「凍結中」織斑さん家の奇妙な共同生活。   作:よし

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第25話

「……クラス対抗戦か」

 

昼休み。

ふと何処かから聞こてきたその言葉を、両手に持ったトランプを眺めながら一夏が繰り返した。

 

「あぁ。明日、行われるらしいな。……誰だ、ハートの5を止めている奴は」

 

「まぁ、あたしたちには関係ないんじゃない? ……ハートの5は、あたしじゃないわよ?」

 

「貴様かシャルル・デュノア」

 

鈴の言葉を聞いたラウラはシャルルを睨みつける。

 

「ら、ラウラ、睨まないでよ……。ルールなんだから、ね? それに鈴も言わないでよ」

 

「おいおい、ラウラ。大人気ないぞ。シャルルが怯えてるだろ」

 

「あははは、ありがとう一夏。でも、怯えてはないよ」

 

名前とアダ名を呼んでいるあたり、三人の関係はそれなりに砕けているようだ。

 

「ぐぬぬ……」

 

「何よ。あんたの番なんだから、早くカード出しなさいよ。あ、もしかして、あたしの策にハマっちゃったぁ?」

 

「……鈴、いいことを教えてやろう。偶然をまるで自分が引き起こしたかのように語る阿呆は、自慢話しかしないスネ夫の次に周りの奴から嫌われるんだぞ。詐欺師め、欺くのは乳だけにしておけ」

 

「欺いてねぇよ!」

 

「嘘をつくな。お前の胸などパットを取ったら微かな膨らみすら残らない残念まな板だろ」

 

「あんただって同じでしょうが!」

 

「私はある、お前は無い! これが事実だ! そして今回はパスだ!」

 

二人の応酬にシャルルは苦笑いを浮かべているが、一夏はいたって普通だった。

 

「次は……」

 

「止めなくていいの?」

 

「いつものことだしなぁ」

 

一夏の気の抜けた返事にシャルルはまたも苦笑いを浮かべた。

 

「鈴のまな板話はともかくとして……」

 

「まな板言うな! 人のコンプレックスをさんざん言っておいて、ともかくの四文字で片付けるんじゃないわよ!」

 

テーブルをバンバンと手で叩きつける鈴のこめかみには血管が浮き上がっていた。

 

「分かった分かった私が悪かった。一夏、賭けでもするか?」

 

「あー。どうしよう……」

 

「賭けって?」

 

二人の会話の意味が分からないシャルルに鈴が説明をした。

 

「あぁ……前に話してたわね。文字通り賭けるのよ。ただしお金じゃなくて食券だけどね。デザートの」

 

「いいの? そんなことして……。怒られるんじゃないかな?」

 

「……おかしなことを言う。なぜ私たちが怒られなければならない?」

 

ラウラは、意味が分からない、といった表情で首を傾げている。

 

「え……。だって賭け事っていけないことじゃ……」

 

確かにシャルルの言わんとすることは一理あるかもしれない。しかし、そんなことを「はいそうですか」と聞き入れるほどラウラは優しくはない。

 

「金銭を取引すれば違法性があるのかもしれないが、これはただの食券だ。そして、この学園には食券を友人に融通してはいけないと言う規則はない。欲しいのもを入手する一つの手段なだけだ。一定のルールを設けて公平に取引する、ジャンケンと同じだ。重要なのは賭け事という手段ではなく、その中身が、いい物か駄目な物かだけだ」

 

ラウラに押され気味のシャルル。ここまで熱く語られるとは思ってもみなかったようである。

 

鈴も会話に入る。

 

「まぁ、あれよ。ぶっちゃけて言っちゃえば……」

 

「言っちゃえば?」

 

「バレなきゃいいのよ」

 

「は、ははは……」

 

「あんたもやってみれば?」

 

「……気が向いたら、ね」

 

シャルルは笑ってその場は誤魔化しておいた。

 

「あたしはオルコットを選ぶわ」

 

「私もだ」

 

「俺も」

 

「「「…………」」」

 

「ちょっと、全員がオルコットにしたら賭けにならないでしょうが」

 

「……代表候補生なのだから当然だろう」

 

「だよな。他クラスが、あのお嬢様に勝てるとは思えない」

 

