてたみたいな言い方。
「あ、あの、、ありがとう、ございます、、」
さっき漏れてしまった「かわいい」の一言と男がファンだといったことに対して照れてしまいうまく頭が働いていないのだろう。
だがその状況できちんとありがとうがいえるあたり、もうこの子は立派なスクールアイドルなのだ。
そのまま無言になってしまい、時間が過ぎる。
このままではいけない。なにか言わなければと思い、
「また、ライブ見に行くからね」
と一言だけ言って、帰ってしまった。
返しそびれた彼女のタオルと一緒に。
ああ、やってしまった。どうしよう。
男の頭のなかはその2つのことがほとんどの思考を占めていた。
きちんと次のライブで彼女にタオルは返した。
その時少しだがスクールアイドルについての話をした。
好きになった子と共通の話題で話せたことは一生の思い出だ。
自分の思いは伝えなかった。
自分と彼女はすむ世界が違うのだから。それで花陽との関係は終わった。
はずだった。
あの話がきっかけでライブにいく毎に花陽が話かけてくるようになったのだ。
自分としてはそれ以上に嬉しいことはなかった。
でもだからこそ過信しちゃいけない。
彼女はスクールアイドルについての語り合える相手として自分と話しているだけなんだ。
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少し時が経ち、彼女と連絡先も交換していた。
そんなある時、彼女から突然送られてきたメール。
内容は、
『ラブライブが終わったらμ'sはおしまいにする方がいいのだろうか』
というものだった。
もちろんファンの1人としては続いてほしい。
でも決めるのは彼女達なのだ。
その趣旨と、悩んでも決まらないなら相談くらいいつでも乗るということをメールで送った。
ふと、自分はどんな立ち位置にいるのか気になった。
花陽の友人?
μ'sのファン?
それとも、、他人?
そんなことを考えても答えなどいくら待てど出てくるはずがなかった。
そんなことを考えていたらすぐに彼女からメールが届いた。
『話があります、今度いつ会えますか?』
という1文。
たったその1文に彼は今までにない喜びを感じていた。
それと同時にさっきまで考えていた立ち位置とか色々を失い、少しでも彼女に頼ってもらえるという気持ちに入り浸っていた。
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次に会ったのは2日後。
学校を飛び出した彼はチェーン店の喫茶店で約束の二十分前に席に座って熱いコーヒーを流し込んでいた。
中身の入ったカップの隣に、同じカップがもう一つ。
緊張のあまり二杯目のコーヒーを喉の奥に流し込んでいたのだ
今まで以上に彼女と話ができる………
そんな事を考えながら彼女が来るのを待ちわびていた。
約束の五分前にその子は姿を現した。
「ご、ごめんなさい遅れちゃいました」
「ううんそんなことないよ。練習が終わってすぐ来てくれたんだよね?」
「は、はい」
まずは話の趣旨を聞かなくては。
「それで、今日はどうしたの?」
すると、
「メールは見てくれたんですよね。
実はμ'sをおしまいにするかどうしても決められなくて、、一度μ'sから離れてみればわかるかなって思って、、それで、今日はお呼びしたんです。」
「 あなたともっとお話ししたいっていうのもあるんですけどね」ボソッ
「ん?ごめんね、聞こえなかったんだけどなんていったの?」
何て言ったのか明確に聞き取れなかったので聞き返すと、
「い、、いいい、いい、いえ、、た、ただの独り言です」
顔を真っ赤にして言われた
「そ、それで、私はどうしたらいいんでしょうか、、、」
改めて花陽が聞いてきた。
実際、相談に乗るといったものの、自分もまだ答えを出せずにいた。そんな状況で自分の思いをいってもいいのか。
そんなことも考えながら答えた。
「実は僕もあのあと考えたんだ。自分はμ'sのなんなんだろうって。
知り合い、ファン、他人、いろんなことを考えたんだ。
でもね、答えは出せなかったんだ。いや、出しちゃいけないんだよ。出した答えは考え抜いたもの。いろんな事が混ざってたらダメなんだ。
それは一番の想いじゃないから。
だから、頭に一番に浮かんできたこと。それが自分の出したい答えなんだと思うよ。
だから自分もμ'sのなんなのかなんて考えないことにしたんだ。自分がファンでありたいと思うからファンであろうとする。それでいいんだ、って自分は思うよ。
花陽ちゃんも頭がからっぽのときにそっと考えてみて。そうしたら自分の本心がきっとわかるはずだから。
これくらいかな?僕から言えることは。」
花陽は少しあっけをとられたような顔をしながらもしっかりと返事を返してくれた。
これで、よかったかな?
