ウルトラマンギンガX~幻想絆伝~   作:yun1

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第10話 絶望魔人異変の章

 ギンガとビクトリー、ダークケイオスの戦闘が続いていた頃、紅魔館の地下にある図書館ではパチュリーが魔法陣を展開していた。彼女の眼前には一枚のカードが浮遊しており、そのカードに眩い光とパチュリー自身の魔力を込めていく。カードが強い光を放つと、パチュリーは魔法陣を閉じた。その額には僅かばかりの汗が浮かんでいる。

「ようやく出来たわ。ショウの変身道具から出る光を分析して作ったスペルカード。名前は……そうね、光符(ひかりふ)『ウルトライト』といったところかしら」

 それを聞いて、傍で様子を見守っていた小悪魔が苦笑を浮かべた。

「何よ」

「パチュリー様、少し安直過ぎませんか?」

「うるさいわね。レミィの『不夜城レッド』や『全世界ナイトメア』よりはまともなつもりよ。それより、レミィ達は博麗神社に向かったのよね?」

「そうですが?」

 小悪魔の返答を聞き、パチュリーは思い詰める様な顔を見せる。

「それなら、私達も追いかけましょう。博麗の巫女じゃないけど嫌な予感がするわ」

「はい!」

 出来上がったスペルカードをポケットに入れると、パチュリーは小悪魔を連れ立って図書館から出た。その瞬間、ポケットに入れていたカードがキラリと輝いた。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 紫が黒と紫色の光に包まれ、光が巨大化していく。それを幻想郷の住人達とウルトラマン二人は呆然とした様子で見つめる。光が収まると、そこにいたのはダークケイオスに似た巨人だった。

 黒と紫の禍々しいカラーリングを基調とし、目つきは鋭く肩から胸の辺りまでにかけてある黒いプロテクターが邪悪な輝きを放つ。己の手を見つめた後、巨人はギンガとビクトリーの方を向いた。

『我が名はディスペア。ダークディスペア。絶望を司りし魔人。それが私だ』

 紫の声でそう告げた巨人。ギンガとビクトリーは住人達を守る様に前に出る。

「な、何よあいつ……?」

「あれが、紫……?」

 霊夢と咲夜が信じられない様に呟くが、それは他の者達も同様だった。特に紫から解放されていた藍は動揺の色が強い。

「紫様!」

 藍の声にディスペアが一瞬反応するも、すぐにギンガとビクトリーに向き直る。すると二人は光線を発射する構えを取っていた。二人のカラータイマーは既に点滅状態。そのため早期決着を図っての選択だった。

『ビクトリウムシュート!』

『ギンガクロスシュート!』

 二人の光線がディスペアに迫る。しかし、ディスペアは動かない。それどころかその雰囲気からは余裕が感じられた。

『無駄だ』

 次の瞬間、スキマがディスペアの眼前で開いてギンガとビクトリーの光線を吸収してしまった。驚いた様に顔を動かす二人。ほぼ間髪入れずに、吸収した光線がスキマから放たれた。

『くっ!?』

 ギンガは咄嗟にビクトリーの前に出てバリアを張る。しかし二つの光線を受け止めきるには強度が足りず、ひび割れてあっさりと破られてしまった。光線がギンガに直撃し、その衝撃で吹き飛ばされた。背後にいたビクトリーを巻き込んで。

『グアアアア!?』

『ウアアアア!?』

「ヒカル!?」

「ショウ!?」

 悲鳴をあげる霊夢と咲夜。魔理沙やレミリア達も大きく目を見開いた。

『ぐっ……まだ、だ……! おおおおお!』

 ビクトリーを助け起こしながら何とか立ち上がったギンガはカラータイマーの明滅が早まっている中ギンガスパークランスを手に取り、ディスペアに飛び掛かっていく。しかしディスペアはそれを嘲笑うかのように腕をパッと横に広げてエネルギーを収束した後、L字に組んだ。