三者一歩も譲る気は無いようだ。

 

「やっぱり止めたらどうかな?」

 

「「「……そうしよう」」」

 

三人の声が重なった。

 

「いや、他の連中に便乗すれば」

 

「ラウラ、やめときなさいって」

 

「仕方ないな」

 

ラウラも諦めたようだ。

 

「でも、みんな仲がいいんだね。もしかしたら僕は邪魔しちゃってるかな?」

 

「何言ってんだよシャルル。俺たちはもう友達だろ? 遠慮なんかする必要はないぞ。なぁ二人とも」

 

「そうね、友達よ。私たちは」

 

「……そういうことにしておこう」

 

「……三人とも、ありがとう」

 

シャルルが感謝を述べたところで、箒が姿を現した。

 

ラウラがそれを流し目に見た。

 

「一夏、放課後は暇か?」

 

「お、箒か。暇だぞ」

 

「そうか。なら、私とISの特訓をするぞ。これからは卑怯な手を使わないで済むように鍛えてやろう」

 

「どこでや……」

 

一夏の言葉をラウラが唐突に遮った。

 

「はっ、お前のくだらない特訓など嫁には必要ない。嫁よ、出なくていいぞ。私がみてやる」

 

「なっ!? 私は一夏に言っているんだ!」

 

「うるさい剣道娘。お前に何ができる。実力もないくせに出しゃばるのも大概にしろ」

 

「わ、私の何が気に入らないというんだ」

 

「前々からお前のすべてが気に入らん。まだISが兵器だと理解していないのか? ISはスポーツではないと何度言えば分かるのだ。アラスカ条約が何だ? そんなもの役に立つか。戦場で正々堂々など存在するわけがない。愚か者め」

 

「お前の考えは歪んでる!」

 

「ならばお前の考えは抜けているぞ、間抜けだ。少しはIS操縦者としての自覚を持ったらどうだ? 戦いで、まず死ぬのは間抜けと決まっているからな」

 

「…………」

 

「分かったなら消えろ。お前を見ていると腹が立つ」

 

「このっ!!」

 

さすがに鈴が止めに入った。

 

「はいはい。ラウラ、落ち着きなさい」

 

「落ち着いている。私はただ嫁の為に言っているのだ」

 

「そう。……篠ノ之も、ここは堪えてくれる? あんたも騒ぎを大きくしたくはないでしょうし」

 

「……分かった」

 

箒はラウラを睨みつけると周りの視線が気になったのか、足早にその場を去っていった。

 

「な、何か険悪な雰囲気だったけど大丈夫かな、一夏」

 

「さぁ? 藪蛇はごめんだから、とりあえず様子をみるかな。ところでダイヤの9を止めてるのは誰だ?」

 

どこまでもマイペースな一夏であった。

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

部屋に戻るために廊下を歩くシャルルと一夏に女子生徒の熱い視線がついてゆく。二人の共同生活は3日目に入る。特にこれと言って大変なことはなかった。

 

「よいしょっ……はぁー、今日も疲れた疲れた。お疲れさん、っと」

 

部屋に戻り、上着も脱がずにベッドにダイブした一夏にシャルルは笑ってしまった。

 

「あはは、一夏、親父くさいよ」

 

「いいんだよぉ。疲れてるのは本当だからさ」

 

「紅茶でもいれようか? ミルクティーとかどうかな?」

 

「お、悪いな。頼む」

 

「うん。ちょっと待っててね」

 

シャルルは後ろめたさを感じてた。

友達、仲間、この単語が出るたびに心がチクリと痛む。そんな気持ちを必死に抑え、シャルルは学園生活を送っている。

一夏や鈴、ラウラがこういった言葉を多用することも原因の一つかもしれない。

 

二人が和んでいると、ドアがノックされた。

 

「一夏、ちょっと……」

 

「鈴か。シャルル、悪い少し出てくる」

 

「あ、うん。いってらっしゃい一夏。ミルクティー用意して待ってるよ」

 

「あぁ」

 

鈴は一夏を連れ、人気の無い屋上へと向かった。

 

「あんた、あの二人どうするの?」

 

「ん?」

 

「とぼけるんじゃないわよ。無関心なフリしてたけど、ちゃんと考えてるんでしょ?」

 

