「凍結中」織斑さん家の奇妙な共同生活。 作:よし
私は悪くありましぇん!!
あと誤字脱字があれば教えてくださいm(_ _)m
三夏の衝撃的な話から数分後。千冬が現れ静まり返っていた教室は活気を取り戻した。
あの有名なブリュンヒルデだ。女子生徒が熱狂しないはずがなかった。各自の自己紹介も終わり。千冬の号令を合図に授業が始まった。
「……このクラスはバカしかいないな本当に救いようのない連中ばかりだ。まるで動物園にある猿山のようだ。隔離されたカゴの中でボス猿の指示に純情に従って機嫌をとっている」
「…………」
三夏の言葉に杉山は何も言い返さなかった。
授業の妨げになってはならないと我慢したのだ。
IS基礎理論授業が終わり一夏は机に突っ伏して脳を冷やしていた。
インペリアルコーポレーションで基礎はそれなりに学習したので授業にはついていくことができている、がどうも雰囲気に馴染めない。教室の内や外では他クラスや学年の違う生徒まで集まり一夏に興味の視線を放ち続けているのだ。
まるでパンダ状態である。
「…………はぁ」
視線がウザイ。鬱陶しい、ではなくウザイと感じている一夏。
「ちょっといいか?」
そこには長い綺麗な黒髪をポニーテールにした一夏がよく知る美少女が立っていた。
相変わらずの仏頂面だ。
「箒か。久しぶりだな」
「一夏…お、覚えて」
「変わってなかったからな。すぐに分かったよ」
「そ、そうか……」
「それで、何か用か?」
「用が無ければ話しかけてはダメなのか?」
「……いや、久々に会ったんだ。声をかけてもらえて嬉しいよ」
箒は顔を赤くしてうつむいてしまった。照れ隠しだろうか。
「もう時間も無いか……。箒またな」
「…………」
「昼飯でも食べながらゆっくり話そう」
「え……」
妙に寂しそうな表情から一転し驚いた箒だったが、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべた。
「と、ところで一夏」
「なんだ?」
「そのブーツ鬱陶しくないのか?」
箒は一夏が履いている黒いロングブーツを指差しながら言う。
「あぁ、これか……」
一夏の着用している制服は急ぎで仕立てられたモノとは思えないほど洗練されていた。機能性ではなく明らかにファッション性を重視している。一言で言ってしまえば非常にかっこ良いのだ。
インペリアルコーポレーションのデザイナーが制作したモノだ。ちなみに黒兎部隊の黒い制服もインペリアルコーポレーション製だ。
この制服には一夏を「世界で唯一の男性IS操縦者」としてではなく「世界で第一にISを起動させた男性」としてエリート視させる狙いがあった。プロパガンダの一環である。
すべては三夏の機転だ。イレギュラーをどれだけ自分たちにプラスとして扱えるか、ということだ。
「……これしか無いから仕方ないんだよ。変か?」
「そんなことはない。…その…似合ってる」
「そうか。ありがとな」
「そ、そろそろ私は席に戻るぞ。昼食の約束を忘れるなよ」
「了解。あ、箒」
「ん?」
「剣道全国大会の優勝おめでとう」
「なぜそれを知っているんだ!?」
「新聞に出てたからな」
「なぜ新聞など読んでいるんだ!」
「読みたかったから読んだ。納得したか?」
「…………あ、あぁ」
「ならよかった」
顔を赤らめ席に戻っていく箒を見送る一夏は一人の女子生徒が自分を見ていることに気づいた。
好意的ではない視線だった。
「…………」
「であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は刑法によって罰せられてしまいます」
二時間目の授業が始まり一夏は机の上に置かれた参考書を頬杖をつきながらパラパラとめくった。
そして疑問に思った。
すべての教科書にはISの機動性、攻撃性、制圧力などの基本的な性能の説明と運用規則などが記されている。
生徒にISは強大な力を持った兵器だと十分に理解させるためだろう。
だが、そうだとすればもう一つ重要な教育があるのではないか?
