「凍結中」織斑さん家の奇妙な共同生活。 作:よし
私の名前は織斑三夏。
織斑夫妻の織斑婦人の方の15つ下の弟だ。父母ともに死んでいる。つまり身内はない。いないと言ったらいない。私は姉が大っ嫌いなんだ。
あぁ言うまでもないが言っておこう私は天才だ。
スカウトされ今では日本最大の軍事企業インペリアルコーポレーションで開発責任者をしている。最近の緊迫した軍拡の国際情勢に不安を抱いたバカな国民どもは国民投票で自衛隊の軍隊化を了承した。
まぁ政府の本音としては「あーそろそろ中国やべぇわあの赤猿どもマジうぜぇ、どうにかしないと…もう憲法改正してもいいんじゃね?あ、軍事工業も発展するし景気回復にもなるじゃん!一石二鳥じゃね?」的な感じだったのに簡単にノセられる国民のアホさ加減ときたら。
だが武器を売りまくって金を稼ぎまくって充実した生活を送るという平穏なる日常、その最高の私の夢を叶えてくれたことには感謝する。そのリアル以外感じたくない見たくたい体感したくもない。
私に快適な暮らしを提供してくれたことを本当ぉに心から感謝しているよ愚民諸君。
だがだがだがぁ!!あのクソ夫妻のおかげてそれはぶち壊されてしまった。
「うほぉぉぉい!!」
暇つぶしに座っているいすを回してみたが意外となかなか面白かったのでもっとやろう。
「失礼します。あの博士……」
ドアを開け助手の杉山君が入ってきた。うん今日も完璧なポニーテールだ。メガネもいいねぇそしてナイスバディーだ。後はもう少しまともな中身が付いてこれば言うことなかったのにな。
「おぉ杉山君いいところへ!見たまえこれを!」
私は机上の設計図を彼女へ見せてやった。
「何ですかこれ?」
「最新式のミサイルその名もジェイコフだ!通常ミサイルの5倍は威力があるどっかからの軍の要請で造った」
「どっかからって……」
「話を持って来るのは企業部だ。私はそれに見合うものを造り報酬をもらうクライアントかどこかなんて知ったこっちゃないね」
「はぁ……。?その机の上のは…別の設計図ですか?」
「ん?あぁパワードスーツのな」
「それも依頼ですか?」
「いや私の独断だ」
「珍しい…またなんでそんなモノを?」
「これを見たまえ」
「資料ですか……なになに…IS?」
「インフィニット・ストラトス通称IS。どっかの小生意気なクソガキがそれを学会に発表してる」
「それが……」
「大問題なのだよ。この兵器は現在までの通常兵器をはるかに凌駕するまさに完璧(仮)の性能を持っている」
「完璧なんですか!?」
「お前はバカか!(仮)と言っただろうこの(仮)はちゃんと発音しているんだポンコツ耳めウサ耳でもつけてろ…と話がそれたなこの兵器には一つだけだが重大な欠陥がある」
「欠陥?」
「女にしか使用できない」
「?いいじゃないですか?使えるのなら」
「君は本当にバカだななんで研究者が務まるのか甚だ疑問だ。いいか?この最強兵器が世に出回れば女の株は上がる。そうするとどうだ?逆に男の株は大暴落だ。世の中は過度な女尊男卑へと一瞬で様変わりする。これはクーデターだ!これは非常に由々しき事態なのだよ杉山君」
「それが博士と何の関係が?」
「私は男だぞ?なぜ無能女にこき使われなければならん!私は断固世の男性諸君の味方だ!可愛い姉ちゃんを雇えなくなるしそれを見て楽しむこともできなくなる!まさに地獄だ!!だからそれを阻止するために私もパワードスーツを制作しているんだよ理解していただけたかな杉山君?」
「そんなにすごい兵器なんですかーへー」
「そんなにすごい兵器なんですかーへー、じゃない!本当に理解してるのかこの馬頭!!」
「ひどいです!」
「ひどいものかバカ者め!!」
「それにしても…そんなもの造っちゃう子がいるなんてすごいですね」
