ギンガエックスだと後継作品と被るので……
ウルトラマンビクトリーとゴルザ、メルバの戦いを見届けた八雲紫はスキマの中で満足そうな表情を浮かべていた。
「あれがビクトリーの力……なるほど、聞いていた以上ね。けれど、まだ全力を見せていない底の深さも感じる。ふふ、全力を見られる日が本当に楽しみだわ」
意味深な笑みを浮かべながら、紫は紅魔館の館内にスキマを開き、無遠慮に入っていくのだった。
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紅魔館の中に案内されたショウは目線だけを動かして辺りを見渡す。
外観もそうだったが、壁や床などあらゆる箇所が真っ赤に染められていて目が痛くなりそうだった。
ショウは先程助けた二人についていく形で歩いていたが、改めて二人の背格好を見比べる。
大きな帽子を被った子供の方は口調といい、何処か大人じみたものを感じていた。とはいえ、見た目でいえば地底にいるサクヤの弟、レピとそう変わらない年齢に見える。
そしてもう一人。清楚な服装に身を包んだ銀髪の彼女を少女は『咲夜』と呼んでいた。
(何を考えているんだ俺は。あいつとは違うはずなのに)
たまたま同じ名前なだけだ、と頭の中に残っているモヤモヤを振り払う。そうしていると、いつの間にか大広間の様な場所についていた。
何人で囲めるか分からないが、とにかく大きな長方形のテーブルには四人の少女が座っていた。
「あ、お姉さまに咲夜! 大丈夫だった? ……その人は?」
大きな帽子から覗く金髪と宝石の様に輝く翼を乱しながら、一番見た目の幼い少女が飛び出してきた。
「安心なさいフラン。あの化け物妖怪ならこの人が倒したわ」
「え、本当!? すごーい! どうやってやっつけたの?」
残りの三人は驚いて声も出ないといった感じだったが。生身のまま倒したとでも思っているのだろう。
「さ、適当に座って頂戴。まずは自己紹介を済ませちゃいましょう」
豪奢なステンドグラスを背にしながら、ショウを連れてきた少女が腰かける。ショウを含む残りの人物をそれぞれ腰かける。
「この紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ」
「紅魔館のメイド長を務めています、十六夜咲夜です」
まずはショウが助けた二人が名乗った。それに金髪の少女が笑顔で続く。
「レミリアお姉さまの妹、フランドール・スカーレット! フランって呼んでね!」
続いて紫髪の少女が、
「レミィの友人のパチュリー・ノーレッジよ」
そしてそのパチュリーの隣にいた悪魔に似た風貌の少女が名乗る。
「パチュリー様のお手伝いをしています、小悪魔です。呼びにくかったら、こあと呼んでいただいて結構です。皆さんもそう呼びますので」
最後に緑の服を着た赤髪の少女が名乗る。
「普段はここの門番をしています、紅美鈴です」
残るはショウだけになった。ショウは皆を見渡し、名を告げる。
「俺の名はショウ。こことは別の世界の地底の民、ビクトリアンの末裔だ」
それぞれが自己紹介を済ませた後、咲夜は徐に立ち上がって何処かへ行く。正確に言うと姿が消えた。
「!?」
突然の事にショウは目を見開く。レミリアは口元に笑みを浮かべていた。
「ああ、気にしないで。咲夜は、というよりこの幻想郷の住人には何かしらの力を持っている者がいる、それだけの事よ。咲夜の場合は時を操ることができるといった風にね。それを使って館内を移動しているのよ」
「お嬢様、皆さんの分の紅茶をお持ちしました」
レミリアが話しているうちに、咲夜が神出鬼没という感じに現れた。ティーセットを乗せた滑車と共に。
咲夜が紅茶を配膳し終わってレミリアの傍に座ったのを確認すると、レミリアが口を開いた。
「さて、まずはなにから聞こうかしら。……何故、幻想郷に来たの?」
「八雲紫に幻想郷を救って欲しいと頼まれて来た、としか言えない」
「やっぱりあのスキマ妖怪が一枚噛んでいたのね……」
「あいつを知っているのか?」
ショウの言葉に、レミリアは何とも言えない様な表情を浮かべる。
「知っていることは知っているわ。でも、親しいという訳じゃないから。じゃあ次の質問。あの巨人は……一体何なの?」
身を若干乗り出しつつ、レミリアがショウに答えを迫る。その目は純粋な好奇心を持った子供そのものの目だった。
「あれはウルトラマン。そして俺が変身するウルトラマンはウルトラマンビクトリーと呼ばれている」
「ウルトラマン、ビクトリー……」
「……? 話が見えてこないわよ、レミィ」
「その、なんて言いますか……彼が巨人になって、私達を助けてくれたという事ですパチュリー様」
怪訝そうな表情を浮かべるパチュリーに、咲夜が補足説明を加える。それを聞いたパチュリーはポカンとした表情を見せる。
「巨人になった? 見たところ咲夜と同じ人間に見えるわよ?」
「見てみたい!」
「百聞は一見に如かず、今からあの巨人になる事は出来ないの?」