一夏は屋上の中央付近に作られたベンチに腰掛けた。鈴は立ったままベンチの背もたれに寄りかかり、一夏に背中を向ける。

 

「別にどうこう言うつもりはないぜ?」

 

「…………」

 

「結局、あの二人の確執だからな。お互いの意見の違い、俺はたまたま、その対立の原因を作ってしまっただけだ。もしかしたら、お前だったかも知れないだろ?」

 

「つまりあんたは関係があるようで、根本的には無関係だと……。だけど、二人が関わる原因を作ったあんたにも、それなりの責任があるんじゃないの?」

 

「だから気づかせてやるんだよ。まったく的を射ていない、根本から噛み合っていない二人の確執を。上辺だけの理解じゃ駄目だ。本当に心からじゃないと。その機会も近いうちにあるしな」

 

「学年別トーナメント……」

 

「ご名答」

 

「計算高い男は嫌われるわよ?」

 

「かっこいいだろ、普通」

 

「どーだか」

 

「計算高い女は好かれるのか?」

 

「当然よ。ま、協力はしてあげるわ。あいつには、ちょっと言いたいこともあるし」

 

「言いたいこと?」

 

「秘密よ」

 

「まぁいいけどさ。……上手くお膳立てしてくれよ」

 

「任せなさい」

 

月明かりが二人を照らし、風が吹き抜けた。

 

「そろそろ戻るわよ」

 

「へいへい、友達思いの鈴音ちゃん」

 

「んなっ! あたしは……そ、そういうのじゃないわよ!」

 

「おー照れてる照れてる」

 

「照れてない! 別にラウラが心配だとか、どこか放っておけないとか全然思ってないから!」

 

「あれ、俺はラウラとは一言も言ってないけどなぁ」

 

「〜!!? せいやっ!!」

 

鈴の蹴りが一夏の右脇腹にクリーンヒットした。

 

「ごはっ!?」

 

あまりの痛さに腹を押さえて一夏はうずくまる。

 

「あ〜ら。計算高い男が地べたに這いつくばって悶絶する姿を見れてせいせいしたわ! じゃあね、バカ一夏!!」

 

「うごごぉ……ふ、不条理だ……」

 

いや、今回は鈴の性格を知っていてからかった一夏に非があるといえる。

 

一夏はしばらく動けないでいた。こんなとき優しく手を差し伸べてくれる人を彼は知っている。

 

「助けてぇーー、こぉしぃみぃずぅさぁーーん!!!」

 

だが、残念なことにその人はこの場にはいなかった。

 

「小清水さぁーん!! 痛いよぉ〜」

 

だから、いないってば。

 

「大声を出したら脇腹に、さらに痛みがぁぁぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京某所の、とあるBAR。

 

「…………?」

 

「ん、どうした?」

 

小清水の手が止まっていたのを珍しく思ったのかオーナーが質問した。

 

「あ、いえいえ。……誰かに呼ばれた気がいたしまして」

 

「虫の知らせか?」

 

「まぁ、大丈夫でしょう。あのお方たちならば」

 

「そうか。なら、いいんだ」

 

「あ、それとオーナーさん」

 

「何だい?」

 

「わたくし、今週いっぱいでお暇しようと考えております」

 

「やっぱり辞めるのか……」

 

「ええ」

 

「なぁ、考え直さないか? あんたなら十分この道で生きていける! それにまだ店にいて欲しいんだ。あんたの作る酒を飲みにくるお客だっている」

 

「ははは、せっかくのお誘いですが、私は何の取り柄もない、ただの使用人でございますゆえ。それに、こんな私を必要としてくれるお方がいますから。そちらへ行かなくてはいけません。いろいろとお世話になりました」

 

小清水は深々と頭を下げた。

 

「そうか。なら、しょうがないな……。よし! 今日はもう店仕舞いだ!」

 

「えっ?」

 

「酒だよ、酒。嫌だとは言わせないぞ?」

 

「はい、お付き合いいたします」

 

なぜ、こんなにも人間が出来た人が三夏の使用人なのか、それは未だに謎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス対抗戦。

一回戦、第二試合。

 

「あー、やっぱりつまらーん! つまらん、つまらん、つまらん、つまらーん! ガキどもの試合など見ても意味がなぁーい!!」

 

