こんな物が読みたい : Fate/ と オーバーロードのクロスオーバー 作:144283
割烹に投げ捨てるつもりでしたが、字数制限故に
理由は後書き
2017/9/25 : 匿名投稿を解除して、お気に入りユーザー限定公開に変更。
理由は後述。
DMMO-RPGと呼ばれる仮想空間体験型のオンラインRPGが一世を風靡していた頃、その中でも日本国内で最も有名とされているゲームがあった、
その名を『
そんなゲームでも栄枯盛衰という言葉があるように衰退し、やがてはサービス終了を利用ユーザーに通知し始めた。
◆
「今日という最終日にあのアインズ・ウール・ゴウンに攻め入る?」
そんな突拍子のない話にユウヅキと呼ばれるプレイヤーは疑問を呈した。 そんな話をしたのは依然交流のあったプレイヤーであるMakiGaiであった。
MakiGaiはかつてアインズ・ウール・ゴウンに攻め入ったときに完膚までに叩き潰されてから、打倒しようと考えていた廃プレイヤーたちの一人である。
今日はYGGDRASILがサービスを提供する最終日であり、今日の23:59までしか遊べない。 MakiGaiは自分が挑んで敗れたアインズ・ウール・ゴウンに負けっぱなしでは安心して引退できないということなのだろうか。 ユウヅキはそんなことを考えながらもユウヅキ自身はそういった計画には非常にナーバスであった。
「うーん、でも自分は戦闘向けではないからさ」
ユウヅキが語る戦闘向けではないという発言。これにはしっかりと理由が存在している。
YGGDRASILには二千を超える
そんな職業の中で人気を誇ったのがどんな種族に関わらず、戦闘職であった。逆に人気がなかったのが補助職とされている。
現在、話している二人の職業はMakiGaiが戦闘職でありユウヅキは補助職であった。具体的に言うならばファイターを主体とした近接戦闘職のプレイヤーがMakiGaiであり、符術師や秘術師を主体とした補助職プレイヤーがユウヅキであった。
アインズ・ウール・ゴウンに挑むとして補助型プレイヤーが戦闘しなくてはならない状態に陥った時にピンチになるのがユウヅキにとって目に見えていた。
しかし、近接戦闘職のMakiGaiとしては補助職が居れば態勢の立て直しがやりやすくなる為、ユウヅキを誘ってアインズ・ウール・ゴウンに挑みたいのである。
お互いの考え方がかみ合わない以上、MakiGaiとユウヅキの意識の差が明確に出るのは致し方ない事実であった。
「一緒に行こうぜ?」
そんな訳でMakiGaiが頼み倒しているのをとある事情で無碍にはできないユウヅキは自分の陣地に寄るという条件でしょうがなく彼の要求に応えることにしたのだった。
◆
ユウヅキの陣地にはMakiGaiも何度か入ったことがある。ユウヅキが出した条件に了承したのはせっかくなので最終日ユウヅキの陣地がどうなっているか気になったからである。
一般的にYGGDRASILではソロプレイヤー向けの救済処置が存在している。これはギルドのしがらみにとらわれたくないユーザーが運営に要望した結果のことであり、ソロプレイヤーには自分専用の陣地を生成することが許可されていた。
陣地と言っても一般的なギルドと機能的には変わりがない。というのも陣地というのは通称で実際には家のようなものであった。
こう考えてみるとギルド組むメリットがないように見られるが、ギルドはギルドで人員的にソロプレイヤーでも優位に進めることが可能であるから、既存のギルドから特に不満が出るわけでもなかった。
