「凍結中」織斑さん家の奇妙な共同生活。 作:よし
「じゃあ、俺は外で待ってるから。早めに着替えてくれ」
薔薇色の妄想に思いを馳せる女子の追跡を難なく振り切り、更衣室へと到着した一夏はシャルルにそう言ってドアの前に立った。
しかし新聞部の生徒が嫌に手強かった。
「えっ。一夏は着替えなくてもいいの?」
「俺の制服は特別なんだよ。おかげで随分と助かってる。ほら着替えた着替えた。早くしないと転入初日に雷を食らうことになるぜ?」
「あ、うん! 急いで着替えてくるね」
「あぁ」
こうして本日の授業が始まろうとしていた。
授業が始まり、手始めに一夏とセシリアが専用機持ちとしての手本を示した。
二人はそれなりの操縦で千冬から及第点を与えられたが、セシリアはIS展開時の癖や、接近戦武装の展開に手間取ったことを千冬に注意をされて気を落とした。
「それでは実技練習を始める。代表生の二名……オルコット、鳳は前に出ろ」
千冬に指名された二人は前に出る。
「コテンパンにしてあげるわ」
「それはこちらの台詞ですわ」
笑いながら睨み合う二人。
「馬鹿者。話を最後まで聞け。貴様らの相手は……」
千冬が言いかけたとき空中から叫び声が聞こえた。
「ど、どいてくださぁーい!」
そこには涙目で落ちてくる真耶の姿。
「はぁ……。織斑、受け止めてやれ」
「はいよ」
ISを展開した一夏は突っ込んでくる真耶を優しく受け止めるた。
お姫様抱っこ。
「怪我は無いですか?」
一夏からの言葉。
「えっあ、だ、大丈夫れす!」
真耶は顔を真っ赤にして何度も頷いた。
「はぁ……。ちょっと天然女ったらし、いつまで抱っこしてんのよ」
鈴がため息混じりに言う。
「誰が女ったらしだ」
「あんたよ、あんた」
「断じてちが……ん? 何か否定するともったいない気が……」
「否定しなさいよ!!」
こうして授業は進んでいき、途中で行われた模擬戦では鈴とセシリアが真耶に撃墜された。
教師の威厳を守った真耶だったが、本当に嬉しかったのは、千冬からのお叱りを受けずにすんだことだったとか。
三夏の研究室にて。
「いよぉし手順通りだぁ。後はゆっくり御覧じろってね、はははははーー」
まるで娯楽映画を鑑賞しているかのように机に足を投げ出して笑う三夏とは反対に杉山の表情には影があった。
「どうした?」
「え?」
「君がそんな表情をしているときは大抵ろくでもない下らないことを考えているときだ。あの哀れな悲劇のヒロイン娘に同情でもして……いや、すでに同情はしているんだろう、そしてどうにか力になりたいと余計なお節介を焼こうとしている。どうだ図星だろう」
「だったら何ですか!? お節介はいけないことなんですか!」
「分かり切っている、いけないことだ。特に相手が助けを求めてもいないのに我が物顔で私情に入り込む微力なお節介は馬鹿な行為だ。お前がそれを焼いたところでどうにかなるような問題ではない。状況はむしろ悪化するだろう。自分の立場と身の程を知りたまえ少しはマシになるだろう」
「……たとえ力が弱くても相手のことを真剣に考えて手を差し伸べることは無駄ではありません! そりゃ私一人に力なんてありませんよ。デュノア社からしたらチンケな存在かも知れない。それでもシャルル……いえ、シャルロットちゃんを助けようとしてくれる人たちが集まってくれるかも知れない。小さな力を集めて大きな力に変えることができるかも知れない。私はそんな希望が少しでもあるのならお節介を焼き続けます! 努力は無駄ではないんです!」
「さっきから、かも知れない、かも知れない、そんな夢物語だけで現実を変えることなどできるものか。お前の言う努力は無力でしかない。絶対と言う言葉が、力が、必要なんだよ。たぶんでも、かも知れないでもなく、絶対な力でデュノアを完膚無きまでに叩きのめし黙らせることがお前にできるのか。お前がちんたら助けを呼びかけている間にシャルロットは本国であるフランスへと強制送還されすべての罪を被らされた後に牢獄にぶち込まれるぞ。やっと準備が整った頃には証拠はすべて消し去られて後の祭りだ」
