ウルトラマンギンガX~幻想絆伝~   作:yun1

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オリジンサーガのアグルがとってもかっこよかったです(小並感)


第13話 サーベル暴君異変の章(後編)

 UPGライブベース内部。地上に到着したショウはサクヤと共にオペレーションルームに向かっていた。すると突然、空間が裂けるように開く。

「キャッ!?」

 サクヤはいきなりの現象に驚きショウの後ろに隠れるが、ショウにとってはもはや見慣れたものであるため、表情を崩さずに裂けた空間に向かって口を開いた。

「何かあったのか、紫?」

 すると空間の中から紫がぬっと出てきた。サクヤは表情を引きつらせていたが、ショウは無視して紫が口を開くのを待つ。

「ヒカルはいるかしら? また怪獣が現れたから戻ってもらいたいのよ」

「その怪獣は今暴れているのか?」

 すると紫は静かに首を横に振った。

「いえ、今はいないわ。二体いたんだけど、一体は貴方達とは別のウルトラマンが倒してくれたわ」

「別のウルトラマン?」

 ショウはこれまで出会ったウルトラマンの誰かが幻想入りしたのかと思案を巡らせるが、その答えはここで辿り着くはずもない。

「ええ。詳しい事は向こうに着いてから話すわ」

「なら、こいつも連れていく」

 そう言ってショウは体をずらして自らの背後に隠れているサクヤを指差す。ここで紫は初めてサクヤに視線を向けた。その目はまるでサクヤを品定めしているかの様な目つきだ。

「その子は?」

「俺の仲間だ。レミリア達の警護をやらせる」

「サクヤといいます。私も幻想郷ってところに連れて行ってください」

 名前を聞いた瞬間、紫はショウの顔を見て何か意味深な表情を見せた。

「……ふーん。あのメイドを妙に気にかけていたのはそういう事だったのね」

「……何の話だ?」

「いいえ、何でもないわ」

 紫の言い方に引っ掛かりを覚えたショウは紫を鋭く睨みつけるが、紫はいつもの飄々とした表情を変えない。それどころか、何処か楽しんでいる様にさえ思えた。何だか癪だと思っていると、オペレーションルームの方向から誰かが走って来る慌ただしい音が聞こえた。

「その声は紫か!?」

 声の主はヒカルだった。紫は口元に笑みを浮かべる。

「あら、そっちから来てくれたのは好都合ね。幻想郷に戻るわよ」

「また怪獣が出たのか。もう隊長から許可は貰ってるから、心置きなく行けるぜ!」

 グッとサムズアップを見せるヒカル。それなら陣野の許に行く必要は無いと判断したショウは紫の方を改めて見る。

「そうか。なら、早速行くぞ」

「それじゃ、この中に入って」

 紫が開いているスキマの中に飛び込む三人。新たな戦いの幕が開こうとしていた。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 幻想郷、妖怪の山。鬱蒼とした山道を藤宮博也は射命丸文と共に歩いていた。山道自体は苦では無いが、文が何処に連れて行こうとしているのか口にしていないので、藤宮は自らの前を歩く文に尋ねる。