そう、ユウヅキはソロプレイヤーなのである。 一方でMakiGaiはギルドに所属している。 ソロとギルド、お互いの所属が真逆である状況の彼らが協力し合っている理由はただ同時期に始めたプレイヤーであったということである。
YGGDRASILにおいて戦闘職が人気が出る一方で補助職が人気があまりないことは前述の通りだが、戦闘職にとってはその貴重な補助職を修めているプレイヤーとのコネクションが重要であることは自明の理であった。
ユウヅキにとってはMakiGaiの存在はありがたかった。MakiGaiも個人で活動する際にはユウヅキの補助がありがたかった。お互いに両立した関係であったといえる。
そんなMakiGaiがユウヅキの陣地に入ったとき、彼はユウヅキが相変わらずであること感じ呆れた。 ユウヅキの陣地にはNPCが沢山いたのだから是非もないのだが。 少なくとも個人が持っていいNPCの数ではない。
そのNPCの造形はかつて存在していた日本のゲーム会社のキャラクターを踏襲していた。 例えば『スカサハ』と設定されたNPCは全身が紫色のタイツといえる奇抜な姿であった。
そういう訳であるから、MakiGaiも再現に余念がないと感嘆するものの今日が最終日であるというのになぜ立ち寄ったのかわからなかった。 確かに再現できてはいるのだが、肝心の武器がないのである。 ユウヅキが過去に語っていたのは紅い槍だったかとMakiGaiが考えているとユウヅキはとあるものを取り出した。
それはYGGDRASILでも最も影響力があるとされているワールドアイテムの一つだった。
「おいおい! それってワールドアイテムじゃねえかよ!」
MakiGaiがユウヅキに声を掛ける。そんなMakiGaiを見るために自慢げな表情をしたままユウヅキはそのワールドアイテムを見せびらかす。
「いいでしょ? 譲ってもらったんだ最終日だからって」
そんなユウヅキの様子を見て、MakiGaiはそのワールドアイテムの詳細が気になって仕方がないようで、ユウヅキにそのワールドアイテムの効果を聞くことにした。
「それどんな効果あるんだっけか?」
それに対してユウヅキは自慢げな表情を崩さずに
「これはNPC限定でどんな道具でも生成できちゃうってヤツなんだよ」
と答えた。 ワールドアイテムの中でもNPCに特化したものは複数存在するが、これはその中でもチートと言える存在であった。 しかし、このワールドアイテムで生成したアイテムを利用できるのは設定した対象のNPCだけである。
そんなわけで今まで作ってきたNPCに対して、専用の武器を設定していくユウヅキを遠目でみるMakiGaiは早くアインズ・ウール・ゴウンに挑戦したくて仕方ないという様子であった。
そして、最後のNPCに設定したユウヅキを無理やり引っ張っていくようにアインズ・ウール・ゴウンの挑戦口に連れていくのであった。
◆
23:15――サービスが終了する45分前に彼らはたどり着いた。
ユウヅキはNPCたちの設定に時間がかかりすぎたかとMakiGaiに謝りつつもMakiGaiに補助魔法や符術を掛けて、アインズ・ウール・ゴウンの本拠地であろう洞窟の中に入った。
一方でMakiGaiは挑戦するということがやりたかったのか、ユウヅキに対してそれほど不満はなかった。 あくまでも勝つということにはこだわっていなかった。 きっと、MakiGaiの中であの時の決意から数年経った為に変わってしまったのだろうと彼自身が考えていた。
サービス終了で逃げられるのは癪だと彼自身も考えていたが、あの時の敗北は完膚なきものであったからだろう。
