というわけで今お母様の部屋の前まできてます。深雪姉さんと穂波さんと一緒にです。はい。
深雪姉さんが一歩前に出て扉をノックした。
「お母様、今よろしいでしょうか?」
一拍おいて部屋の中から澄んだ綺麗な声が返ってくる。
「ええ。入りなさい。」
中からそう返ってきたので「失礼します」と、一礼して部屋に入っていく。
いつも思うのだがこの人本当に三児の母親なのかと見紛うほど綺麗である。あの艶やかな黒髪もこの人の美しさに拍車をかけている。この人を見ていると将来は深雪姉さんもこんな美魔女になるのかと考えてしまう。えっ?俺はって?俺、黒髪じゃ無いです。金髪です。隔世遺伝ってやつですよ。曾祖父さんや曾祖母さんが外国人だったのでは?と疑っている。まぁあり得ない話では無い。海外から優秀な魔法師を四葉家に引き込んだのだろう。と俺は考えている。べ、別に俺だけ黒髪じゃないからって寂しくなんて無いんだからねっ!なんてバカな事を考えていると話が勝手に進んでいた。
「では深雪さん、操祈さん。しっかり魔法を学んできなさい。」
ほら、話が終わってる。全然聞いてなかった。まぁそこまで深く考える必要も無いだろうと結論付け「失礼しました」と一礼し部屋から出て行く。静かに扉を閉めると穂波さんから声がかかる。
「では今日から魔法を学んでいきましょう!」
やる気満々である。深雪姉さんもはやく魔法を使いたいとばかりに目をキラキラ輝かせている。かという俺もはやく魔法を使ってみたくて仕方ないのである。だから元気よく答えるのである。
「「はいっ!」」
(そろそろ深雪さんや操祈さんに魔法を教え始めなければいけないわね)
と深夜が考えていた時に部屋にノックの音がなった。
入室を許可すると深雪と操祈と穂波の三人が部屋に入ってくる。すると深雪が口を開く。
「お母様、お願いがあるのですがよろしいでしょうか?」
この子はあまりお願いごとを口にすることがないので珍しいと感じ先を促す。
「魔法を学びたいのですがお母様の許可がいただきたいのです。」
そう深雪が続けると穂波もそれに援護するように口を開く。
「私もそろそろこの子達に魔法を教え始めるにはいい頃だと思います。」
少し考えるそぶりを見せ三人に目を向ける。深雪は真剣な、穂波は懇願するような、操祈はぼーっとしたような目でこちらを見てくる。
そろそろ魔法を教え始めようと思っていた事なので丁度いいと思い了承の旨を伝える。
「ええ。分かったわ。許可します。」
すると操祈以外の二人は目を輝かせてとても喜んでいた。態度には出さないように抑えているようだが顔が緩んでいるので丸わかりである。
「では深雪さん、操祈さん。しっかり魔法を学んできなさい。」
そう言うと「はい」と返事をし退室していった。
そして深夜はおもいなやむ。
(達也さんは特定の魔法以外実用的に使う事のできない欠陥があったけれどあの二人にはそのような事が無いように願うしか無いわね。)
そう思いながらこれからの事に思いを馳せていた。
四葉家本家はとても広い。それもそのはず四葉家は情報を隠匿するため人材を外にあまり出さない。すると訓練や魔法の練習も情報を守るために四葉家の敷地の中でやるしか無いのだ。つまり訓練するための施設はそれなりにあるという事だ。その内の一つの訓練場に俺たちは来ている。
「では今から魔法について基礎的な事を教えて行こうと思います。」
そう言い穂波さん説明を始めた。俺と深雪姉さんは聞き逃さないようにその話に集中する。
「魔法とはかつて「超能力」と呼ばれていた先天的に備わる能力が「魔法」という名前で体系化されたものです。そして魔法は(加速・加重)(移動・振動)(収束・発散)(吸収・放出)の四系統八種に分類され、これらは系統魔法と呼ばれています。」
穂波さんは一度話を区切りちゃんと俺たちが話を理解できているか確認しながら話を続ける。
「また先程説明したものと異なる手順でおこなう魔法の技術も存在します。それらは現代魔法に対して古式魔法と呼ばれています。あなた達が今から学ぶのは現代魔法なので古式魔法の事はあまり気にしなくていいです。」
すると穂波さんはおもむろにCAD(術式補助装置)を取り出した。
「これは私達魔法師が魔法を使うための補助装置 CADと呼ばれるものです。」
CADを俺たちがよく見えるように指し示し
「これが無くても魔法を使う事は出来るのですが、魔法を発動するのに時間がかかってしまいます。それはあまり実用的では無いという事でこれが開発されました。」etc…
等とたくさん説明を受けた。すると穂波さんは思い出したかのように語りだした。
「四葉家の人間は系統に特化した所謂特異魔法を使う魔法師が多くいます。現当主の真夜様しかり奥様しかりです。因みに奥様は精神系統の魔法では並ぶものはいないと言われているそうですよ。二人に奥様の子ですので魔法が遺伝しているかもしれませんね」
冗談交じりに穂波さんが嘯いた。その話を聞いて俺は不意に自分の「操祈」という名前がよぎった。いや、まさかなと思いつつ自分があの第5位様と同じ能力持っていたなら四葉家の元となった第四研究所の研究の集大成みたいなものであり次期当主まっしぐらである事間違いなしなのではないかという考えに至った。当主=結婚まったなしの図式が頭に浮かび、もし万が一にでもしいたけさんの能力が発現したら何としても隠し通そうと、もしばれても記憶を改竄する事も辞さない気持ちでいようと心の中で密かに誓った。