「何処に行く?」

「藤宮さんが寝泊りする場所ですよ。外来人を連れていると他の天狗達がうるさいんですが、あそこなら何とか納得させられると思うので」

「……?」

 文の話によると、天狗という種族は仲間意識がかなり強いらしく外部の者に対しての風当たりが厳しいとの事。そのため別の当てに頼み込もうとしているらしい。

 暫く歩くと、しっかりとした造りの鳥居が見えてきた。どうやらここは神社の様だ。無遠慮に入っていく文に続いて藤宮も中に入っていく。

 建物は綺麗で、周りの木々が自然の息吹を感じさせる。そして境内では一人の少女が竹箒で掃除をしていた。

 緑のロングヘアーを靡かせ、蛙と白蛇の髪留めが印象に残る。服装は白地に青の縁取りの巫女服と水玉が描かれた青いスカートを穿いている。

 目つきは穏やかで熱心に掃除に勤しんでいるその姿は、彼女の真面目さを表しているようだった。

「あ、早苗(さなえ)さん!」

 文がその少女に声を掛けると、少女は首をこちらに向ける。

「文さん? ……その方は?」

「あー、ちょっと外来人を見つけてしまいましてね。私の所で寝泊りさせる訳にもいかないんで早苗さんの所なら何とかなるかと思って来たんですが」

 その少女はなるほど、と頷きながら藤宮の方を見る。その様子からはこちらに対して何の警戒心も抱いていない様に見えて、藤宮は逆に危うさを感じた。

東風谷(こちや)早苗です。この神社の風祝をしています」

「藤宮博也だ」

 少女が名乗ったのでこちらも名乗り返したのだが、少女――早苗はジロジロと訝し気にこちらの顔を見てくる。

「藤宮さんですか。私の所で良ければ寝泊りして頂いてもよろしいです、が……」

 すると突然、早苗の動きがピタリと止まった。その様子に文がどうしたのかと声を掛ける。

「早苗さん?」

「藤宮、博也……? 藤宮博也!?」

 名前を確認する様に何回も呟いた後、早苗は天地がひっくり返る様な勢いで飛び上がった。早苗の奇怪な行動に藤宮は目を細め、文は目を見開いた。

「早苗さん!?」

「え、あ、も、もしかしなくても、う、ウルトラマンアグル……!?」

 早苗の発した一言に文は勿論、藤宮も目を見開いた。何故彼女がその事を知っているのか。

「あやや!? この人が、ウルトラマン!?」

「……俺を知っているのか?」

 少し声のトーンを落として問いかけてみるが、早苗はこちらの警戒心など知った事ではないとばかりに興奮している。

「も、勿論です! いつもテレビの前で見ていたんですから! え、本当に本物なんですか!? 役者じゃないですよね!?」

「テレビの前?」

 よく分からない事を言い出す早苗。早苗はハッと冷静さを取り戻した様にわざとらしい咳払いを見せる。

「あ、えっと……こ、こほん。文さん、藤宮さんはこちらで預かりますので、何か用事があったらいつでもいらしてください」

「ありがとうございます。それにしても、まさか早苗さんがウルトラマンの事を知ってるとは思いませんでしたね」

 その事に関しては藤宮もどういう事なのか聞いておきたかった。破滅招来体が送り込んだ天使気取りの敵、ゾグとの最終決戦を見ていたのなら、自らの正体について知っているのも納得はいく。

「外の世界にいた頃はよく見ていましたから。けど、本物を見れる日が来るなんて思いませんでしたよ」

 しかし早苗の答えは藤宮からすれば違和感の塊でしかないものだった。何かモヤモヤとしたものが去来していると、文も不思議そうな顔を見せる。

「あやや? すると早苗さん、人里や紅魔館とかに現れたギンガやビクトリーはご存知ないんですか?」

「ギンガにビクトリー? ……ああ、文さんの新聞に載ってたあの巨人ですか。あの二人に関してはちょっと。それにあの時は危険だからって加奈子様と諏訪子様に外出るの止められていまして」

 ギンガとビクトリー。その二人のウルトラマンの名前は以前、盟友である高山我夢

から聞いた事がある名だった。その二人もここに来ているのか。

「……先に行くぞ」

「あっ、待ってくださいよ藤宮さん! それじゃ文さん、また」

 幾つかの疑問を抱えたまま、藤宮は建物の中に入ろうと歩を進める。それを早苗が追いかけて興奮気味に案内している。境内には文のみが残された。

「あややや……早苗さんは盲点でしたね。ですがこれでウルトラマンは人間が変身しているものだとほぼ確定されましたし、ギンガとビクトリーの正体を探る作業が捗りそうですね」

 そんな文の呟きは風に乗り、何処かへ消えていった。

 

 

 

 

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 夜の魔法の森内部。マグマ星人は歯噛みしながら自らの雇い主の許に向かっていた。その雇い主はぬっと突然現れて呆れた様な表情を浮かべていた。