『さようなら。ディスクロスシュート』

 冷たい紫の声が響いたかと思うと、紫色の光線がギンガを直撃し、再び吹き飛ばした。

『ぐうっ!? がっ、がああああああ!?』

『ヒカル!』

「ヒカル!?」

 ショウの声と霊夢や魔理沙、妖夢の悲鳴が木霊する中、ギンガは激しく地面に叩きつけられた。

『……オオオラァ!』

【ウルトランス! ハイパーゼットンシザース!】

 その様子を見たビクトリーが怒りを込めてウルトランスを発動する。するとその右腕がハイパーゼットンのものに変化し、怒りのままディスペアに迫っていく。それに対してディスペアは両腕で黒い炎の玉を作り出し、ビクトリーに放った。

『貴方も本当に頑張ってくれたわ……でも、ここまでよ。ディスペアバースト』

『グッ!? ……アアアアア!?』

 ビクトリーに直撃した火炎弾が爆発を起こし、ビクトリーを大きく吹き飛ばした。

「ショウ!」

「ショウお兄ちゃーん!」

 咲夜やレミリア、フランの悲鳴が響く中、ビクトリーはギンガの隣に倒れ込む。

『グ、ウ、ウ……クッ』

『う、あ、……っ』

 二人は懸命に立ち上がろうとするも、カラータイマーの点滅が止まって光が消え、両目の輝きも静かに消滅していく。二人は力尽きてその場で動かなくなってしまった。その光景に、住人達は信じたくないような目を見せる。

「嘘、嘘よね……? ショウ! 負ける事は許さないって言ったじゃない!?」

「お、お嬢様!」

 取り乱したレミリアを咲夜と美鈴が何とか支える。フランも呆けた表情でビクトリーを見ていた。

「起きてよ……ショウお兄ちゃん……起きてよ!」

 霊夢と魔理沙もギンガに向かって叫ぶ。

「何寝てるのよ……さっさと起きてアイツぶちのめしなさいよ!」

「ヒカルーーーー!」

 そこにディスペアが迫って来る。住人達は顔を見上げた。そして聞こえてきたのは紫の声ではなく、冷たい男の声だった。これがディスペア本人の声なのだろう。

『何度呼びかけても無駄だ。ウルトラマンは死んだ。あとはお前達だ』

 絶望した様に膝を付く霊夢達。彼女らに向かってディスペアは手をかざすが、その動きが急に止まった。

『何?』

 意外そうな声を上げるディスペア。何度力を込めても腕は動かなかった。そして聞こえてきたのは――。

『……させ、ない……! 私の愛する幻想郷……そこに住まう人達を死なせは、しない……!』

「ゆ、紫様!?」

 紫の声に藍が反応する。霊夢や魔理沙達も何が起こっているのか理解出来ないまま、ディスペアを見上げる。

「どうなってるのよ、これ」

「……もしかすると、あの巨人の中で紫が抵抗している?」

 霊夢が呆然と呟き、咲夜の推測にレミリアは目を見開いた。

「待って咲夜。それじゃあ、あのスキマ妖怪は自らの意思であの巨人になった訳じゃないって事よ?」

「と、とにかくあいつと距離を取りましょう!」

 美鈴の一言で皆が空中に飛び上がり、ディスペアと距離を作る。その間にもディスペアは何度も手を動かそうとするが、一向に動くことは無かった。

『……何故そこまで抵抗する?』

『当り前、じゃない。私が、幻想郷の賢者だからよ……幻想郷、そしてそこに住む人達のため、よ……!』

『なるほどな。だが、無駄なあがきだ』

『くっ!? ああああああ!?』

 紫の悲鳴が辺りに響き渡ったかと思うと、ディスペアが霊夢達の方へ振り向く。

『……待たせたな。お前達に更なる絶望を与えよう』

 先程の悲鳴、そして声がディスペアの声になっている事から、霊夢は紫が完全にディスペアに取り込まれたのだと勘づいた。そしてすかさず夢想封印をディスペアに向けて放ったが、ディスペアはそれをスキマで吸収して撃ち返した。