「すごいしか言葉のボキャブラリーが無いのか君は。…それにこのガキは人じゃない化物だすべての資料に目を通したがどれも完璧だったそんじょそこらの小中学生が造ってる低俗なプラモやミニ四駆などとは次元が違う本当に!完璧だったなぜそんな代物をガキが造れるんだ気色悪いあぁ気持ち悪いあぁ!!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!というわけで性能を実証するために私もISを造った発表されてない資料もあったがガキのPCをハッキングしたそれに政府の高官に恩をうるために告げ口しておいたからガキは話も聞いてもらえなくなるだろう」
「いいんですかそんなこと!!」
「いいわけないだろー完璧な犯罪さーだが心配するなーガキはハッキングされたことなど夢にも思ってないさバレなければ罪にはならぁんそれとも告げ口のことを言ってるのかなぁ?心配ご無用あれは私の善意だいずれにせよ罪には問われないーハハハーハハハハハーー!!というわけで君は早くテストを受けてきたまえーあ、私に何か用があったんじゃないのか?」
「え!?ちょ…!今驚こうと思ってたところたんですけど!?」
「いーいーかーらぁー早く用を言いたまえー」
「あ、はい織斑博士にお客様です」
「私はいない帰ってもらえー」
「またそんなことを言って!」
「なんだぁー?また兵器を売るなー!とか人を殺すのは罪だー!とかほざぁいてるー!なぁんの力も持たないバカでアホで滑稽でゴミも積もればなんとらや的な偽善団体のダァニィー!連中か?早くお引き取り願えー」
「ダニって…違いますよ!!ご家族の方です」
「何!!?クソ女か?クソ野郎か?いーやどっちでもいい!!あのゴミどもなら帰す必要はない今すぐ兵器の実験体にしてやる連れてこぉぉぉい!!ところで私のタバコはどこだー?ないぞー?」
「とにかく呼んで来ますね」
「おーいその前に私の話を聞けータバコはどこだーおーい?」
「誰かな?」
黒革のソファーに座る私の目の前にはテーブルを挟んで中学生ぐらいの少女とまだ幼い少年が立っていた。
少女の顔は硬く少年も怯えるように少女の後ろへ隠れている。
杉山君がお茶を出しながら座るように促すと恐る恐る腰を下ろした。それでも二人の手はにぎられている。
私はテーブルの真ん中に置かれている灰皿にタバコの灰を落とし足を組んで再度問いかけた。
「もう一度聞こー君らは誰かなー?」
少女は意を決したように口を開きた。
「わ、私は織斑千冬と言います。こっちは弟の一夏です」
「え?それって…ねぇお母さんやお父さんはどうしたのかな?君たちだけで来るはずないよね」
「それは……」
「あ〜分かった理解しただいたいの察しはついた」
親のことを聞かれ言いずらそうにしている千冬の態度を見て私は杉山君の言葉をあえて遮った。
「おおかた子どもを置いて蒸発したんだろうなまったくバカ姉め。それでどうやって私を知った?」
「知り合いのおじさんから……」
「ならそのおじさんに養ってもらえばよかっただろわざわざ私の下へ来ないで」
「おじさんたちはもう年金暮らしでとても私たちを養える状態じゃなかったんだ!頼れる人ならいたがやはっぱり心苦しかった……」
「この状況で他人の心配とはおめでたいですねぇなら施設へ助けを求めればよかっただろー国からの援助金も出る断られることはなかったんじゃないかー?」
「博士!」
「あなたは織斑の母の弟じゃないのか!?」
「あぁ不本意だが私はあのボンクラの弟だよとぉてぇもぉ不本意だがね」
「だったら……」
「だったらなんだ?なぜ私が君たちを養わなくてはいけないんだ?なぜ君らを助けなければいけない?すでにあいつとは縁を切ってる赤の他人だ。あの最低な姉とはねー」