『手駒をむざむざと失って帰って来るとは、とんだ失態だな』

『……俺をどうする気なんだ』

 マグマ星人はすっと身構えるが、雇い主はそんな自身の様子を愉しむ様に見下ろしている。その見下す様な視線が、マグマ星人には気に入らなかった。

『ラストチャンスをやる。こいつをやるから残った手駒と共にギンガとビクトリー、そしてアグルを倒してこい。ギンガとビクトリーに関しては拠点を突き止めたからそこを襲え』

 突然出てきた新たなウルトラマンの名前。それが昼間に現れた青いウルトラマンの名であると気付くのに時間は掛からなかった。

『アグル? まさかあんた、あのウルトラマンの事知ってたのか?』

『だったらなんだ?』

 問い詰める様に迫るが、雇い主はそれがどうしたと言わんばかりに小さなカプセルと地図を渡してきた。マグマ星人は憮然としながらもそれを受け取った。

『……何でもねえよ。行けばいいんだろ、行けば』

 不満を隠すことも無く吐き捨て、その場を立ち去る。残った雇い主はニヤッと怪しい笑みを浮かべながら闇の中に消えていった。向こうはどうせこちらの事など単なる使い捨てとしか思っていないはずだ。それならそれで構わない。

 しかしマグマ星人は単なる使い捨てで終わるつもりは毛頭無かった。ウルトラマンに倒された自らの配下の仇討ち。それを果たして雇い主を見限ろう。そう胸の中で決めていた。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 スキマが開き、ショウ達はそこから外に飛び込む。そこは紅魔館のテラスだった。見渡すとレミリアとパチュリー、そして咲夜がいて、突然の来訪者に身構えている様に見えたが、こちらの姿を確認するとレミリアが待ちわびた様に表情を綻ばせた。

「ショウ!? やっと帰ってきたのね!」

「ああ」

「ヒカルやスキマ妖怪も一緒って事は、何かあったのかしら?」

「あら、こっちでは昨日の件の事は何も入っていないのかしらね?」

 パチュリーの問いかけに紫が小馬鹿にした様な口調で煽る。レミリアとパチュリーはムッとした表情を見せるが、二人のティータイムを見守っていた咲夜がすっと前に出てきた。

「……人里に赤い怪獣と黒い怪獣が出現した件、よね?」

「メイドの方は知ってたのね。と、その前に新しい人員を連れてきたわ」

 そう言って紫はサクヤを紹介しようとするが、その本人は館の内部に入って辺りを興味深そうにキョロキョロと見渡していた。堪らずショウはサクヤを呼び戻そうとする。

「おい、サクヤ」

「え?」

「え?」

 するとサクヤだけでなく咲夜の方も反応した。ショウは思い出した様に頭を抱え、サクヤの方を指差しながら投げやり気味に告げた。

「……こいつはサクヤ。俺の仲間だ」

「あら、咲夜と同じ名前なのね。ショウの仲間なら私の新たな従者って事よね。咲夜と名前が被るのがアレだけど」

「え? え? ショウ、どういう事なの?」

 サクヤが混乱していると咲夜の方が歩み寄ってきた。両者共に互いを顔をじっと見ている。

「……紅魔館のメイド長を務めています、十六夜咲夜です」

「あ、そういう事なのね。よ、よろしくお願いします、十六夜さん?」

「ええ、よろしく」

 二人が握手した後、レミリアとパチュリーもサクヤに対して自己紹介をすると、閉じていなかったスキマの中から紫の式である八雲藍が顔を覗かせた。紫は藍に視線を向けると、じっとその言葉を待つ。