「くっ!? やっぱりそうなるのね!」

「おい! 何やってんだよ霊夢!?」

 撃ち返された夢想封印を各々が躱していく中、霊夢はディスペアを睨みつける。

「ヒカルが言ってたでしょ? 自分に出来る事をするって。それはこいつをぶちのめす事よ! 今私がやらなきゃ、誰がやるのよ! それこそ博麗の巫女の名折れじゃない!」

「……たまにはいいこと言うじゃない。霊夢」

 霊夢の隣にレミリアがやって来た。それを見た紅魔館のメンバーは目を見開く。

「お嬢様!?」

「お姉さまっ!」

「部下が倒れたら、主がその敵討ちをする。紅魔館の当主として当然の責務よ」

「お姉さまっ。それなら私も戦う!」

「妹様まで!?」

 美鈴が慌てふためくような表情でフランを止めようとするが、それより早くフランは姉の隣に浮遊する。それを見た咲夜はため息を吐きながら二人の傍に行く。

「さ、咲夜さん!?」

「お嬢様方が戦うというのなら、それを守るのが従者の役目よ。違うかしら?」

 咲夜の言葉に、美鈴も意を決した様に並び立った。

「それもそうですね。こうなったらやってやりますよ!」

 その様子を見ていた魔理沙は、大きく息を吐きながら霊夢の隣にやって来る。

「やっとやる気になった?」

「まあな。霊夢は私がいないと何にも出来ないし、ここは魔理沙さんがきっちりサポートしてやるぜ!」

「ちょっと、それどういう意味よ!?」

 霊夢と魔理沙が言い合いをしていると、ディスペアが容赦なく黒い光弾を放ってきた。それに気づいた咲夜がナイフを投げて相殺させる。それに構わずディスペアは黒い光弾を再度放ってくる。

「行くわよフラン! 私達姉妹の力を見せつけてやりましょう!」

「はい、お姉さま!」

 レミリアとフランが日傘を持ちながら同時に飛び、光弾を躱しつつディスペアに迫る。それをサポートする形で霊夢と魔理沙がそれぞれの攻撃を叩き込んでいく。

「『夢想封印』!」

「『マスタースパーク』!」

「『スピア・ザ・グングニル』!」

「『フォーオブアカインド』! からの『レーヴァテイン』! 粉々になっちゃえ!」

 霊夢と魔理沙、レミリアと分身したフランの攻撃がディスペアに迫るが、ディスペアはスキマでそれらを全て吸収し、撃ち返してくる。四人はそれを難なく避けていくが、フランの分身は反応が遅れて巻き添えになっていく。それでも四人は諦めずに弾幕を放っていくがスキマに全て吸収され、逆に攻撃される結果になっていた。

「弾幕じゃ全部こっちに跳ね返ってくるわ!」

「だったらこれで、どうですか!」

 美鈴が妖気を拳に込めて思い切りディスペアの顔面を殴りつけた。しかし、ディスペアは身動ぎ一つせずに美鈴を睨んだ。

「……ですよねー!?」

 美鈴は慌てて咲夜の許に逃げ帰ってきたが、それに続く形でディスペアがディスペアバーストを放ってきた。火炎弾は誰かに直撃する事はなかったものの、大きな爆風を起こしてその場にいた皆を吹き飛ばした。

「きゃあああああ!?」

 爆風に煽られ、飛ばされていく霊夢達。その熱によって服の所々が焼け焦げている者もいる。

「……く、まだ、まだよ!」

 霊夢がよろめきながら立ち上がるも、そこを狙ったディスペアがディスクロスシュートの構えを取ろうとしていた。

「っ!」

 思わず目を瞑る霊夢。しかし、光線が浴びせられることは無かった。

「水符『ベリーインレイク』!」

『何?』

 水柱がディスペアを包み込んだかと思うと、巨大な水牢がディスペアを閉じ込めた。全員が声のした方に振り返ると、そこには息を切らしたパチュリーと小悪魔がいた。

「パチェ!?」

「こあ!」

 レミリアとフランが二人の許に飛んで寄っていく。小悪魔の方は手でフランを制したが、パチュリーは現在進行形で大きな魔力を消耗しているためか、レミリアの肩を借りていた。

