『妖怪の賢者』八雲 紫。
彼女は幻想郷を愛し、人を愛した。
だが…いや、
『やり過ぎた』
「致命傷じゃ無いからセーフ!」
アウトですね。分かります。
「…さて、今日も行くかな」
私は箒に跨がり、魔力を放出。
箒に茸由来の魔力が流れフワッと宙に浮く。
「私の~♪朝の~♪日課~♪其・の・一 ~♪」
口ずさみながら博麗神社へ。
霊夢は縁側に座っていた。何時ものように。
「お~~~~っす!霊夢!」
「…魔理沙?また来たの?」
「まあな!」
着陸。
風が吹き荒れる。
ざっざっと歩き、霊夢の前まで行く。
「昨日は元気だったか?私は元気だったぜ?」
「そりゃあねぇ。てゆうか昨日も夜遅くまで一緒に居たじゃない」
「あっはっは!そうだったかな?あっはっは!」
「何が可笑しいのよ」
「いや、何も?」
霊夢の横にどっかと座り、そっと霊夢の手をさする。
「何よくすぐったいわね、毎日毎日。そんなに私の手が欲しいならあげるわよ?」
「あはは、そんなこと言うもんじゃないぜ?」
「でもねぇ」
「私には必要ないし」
「…そんなこと、言うもんじゃ、ないぜ」
「だってそうじゃない。別に悲観してる訳じゃ無いけど…使えないんじゃ意味がないもの」
霊夢は目が見えない。
「だからって…」
「昔は『勘』でどうにかなったけど、その『勘』も最近鈍ってきたし」
霊夢は匂いが分からない。
「……でも…!」
「魔理沙」
何も見えない目で、私を見てくる。
「辛いなら、ここに来なくても良いのよ?」
「……。……なんだ、全然『勘』は鈍って無いじゃないか」
「かもね?」
霊夢の手を握る。
前は…ほんのちょっと前は、霊夢だって普通に暮らせてたのに。空飛んで、弾幕撃って、妖怪退治だってしてたのに。
「悲しいなら泣けば?私は見えないし」
「…泣くのは心の中だけで充分だぜ」
「あっそ」
こうなったのは、全部あいつの…八雲 紫のせいだ!
~○~○~○~○~○~
「へくちっ」
「…何で今日に限ってそんな可愛らしくくしゃみしてるんですか、紫様。何時ものように豪快に」
「それ以上言ったら潰すわよ、藍?」
「…失礼しました」
私は八雲 紫よ。『妖怪の賢者』と呼ばせているわ。
「まだ悩んでおられるのですか?」
「悩む?違うわ。ちょっと違う。賢者は悩まないのよ」
「ならば……後悔、ですか?」
「大正解。正解した藍ちゃんにはこの油揚げを差し上げましょう」
「元から私のものですよ、それ」
「大正解。正解した藍ちゃんにはこの油揚げを差し上げましょう」
「天丼は止めてください。死んでしまいます。賢者が」
「私が!?」
はぁ、下らないわね。自分のプログラムした式と話し合う程詰まらない事は無いわね。
予定調和。決まりきった運命。見えている未来。
どれもこれも、永く生きる妖怪には暇潰しにもなりゃしない。
「魔理沙様に謝ってきたらどうです?」
「なんであの子に?霊夢に謝りこそすれ、魔法使いに謝る義理は無いわよ?」
「そうですか?」
「えぇ。そもそも、謝って許すと思う?あの子が?」
無いわー。有り得無いわー。
「霊夢には謝ったんですか?」
「勿論。こちらの…いや、私のミスですもの。でもつっぱねられたわ。『あの程度を避けきれなかった私が未熟なのよ』ってね」
「はあ、如何にもと言うかなんと言うか」
「あの子らしいわよね?」
あんまりにもグータラしてた霊夢。それを見かねて不意打ちで弾幕ごっこを仕掛けたのだけど……不意打ちの一発が、まさか霊夢の顔面に当たるなんて思って無かったわ。
そして、それのせいで目と、鼻が故障するなんて。
「ねえ、藍?」
「何でしょうか」
「…新しい巫女、探した方が良いかしら」
「それは…」
「貴女の考えと、幻想郷を前提とした考え、両方聞かせて?」
「…幻想郷の平和の為ならば、即刻新しい巫女を探すべきです。今代の巫女は残念ながら武力を失いました。今は皆、今代の巫女と顔見知りなので異変を起こす気配は有りませんが、また外の世界から来たものが暴れたら…その時は博麗の巫女の信頼が失われる可能性が有ります」
「そうね。貴女個人の考えは?」
「……。余りにも、霊夢が不憫です。自らの失態で戦闘能力を失うなら同情の余地は無いのですが…」
「貴女の主人のせいだものねー」
「えぇ」
…あー、ふざけるタイミングじゃなかったわね。
ゆかりん間違えちゃった、てへ!
「どうするのですか?」
「んー。そうねぇ」
大体は藍の言った通り。新しい巫女を探すべきなのだけど、目が見えないのと鼻が効かない以外は普通に
むしろ目が見えない事を免罪符にしてグータラしてそうだけど…そこまでふてぶてしく無いと思いたいわ。
あの日から二週間たってないぐらい。そろそろ腹をくくる必要があるわね。
「……はぁ。しょうがない。あの魔法使いに怒られるのは嫌なんだけど……藍」
「はい」
「これから少し、『外』に行くわ。留守番よろしく」
「かしこまりました」
~○~○~○~○~○~
「と、言うわけで。ねぇ、貴女この世界から逃げてみない?」
「な、何を…?」
「良いのよ良いのよ。遠慮しないで?『魂』が見えちゃうんでしょう?」
「!?」
「名前も知ってるわよ?
「…もしかして、あの時の!?」
「何を指して『あの時』と言ってるのか分からないけど、貴女の母親の事なら、えぇ。その通り」
「っ!」
「良い
「……」
「髪の毛が白いと言うだけで虐められるのでしょう?濁った魂しか見たこと無いのでしょう?」
「違う!お母さんは濁って無かった!」
「そうかしら。まぁ、良いわ。それで、こっちに来る?それとも一生をこの腐った世界で暮らす?」
「……私は…私は…!」
「行くわ。お母さんを見殺しにした貴女に復讐するために!」
寝起きに考え付いたネタ其の二。
続けるとしたら一話目と二話目はシリアス、その後は基本ギャグテイストになるかなぁ?
ギャグ苦手だから『やる気を無くした』。
元から続けるつもりが無いだけだけど。