限界突破、ジュ―ド君   作:ラーマイオン

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第三話

 

 吹っ飛ばした兵士から服を剥ぎ取り服の上から着込む。侵入するのだから変装ぐらいはしておかなければな。裸で下水道にあの兵士を放っておくことに罪悪感が少しあるが俺を殺そうとし人だしどうでもいいや。

 

 そのまま下水道を抜け梯子の前に立っていた兵士を油断した瞬間に気絶させ上の階に行く。上の階では物々しい雰囲気であった。周りを見渡し近くにいた兵士に話しかける。

 

「何があったんですか?」

 

「侵入者だよ。金髪の女性だ。兵士を火の精霊術を使っていた」

 

「そうなんですか」。かなり危険ですね」

 

「ああ、だから見つけたら一人で戦うのではなくて仲間を呼ぶようにな」

 

「了解です」

 

 あいつだ。一緒に浸入したやつだ。あいつバレルぐらい暴れるなら正面から行けばよかったのに。

 

 とにかくハウス教授を探さねば。

 

 不審がられないように色々な部屋を探索していると光のない真っ暗な部屋があった。この部屋は他の部屋とは一線を画すような不気味さがあった。

 

「なんだこの部屋?」

 

 中に誰か人がいるらしいので近づこうとした瞬間、暗さに目が慣れた俺の視界がハウス教授を姿をとらえた。ハウス教授はガラスの筒の中、液体の中で苦しそうに何かを呟いている。

 

「ハウス教授!?」

 

 驚きながらもすぐにガラスの筒を破壊してハウス教授を助け出す。

 

「ハウス教授、何でこんな目に合っているんですか!?」

 

「だ、ま、さ、れ。す、まんジュ―、ど、君」

 

「騙されたってどういう……」

 

 詳しく聞こうとした瞬間ハウス教授は灰になるように消えた。恩師の死という物に驚いていると電気がついた。そこにはさっきのハウス教授と同じような状態の人々がたくさんいる。

 

 まさか、国が人体実験をしているってことか? ハウス教授も騙されたって言ってたし。こんな馬鹿げたことがあってたまるか!

 

 国に対して怒りを募らせていると上から女性に声をかけられた。

 

「おいおい、侵入者ってあんたなの? 見ちゃったんだ」

 

「おそらく別人だ。それよりここでは一体何をやっている?」

 

「あはぁー、その顔、その恐怖した顔たまんない」

 

「おい、会話しろよ」

 

「何をやっているかなんて知る必要は無いよ。あんたはここで死ぬんだから」

 

 女は言うと同時に飛びかかって来た……が

 

「残念ながら俺は死に場所はここをえらぶつもりはない」

 

 女の武器を人差し指と中指で挟むように受け止める。

 

「な、離せ!」

 

「お前はいろいろ知ってそうだから全部吐いてもらうぞ!」

 

 そのまま左手で鳩尾を殴る。ただの攻撃ではなくマナを溜めての一撃なのでかなり痛いはず。

 

「がっ!」

 

「恩師が殺されたんだ、容赦するつもりは無いぞ」

 

「ちっくしょう! 舐めるな!!」

 

 女が叫ぶと女の周りに炎が燃え上がり始める。

 

「てめぇだけは絶対にぶっ殺してやる!!」

 

「やってみろよ」

 

 どちらが先に動くか睨みあっていると部屋の入口が開いた。相手の動きに注意しながら見てみると最初に出会った金髪の女性がいた。俺の侵入のハードルを上げた女である。

 

「ふむ、この状況からして私が倒すのはそっちの女だな。イフリート」

 

『任せろぉ!』

 

 開いた口がふさがらないとはこのことだろう。イフリートは四大精霊の一つ、火の精霊であり、それを使役できるのは元素えお司るマクスウェルだけのはず。だが今はそんなことはどうでもいい。俺が言いたいのはイフリートが火の攻撃をすると思っていたら普通に殴り飛ばしたのだ。

 

 イフリートォ、お前、せめて火の関係の攻撃しろよ。

 

 俺が軽く失望していると金髪の彼女は俺に話しかけてきた。

 

「探し人は見つかったか?」

 

「残念ながらここにはもういなかったよ。そういうお前さんは?」

 

「私の方はまだだよ。それでお前は今からどうするんだ?」

 

「少し気になることがあるが一先ず帰るよ」

 

「そうか、ん? 分かったぞイフリート。すまないがこのまま一緒に来てくれないだろうか?」

 

「どうして?」

 

「イフリートがお前にビビビと来たらしい」

 

 ビビビってなんか古臭い響きだな。しかし、この施設、敷いては国でやばい研究が行われているのは事実だ。しかもハウス教授の関係者なら俺も狙われるかもしれない。ここは着いて行ってもいいはず。

 

「いいよ。乗りかかった船だ。最後までいくよ」

 

「ああ、よろしく。私はミラだ。ミラ・マクスウェル」

 

 やっぱりマクスウェルなんだ。

 

「俺はジュ―ド・マティス、よろしく」

 

 俺たちは握手して部屋を出たのだった。

 

 こいつといたら変装の意味無いな。

 


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