「な、なんとか、間に合った、わね……まさか本当にこんな状況になっているなんて思わなかったけど」

 パチュリーの言葉に皆が辺りを見渡すと、倒れているギンガとビクトリー、そして焼け焦げている森林が目に入ってきた。

「いきなりこれが役に立つ時が来るとはね」

 パチュリーが服のポケットからスペルカードを取り出す。

「パチェ、それは?」

「光符『ウルトライト』。ショウの変身道具から解析した光をこれに詰め込んでるわ。これでウルトラマンにエネルギーを供給できる」

 その言葉に、フランが食いついてくる。

「それって、つまりショウお兄ちゃんが生き返るってこと!?」

『させると思うか?』

 ディスペアが水牢を破り、パチュリー目がけて腕を突き出してくる。レミリアはパチュリーを抱えてその場から離れる。そしてディスペアの腕目がけて魔理沙がマスタースパークを放つ。動きを止める事は出来たが、やはりダメージは無い。

「……そもそも、あんたの目的は何なのよ!? 紫を利用して怪獣なんか呼び寄せて、この異変は何のために起こしたのよ!?」

 咲夜と二人でディスペアの放つ光弾を相殺しながら、霊夢がディスペアに向かって叫ぶ。するとディスペアは動きを止めて語り始める。

『幻想郷を消滅させるため』

「なんですって……」

『ここは忘れ去られた者達の理想郷だと言う。だが、そんな理想郷など存在する必要が何処にある? 忘れ去られた者は永遠に忘れ去られるべきなのが、本来のあり方だ。だからここを絶望に染め上げ、消滅させる。そのために我らは来た。中にいる女はそうはさせまいと一抹の希望をウルトラマンに託したようだが、それが余計に絶望に染まっていく要因になるとも知らず、無駄なあがきをするものだ。ウルトラマンが消えた今こそ幻想郷は滅びる時だ』

「ざけんじゃないわよ……」

 霊夢が肩を震わせながらディスペアを睨む。

「そんな勝手な理屈でここを消滅させる? ふざけんのも大概にしなさいよ!」

「そうね。幻想郷であった色んな事。それらを全て無かった事になんてさせないわ!」

 霊夢と咲夜の攻撃が激しさを増すが、ディスペアはどこ吹く風といった感じで払いのけ、逆に光弾を放つ。それが二人に直撃し、墜落していく。

「あああああ!?」

「あぐっ!?」

「霊夢!」

「咲夜さんっ!」

 それを魔理沙と美鈴が何とか助ける。霊夢と咲夜はそれでも諦めずに攻撃を仕掛けようとする。

『無駄なあがきを……』

「それはどうかしら? 日符『ロイヤルフレア』!」

 パチュリーの放った燃え盛る閃光がディスペアの眼前で爆発し、土煙を起こす。

『何処を狙っている?』

 ディスペアは呆れた様な声を漏らすが、レミリアはその攻撃の意図に気づいた。

「フラン、魔理沙! パチェと同じ様に攻撃するわよ!」

「お姉さま?」

「は? 何言ってんだよ?」

「いいから早くしなさい!」

 言いながらレミリアもグングニルをディスペアの眼前に投擲する。すると、再び爆発を起こして土煙が上がり、ディスペアの視界を遮る。それに続いてフランのレーヴァテイン、魔理沙のマスタースパークがディスペアの足元で爆発した。

「今よパチェ!」

「ふふ、流石はレミィと言ったところかしら? 光符『ウルトライト』!」

『何!?』

 パチュリーが飛び回りながら、スペルカードを掲げる。すると青い光がギンガとビクトリーのカラータイマーに照射されていく。土煙を払いのけ、パチュリー目がけて光弾を放つディスペアだったが、レミリアの弾幕がそれを防ぐ。ならばと伸ばした右腕は妖夢が飛び上がって斬りつける事で妨害された。