興味津々といったフランを見たレミリアの言葉に、ショウは首を振る。
「ビクトリーは戦いにならないと力を貸さない。今は無理だ」
「なぁんだ、つまんないの……」
フランはやや不満そうに口を尖らせながら座りなおす。レミリアの方は納得したのか、両手を組みながらショウを見る。
「それで、そのウルトラマンっていうのはどういう存在なの? 何のために貴方に力を貸す訳?」
「俺の仲間からの受け売りだが、あらゆる次元の宇宙を守っている存在だ。俺のいる世界はもちろん、別の世界にもウルトラマンがいる。俺は地底世界を守るために力を授かったに過ぎない」
あらゆる次元にいるウルトラマンと共に戦った事を思い出しながら、ショウは話す。レミリアは組んでいた手を解き、椅子に深く座る。
「何となくだけど分かったわ。次の質問いいかしら?」
「なんだ?」
急にレミリアの目つきが鋭くなったのを見て、広間に緊張が走る。
「あの化け物は、なんなの? 私達の攻撃がまるで通用しなかった」
「怪獣。俺達はそう呼んでいる」
「怪獣……」
「例外はいるが、基本的には人間にとって害をもたらす存在だと思ってくれればいい」
「そうですね。実際、ショウさんが来てくれなければ私は死んでいたかもしれませんし、紅魔館も……」
咲夜がそのイメージを浮かべたのか、僅かに震えたのをショウは見逃さなかった。
「紫も何故急に現れる様になったのかは分からないといっていた……元からいたのか、あるいは」
「外の世界の誰かが連れてきた、とか?」
パチュリーの言葉に、ショウは頷く。それにレミリアが目を見開いた。
「え、ちょっと待ちなさいよ……連れてくるって、そんな事できるものなの!?」
「地球の外にいる宇宙人の中には、そういう事ができる奴もいる」
宇宙、と聞いてレミリアの表情が一瞬変わったがすぐに戻った。とりあえず聞きたいことは聞いたのか、レミリアは納得した様な表情を見せた。
「色々と答えてくれて感謝するわ。それで、提案なんだけど」
「なんだ?」
「ショウ、貴方紅魔館を拠点に活動しない?」
「お嬢様……」
「どうせ、スキマ妖怪はあんたの面倒なんか見ないわよ? それにいつまたさっきの怪獣、だったかしら? が来るか分からないし」
「……そうだな。そうさせてもらう」
暫し考え込んだが、野宿するよりは安心できる。その誘いを受ける事にした。
「本当!? ならさっそく紅魔館や幻想郷の事を色々案内しないとね! 咲夜!」
「はい、私がご案内致します。ショウさん、よろしいですか?」
「ああ」
「私も自ら案内してあげるわ、感謝なさい」
そこで会合はお開きとなり、パチュリーと小悪魔は地下にあるという図書館、美鈴は門番の仕事に戻った。フランはショウと遊びたいと駄々をこねたのだがレミリアと咲夜に止められて渋々自室に戻り、ショウはレミリアと咲夜に紅魔館内部を案内される。一通り案内された後、レミリアと別れたショウは咲夜と共に自身の部屋として用意された場所に向かう。
「それでは、明日は人里に行きましょう。そこでならショウさんも動きやすいでしょうし」
「ああ、頼む。それと」
「何でしょうか?」
「俺には普通にしてくれて構わない。堅苦しいのは苦手だ」
咲夜は暫く黙り込むが、やがてふっと柔らかい笑みを見せて頷いた。
「そう。貴方がそう言うのならそうさせてもらうわ、ショウ」
「ああ、頼む。……咲夜」
「それじゃ、また明日」
咲夜がいなくなった後、ショウは表情を険しくして虚空に語り掛ける。
「いつまで見ているつもりだ?」
するとクローゼットの中から紫が出てきた。その表情はショウを品定めしている様にニコニコとしている。
「あら、ウルトラマンにもなるとこういうのは察知できるものなのかしら?」
「あの戦いを見ていたのなら、一つ聞きたいことがある」
「何かしら?」
「もう一体の怪獣、あれは何処から現れた?」
「普通に空を飛んできていたけど?」
紫もおどけていた表情を引き締め、ショウの目を覗き込む。
「なら、レミリアと咲夜に何らかの反応があるはずだ。だがそれが無かった」
「つまり、突然あの場にあの怪獣が現れた。とでも言いたいのかしら?」
「そうだ」
紫はふう、と軽く息を吐いた。そしてショウを諭す様に語り掛ける。
「貴方の言いたいことは分かるけど、考え過ぎよ。少なくとも私はそんな意地悪じゃないわ。貴方に幻想郷を守るよう依頼した私がわざわざ怪獣に幻想郷を破壊させるとでも?」
「……ならいい」
これ以上追及しても無駄だと判断し、ショウはベッドに腰かける。フカフカの感触が伝わってくる。
「いつまた怪獣が現れるか分かりません。いつでも出れる様にしておいてくださいな。それでは」
それだけ言い残すと、紫はスキマを開いてその中に入り込む。スキマが閉じるとショウは複雑な表情を浮かべる。
(攻撃を食らうまでもう一体の気配は毛ほども感じなかった。それにあいつの能力。考えられる中で辻褄が合うのはあいつしかいないが……それとも本当に別の存在がいるのか?)