二人は洞窟内のある程度進んでみるが、罠が発動する気配が感じなかった。 変だなとお互い顔を合わせる。 入る場所を間違えたかと思い戻ろうとしたその矢先であった。
「よくぞ来た。侵入者達」
その声はアインズ・ウール・ゴウンに所属している者だろうと何となく二人は分かった。
◆
アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターであるモモンガは異形種である。 種族が
その洋装、豪壮な漆黒のアカデミックガウンを基軸とし、形容しがたい程の強度を持った金属のプロテクターが肩の機動部分を保護するように付いていた。そして元のエルダーリッチから派生した職業であることを納得付けさせれられるローブはまさに死の支配者として驕りもない姿と言える。
そんなモモンガが侵入者に気付いたのはヘロヘロと別れた直後に入ったシャルティアの一報である。 侵入者を知らせるその伝はヘロヘロと別れた後のモモンガにとっては傷心を軽減させる良い話であった。
最終日にやってきた侵入者を讃えるようにモモンガはすべてのトラップを停止させた。最後の侵入者と対面式に会いたかったという感情の裏返しなのだろうか。 どちらにせよ、その感情はモモンガにとってはどうでもよいことであった。
モモンガは侵入者に語りかける。
「よくぞ来た。 侵入者達」
と。モモンガは続けて話した。
「最終日が故に慈悲やろう。 小細工は無しだ。 全階層のNPCを打倒し我が元に辿りつくがいい」
しかし、モモンガはうっかりしていた。侵入者は二人に対してNPCはその10倍以上存在している。 そんな中でトラップを停止させただけでたどり着くであろうかと。
◆
アインズ・ウール・ゴウンに全トラップを解除してもらうという慈悲は貰ったもののNPCの強さが並大抵のものではなかった。 回復薬はまだ残っているが、シャルティアと呼ばれるNPCとの闘いである程度の状態異常を受けていた。
AIの特徴を突いてシャルティアから逃げ切った後、ユウヅキがMakiGaiに対してある程度の回復をさせたものの、それで安堵で出来る状態ではなかった。
それに加え、その後にガルガンチュアと呼ばれるNPCのゴーレムを動けない状況にしてきたばかりというのに闘い方でMakiGaiの相性が最悪な上にアインズ・ウール・ゴウンにおいて攻撃力の高いNPCであるコキュートスとの闘いで二人は力尽きようとしていた。
「ま、楽しかったんじゃねーの?」
MakiGaiはユウヅキに見えるように笑いアイコンを出した。 彼は満足していた。 自分の打倒せなかった存在に最後に挑むことができたのだから。 その直後、コキュートスの強烈な一撃がMakiGaiに炸裂する。 回避する手段はなかった。
MakiGaiが倒れた。 ということはつまりユウヅキにとってこの状況は詰みである。 攻撃手段がほぼない状況でどうやってこのNPCから逃げ切ればいいのか分からなかった。
現在の時刻は23:54であるから、あと6分逃げ切るだけである。 6分である。
しかし、時間を確認したその瞬間にコキュートスは間を詰めていた。 ユウヅキが防御強化のスキルを使うが間に合わなかった。 スマイト・フロストバーンの一撃でユウヅキもまた力尽きた。
◆
ここで運命のいたずらが起きる。
ユウヅキが力尽きた後に復活する為に準備を始めたが、復活に必要な時間はおおよそ5分。 つまり復活の瞬間にサービスが終了するということになる。
次に力尽きた場所がアインズ・ウール・ゴウンという点。 モモンガがYGGDRASILというゲームを超えて、異世界に転移するきっかけとなった場所である。
この状態で復活するとどうなるのだろうか?