人を殺すための教育が。
どうすれば人は死ぬのか。
急所はどこか。
傷を追わせた場合どの程度で出血多量で戦闘不能になるかなど、まだまだ教えなければいけないことがあるのではないか?
そうでなければ兵器の意味は無いのだから。
IS操縦者が国防力に直結する昨今、この学園は軍事力の要ともいえるエリートたちを育てるための機関だ。あまりにも矛盾している。
「…………」
『世の中の常識には常に疑問を抱くことだ。それはただの常識であり物事の本質ではない。何者かによって都合よく捻じ曲げられた真実だ。世界は常にある特定の人物たちの利益のために捏造されている』
昔、三夏がそんなことを言っていたことを思い出しながら一夏は静かに授業を聞いていた。
「ちょっとよろしくて?」
次の休み時間に先ほどの女子生徒が一夏に話しかけた。
カールした美しい金髪で欧州特有の雰囲気がある。
「ん?」
「まぁ!何ですの。そのお返事は」
「……めんどくさっ」
「なにかおっしゃいましたか?」
「いや、別に」
一夏は雑誌を読みながら女子生徒の話を適当に受け流している。
「その様子では私が誰なのかよく理解していないようですわね。知らないのなら教えて差し上げましょ「知ってます」……」
一夏は読んでいた雑誌を女子生徒に見せた。
これはIS関連の雑誌だった。
見出しには、各国の期待の星!代表候補生たちに聞いた!今週は英国特集。という文字がでかでかと書かれていた。
「英国の代表候補生、セシリア・オルコットさん。いろいろしゃべってたみたいだな。何々、ISについて熱弁?なかなか面白いね。もしかして俺にわざわざご教授しに来たのか?」
「…………」
「それで用はなんだ?」
「そ、それは」
「あぁ、出鼻を挫いて悪かった。エリート様にひれ伏す惨めな男の姿を拝みに来たんだろ?こんな態度で本当にすまない。ごめんなさい。謝るから許してください。これでいいかな?」
「あ、あなた人を侮辱するのもいい加減にしなさい!」
「別に侮辱したつもりはないんだけど」
「そちらにその気が無くとも……」
「私にはあるって?ま、人間関係なんてそんなモノだよなぁ。うん」
「勝手に納得して勝手にしみじみしないでくださる!?」
「オルコットさんもそう思わないか?」
「それはそうですけど…って違いますわ!話をそらさないでください!」
「熱くなってるとこ悪いんだけど、もう授業が始まるぞ?」
「くっ……」
セシリアは下唇を噛みながら悔しそうに去っていった。
「また来ますわ!逃げないことね!よろしくて!?」
「マジかよ」
「〜〜〜〜!」
三時間目。
教壇には真耶ではなく千冬の姿があった。
真耶は杉山と二人で隅に立っている。ちなみに三夏はいない。どこへ行ったのかも分からない。
「この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明するが、その前にやることがある。再来週に行われる予定のクラス対抗戦に出る代表者を決める」
生徒がそれぞれ疑問を浮かべる。
「クラス代表とはそのままの意味だ。対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席など…やることはクラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点では大差ないが、競争は向上心を生む。よって一度決まると一年間は変更は無いものと思え」
クラスがざわめき立つ。
一夏は大した興味もなさそうに千冬の言葉を聞き流し窓の外を眺めていた。
「自薦他薦は問わない。誰かいないか?」
「はーい!織斑君を推薦します!」
「私もそれがいいと思います!」
一人の生徒がハツラツとした声で言った。それをきっかけに続々とあとに続く者も現れる。
一夏の顔が引きつる。
「……俺か」
すると一夏は手を上げた。
「断ります」
「選ばれた者に拒否権などない。選ばれたからには覚悟をしろ」
「その根拠は?」
「何?」
「ちふ…織斑先生は一見したらクラスの意見を尊重しているように見えますが、俺の意見はどうなるんですか?それとも俺はこのクラスの一員として認められていないんですか?」