懐のビクトリーランサーをベッドの脇にあるテーブルに置き、ベッドに横たわる。するとすぐに眠気が襲ってきて、ショウの意識は深く沈みこんだ。
********
翌日。ショウは咲夜と美鈴、ショウに興味津々のフランに連れられる形で人里にやって来ていた。雫が丘に比べると古めかしさを感じる街並みだったが、様々な建物があり、活気づいていた。
「ショウお兄ちゃん、今度はあっち行こ!」
「おい、あまり引っ張るな」
日傘を差しながらショウの腕を引っ張るフラン。その後ろで咲夜と美鈴が苦笑いを浮かべている。
「妹様、あまり遠くに行ったら駄目ですよー! ……それにしても、館の方は大丈夫なんですか?」
「何のこと?」
「門番ですよ。妖精メイドに任せていいんですか?」
美鈴の言葉に、咲夜はため息を吐きながら呆れ半分といった感じに返す。
「少なくとも、貴女みたいに寝たりしないからその点では安心よ」
「あ、あはは……」
返す言葉もないのか、美鈴が乾いた笑いを上げる。ショウはフランに引っ張られて八百屋の前にやってきた。新鮮な野菜が多量に並んでいる。
「らっしゃい! おや、お兄さん見ない顔だねぇ。どこから来たんだい?」
「…………」
どう返せばいいものかと考えていると、背後から咲夜のフォローが入る。
「お嬢様のお客様ですよ」
「おや、咲夜さんじゃないかい。でもその恰好、外来人みたいだねぇ」
「ええ、そうです。紅魔館に迷い込んだのをお嬢様が拾って匿っているんです」
なんだそれはと言いたくなったが、ここでショウが口を挟んでも逆効果だろう。とりあえず咲夜の話に合わせて頷くことにした。
「けど、あの吸血鬼お嬢様がそんな事するなんて珍しいこともあるもんだな。こりゃ雪でも降るんじゃないか?」
「もう、人聞きが悪いですよ」
咲夜と八百屋の主人の談笑を聴いていると、急に青かった空が黒い雲に覆われ、辺りが薄暗くなる。急な変化に周囲にいた人達がざわつく。
「なんだなんだ、本当に雪でも降るのか?」
八百屋の主人が呟いた瞬間、黒雲から雷が飛来し、地面に堕ちる。
「え、夕立!?」
「そんな、あんなに晴れていたんだぞ!?」
人々が騒然とする中、雷がだんだんと何かの形になっていくのをショウはしっかりと捉えていた。咲夜と美鈴も気づいた様でフランを守る様に身構える。
「まさか、とは思うけど……」
しかしその咲夜の予測は当たってしまう。雷は黒い、巨大な生物へと姿を変えた。
背中に抱える巨大なコイルと五つの黄色い目が特徴の怪獣が人里に現れたのだ。その姿を見て、ショウは表情を厳しいものに変える。
(あれはヒカルがギンガとして最初に戦ったと言っていたサンダーダランビア、か)
『ピイイイイ!』
サンダーダランビアが甲高い鳴き声を上げると、背中のコイルから雷撃を放つ。
雷は里の家に直撃し、あっという間に火の手が広がった。
その後もサンダーダランビアは無差別に雷を放ち、人里を火の海にしようとしていた。
「き、巨大化け物だー!」
「きゃああああ!」
「ママー! 怖いよー!」
突如出現した非日常の存在と状況に人々はパニックに陥り、我先にと逃げ出す。人の流れは波の様に押し寄せ、あっという間に混乱の坩堝と化した。
「咲夜! フランと美鈴を連れて逃げろ!」
「……! 分かったわ!」
「え、ショウお兄ちゃんどこ行くの!?」