「紫様、あれから怪獣の反応はありません」

 それを聞いた紫はほっとしつつも、緊張のこもった声色で藍に告げる。

「そう。それならいいけど、警戒を怠らないでね?」

「ご心配なく、今は橙にやらせていますので」

 すると、突然紫の表情が曇った。

「……凄く不安を覚えるのは私だけかしら? まあいいわ。それで人里に怪獣が再び現れたというのは話したわよね? それを貴方達とは別のウルトラマンが倒したというのも」

 藍がいなくなったことを確認すると、紫はそのままショウとヒカルの方を向いて話す。ショウもその問いかけに頷いて答える。

「ああ」

「そのウルトラマンについてなんだけど、青いウルトラマンって知らないかしら?」

 紫の問いかけに対して答えたのは、ヒカルだ。顎に手を当てて考え込んでいる。

「青いウルトラマン? ……コスモスくらいしか思い浮かばないけど、普通に怪獣を倒してたんだよな? だったら違うか」

 ヒカルがショウの方を向いて聞いてきたので、それに対して肯定の頷きを返す。

「そうだな。コスモスならまず怪獣を鎮めようとするはずだ」

「そのコスモス以外には思い当たらないって事ね」

 紫の問いかけに、ヒカルはゆっくりと頷いた。

「ああ。悪いな、力になれなくて」

「別にこっちが少し気になっただけだから。それより、ヒカルは博麗神社まで送ってあげるわよ」

「ん? そうだな、お願いできるか――」

 ヒカルが言いかけたその時、紅魔館全体が大きく揺れた。何が起こったのかと皆が辺りを見渡す。

「な、なんなの一体!?」

 レミリアが叫ぶと、外から美鈴が大慌てで走ってくるのが見えた。

「大変ですお嬢様、咲夜さん! 黒い怪獣と赤い怪獣が湖の付近に!」

「なんですって!?」

 その言葉に、サクヤがショウとヒカルの肩を叩いた。

「行こうヒカルさん、ショウ!」

「ああ!」

「おう!」

 館内に入り、玄関へ向けて走り出す三人。それをレミリア達は呆然と見ていたが、やがて弾ける様に後を追いかけてくるのだった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

『ゴアアアア!』

『ガガアッ、ガガアァッ!』

 霧の湖の付近に辿り着くと、確かに黒い怪獣と二つの頭を持つ赤い鳥の様な怪獣が暴れまわっていた。赤い怪獣を見て、ヒカルは目の色を変えた。

「あいつは、キングパンドンだ!」

「知っているのか?」

「ああ、強力な火炎を吐いてくる厄介な奴だぜ」

 どうやら以前に戦った事があるらしい。それならキングパンドンはヒカルに任せれば問題無いはずだ。ショウはヒカルと見合って互いに頷き合う。そして互いの変身アイテムを取り出してそれぞれ変身する。

【ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!】

【ウルトラーイブ! ウルトラマンギンガ!】

「ギンガー!」

 二人の体が光に包まれ、ぐんぐん巨大化していく。サクヤと後から追いついたレミリア達もそれを見届ける。

『ツェア!』

『ショウラァ!』

 変身を遂げると、ビクトリーは黒い怪獣ブラックギラス、ギンガはキングパンドンに向かっていった。

『オリャ!』

 ビクトリーは飛び蹴りでブラックギラスの腹部を蹴るとブラックギラスがよろめく。

『ハアッ! エイヤァッ!』

 ギンガも左の肘打ちでキングパンドンの腹部を打ち込んでよろめかせると、畳みかける様に右の拳をキングパンドンの腹に叩きつけた。それによってキングパンドンは更によろめき、バランスを崩して転倒する。

『ガガアッ!?』

『ツェリャッ! オラッ!』

『ショウラッ!』

 息も吐かせぬようにビクトリーは蹴りの嵐をブラックギラスに浴びせ、ギンガはキングパンドンの首を持ち、背負い投げる。二体がのたうち回る間に二人はそれぞれ馬乗りになって顔面を殴り続ける。

「いい感じじゃない!」

「ショウ!」

 レミリアとサクヤが声を上げる。すると別の声が割り込んできた。

『ふん、情けない奴らだ。だったら俺が入ってやる!』

「え!?」

 サクヤが驚きながら声のした方へ武器を構えるが、一歩遅く声の主は一気に巨大化してギンガとビクトリーを何かで殴る様に切りつけた。

『グアアッ!?』

『ウアッ!?』

 吹き飛ばされる二人。膝を付くと、そこにはサーベルを装備したマグマ星人が構えていた。

『クソ、伏兵かよ……!』

『こいつがこの怪獣達を使役しているようだな』

『ギンガ、ビクトリー! お前らを消し去る!』

 マグマ星人は有無を言わせずに二体の怪獣を従えて襲い掛かってきた。ギンガとビクトリーは立ち上がって応戦する。

『うらあ!』

『オリャッ!』

 マグマ星人が振り回してきたサーベルを足で払いのけるビクトリー。そしてマグマ星人に拳を入れようとするが、そこにブラックギラスが突進してきてビクトリーを吹き飛ばした。