「でも! あなたがやっていることだって人助けでも何でもない、ただ利益のための、自分たちのためだけの偽善じゃないですか!」
「馬鹿もここまで来ると清々しく思える。お前は物事の理解力が低すぎる。我々はシャルロットを助けようなどと微塵も考えていない。ただその過程で結果的にデュノアが助かってしまうだけだ。利用できるものは利用する世の中の鉄則だ」
「そんなこと……」
「結果がすべてだ! こうも言える、過程などどうでもいい、すべては結果だ。シャルロットを助けたいのであればシャルロット自身に父親の首を取らせるしか道は無い」
「だって親子ですよ!?」
「親子か……親なら子にこんな汚れ仕事などやらせる訳がないだろう。デュノア社長にとってあの娘は所詮それだけの存在だと言うことだ。いいか、よく覚えておけ、血は水よりも薄い。血より無責任な絆などない」
「…………」
「これが終わってしばらくすればデュノアは晴れて自由の身だ。あんな糞親の元にいるよりも何十億倍もマシだろう」
「でも……そんなの悲し過ぎますよ……」
「デモもストもない親の都合に振り回され捨てられた哀れなガキを君は二人ほど知っているはずだろう」
「私はただ誰も不幸にすることなくシャルロットちゃんを自由にしてあげたいだけで……」
「円満に親子の縁を切らせてあげるために努力したけどやっぱり間に合いませんでした、あなたはこれからの人生を一生、牢屋で過ごさないといけないの、ごめんなさい、全部私が悪いんです、とシャルロットに言えるのか?」
「…………」
「誰かを幸せにすると言うことは誰かを不幸にすると言うことだ。人を助けることはその責任を自分が負うと言うことだ。その者の人生に責任を持つと言うことだ。断言しよう君にはそのどちらも不可能だ。半端な人間には半端なことしかできないということを知りたまえ」
「わ、私は!」
「これ以上君と議論するつもりは無い世の中についての講義も終わりだ。何も言うなー、はははー」
「…………」
ドアがノックされた。
「客か?」
「さぁ?」
杉山がドアを開けるとメガネをかけた生徒が一人、今の時代で珍しいペンとメモ帳を持って立っていた。
「新聞部の黛薫子と言いまーす! 織斑博士に取材させてください!」
「えっ取材?」
「はい。学園新聞の取材です」
「博士ー。どうしますかー?」
三夏は表情を険しくさせていた。黛と杉山を交互に何度も見る。
「何ですか?」
「いや、君と、なぜか黛と言う名前を聞いたら不愉快な気分になった……」
「意味が分からないんですが?」
「とにかく取材は拒否だ! 君が代わりに受けたまえ。だがもし私の名誉に傷をつける発言をしたら新聞部もろとも地球外へ送ってやるからな!」
そう言って杉山と黛は研究室から追い出されてしまった。
「…………」
「……あの取材は」
「私でよかったら……」
「よろしくお願いします」
場所を移動した二人は食堂に腰をおろした。
「えっと、どんなことを話せばいいのかな? 私、こういうのは苦手で……」
「固くならなくていいですよ。気楽にお願いします」
「うん」
「では、ずばりお二人の馴れ初めから!」
「仕事に戻ってもいいかな?」
「す、すいません冗談です!」
「はぁ……」
さっきの三夏の言葉もあって、黛は仕方なく真面目に取材を始めた。
「お二人の関係は上司と部下なんですよね」
「織斑三夏博士ってどんな人なんですか?」
「……気になるの?」
「だって織斑姉弟の父親で天才科学者なんですから。気にならないは訳ないじゃないですか」
「うーん。まぁ、さっき見たまんまの人だよ。お金のためなら悪魔にでも魂を売る人、みたいな?」
「ふむふむ。ところでお二人はどうやって出会ったんですか? もちろん仕事で」
「あー、それはよく覚えてるなぁ」
「待ってください! 研究はまだ……あと一歩で!」
「君の熱意は買うがこれ以上は無理だ」
「ですが!」
「ならここを出て独自に研究を進めるかね? 坪倉博士」
「…………」
そう言ってスーツの男は去っていった。
坪倉と呼ばれた人物はその場にうなだれる。
杉山はその様子をじっと見守っていた。