「…………」
「第一、俺には何もメリットがない。世の中はギブアンドテイクですよ。無償のボランティアに参加する人間は他人を助けるという行為によって得られる自己満足と優越感に浸りたいだけだ」
クラスが静まり返る。
すると真耶が一夏に向かって口を開いた。
「織斑君。人のために何かをやるという行為は見返りなんて関係無く喜びが「ありません」っ……」
一夏は真耶の言葉を清々しいまでに一蹴した。
杉山は涙が出そうだった。
あぁ、あの可愛かった一夏はどこに行ってしまったのだろうか。
子どもは親の背中を見て育つモノだと言うが、まさにそうだ。引き取られた頃、すでに物心がついていた千冬はともかくまだ幼かった一夏少年は親からの影響をかなり受けていた。
自覚したのは一夏が誘拐されたときだ。
『いいかヒーローなんてものは特撮モノと少年ジャンプの中にしかいないモノと思え!』
いつかの言葉。
その通りだった。自分がピンチになっても助けてくれるヒーローなどいなかった。自分を助けてくれたのはドイツ軍と姉である織斑千冬だ。
一夏はそのとき、少年がまだ抱いていて良いはずの『夢』の世界を捨て『現実』を見るようになったのだった。
「以上の点から俺はクラス代表になることを断ります」
「ダメだ。私の言葉に撤回はない。選ばれたのならやれ」
「おーぼーだー」
ついに千冬の出席簿の鉄拳が一夏を襲った。
「それは誰のマネだ?」
「……さ、さぁ」
「クラス代表をやるか?やらないか?もちろん、やるよな?」
「や、ヤー」
「よろしい」
世の中には理屈ではどうにもならないこともある。無理に抗えばますます苦しくなる。
ならば受け入れなければならないこともある。
負け戦をしないことは大事なことである。
一夏少年がまだ一つ賢くなった瞬間であった。
「他にいないか?いないのならクラス代表は織斑に決定するぞ」
「待ってください!納得できませんわ!」
一人の生徒が異を唱えた。
生徒は立ち上がると演説じみた口調でしゃべりだす。
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべきです。そしてそれは私、セシリア・オルコットの他にいませんわ。男が代表を務めるなどいい恥さらしです。物珍しいからという理由だけでこの私にそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
セシリアは興奮したように続ける。
「だいたい、文化としても後進的な島国で暮らさなければいけないこと自体、私にとっては堪え難い苦痛であり」
「質問。ISの開発者はその後進的な国の人間である。YesかNoか」
「!?」
セシリアの言葉をさえぎりいきなり立ち上がった一夏が質問を投げかけた。
言葉に詰まるセシリア。
「そ、それは……」
「イギリス人らしくハッキリ答えたらどうだ?言い訳抜きに二択だ」
「…………」
「もう一つ、ずいぶんイギリスのお国自慢をしたいらしいがISはどこの国がイギリスに提供してるんだっけ?」
「あっ、あなた!私の祖国を馬鹿にしますの!?」
「馬鹿にはしてない。質問をしてるだけだ。話題をそらすな。早く質問に答えろ。あ、イギリスって島国じゃなかったか?」
お互いに徐々にヒートアップしていく。
「け、決闘ですわ!」
「誰がやるか。短絡的なアホ女め。そんなに戦いたけりゃ悪の組織でも探して戦ってこい。そして、捉えられて輪姦でもされてくるといい。行為の最中に自分の愚かさ加減を自覚して少しはマシになるだろう」
「なっ!?ぶっ、ぶっ、侮辱ですわ!男風情が!私は国家代表候補生なのですよ!?」
「俺は企業代表だ。言葉に気をつけろよ。お分かりいただけたかな候補生君?」
「くっ!絶対に許しませんわ!」
「はっ、別に許される気はさらさらない。むしろ逆だ。許してやるから土下座しろ」
ビシッとセシリアの顔を指さしながら一夏はそう言い放った。
「ならやっぱり決闘したらどうかなぁー?ねぇおりむーそうしなよぉ」
一人のおっとりした雰囲気の生徒が言った。
