「凍結中」織斑さん家の奇妙な共同生活。   作:よし

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第4話

「博士ー!!大変です!!」

 

「あぁついに動いたか不思議の国のアリスめ」

 

三夏の研究室に駆け込みデスクに手をつき息を切らす杉山。

三夏はPCを見つめながら笑っていた。

 

つい数時間前に日本を射程圏内に収めるすべての軍事基地のコンピュータがバッキングされミサイル発射のカウントダウンを開始していた。

 

「どうしてこんな……」

 

「まさかこんな暴力的な行動に出るとはなだが宣伝には十分か。ふっいいだろう戦争じゃー!」

 

近くにあったゴルフクラブを銃のように構え射撃の真似をする三夏。

その姿はとても楽しそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をするんですか?」

 

三夏はPCを極秘回線へ繋げ凄まじいスピードでタイプしはじめた。

 

「アリスの目的はISの最強神話を創りあげることだカウントダウンを開始しているミサイルは2341発だが日本を射程圏内に収めるミサイルは2341発よりはるかに多いなぜ2341だと思う?ミサイルがあるのは基地だけじゃない海上を航行している艦艇に水中に潜む潜水艇その他もろもろを合わせれば2700から3000発くらいにはなるはずだろ」

 

「……何でです?」

 

「QをQで返すなバカつまり2341発が現段階でISに迎撃可能な数ということだだぁかぁらぁ私からプレゼントとして500発ほど追加してやろう」

 

「っ!?ダメですよ!!」

 

「うるさいお前は引っ込んでいろ」

 

三夏は杉山の静止を振り切りどこかへと回線を繋げた。

PCの画面上に黒い小窓が現れる。音声通話だ。

 

「予想どおり動きましたよろしいですね」

 

『あぁ我々への被害を最小限にとどめるのだ』

 

「では!」

 

三夏は事務的なやり取りを終えるとすぐさま通話を終了させた。

 

三夏がエンターキーを押すのと同時に日本へ発車されるミサイルが523発追加された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白騎士事件。

日本へ計2864発ものミサイルが発車された事件である。

突如として現れた白い騎士によりそのほとんどが迎撃されたが23発の迎撃に失敗。

ミサイルは使用されていない日本軍基地の使用されていない格納庫5棟に着弾し爆発炎上。

死者が出なかったことが奇跡であった。

 

「523発追加して取りこぼしがたった23発かなかなか頑張ったじゃないか白騎士君ーハハハハーー」

 

三夏は会社の研究室で陽気に新聞を広げて高笑いしていた。

 

「あの後、各国が白騎士を捕らえようとしたらしいですが返り討ちにされたそうです」

 

「それはそうだろーあれに今までの通常兵器は通用しないまさにゾウとアリの喧嘩だまったく世界の軍隊はバカぞろいだなー」

 

「これでISはどうなるんでしょうか……」

 

「まずバカ売れ間違えなしだろうな不思議の国のアリスはさっそく発表会をするだろう」

 

「え!?」

 

「何をそんなに驚く?私はプレゼントを贈っただけで売り込みの邪魔は一切していないんだ当たり前だろ。だがしかしISの最強神話は成立しなかった今はそれで十分だいいかこれは私への戦争だ売られた喧嘩は買うそして勝つのは私で負けるのは篠ノ之束だっ!」

 

「……人を指ささないでください」

 

「これからの世界をよく見ておくといい力を手に入れた愚かな女たちの創る世界をそしてそれが崩れるときの絶望を」

 

「ところで白騎士っていったい誰なんでしょう?やっぱり束ちゃん本人なのかな?」

 

「知りたい?」

 

「知ってるんですか!?」

 

「おおかたの見当はついてるさー知りたい?ねぇ知りたい?知りたい?」

 

「はい!」

 

「教えなぁーい」

 

「博士ー!!」

 

子どものように憎たらしい笑みを浮かべる三夏に杉山がキレたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変な騒ぎがございましたなぁ」

 

小清水が織斑家の面々が座るテーブルに夕食の皿を並べながら言った。

すでに三夏は食べはじめている。

 

「いやぁまったくです本当に大変でしたあんな非道なテロが起きるなんて物騒な世の中になったものですねー」

 

すべてを知る杉山は三夏の白々しい態度に冷めた目線を送りながら食事をしていた。

 

「いやぁしかし白騎士さんという方はまさしく救世主ですな」

 

「かっこいいよね!俺もああなりたい」

 

小学生になり物心がつきはじめた一夏は一人称を俺に変えていた。子どもの成長は早いものだ。ちなみに千冬も無事に高校へ進学した。

 

「ヒーローか……」

 

「そうヒーロー!かっこいい!!」

 

まだまだ子どもであるようだが。

 

「まさしく私が嫌な純粋無垢なピカピカの小学生真っ盛りの一夏君いいかヒーローなんてものは特撮モノと少年ジャンプの中にしかいないモノと思え!考えてみろできすぎじゃないか?ミサイルテロにさっそうと現れた救世主だぞ?まさしく茶番だ三流芝居もいいところの自作自演だー」