首にナフキンをつけ、両手にフォークとナイフを持った三夏が叫ぶ。

 

「我儘もいい加減にしてくださいよ、博士! こんなものまで用意して」

 

「こぉーんなことでもしないと、やぁってられないねぇー! 嫌なら食べなければいい」

 

「不本意ですが、いただきます!」

 

「食べたいのなら素直に食えばいいのだ、素直に!」

 

「とっても不本意です!!」

 

モニタールーム。

そこには不釣り合いなテーブルが置かれ、その上にはフレンチが並べられていた。

 

グラスを傾けながら三夏が文句をたらした。第一試合を杉山によって強制的に観戦させられた彼は機嫌が悪かった。

 

鈴、ラウラ、一夏、シャルルの姿もある。各自、料理を楽しみながら正面の大モニターに映るオルコットの試合を観戦していた。

 

杉山は若干、不満気な表情だ。シャルルに至っては戸惑っているように見える。

 

「……うぅぁ〜」

 

一夏が顔を顰めて小さく唸りながら、ぎこちなく椅子に腰掛けているのを見て、心配したシャルルが声をかけた。

 

「どうしたの? 昨日から辛そうだけど。怪我でもしたんじゃ……」

 

「大丈夫だ、俺はこのくらいでは倒れない! 不条理など屁でもない!」

 

あれを不条理とは言わないと思うが、それを知らないシャルルは頭にハテナマークを浮かべた。

 

「? 何だか知らないけど大丈夫そうだね」

 

「そうだとも! 見てみろ! この通りピンピンして、のおぁぁー!? 脇腹がー!」

 

「一夏!?」

 

その姿に鈴が笑を堪えていたのは誰も知らない。

 

「自業自得よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして。それぞれが試合の感想を述べている。

 

「相手も意外に頑張るわねぇ。瞬殺かと思ってたけど」

 

「あぁ、よくもっている方だな。それなりに特訓でもしていたんだろうな。ま、付け焼き刃だが」

 

「しっかし、あのお嬢様は容赦ないな。あんなのと俺は戦ったのかよ。よく勝てたもんだ……」

 

「嫁よ、不意こそ突いたが、お前の操縦は中々だった。少しは誇ってもいいと思うぞ」

 

「というか食事しながら観戦って……いいのかな? 美味しいけど」

 

試合が始まって10分ほど。セシリアは早くも全力を出している。前回の一夏との一戦からの反省だろう。

試合はセシリアの優位に進んでいた。当然と言えば当然であるが。

 

「もうじき決着がつくな。私は戻る」

 

「ちょっと! みんな頑張ってるんですから見てあげてくださいよ!」

 

「しぃるぅかぁ! 私が見たかったのは専用機だけだ」

 

「あたしは全部見てくわよ。さすがにこれだけじゃ見応えないから。あんたたちは?」

 

「俺も見てくよ」

 

「ぼ、僕も」

 

「どうせ暇だからな、見てやろう」

 

モニターに映るセシリアは相手の力量を見極め確実に追い詰めていた。

 

「終わったな……」

 

「ああ。オルコットの勝利だ」

 

「予想通りね」

 

その場にいた誰もが、もう試合は終わりかと思った刹那、アリーナの天井が吹き飛び、凄まじい轟音と衝撃が走った。

 

「な、ななな……博士! 何が起きたんですか!?」

 

「うるさい、私が知るわけがないだろう」

 

爆発の黒煙が収まった、そこには全身装甲の黒いISが鎮座していた。赤く光っている目が不気味だ。

 

アリーナ内の二人は目の前の出来事に動揺し、動けずにいた。

 

全身装甲の黒いISが、そんなことはお構い無しに攻撃を始める。セシリアは何とか避けられていたが、もう一人にビームが直撃しISが強制解除された。生徒は気絶してしまったのか動かない。セシリアは慌ててその生徒を守るように立ちはだかった。

 

「ちょ、まずいんじゃないの?」

 

「早く助けに行かないと!」

 

「落ち着けよ、みんな」

 

「嫁の言う通りだ。それに、今の我々にできることはない。アリーナ全体に高レベルのロックがかかっている。おそらく、あのISの仕業だろう……」

 