おりむーとはこの生徒が付けた一夏へのアダ名のようだ。
一夏は少し考えてから……
「いいだろ。捻り潰してやる」
「それはこちらのセリフですわ!それでハンデはいかほど?」
「いくら欲しいんだ?」
「は?」
「ハンデはどのくらい欲しい?」
「あははははは。あなた本気でおっしゃってますの?私からあなたに対するハンデですわよ」
クラスから笑があがった。大爆笑だ。
「セシリアの言う通りだよ」
「お、織斑君さ、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
一夏は黙って聞いていた。
「俺にハンデはいらない」
一言だけそう言った。
「えー、織斑君。それはいくらなんでも……ねぇ?」
「今からでも遅くないよ?セシリアに言ってハンデ付けてもらいなよ」
すると突然、一夏は指でピストルの形を作ると一人の生徒に向けた。
「え?な、何かな?」
「俺は銃を持ってる。今から君を殺す気だ。さぁ、どうする」
「い、意味が」
「分かるだろ?さぁ、どうするんだ?早くしないと殺されるぞ?」
「…えっあ…その」
「俺は男で君は女だ。そうだろ?」
「あ、ISで……」
「そのISを今、君は持ってるか?」
「…………」
「さっきの言葉とずいぶんと違うな」
「……うぅ」
生徒は押し黙ってしまった。
一夏は手を引っ込める。
「いいか、しょせん常識になんてこんなモノだ。言葉の一つや二つで簡単に覆せる。女は男より強いかもしれない。だけどそれは467人の限られた者だ。たった467人だぞ?それでいったいなにができる?確かに総力戦では最強かもしれないが、日常に潜む危険から守ってはくれない。女が無条件に強いわけではないということを覚えておけ」
もう笑う者はいなかった。
「それと、改めて言っておくが俺は代表候補生じゃなくて代表生だからな?ランクが上だということをその物分りが悪い脳みそに刻んでおくといい。そうすれば少しはマシになるだろう」
一夏は周りを見渡して自分の席へと座った。
やっちまったー!!何してんだ俺ぇぇぇぇ!バカバカバカ!俺のバカー!
と、思いながら。
一度、こうなってしまうとどうにもならない一夏の悪い癖だ。
もう今更、謝ることはしたくない。なら、このままなる様になればいい。
そのあと、頭を抱えた千冬によって決闘の日時が取り決められだのだった。
一週間後の月曜日。放課後、第三アリーナである。
職員室。
「ふはははははは。一夏がそんなことを?見れなかったのが残念だぁ実に残念だ。完膚無きまでに腐った蜜柑どもを叩きのめしたそうじゃないかー」
杉山から話を聞いた三夏は椅子に座り陽気に笑う。
「笑ごとじゃありませんよ!もう!」
一方、千冬はというと。
「私の可愛い一夏がぁ……。あぁこれは夢だ。夢に違いない。早く覚めろー覚めてくれ。一夏ぁぁぁぁぁ」
自分の机に頭を抱えて突っ伏していた。
「お、織斑先生!気を確かに!ふぇぇぇぇん」
真耶はどうしていいのか分からず狼狽えてばかりいた。
地球のどこか。
「……いよいよ、IS学園へ行くのか。待ち遠しいな」
一人の少女がそんなことを言いながら空を見上げているのだった。
子は親に似る。
うん。普通普通……は、はははは…はは……。
あ。
そろそろ題名と内容が合わねぇぇぇぇ!!!
と言うことになってきました……orz
十分な構想も練らずに書き出した私のミスです。すいません。
「いきなりですが、題名変えます!!」ドドンッ!
まぁそう言ってもまったく白紙の状態なのですが……。
どうしようかなぁ。
はい。次の話題。
挿入絵の機能が付け加えられましたねww
自分の小説に絵を付けてたい、なおかつ自分の考えたオリキャラをイラストにしたい!と心から願うこの頃。絵が描けない事がこんなにも辛くもどかしいモノだったなんて……(泣)
この小説に絵を描いてくださる心優しい絵のお上手な方はいないかなぁ(≡ω≡.)
と、まぁ最近はこんな事を常に考えております。
三夏いないと地の文を多く書かないといけないから大変だ。……下手で申し訳ありません(>_<)
次回予告。
いきなりですが転校生が来ます。
ではでは〜。