◆
話は変わり、漆黒の剣と呼ばれるチームがモンスター討伐の任務に向かっている最中のことである。
彼らは普段からチームで活動しており、任務を受ける際には必ず一人も欠けないように行動している。 そんな彼らが討伐の任務を遂行しようと目的地に向かう途中にそれはあった。
いや、それというのは失礼に値する。 そうそれはまさしく……人であった。
「人が倒れている!」
開口一番にそう発言し、黒髪の倒れている人のところに向かう仲間からはルクルットと呼ばれている人物は仲間のペテルやニニャ、ダインが気付く前に走り出した。
倒れている人物の姿は軽装であった。 灰色のマントが特徴的であるが、そのマントの下にある赤い服装は装飾が施されたボタンやブーツの様な履物、それに腰に付けられた小さな鞄。ルクルット自身にも服装は良い物だろうとわかる代物であった。 つまり高位な魔術師の一人だろうと考えられた。
「大丈夫か?」
ルクルットが倒れていた人物の顔を2、3度
「ええ、大丈夫です」
と立ち上がった。 その様子を見て遅れてきたペテルやニニャは安心して息をはいた。 その様子を見て安心したルクルットであるが、後ろから突然声を掛けられた。
「すいません」
目の前の黒髪の人物は申し訳なさそうな表情をしていた。 ルクルット自身にも介抱の件なら別に思うところはない。
「はい、なんでしょう?」
彼は介抱の件なら気にしなくていいだろうと返答しようと考えていたその矢先、
「ここはどこです?」
場所が分からないという旨の発言を彼がしたところで遅れてきた漆黒の剣のメンバーも含めて皆、あぜんとした。
◆
何かに叩かれた。 力尽きた後の復活待機までの間、力尽きたときに来る場所で待っていたはずである。 ここでふと気づいた。 いつの間に自分は意識を失っていたのだろうと。
静かに瞼を開けると金髪の誰かが見ていた。 その瞬間に自分の意識は覚醒する。 目の焦点があい、鮮明となっていく。
自分に対して声を掛けていた人物の洋装はまさしく最近は死語となったチャラ男と言っても過言ではなかった。 金髪の短髪と長髪の境といえそうな髪型にアクセントっぽい赤いカチューシャ。 茶色の瞳は瞳孔を小さくしていた。 改めて表情を見れば心配そうに見ている。
訂正。 YGGDRASILの世界であるから普通だった。 むしろいい人だろう。
「大丈夫ですか?」
そんな彼から心配をしている旨の言葉が出てきたので、自分も思わず
「ええ、大丈夫です」
と声を掛けた。
最後の復活の時には残念ながら自分の陣地に戻ってこられなかったのだろうと考えた。 サービスが終了して――…………あれ?
なぜ、自分の部屋じゃないんだろう? わからない。 YGGDRASILでもこんなマップはあっただろうか? それになぜ自分はここにいるんだろうか?
そんなことを考えていると介抱してくれた人物の仲間が近づいてきたようである。 詳しく聞いてみなければならない。
「すいません」
仲間のほうを見ている彼に声を掛けた。 申し訳ないが混乱しているので致し方ない。
「はい、なんでしょう?」
笑顔で彼が振り返った。 この様子なら問題ないだろう。 YGGDRASILがひっそり次のサービスでも始めたのだろうかと考える。 その点を踏まれば新しいエリアに移転したのかとも納得がいく。 であるからしてGMからの連絡がないのは不自然だが、サプライズなのだろう。
「ここはどこです?」
新エリアのマップ名が言われることを期待して…………期待したのだが?
「…………まさか、変なことでも聞きました?」
遅れてきたと思われし人物たちと先ほど介抱してくれた人物がほぼ同じ表情をしていたものだから自分も驚いた。
◆
「なるほど、罠に掛かってしまったんですか」
「ええ」
漆黒の剣のリーダーであるペテル・モークはユウヅキと名乗る人物が陥ったトラブルに関して同情しつつも励まそうと難儀している。
洞窟を探索中に変な罠引っかかってここに飛ばされたのだろうと黒髪の人物は語った。 しかし、ペテルは何か隠し事をしているのではないだろうかと考えていた。 先ほどからその人物の表情が優れないからだ。 見知らぬ土地に飛ばされたショックからかもしれないが、それにしては少々深刻そうな表情をしている。