『貴様ら……!』

「私達じゃお前を倒す事は出来ない。けど、妨害くらいは出来るわよ?」

 レミリアがパチュリーを守る様にしながら、ニヤリと笑う。パチュリーが注ぎ込んでいる光は、全て二人のウルトラマンに照射された。

「これでもう一度、立ち上がって。ギンガ、ビクトリー」

 祈る様なパチュリーの声。じっと見守る霊夢達。すると二人のウルトラマンのカラータイマーに青い光が灯り、目の輝きも取り戻す。

「ヒカル!」

「ショウ!」

 霊夢と咲夜の声に応える様に、ギンガとビクトリーは立ち上がる。

『……サンキューな、みんな!』

『お前達の思い、確かに受け取った』

「ったく、心配かけさせんじゃねーぞヒカル!」

「いっけー、ショウお兄ちゃん!」

 そして再びディスペアに飛び掛かっていくギンガとビクトリー。それを迎え撃つディスペアは相変わらず余裕の構えだった。

『ショウラッ』

 ギンガがディスペアを殴りつけるが、ディスペアはそれを片手で受け止め、逆に投げ飛ばす。

『ぐあっ!?』

『ツェア!』

 今度はビクトリーが何度もディスペアを蹴りつけるものの、ディスペアは全てガードしていき、ビクトリーの足を払いのけると肘打ちをビクトリーの腹部に見舞う。

『ウアっ!?』

 よろめくギンガとビクトリー。ならばと二人同時に殴りかかっていくが、ディスペアは自ら開いたスキマの中に入って攻撃を回避し、二人の背後に現れてディスペアバーストを放った。

『うあああ!?』

『ウオアッ!?』

 火炎弾に吹き飛ばされ、倒れ伏すギンガとビクトリー。振り向き様に首を二人同時に掴まれ、持ち上げられていく。

『あ、が……!』

『ぐう……!』

 ギリギリと締め上げられていく二人。そしてディスペアは無慈悲に二人を投げ飛ばした。

『うわあああ!?』

『ぐううう!?』

 再び森林の中に突っ込んでいくギンガとビクトリー。その様子に霊夢達も焦燥感を覚える。復活してエネルギーが全快であるにも関わらず、歯が立たない事に。

「ヒカル!」

「ショウ!」

 霊夢と咲夜が悲鳴をあげる中、ギンガとビクトリーは立ち上がる。

『……強えな、こいつ』

『ああ……だが』

 強い決意を宿した表情で、二人はそれぞれの変身アイテムを掲げた。

『絆の強さなら、オレ達だって負けちゃいないぜ! 行くぜショウ!』

『ああ!』

『『見せてやるぜ! 俺達の絆!』』

 ギンガの中でヒカルが左手首に装着しているフュージョンブレスのレリーフを回す。そしてショウと同時に飛んで空中で回る。

『『ウルトラタッチ!』』

 フュージョンブレスとビクトリーランサーのリード部分を重ね合わせると、そこから強烈な光が迸った。

『ギンガー!』

『ビクトリー!』

 そしてその輝きの中でギンガとビクトリーが一つになり、新たなウルトラマンを呼び出した。

 顔つきはギンガ、体の色はビクトリーを思わせる赤と黒のカラーリング。身体のあらゆる箇所にあるクリスタルが輝き、神々しさを表す。

『『ギンガビクトリー!』』

 すっと身構えるウルトラマンギンガビクトリー。その構えからは、今まで無かった落ち着きを感じさせる。

『ジュワッ』

 ギンガとビクトリーの声を合わせた様な野太い声が響く。霊夢達はギンガビクトリーをじっと見上げる。

「ギンガとビクトリーが、一つになった……?」

『ショウラッ!』

 ギンガビクトリーがディスペアに向かっていく。ディスペアはそれを迎え撃とうと拳を炸裂させるが、ギンガビクトリーはそれをあっさりとガードし、逆に胸部を殴りつけた。それだけでディスペアは大きくよろめいた。

『グウッ……!?』

 その一撃の重さに、ディスペアは動揺した様な声を漏らす。間髪入れずにギンガビクトリーはミドルキックをディスペアに叩き込んだ。

『ハアッ!』

『ガハッ!?』

 またしてもよろめくディスペア。それが信じられないという様に、ギンガビクトリーを見やる。

『調子に乗るな!』

 自らを奮い立たせる様に叫び、三度ギンガビクトリーに向かっていくディスペアだったが、ヒカルはフュージョンブレスのディスクを回転させてウルトラマンコスモスの絵柄でボタンを押す。