ラウラがコンソールをいじりながら言う。

 

「は、博士ぇー! 何とかしないと!」

 

「はぁ……だから我々にはどうしようも無いだろ」

 

杉山たちが狼狽える中、三夏は冷静に端末を操作していた。

 

「なら、このまま何もしないで黙って見てるんですか!? ロックを解除してくださいよ! できるんでしょ!?」

 

「それでは時間がかかりすぎる。状況は一刻を争うようだならな」

 

黒いISはゆっくりとセシリアに近づいてゆく。

 

「じゃあ、どうすればいいんですか。何もできないなんて……」

 

「そうだ、我々には何もできない。だから、できる奴がやればいい。……そうだろう?」

 

『あぁ、そうだな』

 

一夏の問いに答えて端末から声が流れた。織斑千冬の声が。

 

 

 

 

 

 

 

ザンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

またもや何が起こったのか分からなかった。

 

ほんの何十秒のできごとだ。

一瞬と言ってもいいだろう。千冬がアリーナのシールドを破壊し、黒いISを両断するまで。

 

モニターには真っ二つになった侵入者と、生身でISのブレードを持った千冬の姿が映り出されていた。

 

「お見事だ。さすがブリュンヒルデ。……しかし、まさか生身で倒すとは。凄まじな」

 

三夏は笑みを浮かべて拍手をおくる。

 

『生徒の生命を守るのも教師の役目だ』

 

千冬は短くそう言っただけだった。その顔はどこか安堵していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくもここまで叩き壊したものだぁ本当にお見事だよぉー」

 

「すまない、加減ができなかった。私も焦っていたからな」

 

笑いながら嫌味を言う三夏に千冬は軽く謝った。

 

「でぇ、朝ドラヒロインズ何か分かったかな?」

 

「その言い方やめてもらえませんか?」

 

「そうですよぉ」

 

「やかましい。さっさと報告したまえ」

 

「「…………」」

 

「はぁやぁくぅー! ポンコツヒロインどもめ!」

 

「損傷が激しくて、大したことは分かりませんでした! これでいいですが!?」

 

「役立たず一号が! 次!」

 

「コアも壊れていて解析不能でした。登録されていないコアだということしか……」

 

「よし、お前は役立たず二号だ!」

 

「「ひどい!!」」

 

三夏に対し抗議をしていた二人だったが、杉山が真面目な表情になった。

 

「でも、無人機で良かったですね」

 

「は?」

 

「いや、だって人が乗ってたら確実に死んじゃってましたよ。博士も千冬ちゃんも知ってて破壊したんじゃ……」

 

「知るわけないだろぉ。あの一瞬で分かるわけがない」

 

「し、知らないで攻撃したんですか!?」

 

驚愕する杉山。

 

綺麗に真っ二つの無人機。千冬には絶対防御すら通用するのか疑問である。まさに彼女は規格外だ。

 

「そうだ。仮に有人機だったとして、操縦者が死んだとしても我々に罪は無い。正当防衛だ。あのままでは生徒が死んでいた。IS学園の教師とはどんなことをしてでも生徒を守らなければいけない。子供達の命も大切だが、この学園には何人もの留学生がいるからな。最悪、国際問題になり国家間の争いになるかも知れない。そう言った事態を防ぐ。それが義務であり役目だからな」

 

「……そういうことです、杉山さん。でも、あなたの言ったとおり無人機で良かった、本当に……」

 

真耶は口を開かなかったが、きっと同じ気持ちなのだろう。

 

「それにこんな玩具を作れる奴は一匹しかいない、ぜぇたいにぜぇったい叩き潰してやる!」

 

「……倍返しですか?」

 

杉山が尋ねた。

 

「甘ーい! ぬるぅーい! やられたらやり返す! あのクソ兎には数百数万いや、億倍返しだ!!」

 

後日、アメリカ上空を飛行していた人参に追尾型ミサイル数百発が発射されたのだが、それはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい、兄さん。あのネタは、すでに前に使わなかったか?」

 

「知らん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず、次は学年別トーナメントですね……。

どうも無駄話に走ってしまうなぁ。いかん、いかん(汗)

シャルル君がシャルロットちゃんになるのも、まだもう少し先ですかね……。


ではでは〜。



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