それに冒険者特有のプレートをしていない。 洞窟を調査しているとするならばそれは冒険者として活動したほうがやりやすいからだ。 それに何かしらの発見をすれば組合から報奨金が出ることもある。
その点を踏まれば不審すぎるくらいだ。 そういうことを考えていたペテルであるが、ここでどこから来たのか確かめてみるために地図を渡してみることにした。
「ユウヅキさんはどこの洞窟へ居たのですか?」
そう言ってユウヅキに地図を渡してみる。 ユウヅキは地図を受け取ってしばらく見ていたが、首を傾げながら地図をペテルに返した。
「載ってないです」
「載ってない?」
ルクルットが驚いたように首を傾げた。ペテル、ニニャ、ダインも所作は異なるものの意味合いとしては同じ反応している。
この辺の近場の地図では載っていない場所からやってきたということになる。 この近場ではないというのならどこからやってきたのだろうか?という疑問がルクルットに浮かんだ。
「どうしよう……」
ユウヅキは戸惑った。 その理由としてまずは読めない地図。 ユウヅキの知る言語――日本語ではないということはここが日本でも、読めない言語をサポートするはずのUIが出なかった。 この時ユウヅキにとって最大の悩みどころだったといえる。
「もしかして、野営したことないんですか?」
ニニャがそう発言したのはユウヅキが見知らぬ土地からやってきたことを配慮した結果からであった。
「いえ、そうじゃないんですけど……」
ユウヅキはそう言って腰に付けた自分の鞄を漁っている。 様々なものを取り出しては戻したりを繰り返している。 そうしてある物を取り出した後、それをペテルに渡した。
「この金貨をご存知ですか?」
その金貨こそ、YGGDRASILで使われていた硬貨である。 ペテルはそれを見てもどこの国の金貨かわからなかった。 ニニャ、ダイン、ルクルットも同じような反応をした。
「知らないであるな」
そう発言したのは最後に金貨をみたダインである。 かなりがっしりとした体格のダインは金貨をユウヅキに返した。 ここでペテルが困ったような顔をした。
「どうしましょう?」
ペテル自身もどうすればいいのか分からなかった。 見たこともない金貨を見て遠く離れた地からやってきたのは明白であった。 ダイン、ニニャもまた考えていた。
そんなときである。 ルクルットが発言したのは。
「じゃあ、しばらく一緒にいますか?」
いつもは軽い発言が多いルクルットであるが、やるときはやる男である。
「良いと思いますよ」
とにこやかに話した。 ダインも困った人は無視できない性分なのかうなづいた。 ペテルがユウヅキの方を改めて見た。
「ありがとうございます!」
ユウヅキにとっては渡りに船であり、断る理由など存在しなかった。 ユウヅキは漆黒の剣についていくことにした。
◆
アインズ・ウール・ゴウンのモモンガが転移したことに気付き対応に難儀している頃、とある場所でも大きな変化があった。アインズ・ウール・ゴウンが管理していたNPCに意思が出来ていた様に例外は存在しない。
そうそれはユウヅキが管理していたNPCにも同様の現象が起きていたということである。 そのNPC達はユウヅキが居ないということに気付き各々で話しあっていた。
「まさか、こんなことになろうとはな。 私も鈍ったものだな」
語るは影の国の女王という設定が与えられたNPCである。 影の国の女王であるこのNPCは原作でも強者の立ち位置にあっただろうとユウヅキは考え、高レベルになっているNPCの一つである。
「それよりさぁ、ここどこだよ」
影の国の女王の憂いに反応したのは全身鎧の頭の部分、つまり兜を布で磨いている騎士であった。 騎士は窓の外の景色を見ながら自分の疑問を吐露した。 気付けば自分のプレイヤー、NPCの彼女たちからすればマスターの建物はマスター不在のまま見知らぬ街の中にあった。
「わからん」
「だよなぁ」
そうして語り合う二人であった。 マスターを探しに行くのも
原作ではそういったフットワークの軽さに定評のある二人なのだが、今回ばかりはNPCである。
だからこそ、マスターから権限が与えられていない彼女たちは動くという考えがなかった。 不測の事態が陥るまでは。
「すいません」
外から扉を叩く音がした。 騎士が兜を付け自らの宝剣を腰に携え、外からの来訪者の対応に当たろうとした。 扉の窓から照らされる姿は人ではあるが、未知の世界の人物であるため警戒に越したことはないだろう。