 

「三夏兄どういうこと?」

 

「つまり白騎士をもテロの共犯ということだ」

 

「マジで!?じゃあ悪者なんだな!」

 

「そうだ悪だ最悪だ!!」

 

「俺が見つけ出してやっつけてやる!」

 

「それは無理だからやめておけ」

 

「ぶぅー」

 

二人の会話に千冬の表情がどんどん暗くなっていくのを三夏は横目で観察していた。

 

「お口に合いませんでしたかな?」

 

小清水が心配したように声をかける。

 

「え?あ、違います!えっと…そうだ!ちょっと兄さんに相談というか…その……」

 

千冬は明らかに焦ったように話題を変えた。

 

「何だねー言ってみたまえ」

 

「高校を卒業したら…ISに関わる仕事をしたいんだ。ISの操縦者とか……」

 

「大学に行かずにか?」

 

「まだ分からないけど両立する自信はある」

 

「なら勝手にしたまえそれにそれならむしろ好都合だISの大会にでも出場して勝ちまくり賞金をがっぽがっぽ稼ぎまくりたまえそうすれば君の私への借金の完済は早まるだろうそれが済んでしまえば私と君たちの縁は終わりだやっと解放される」

 

「俺はずっと三夏兄と一緒でもいいけどなー」

 

「気色悪いことを言うなホモかお前は」

 

「ち、違ぇよ!そういう意味じゃない!」

 

「どうだかなー」

 

「本当に違うからな!!」

 

「私にそんな趣味は無いがお前にその趣味があるのなら今すぐこの家から追い出してやる」

 

「違うつうのーーーー!!!!!!バカ兄貴ーーーー!!!!!!」

 

一夏は食後のミルクティーを半分ほど残し自分の部屋へと走って行ってしまった。

三夏は悪びれた様子もなくいたって普通に食事を続ける。

 

「騒がしいやつだな」

 

「兄さんあまり一夏をいじめないでくれ」

 

「いじめではない私なりのスキンシップだ言わばこれは愛情なのだーははははーー」

 

感情がこもっていない棒読みな三夏の言葉。

 

「はぁ……」

 

千冬はため息をつくしかなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月曜日、朝10時。

 

三夏は珍しく会社の外に出て辺りをぶらぶらしていた。ちょっとした気分転換だろう。

そしてそこでドレスを着てウサ耳を付けた人物と出会った。

 

白衣を着た天才とドレスを着た天才の距離は徐々に縮まりついにゼロになった。

 

某人気コーヒーチェーン、スター◯ックスのベンティカプチーノを飲みながら三夏はその人物とすれ違いざまに話す。

 

「大将自ら来るとはなそれにその服装は何だ?不思議の国のアリスなのか不思議の国のアリスに登場するウサギなのか?紛らわしい格好だなどっちかにしたまえ欲張りめ」

 

束の右眉が釣り上がり睨みが鋭くなった。

 

「うるさい、横分け野郎。ミサイルを増やしたのは君だよね?」

 

三夏も眉間にシワを寄せて束を睨んだ。

 

両者の空気がある言葉をきっかけにさらに険悪なものへと変わった。

 

「さぁねーなんのことだかサッパリだそれにその物言いもしかして君があの事件のテロリストかなー?あの三文芝居は実に滑稽だったー近年稀に見る駄作だそしてあの兵器の性能は最悪だー私ならすべてを迎撃できるね」

 

「ISは兵器じゃない!あれは束さんの夢なんだ!みんなで宇宙へ行くための!」

 

「いーや兵器だねそれも欠陥品の三流兵器だ。なぜあんな大それたことを仕出かした?自分の夢ならひっそりとやればいい話だろ結局お前は名声が欲しかっただけなんだ世界を面白おかしく動かしてみたかっただけだこのつまらない世界を自分が望むように変えたかっただけなんだお前はただの自分勝手なクソガキだ。それとその落ち着きのない服をどうにかしたまえ。不愉快だ」

 

束の体がピクリと一瞬だけ震えた。

 

「……織斑三夏、必ずお前を地獄に落とす」

 

「やってみたまえ自称天才の不思議の国君、私に勝つなど300万年早い。返り討ちにしてくれるわ」

 

篠ノ之束はなにも言い返さずにその場から去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「平和団体の島津さんでしたっけ?なんの御用ですかー?私はあなたたちみたいに暇ではないんですがー?それに苦情なら部署違いですよ?」

 

三夏は紅茶の注がれたティーカップを持ち足を組んでふてぶてしい態度で言う。

目の前には深妙な面持ちのハゲ頭で小太りの男。

 

「あんたの社長に本人に直接言えと言われたんだ」

 

「ちっあのヒッキーめ」

 