坪倉が研究していたのは特殊な電磁波を使い人の脳を活性化させる装置だった。
これが完成すればアルツハイマーなどで苦しむ患者やその家族を救うことができるのだ。
だがその研究は今しがた打ち切られてしまった。実験は何度やっても成功せず思わしくない結果ばかりが出てしまっていたからだった。
ただの研究員である杉山にはどうすることもできない。
坪倉にかける言葉が見つからなかった。
とある電車内。
杉山は資料とにらめっこをしていた。自分も何か役に立てればと思ったからだ。
電車は駅で停車し一人の青いバッグを肩に下げた老人が杉山の横に立った。
前の席が空いている。
「あの、ここ空いてますからどうぞ?」
「いやいや私は……」
「そうおっしゃらずに。どうぞ」
そのとき一人の人物が杉山を押しのけて空いている席へと腰を落とした。
そのまま電車は出発してしまう。
しばらくは黙っていた杉山だったが周りに座っている人たちの中で先ほどの人物は一番若い。
やはり納得いかなかった。
「あの!」
「…………」
思い切ってさっきの男に声をかけるが本を読んでいるためかあっさり無視されてしまった。
「あの! あなたですよー。聞こえてないんですか?」
「いいんですよ……」
「いいえ、よくありません。もしもーし聞こえてますかぁ?」
再度声をかけるとようやく男が顔を上げた。
その顔は整っていて中性的で綺麗な顔だった。
「什么?」
「え? ち、中国の方ですか!? …えっと、在日本老人優先…」
「日本人です」
男は手に持っていた本を杉山に見せた。そこには誰でも簡単中国語会話の文字。
「んん! こちらの方に席を譲って差し上げたらいかがですかと」
「なんで?」
「お見受けしたところまだお若いですよね? こちらの方はお年をめしてらっしゃいます」
「だから?」
「体力のある者が体力の無い者に席を譲るのが当然のモラルであり社会的マナーだと思いませんか!?」
「思います」
「でしたら……」
「しかし若いから体力がありお年をめしているから体力が無いと一様に断じてしまっていいものでしょうか?」
「は?」
「例えば私はまだ年齢は若いが、あなたは私が重度の心臓疾患であることを少しでも考慮しましたか?」
「そ、そうなんですか?」
「いいえ違います」
「はあ!?」
「彼は確かに高齢だがスポーツクラブに通っておりバッグの年季の入り具合からかなりのベテランであると推測される」
男は老人のバッグを見ながら言う。
「すべての筋肉の付き方から見て貧弱な私よりはるかに見事な肉体をしていらっしゃる」
男は一瞬だけ窓の外を見た。
「そしてそのスポーツクラブはこの駅のすぐ近くにある」
電車が停車すると男の言ったとおり老人はおりていった。
「わずか二分ほどの一駅区間であれば座る必要も無い、それどころか無用な立ち座りの動作を余計に強いるまでと判断し申し出なかったまで。以上、何か反論は?」
「…………」
「謝謝」
何も言い返すことができないまま杉山は車両を変えた。
「本当ぉぉにムカつく!!」
インペリアルコーポレーション社員食堂にて。
杉山はランチを食べながら唸っていた。
「どうしたの?そんな怖い顔して」
杉山に黒髪の美人が話しかける。
「先輩……」
「何か悩みごと?」
「…………実は」
杉山はすべてを打ち明けた。少しでも何か得られればと思ったからだった。
杉山の話に先輩は静かに耳を傾けて聞いた。
「なるほどね。実験の打ち切りか……。こう言ったら悪いけど、よくある話よ? 成果が上がらないものにいつまでも資金を使うほど会社も優しくはないわ」
「……でも」
杉山はうつむいてしまった。
「はぁ……。しょうがないわね。一ついいこと教えてあげましょうか?」
「いいこと?」
「そ。我が社が誇る天才の話よ」
都内のとある一軒家。
なかなかの豪邸だ。
「ここ……」
杉山は圧倒されながらもインターフォンを押した。
すぐにこの家の人物が顔を出した。
「あ、あの突然お伺いしてすいません」
「お待ちしておりました。私、使用人の小清水と申します。さ、どうぞ中へ」
「え?」
杉山は言われるがままに招き入れられた。