『ウアッ!?』

『そこだあ!』

『させるか! オオオオ!』

 倒れたビクトリーにマグマ星人がサーベルを突き立てようとするが、それをギンガはサーベルごと掴んで妨害した。そして左脇にサーベルを抱え込みながら、蹴りを叩き込んだ。

『ぐはっ!』

『ガガアッ!』

 しかしマグマ星人がよろめいて距離が開いたところにキングパンドンが火炎弾を放ってきた。

『くっ!』

 ギンガはバリアを張って防ぐが、背後からブラックギラスがギンガを羽交い絞めにする。

『クウッ!?』

『うらあ!』

『ガガアアッ』

『グアアア!?』

 そこにマグマ星人のサーベルとキングパンドンの体当たりが連続で襲い掛かってきた。そしてブラックギラスがよろめきながらも仕上げとばかりにギンガを裏投げの様な形で投げ飛ばした。

『ウアアアア!? ぐあっ……!』

 投げ飛ばされたギンガは地面に這いつくばる様に蹲る。

『くそ!』

 ショウはこの状況を打開しようとキングジョーのスパークドールズを取り出すが、キングパンドンの火炎弾が雨の様に何発も襲い掛かり、ビクトリーはそれを辛うじて躱していく。

『クッ!』

『ゴアアアア!』

 そこにブラックギラスの角から放たれる光線も追加され、ビクトリーは遂に躱しきれずにブラックギラスの光線を浴びてしまう。

『アアッ!?』

「ショウ! ヒカルさん!」

「三対二じゃ、分が悪いわね……こうなったら私が」

「お、お嬢様!」

 グングニルを取り出そうと身構えるレミリアを美鈴が押さえている。

『ガガアッ!』

 そしてキングパンドンの二頭の口から青色とオレンジ色の破壊光線が放たれ、立ち上がろうとしたギンガとビクトリーを吹き飛ばした。

『グアアアア!?』

『ウワアアア!?』

 倒れ込む二人。そのカラータイマーが同時に点滅を始めた事に、レミリア達は焦燥感を覚える。サクヤが手にしている武器を怪獣達に構えていると、咲夜が気配を感じて湖の方に視線を移す。

「咲夜?」

 それに気づいたレミリアが咲夜に声を掛けると、咲夜は湖を指差した。

「お嬢様、あの男を」

 見てみると、そこには黒い服に身を包んだ冷静な顔つきの男が見上げながら戦いを見ていた。そしてギンガとビクトリーのカラータイマーが鳴り始めたのを聞くと、男は右腕を前に掲げた。するとブレスレットから青い光が放たれて男を包み込んでいく。その眩さに皆が目を閉じた。

「な、何なのよ!?」

「お嬢様、あれを!」

 咲夜が指差した先には、青い巨人が空中で飛び蹴りの構えに入っていた。

『ディヤアアッ!』

 青いウルトラマンはギンガとビクトリーに迫る怪獣二体を同時に蹴り飛ばした。

『なっ!?』

 驚くマグマ星人を尻目に、ウルトラマンは着地する。すると土煙が勢いよく舞い上がり、辺りが揺れる。

「きゃあっ!?」

 よろめくサクヤを咲夜が支える。青いウルトラマンはギンガとビクトリーを守る様にしてすっと身構えた。ギンガとビクトリーは何とか立ち上がる。

『あ、貴方が紫の話していた青いウルトラマン?』

『話している暇があるなら、こいつらを叩きのめすのが先だ』

 ギンガとビクトリーには目もくれずにそう告げると、青いウルトラマンは動揺しているマグマ星人に向かって走っていき、掌底を打ち込んだ。

『ハアッ!』

『ぐはっ!? ……お前が、ウルトラマンアグルだなあ!?』

 マグマ星人が怒りに任せてサーベルを振り回すが、青いウルトラマン――アグルと呼ばれた彼は頭を後ろに振る動きだけでサーベルを容易く躱していく。それでも諦めずにサーベルを振り回すマグマ星人だが、ビクトリーと同じ様に、それでいてよりシャープな蹴りでサーベルをあしらっていき、腹に蹴りを叩き込んだ。