「単刀直入に言わせてもらう。もう兵器を造るのはよしてもらいたい。科学技術を平和のために使って欲しい。武器からは何も生まれない生まれるのは憎しみだけだ」

 

「はー論外だー杉山君お帰りだそうだー」

 

この手の輩に三夏は取り合わないことにしている。

憲法が改正されてからは似たような苦情や訴えが何度もくるようになったからだ。

いちいち相手にしていてはきりがない。

本当にいい迷惑であると三夏は思っていた。

 

「何だと!」

 

「いいですかー武器から生まれるのは憎しみの他に抑止力、秩序ですつまり平和だあなたのお子さんやお孫さんが今なにも考えず鼻たらして生活できるのはこの武器による平和があるからだそれともう一つ憎しみは戦いを生み金を生むあなたの老後はその金で賄われる紛争地域など知ったことじゃない本人たちが勝手にやってるんだやらせておけばいいそれに首を突っ込みやれ平和だ平和だとほざくのはただのお節介だ私たちは欲しいと言われたから売ってるだけなんですから」

 

「詭弁だ!」

 

「詭弁はどちらですかー?平和だ平和だと連呼している無知なあなたよりよっぽどマシではないでしょうか?」

 

「科学技術の進歩だとか言ってやってることをは死神じゃないか!!」

 

「科学技術の発展はいつでも戦争と共にあった!とくに今日の私たちの生活があるのは二つの大戦争があったからに他ならないそれを否定するのであれば今から服を脱げ!靴を脱げ!テレビを見るな!車に乗るな!一生裸で竪穴式住居で生活しろ!杉山君今度こそ本当にお帰りですもうここへは二度と来ていただかなくて結構」

 

もう島津は何も言わなかった震える拳を震わせて乱暴にドアを開けると足早に出ていった。

 

「あの人の言うことも一理ありますよ」

 

杉山がテーブルに置かれたまったく手のつけられていない紅茶を下げながら杉山がそう言った。

 

「どこがだー私には平和にボケる痴呆症のクソジジイの能書きにしか聞こえないがね」

 

「もう少し道徳的な……」

 

「お前の頭は本当に馬糞ウニでてきているんだな武器に道徳を求めてどうする豆鉄砲で撃ち合ってゴボウで斬り合うのか?バカバカしい」

 

杉山はため息をつきながら部屋から出て行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

ローラー付きの大きな旅行カバンを持ち肩からはリュックを下げた千冬が織斑家の玄関を開けた。

 

「頑張ってください鯛を焼き赤飯を炊いてお帰りをお待ちしております」

 

「まだ勝ったわけじゃないですよ小清水さん」

 

「ははは、そうでございました。ご武運を!」

 

「はい!」

 

千冬に杉山と一夏も声をかける。

 

「頑張ってね!あなたなら必ず勝てるよ!」

 

「千冬姉ファイト!!」

 

「ありがとう二人とも」

 

後一人がいない。

千冬も諦めているようで声には出さない。

まだ朝の7時だ。どうせ寝ているのだろう。

 

「ふぁ……」

 

「に、兄さん!?」

 

千冬が出ようとしたそのとき二階から三夏がおりて来た。

一同が驚いた顔になる。

 

「やっぱり博士も父親役としての自覚が出てきたんですね」

 

「は?」

 

「もお〜照れなくてもいいですよ〜」

 

「私が寝ている床下を突き破って朝から不快な朝ドラ臭がぷんぷんと臭ってきたんだ嫌でも起きたさこれは公害だ!お前の朝ドラ臭は私を不快にし私の健康を害し私から健全な生活を奪う!よって損害賠償を要求する」

 

「な、なんですかそれ!私は払いませんからね!!」

 

「だいたい何だあなたなら絶対に勝てるよ?根拠も無いことを言うな!もっと理論建てて考えてから物を言えと何回言ったら分かるんだこのポンコツヘッポコ三流科学者の朝ドラヒロインめ」

 

相変わらずの様子に小清水、一夏、千冬の三人は呆れて笑ってしまった。

 

「兄さん……」

 

「何だ」

 

「行ってきます」

 

「あぁ行ってこいそして必ず優勝し受け取った賞金の60パーセントを私に納めるのだ」

 

「はは…了解。勝ってくる」

 

玄関のドアが閉まり。千冬は織斑家を後にした。

残された三人がなおごり惜しそうな雰囲気を出す。

 

「さぁ小清水さんコーヒーを煎れてくれたまえ朝食はそうだ…久々にフレンチトーストがいいな蜂蜜たっぷりでお願いします」

 

「承知しました」

 

「さぁ私は朝シャンだー!覗きに来るなよ朝ドラー」

 

「だ、誰が覗くもんですか!」

 

「はは…三夏兄はいつでも変わらないね」

 

「はぁ…そうだね……」

 

そして千冬は第一回IS世界大会モンド・グロッソに出場するため。遠いドイツの地へと一人日本を旅立って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




地の文が少ない……orz
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