料理が並べられたテーブルにに小清水がエスコートして杉山を椅子へ座らせた。
「鴨は大丈夫でございますかな?」
「か、カモ?」
「鴨のオレンジソースでございます。お口に合いますかどうか」
「いただきます」
杉山は笑顔で手を合わせると鴨のオレンジソースを一口食べた。
上品な香りと味が口いっぱいに広がる。
流れるヴァイオリンの音色。今まで感じたことが無い優雅なひとときだった。
「美味しい……」
「それはよかった。ワインをどうぞ」
このまま食事を続けてしまいたかったが、杉山はそれを我慢して話を切り出した。
「あの……織斑博士は?」
「あちらです」
小清水が示した方に目をやるとヴァイオリンを演奏する人物がいた。その人物はこちらに振り返ると笑顔を崩さずに歩み寄ってくる。
「あ」
杉山はこの人物に心当たりがあった。
そう電車で一度会っているのだ。
その人物こそ織斑三夏であった。
杉山のすぐ近くまで来ると切りよくヴァイオリンが奏でる曲が終わった。
「思死你了,可爱的人……」
そして杉山の顔を見て固まった。
「……小清水さん。こちらの方は?」
「え!? この方では?」
三夏は黙って首を振る。
「失礼ですが、あなたは?」
「あ、私はインペリアルコーポレーション、一般開発部門研究員の杉山と申します」
杉山はポケットから名刺を取り出して三夏に渡した。
「日本人じゃないかー」
「いやぁ通りで日本語がお上手なはずです」
「小清水さん私は留守です」
三夏は杉山の名刺を捨てて元いた立ち位置に戻ってゆく。杉山は慌て食らいついた。
「あの! 話を!」
「すいません。博士はただいま留守にしておりまして」
「え!? そこにいるじゃないですか! 待ってください!」
「留守でございます……」
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
「来たーー! 小清水さん早くね早くね! タイミングを間違えないように」
三夏は急いでヴァイオリンを手にすると、オーディオの再生ボタンを押した。先ほどと同じ曲が流れ出す。
「あの話だけでも」
なおも話し続ける三夏が杉山をテラスの隅へと押しやる。
そこからの行動は杉山のときとほとんど同じものだった。リプレイと言ってもいい。
違っていたのは、三夏の相手が青いドレスを着た美しい女性だということと、その女性に大きなバラの花束を渡したことだった。
愛を語り合う二人。そんな二人を小清水が微笑みながら見つめる。
「ぜひとも協力していただきたいことがあるんですよ!」
杉山はそんな雰囲気をぶち壊して二人の間に割って入ろうとする。
「聞いてますか! ねぇったら!」
「申し訳ございませんが、今日のところはお引き取りを」
「困っている人たちを助けるための研究が破棄されようとしているんです! 早急に結果を出さなければいけないんです!」
ついに三夏も無視することをやめた。
「チヨット! シズカニシテクレナイカァ! 彼女が気分を害する、あぁ電車の君だね思い出したよその下品なガニ股で!」
杉山は股を閉じると、なおも攻撃をやめない三夏の剣幕に怯んで後ずさりをする。
「電磁学の研究論文を読んでいたからまさかとは思ったが君のよう物事を主観的に見て独自の偽善的考えを人に押し付ける馬鹿女が科学者とは世も末だ! 科学者の枠から外れている! 私はどこの誰がどう困っていようが興味は無い!君が私に仕事を依頼したいのであればまず持って来なさい!」
「な、何をですか……?」
杉山の問いに三夏は親指と人差し指を擦り合わせた。
「お、お金ですか!?」
「他に何がある」
「同僚の手助けで……。同じ会社の研究員ですよ!?」
「私を凡庸な研究員と一緒にされること自体、堪え難いねぇ。会社は仲良しの集まりではない駄目な奴は切る、それだけだ。それに君、個人が私へ仕事を依頼しているんだ報酬を得て何が悪い」
「そんな……」
「前金が一千万」
「い、一千万!?」
「成功報酬が二千万。計、三千万だ。もちろん利権も私がもらう」
「…………」
「ふっ、それか上層部直々の命令書でも持ってきたまえガニ股」