「はいよっと」
扉の前の人物が襲い掛かってくるのを考えて静かに扉を開ける騎士。 目の前にいたのは壮年の男性であった。鋭い目つきに灰色の口髭、天然パーマなのか盛り上がった髪の毛。
そんな特徴的な姿を見た騎士はその鋭い目つきや立ち方にそれなりの強さを持った人物であると同時に、相手が丸腰であることに気付く。
「誰だ?」
「私はプルトン・アインザック。 この街の組合長をしている。 この家の管理者と話がしたい」
騎士はここで相手がこの異世界の人物であるということに気付いた。 危うく手を出しそうになったが、抑え込んだことが功を奏した。
「悪いんだけど、出かけてんだ」
マスターが行方不明であることを相手に悟られては困るNPCは誤魔化した。 出かけているという回答はどうかと思われるが。
そのことを知ってか知らずかアインザックは自分の目的を騎士に向かって話した。
「昨日まではなかった建物があると報告を聞いてきたのだ」
騎士は納得した。 不審な建物がいきなり現れればそうかと考える。
「あぁ、わりぃ。 わりぃ」
騎士が軽い調子で返答した。騎士にとっての素であるから仕方ないことなのだが、それでも様々な相手をしてきたアインザックにとってもきにすることでもなかった。
「ちょっとゴタゴタしててだな。 ゴタゴタが終わったらもともと顔出さなきゃいけないところに出すつもりだったんだよ」
「む、そうか」
アインザックは何かしらの手段で建物を移してきたが、荒れているのだろうと考えた。
もちろん怪しい人物の可能性もあったが、建物をわざわざ人目に付く場所に移すのだろうかという謎もあった。 故に保留にした。 いざとなれば冒険者も街にいることだから問題ないと考えた。
しかし、怪しい人物の可能性も0ではないことから様子を見に来た。 いきなり切りかかってくる可能性もあったが、それは町民に扮した冒険者が待機していた故に問題ないと考えた。
「邪魔したな また後でくることにする」
「悪いなおっちゃん」
言葉を交わす二人。 アインザックは立ち去った。
◆
「今の者は……大したことはないな」
そう語るは影の国の女王。 傍観に徹していたが、自分を殺しうる相手かどうか観察していた。
「お前を簡単に殺せる奴なんかいんのかよ?」
騎士は思った疑問を目の前にいる影の国の女王にぶつけた。 顔を覆った兜からもそれとなく疑問視している顔が目に見えるだろう。
「そんなに変なことか?」
素で殺せる者がいると考えていた女王の発言である。 その発言に騎士は先ほどよりさらに呆れてこういった。
「自分のマスターより強いのによく言うぜ」
そんなNPC達が動き出すのにはまだまだ時間が掛かりそうだった。 今はまだ重要なピースが足りていない。
そのピースが嵌め込まれるのはそう遠くはない。
没理由:
◆サーヴァントの宝具問題
ワールドアイテムに解決させようとしたけど、そもそも存在がチート。
(没ネタの方ではワールドアイテムに制限を掛けてますが、なんか納得くできそうなネタじゃない)
(16/10/19)>聖者殺しの槍とかいうぶっ壊れよりかは大したことがないと判断。
◆サーヴァントの願い
聖杯は出せないので、五行相克、あるいは
(16/10/19)>NPCであるという設定を重視すれば問題なし?
◆主人公の補助職
難所。 サーヴァントを主体に主人公はその補助をするという役代わり。
Fateでもメインで戦うのはサーヴァントなだけに(5次キャスター組という例外もあるけど)
従来の立ち位置を尊重する。
……はずが、オーバーロードでは筆者が望むタイプの補助職プレイヤーは未登場の為、今後の扱いにも難儀。 でっちあげにも今後に影響しそうなので。
そんな訳で没。
解決すれば連載してもいいかなって感じだけどこれらの理由からチラシの裏に捨てます。
(2016/10/19) 一部改訂 不自然な部分を修正 やっつけ処理であったサーヴァントの下りを修正 1500文字も加筆していますが、連載するかはまだ不明です。 するとしてもチラシの裏のままだと思います。
(2017/09/25) 先のことを考えて、プロットを組んで放置していましたがどうも実力不足のようです。 今後、更新予定はありません。
同様の設定で誰か書ける方はいないものでしょうか?