『『ウルトラマンコスモスの力よ! フルムーンレクト!』』

 ギンガビクトリーが優しい光を右手から放出する。その光に包まれたディスペアは途端にもがき苦しみ始めた。

『が、あ、やめ、ろ……! やめろ……!』

 もがくディスペアの胸から光の玉が出てくる。それをギンガビクトリーが受け止め、藍の許にそっと渡す。その光の中から気を失っている紫が出てきた。

「ゆ、紫様!」

 藍は紫を抱えるが、紫は動かない。だが呼吸はしている事を確認した藍は安堵の表情を浮かべ、ギンガビクトリーに頭を下げた。ギンガビクトリーはそれに対して頷き、ディスペアに向き直った。

『これでお前は、紫の能力を使えない!』

『一気に決めてやる!』

 続けてヒカルはウルトラマンマックスの絵柄でディスクを止め、ボタンを押した。

『『ウルトラマンマックスの力よ! マクシウムカノン!』』

 左腕を掲げて光を集め、逆L字型に腕を組んで光線を放つ。直撃を受けたディスペアは大きく飛ばされ、地面に叩きつけられた。

『ガアアア!? グ、ウウ……!』

 よろよろと立ち上がったディスペアに対し、ヒカルはウルトラマンネクサスの絵柄までディスクを回転させる。

『『これで決める! ウルトラマンネクサスの力よ! オーバーレイ・シュトローム!』』

 両腕を交差させてガッツポーズをする様に前に持っていきエネルギーを収束させた後、両腕を大きく広げてL字に組んで光線を発射する。

『ディスクロスシュート!』

 対してディスペアもディスクロスシュートを放ち、二つの光線がぶつかり合う。一進一退のせめぎ合いを霊夢達は固唾を飲んで見守る。しかし、段々とギンガビクトリーの光線がディスペアの光線を押し始めていく。ディスペアは後ろに下がっていくも、それで避けられるはずも無かった。

 やがて完全にギンガビクトリーの光線がディスペアの光線に押し勝ち、ディスペアに直撃した。

『ぐああああああ!? おのれ、おのれええええ! ギンガ、ビクトリー、そして幻想郷の住人共! お前達は、必ずあのお方が……!』

 その言葉を最後にディスペアは分子レベルまで分解され、青い光の粒子となって消滅した。それを見届けてようやく光線の構えを解いたギンガビクトリー。その身体が光に包まれると、ギンガとビクトリーに分離した。

「か、勝った……のよね?」

「見て分かんだろ、勝ったんだぜ」

 霊夢の呆然とした言葉に魔理沙が応え。

「全く、主をやきもきさせるなんて従者としての心得を教える必要があるみたいね。咲夜、頼んだわよ」

「はい。ですが今は労ってあげましょう、お嬢様」

 レミリアの息を吐きながらの言葉に咲夜が苦笑しながら応え。

「やったー! ショウお兄ちゃん!」

「やりましたね妹様!」

 フランと美鈴が抱き合いながら喜びを爆発させ。

「……私はあの二人に感謝しかないわね」

「そうですね、幽々子様」

 幽々子と妖夢が胸を撫で下ろす様な表情を見せ。

「紫様、あの二人がやってくれましたよ……」

 藍は紫を抱えながら、彼女にそう語りかけた。

 そしてギンガとビクトリーは互いに拳をぶつけ合うと、その身体を輝かせながら消えていく。その後消えた地点からヒカルとショウが走ってくるのが見えた。皆は笑顔でそれを出迎えた。

「ヒカル!」

「ショウ!」

 霊夢と咲夜がヒカルとショウの傍まで行く。ヒカルはニヤリとサムズアップポーズを見せ、ショウはぶっきらぼうながらも、ふっと柔らかい笑みを見せた。

「帰ってきたぜ」

「ただいま」

 その一言が、戦いの終わりを告げる合図となった。――この時は、だが。




戦いが終わった後、紫の口からこの異変を起こしている黒幕の存在が語られる。それから数日後、博麗神社と紅魔館に新たな脅威が迫っていた――。
次回、宇宙帝王(笑)異変の章
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