フランを引きはがし、咲夜に預ける。咲夜の方はすぐに察したようだがフランは状況を呑み込めていないようだ。それでも構わず、ショウは人気のない路地裏に向けて駆けだした。
「あっ、ショウお兄ちゃん!」
「妹様、彼なら大丈夫です。行きますよ!」
「咲夜さん、妹様! 早く!」
三人がその場を離れるのを確認したショウはビクトリーランサーを取り出す。すると、何処からか幼い声が聞こえてきた。
「うわーん、お母さーん!」
親とはぐれたのか、小さい子供が泣きながら歩くのが見えた。それに気づいたのか美鈴が子供に向かって走り出したのだ。
すると、その動きに気づいたのかサンダーダランビアの視線が美鈴と子供を捉えていた。そして背中のコイルに雷を溜めていく。
「マズい!?」
それに気づいた美鈴は子供を抱えて逃げようとするが、走っても雷の速さの前にはどうにもならない。ショウはビクトリーのスパークドールズをビクトリーランサーから取り出すと、すぐにライブサインをリードした。
【ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!】
それとほぼ同時にサンダーダランビアが雷を放った。ビクトリーは美鈴達の前に降り立ち、雷を受け止める。
『ウアア!?』
そのダメージでビクトリーは膝を着くが、何とか二人を守り切った。美鈴達に振り返ると、二人は呆然とビクトリーを見上げていた。
「え、あ……私達を守ってくれたん、ですか?」
「わぁ、ありがとー!」
子供の声にビクトリーは頷く。美鈴の奥の方を見ると、フランが間の抜けた表情でビクトリーを見ていた。
「美鈴、大丈夫!?」
「めーりん!」
咲夜とフランは美鈴に駆け寄り、子供の様子も確認する。二人とも無傷な様でとりあえず一安心できる。子供は美鈴にもお礼を言うとその場から離れる。
「私は大丈夫です。それより咲夜さん、あの巨人がもしかして」
「ええ、あれがショウよ」
「あれがショウお兄ちゃん……おっきいー」
三人に離れるよう顎でしゃくれて促すと、三人は改めて逃げ出す。ビクトリーは立ち上がり、腰を落として低く身構える。
『来い、俺が相手だ』
ビクトリーの中でショウはビクトリーランサーを構える。
『ピイイイイイ!』
サンダーダランビアが甲高い鳴き声を上げながら、ビクトリーに突進してくる。ビクトリーは重心を低くしたまま駆け出し、がっちりと組み合う。
『オオオ……! ドウリャ!』
暫くがっぷり四つに組み合っていたが、一瞬だけ競り勝ったのを見逃さずにビクトリーはサンダーダランビアを投げ捨てる。
『ピギャアア!?』
サンダーダランビアがうめき声を上げるが、ビクトリーは容赦なく倒れ込んだ所にサッカーボールキックや踏みつけを何発も叩き込む。
『ウリャ、セエリャっ!』
しかし突然背中が光ったかと思うと、雷が奔ってビクトリーの胸板に直撃した。
『ウォアっ!?』
堪らず吹き飛ばされるビクトリー。よろよろと立ち上がると、眼前に触手が迫っていた。
『グアア!?』
触手が首に巻き付き、そのまま強く締めあげてくる。ビクトリーは触手を掴んで剥がそうとするが、ビクともしない。そしてサンダーダランビアが軽く一声鳴いたかと思うと、触手を伝う形で電流がビクトリーの全身に流れ込む。
『ウアアアア!?』
ビクトリーは拘束されたまま電流を浴び続ける。ショウ自身も電流を浴びている様な感覚に襲われているため、スパークドールズを取り出すことができない。
(ぐっ……、クソッ!)