「…………」
もう何も言えなかった。
三夏の家から足早に出てきた杉山は……
「最低!」
腹に力を込めて、そう叫んだのだった。
「はぁ……」
食堂で杉山は頭を抱えてため息をついた。
「やっほー」
「あ、先輩」
黒髪の美人が杉山に声をかけた。
「どうだった? 織斑博士は」
「最低な人間でしたよ!」
「あはは。そうよ、どこからどう見ても最低で最悪な人間。でも、最高の天才。それが織斑博士よ」
「…………」
「毒を薬にできるかは使いようだと思わない?」
「思いません。金の亡者に私は信念を売りません」
杉山はきっぱりと言い放った。強い力がこもった瞳で。
「私、ガニ股じゃないですよね?」
「ふふ。羨ましいほど綺麗な脚だと思うわ」
それを聞いて杉山は頭を下げると席を立った。
だが、すぐに歩みを止め、少し考えてから振り返った。
「あの、織斑三夏について詳しく教えてくれませんか」
黒髪の美人は笑みを浮かべて口を開いた。
「学界の嫌われ者よ。博士なんて名も知らないような三流私大で遊び呆けていたそうなんだけど、博士号は一発合格。人を食った態度とその才能を面白がって社長がとったのよ。そこからは、お金になりそうな研究や、様々な手を使って出世街道を駆け上がり、あっという間に兵器開発部門の主任研究者に」
「…………」
「圧倒されちゃった?」
「い、いえ……」
「じゃあ、頑張ってる後輩のためにお姉さんがいい物をあげよう」
杉山に手渡された一枚の紙。
「何ですか、これ?」
「よく見てみなさい」
「……上層部からの命令書? ……? ……!? どうやって手にいれたんですか!?」
「ふふ。女の武器を使っただけよ」
「お、女の武器……?」
「なんなら教えてあげましょうか? あなたならいい線いくかもしれないわよ。可愛いし……。お姉さんが手取り足取り……」
「け、結構です! ありがとうございました」
身の危険を感じた杉山は足早にその場を離れた。
翌日。
杉山は再び織斑邸を訪ねた。
「失礼します!」
「何だまたお前か」
「博士が出社時刻になってもいらっしゃらなかったものですから」
「それで押しかけてきたのか出社時刻は私が決める。帰れ迷惑者め、しっしし」
「人を野良猫のように言わないでください」
「私の優雅な朝食を邪魔した時点で君は野良猫以下だ」
「ふん! はいこれ!」
杉山はテーブルに例の物を叩きつけた。
「何だそれは」
「博士がおっしゃっていたものです」
「……正式な命令書だと? 君は上層部へのコネがあったのか……」
「私じゃありません……。でもこれがあればやってくれるんでしょ! ほらほら! ちゃんと持ってきましたよ。これでいいんでしょーー!」
「せい!」
「むぐっ!?」
三夏はさらにあったオムレツを杉山の口に詰め込んだ。
「朝食はお済みのようですね」
オムレツを飲み込んだ杉山が言う。
「…………」
「スーツならアイロンをかけておきました」
小清水の言葉を聞いた三夏は眉間に皺を寄せたまま立ち上がると無言で階段を登って自室へと入っていったのだった。
「ってことがあったんだよ。それが博士と私の初めての出会いかなぁ」
語り終えた杉山はしんみりとしていた。
「何だか壮絶ですね……」
「あ、あはは……。やっぱり?」
「その後はどうなったんですか?」
「無事に研究は成功して、めでたしめでたしだったんだけど、突然の部署移動で博士のところに移されちゃったんだよ」
「それはそれは……。さてと、ありがとうございました。おかげていい記事が書けそうです」
「捏造とかしないでね?」
「しませんよー。私は地球で暮らしたいので……。では」
黛は笑顔で帰っていった。
「私も仕事に戻ろっと。デュノアさんのこともあるし……」
こうしてまた一日が終わる。
てさ、クラス代表戦も書きつつシャルの話も進めなくては……。
あ、表紙絵的なものを描きました〜。
【挿絵表示】
やっぱりイラストは難しいですね(^^;;
最近、知りましたけど、古美門先生は東京中央銀行に口座を持ってるんですねww
リーガルハイ、面白かったなぁww
堺さん、最高です!
ではでは〜。