『ぐうっ!? このおおお! レッドギラスの仇!』

 マグマ星人は感情に流されるがままにサーベルを振るうが、アグルは右腕に青い光の刃を発生させてサーベルを真っ二つに斬った。

『なっ……!?』

『ディヤアア!』

『ぐああああ!?』

 真っ二つにされたサーベルを呆然と見つめるマグマ星人をアグルは容赦なく蹴り飛ばした。マグマ星人が倒れ込み起き上がろうとしている間に、アグルは光線を発射する体勢に入る。

『ゴアアアア!』

『ガガアっ!』

 それを見たブラックギラスとキングパンドンが光線を発射させまいとしてアグルに襲いかかる。

『させん!』

【ウルトランス! キングジョーランチャー!】

『ギンガファイヤーボール!』

 ビクトリーはランチャーを連射でキングパンドンに放ち、ギンガは炎の球を幾つも発射してブラックギラスの動きを妨害した。

『ハアッ! ハアアア……ツィアアア!』

 アグルは光線ではなく、青色と僅かに赤色を帯びたスクリュー状の光弾をマグマ星人に放った。

 マグマ星人はかわす事も出来ずに、光弾の直撃を受け、身体に大きな穴を開けた。

『くそ、くそがあああ!』

 それがマグマ星人最期の断末魔だった。

 マグマ星人の身体は粉々に爆砕して、辺りに肉片が飛び散っていく。

『ゴアアア!』

『ガガアッ! ガガアッ!』

 ブラックギラスとキングパンドンはマグマ星人がいなくなった事を認識したのか、我先にとアグルへ肉薄していく。しかしアグルは腕を組んだままギンガとビクトリーに向けて顎で二体の怪獣を指した。

『後はオレ達でやれってことか。行くぜショウ!』

『おう!』

 それと同時にショウはウルトラマンヒカリのスパークドールズをリードしてナイトティンバーを取りだし、魔笛を吹き鳴らす。

 その澄んだ音色はビクトリーに更なる力を与え、ビクトリーナイトへと姿を変えさせた。

『ギンガクロスシュート!』

ギンガは両腕をクロスさせて自らの必殺光線を放ち。

【スリー! ナイトビクトリウムシュート!】

『これで決める! ナイトビクトリウムシュート!』

 ビクトリーナイトはナイトティンバーのポンプアクションを三回行った後、ティンバーを腕に見立てて青色の光線を放った。二つの光線はそれぞれキングパンドンとブラックギラスの腹部に命中し、二体の怪獣はゆっくりとその巨体を倒しながら爆発に呑まれていった。

「やったあ!」

 喜ぶサクヤとうんうんと頷くレミリア。拳を突き合わせる咲夜と美鈴、三人のウルトラマンを見上げるパチュリーが見えた。

三人は同時に変身を解除する。そしてヒカルとショウはアグルになっていた男に駆け寄る。

「助かりました。けど、貴方は一体?」

「俺は藤宮博也。……そうか、お前達が我夢の言っていた」

「ガム?」

「ウルトラマンガイアと言った方がお前達には伝わるか?」

「……! それじゃあ貴方がガイアの」

「ああ。共に戦った間柄だ」

 そう告げる藤宮の顔は、先程よりも何処か穏やかに見えた。

 




ヒカルとショウは藤宮の口から新たな敵、エンドロスの事を聞かされる。
そのエンドロスは新たな刺客を三人の許に、ではなく彼らの身近にいる者達に放つ。
次回、暗殺宇宙人異変の章
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