『ウア、アア!』
何も出来ずにもがき苦しむビクトリー。やがて胸のカラータイマーが青から赤になって点滅し始め、警告音も鳴り響く。それはやや離れた場所にいた咲夜達三人にも聞こえていた。
「え、なんですかあのランプ?」
「もしかしたら、ショウが危ないのかもしれないわ」
「ショウお兄ちゃん! ……ショウお兄ちゃんを離せー!」
「妹様!?」
フランの表情が怒りのものに変わると、無謀にもサンダーダランビアに突撃してくる。電流を浴びつつもそれが見えたビクトリーは手をかざしてフランを止めようとするが、彼女は止まらない。
サンダーダランビアは別のコイルから電撃を放つが、フランは軽い身のこなしでそれを回避する。
「禁忌『レーヴァテイン』! いっけー!」
フランの手中に真紅の剣が出現し、ビクトリーを拘束している触手目がけて振り回す。すると一瞬だけ抵抗があったものの、あっさりと触手が両断され、ビクトリーは解放される。
「う、嘘……」
「さ、流石破壊に特化した能力をお持ちなだけはありますね……」
咲夜と美鈴も呆気に取られている。ビクトリーは自らを捕まえていた触手を投げ捨てると、フランに戻るようジェスチャーで促す。
「戻るの? 分かった!」
素直に聞いた様で、フランは真っすぐ咲夜と美鈴の許に戻っていった。それを確認したビクトリーの右腕が光を纏う。
【ウルトランス! エレキングテイル!】
『ウオリャ!』
右腕をエレキングの尻尾に変化させ、電気を帯びた一撃をサンダーダランビアに浴びせていく。そして尻尾を伸ばしてサンダーダランビアの動きを拘束して投げ飛ばす。先程の意向返しの意味もあるが、それによって相手の動きが止まったのを確認した後、走りながら別のスパークドールズの力を借りる。
【ウルトランス! グドンウィップ!】
『ツェア!』
エレキングの尻尾より短い鞭がビクトリーの右腕となる。リーチが短くなった分、連続で攻撃を叩き込めるようになり、何度もサンダーダランビアの顔面を鞭で叩く。
『ウオラっ!』
『ピギャアア!?』
サンダーダランビアはビクトリーが大きく振りぬいてきた鞭の直撃を受け、大きくよろめく。
そして頭部のクリスタルからV字型の光線を炸裂させる。
『ビクトリウムバーン!』
光線はサンダーダランビアに直撃して吹き飛ばした。サンダーダランビアが轟音と地面を震わせる程の激しい揺れを起こして地べたに這いつくばる。
『ピイイイ……!』
フラフラと立ち上がろうとするが、ビクトリーは両手でV字を描いてエネルギーを作り出して右腕に溜め、光線として発射した。
『ビクトリウムシュート!』
V字型の黄色い光線がサンダーダランビアに直撃し、その巨体が力なく倒れ、爆発する。
「や、やった……」
「巨人が化け物を倒したぞ!」
「ありがとー!」
「ショウお兄ちゃん、すっごーい!」
隠れながらこの戦いを見ていた里の人達から、ビクトリーに向けて称賛の歓声が送られる。フランも一緒になってショウへ声援を送るので咲夜らは一瞬焦ったが、誰もフランの言葉には耳を傾けていなかった。
『……ツェア!』
そしてビクトリーが燃え盛っている箇所に向けて両手を重ね構えると、その指先から水流が出てきてあっという間に火の手は収まった。そしてビクトリーは赤いランプを点滅させたまま光となって消えていく。それを見ている人々はビクトリーに対して大きく手を振る。咲夜と美鈴、フランも消えゆくビクトリーの姿を見届ける。そしてハッと気付いた様に美鈴が口を開いた。
「消えた場所にいるんでしょうか?」
「恐らくね」
「じゃあ、早く追いかけよう!」
「今行ったら、他の人が付いてきてしまうかもしれません。後で合流しましょう」
咲夜の提案に二人が頷くのだった。
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咲夜達三人が立ち去った後、空中から鴉天狗の少女が降り立った。その手にはカメラが握られており、やや興奮した様子で独り言を呟いた。
「あやややや……謎の巨人と化け物、明日の新聞バカ売れ間違いなしです! 大スクープですよー!」
鴉天狗はそのまま猛烈なスピードで何処かへと飛び去って行くのだった。
どうも、yun1です。第2話の方お楽しみいただけましたでしょうか。
今回の後書きは前回の予告通り、それぞれの作品の時系列について簡単にお話しします。
ギンガサイドは第1話でも軽く触れていますが、ウルトラマンXの世界でグア軍団と戦った後になっています。
そして東方サイドですが便宜上、最新作である紺珠伝の後とします。ただし実際に出てくる東方キャラはそこまで広く扱えないので、あくまでも便宜上です。
次回の投稿はプライベートの関係上、遅くなると思いますがお待ちいただけると幸いです。
では、次回にてまたお会いしましょう。