そんなことを考えながらも、花陽のために少しでもなってくれたらと願わんばかりだった。
もちろんお茶代くらい奢ってやったさ。
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それからまた1週間ほどあと花陽からメールが届いた。
内容は、
「μ'sはラブライブをもっておしまいにする」
ということだった。
(そっか、君たちはちゃんと答えを出したんだね)
このメールをみた瞬間、彼はようやくどうするか決心がついた。
1個人、1ファンとして最後まで彼女たちを応援しよう。
彼女たちが最後を最高の舞台で迎えられるように、自分達がもらった夢の時間のおんがえしを。と
時間は過ぎるのが速い。もう彼女達のラスト、つまりはラブライブまで3日に迫っていた。
今日はちょうど予定は入れておらず3日後の準備をすることにした。
あれ以来連絡を取り合ってはいない。花陽のことを好きでなくなったわけでも、自分からできない訳でもない
今更、連絡をとらなくても彼女がどんな気持ちで練習に励んでいるか、それがわかる気がするのだ。
なら自分が邪魔をする訳にはいかない。
だが、そんなとき男は気がついてしまった。
μ'sがおしまいになるということは彼と彼女の関係もおしまいになるということなのだ。
彼女と自分では住む世界が違うこともわかっている。
自分勝手な思いであることはわかっている。
それでも彼女との繋がり失いたくないなんて思ってしまう自分がいる。
ちゃんと決めたはずの本心が再び揺らいでしまった。
だが今度の方がたちが悪い。
『花陽にとっての自分とは。
自分にとっての花陽とは。』
そんな答えの出るはずがない問題にぶち当たってしまった。
もちろん、そんな状態で準備に手がつくはずもなく、その日は早急に寝てしまうことにした。
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翌日
今日は大学もバイトも休んだ。なにも手がつけられない程に悩みこんでいた。
そんな最中、花陽から一通のメールが届いた。
『もう明後日はラブライブなんですね。絶対に来てくださいね?』
たった2行の文でも、花陽とまだ繋がりを持てている。
そう、彼に実感させるには充分だった。
彼はどうしようもないくらい花陽のことを好きなのだと自覚した。
そして、彼はひとつ決心をした。
これで自分達の関係は終わり、ならこの思いにも決着をつけよう。きちんとライブ後彼女に告白する。そしてかっこよくもなくかっこわるくもない、普通のフラレて花陽と知り合う前の日常に戻る。
そんなことを思いながら、彼は動き出した。
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そして、ラブライブ当日
ちゃんと応援するために一番前の席をとることは出来た。
花陽とのアポも既に取った。
あとはμ'sの順番を待つばかりだ。
緊張はしている。不安もある。
でも、後悔はしていない。
他の道もあっただろうがこれが選んだ道だ。ちゃんと受け入れる。
一番前で彼女が現れるのを彼は待つ。
特に彼女になにもしてやれなかったけど、きっと何かしてもお節介にしかならなかったかもしれないけど...僕が彼女の為にと思ってしたことは嘘偽りない事実、本心だ。
だから彼女の出した”答え”を見るために、今日初めてやってきた......アキバドームのファイナルライブ。
いきなりの爆音が彼の鼓膜を突き破って破裂する。始まった...遂に彼女の...花陽の最後のライブが始まった
回想はもうちょっとだけ続きます。
次は2週間以内までにあげたいと思います。