「は、母を悪く言うな!!」
「なぜ?本当に優しい子どもだな君は自分たちを捨てて消えた母親をかばえるなんてあの母親がもっとまともな人間なら君たちは幸せに暮らせていたこんなところへ来ずに私からの酷い仕打ちなど受けずに笑って暮らせていたんだぞ?すごいなー尊敬するそのアホさ加減をー」
「博士!!!!」
杉山君の怒鳴り声。
気づけは織斑千冬という少女は目に大粒の涙をためて唇を噛み締め手を握り締めて震えついた。だがその涙を流すことはなかった彼女は涙が零れ落ちる前に袖でそのすべてを拭きとったのだった。
「お願いします!私たちを養ってください!!」
必死で頭を下げる千冬。
「いくら持ってる?」
「え?」
「いくら持ってる?」
「あ、3万ほど……」
「話にならないそれじゃ養育費の足しにもならないじゃないかせいぜい一回の食事代があるかどうかだな」
「博士!助けてあげるべきです!!それが私たち大人のしかるべき義務です」
「どこにそんな法律があるー」
「法律とかじゃありません!大人として当たり前の常識です!」
「ならボク大人やぁーめた」
「な!?あなたって人はぁぁ!!」
「うぇぇぇん」
「「…………」」
杉山君と顔を見合わせる。
さっきまで黙っていた一夏が泣いた。静かに耐えきれなくなったように泣いていた。千冬が必死であやしている。
「博士……」
「…………」
「博士!本当にあなたは!!」
「……もういいです」
「え?」
「ありがとうございました杉山さん」
「ち、ちょっと待って!もういいって…いく宛がないんじゃないの!?」
白衣をなびかせて必死に千冬を止める杉山君。
「えぇ」
「なら!」
「この人に私たちを助けてくれる気は無いみたいですから…よく分かりました。出て行きます。お騒がせしました……」
肩を落とし泣く一夏の腕を引いてドアへと向かう千冬。
「まーちーたーまーえー」
「……?」
「いいだろう君たちを養おうじゃないか高校にも大学にも行かせてやろう何不自由のない生活を約束しようー」
「で、でもさっきお金が無いとダメだって……」
「あぁ確かに言っただから君たちの使った金額はすべて君に請求するとしよう出世払いだ。その条件を飲めば今すぐにでも住まわせてやろう」
「は、博士!そんなのあんまりです」
「私は神でもなければただの親切な善人でもない最大限譲歩した結果だその条件が飲めないなら即刻立ちされだだし君の弟にはかなり厳しい生活を強いることになるだろうがな」
千冬は黙って一夏を見てそれから私を見た。
決意の表情を浮かべて。
「分かりました。それでいいです。お願いします」
「よろしい!!杉山君ホテルの手配だこの子達の疲れを癒やすとびきりのスイートを用意してあげたまえ」
「…………」
杉山君は私に返事をせずに千冬のところに行くと足を屈めて目線を合わせた。
「本当にいいの?」
「はい……一夏のためですから」
「そう……なら何も言わない。これからあなたたちはあの人の家で生活をすることになるわ。でも心配しないで私も行くから」
「はい」
「まてまてまてまてまて!何を言ってる!?杉山君ホテルだ!早く用意したまえ!!」
「いいえ!しません!まがいなりにもこんな形でも博士と彼女たちは家族になるんですから一緒に暮らすべきです!それが当然です」
「だから何を言ってるこのアンポンタン私の平和な日常をぶち壊すつもりか!?」
「あ、もうこんな時間ですね。早く帰りましょう!二人ともついて来て」
「おい!まて!おーい!!」
「いくよー」
彼女は二人を連れて何も内容に部屋から出ていった。虚しく扉の閉まる音だけが響いた。
「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」