ウルトラマンギンガX~幻想絆伝~   作:yun1

8 / 13
第8話 偽ノ魔王獣異変の章(後編)

 ギンガが飛び去った後、霊夢と咲夜は人間サイズのダークケイオスと対峙していた。霊夢は札を咲夜はナイフを構えてケイオスを睨む。

『フハハハ。ただの人間が私に敵うと思っているのか』

「一つ言っておいてやるわ。人間舐めんじゃないわよ。霊符『夢想封印』!」

 それだけ告げると霊夢は空を飛び、札を投げつける。そこに咲夜が時間を止めて大量のナイフを展開する。

「幻葬『夜霧の幻影殺人鬼』」

 時間止めを解除すると、大量の札とナイフがケイオスに殺到し札は起爆する。爆風がケイオスを呑み込み、黒煙を上げる。

「やった……?」

 霊夢が浮遊しながら爆破地点を見つめる。咲夜もナイフを構えて警戒を続ける。

『霊符『混沌封印』』

 黒煙を切り裂く様にして霊夢と咲夜に黒い札が襲い掛かってくる。

「なっ!?」

「……!」

 霊夢は飛び回り、咲夜は飛び上がる事でそれを回避するがそこを狙ってケイオスは更なる一手を打つ。

『幻葬『夜霧の混沌殺人鬼』』

 今度は黒いナイフが二人に殺到する。霊夢は夢想封印を放って相殺し、咲夜は時間を止めて着地した後、自らのナイフで相殺した。

「くっ、分かってはいたけどやっぱり私達のスペルもコピーできるのね」

「来るわよ!」

 咲夜の言葉に反応すると、ケイオスが左手を右手で固定して構えていた。あの構えは、魔理沙がミニ八卦炉を構える時のそれに似ていた。

『恋符『カオススパーク』!』

 黒い閃光が放たれるが、二人はそれを難なく回避。反撃しようとしたその時だった。

『カオスファイヤーボール!』

 黒い火炎弾がこれでもかというくらい降り注いだ。あちらこちらで爆発が起きて二人を飲み込んでいく。

「きゃあああ!?」

「くああ!?」

 爆風に吹き飛ばされる霊夢と咲夜だが、何とか空中で体勢を立て直して着地する。しかし間髪入れずに黒い閃光が二人を飲み込んだ。

『カオス・レイ・シュート』

「……っ!?」

「あ、ぐ……」

 二人の体から煙が立ち上り、服は所々が焦げている。力無く倒れ動かなくなった二人を、ケイオスはじっと見下ろした。

「……ごめんなさい」

 幽々子の声が響いた後、ケイオスの姿は蜃気楼の様に消えていった。そして暫くしてから二人はヒカルとショウに発見されるのだった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 紅魔館の中にある大広間。そこに霊夢と咲夜は眠る様に横たわっていた。フランが心配そうに二人を覗き込む。

「お姉さま、咲夜と霊夢大丈夫だよね?」

「落ち着きなさいフラン。もうすぐ永遠亭の医者が来るわ」

 レミリアも言葉ではそう言うものの、表情が僅かに歪んでいるのをヒカルは見逃さなかった。とは言え、それを今指摘しても仕方ないので何も言わない事にする。

 ショウと二人で霊夢と咲夜をここに運んだ後、ショウは美鈴と門番を入れ替わり美鈴が咲夜の職務を代行している。パチュリーは調べたい事があるからとショウのビクトリーランサーを借り受け、小悪魔と共に図書室に籠っている。

「じゃあ、霊夢は任せていいか? 少し寄りたい場所があるからさ」

「いいわよ。起きたら適当なところで神社に戻すわ」

 軽く礼を告げて広間から出ようとした時、霊夢が体を起こしているのが見えた。

「う……」

「霊夢、気が付いたのか?」

「ここ、は……」

 ヒカルはすぐ霊夢の傍に駆け寄る。そしてここが紅魔館である事を告げると安心した様な表情になる。

「ケイオスの奴、倒せなかったわ」

「気にすんなって。オレやショウが何とかするからさ」

 明るく言ってみたのだが、それに対して霊夢は拳を震わせた。

「それじゃ、ダメなのよ……」

「え?」

「私は博麗の巫女よ? 幻想郷の異変を解決する存在。その私がよそ者の力を借りるなんて本来はもっての他なのよ。なのに今回の異変はあんたやショウの力に頼らないとどうにもならないって、ケイオスや怪獣との戦いで思い知らされたわ。今まで力を求めた事なんて無いけど、あの時だけは力が欲しいと思った。でもそんなのは今更虫が良すぎる話だと思わない? そう考えたら、今までの私をぶん殴りたくなってきたわ。……私は、どうしたらいいのよ」

 霊夢は気づいていないようだが、隣で眠っていた咲夜もいつの間にか目を開けて霊夢の話を聞いていた。その表情は、何とも言えない複雑なものだった。恐らく彼女も似た様な事を思っているのだろう。

 ヒカルはため息を吐く様に息を吐き出すと、霊夢に目線を合わせて口を開く。

「オレやショウの力に頼らないとどうにもならない、そいつは違うぜ」

「はぁ? 何言ってんのよ? だって今までの怪獣全部あんたやショウが倒したじゃない」

「確かにな。けど、オレ達でもどうにもならない奴はいたんだぜ?」

「……どういう事?」

 霊夢や咲夜、そしてレミリアとフランの目が信じられないという風になる中、ヒカルは更に続ける。

「オレやショウ、というかギンガやビクトリーでも負ける事があるって事」

「う、嘘よ! だってあんなに強いのに」

「嘘じゃないって。元の世界でも負けた奴がいるしな」

 それはダークルギエルだったりファイブキングだったりビクトルギエルにエタルガー。どれも規格外の力を持つものばかりだった。

「それでも、貴方やショウは最終的には勝ったのでしょう? どうやって勝てたのかしら?」

 体を起こした咲夜に尋ねられると、ヒカルははっきりとそれを告げた。

「仲間の絆の力だ」

「絆……」

「みんながみんな、オレやショウみたいな力を持っている訳じゃない。一人一人の力は弱いかもしれない。けど、それが一つに集まった時、ウルトラマンよりも大きな力になってオレ達を助けてくれたんだ。だから、オレ達は勝てた。ここにいるみんなも同じだ。今はまだ見つけられないかもしれないけど、みんなにしか出来ない事が絶対にある。だから諦めたらダメだぜ?」

 それだけ告げると、ヒカルは今度こそ立ち上がって大広間から出ていく。霊夢と咲夜はじっとその後ろ姿を見つめ、何かを思いつめる様な表情になっていた。

 外に向かう道中、パチュリーと小悪魔と鉢合わせた。パチュリーがビクトリーランサーを差し出してくる。

「ショウにお礼言っておいて。貴重なサンプルが取れたって」

「何のサンプルなんだ?」

「ふふ、それはまだ秘密よ。その様子だと行くみたいね。気を付けなさいよ」

「ああ、行ってくる」

 ビクトリーランサーを受け取ると、ヒカルはそのまま二人の横を通り過ぎる。小悪魔がお辞儀をしていたのに手を挙げて応えつつ、改めて外へ向かう。

 ヒカルは門を抜けると、そこで立っているショウと視線を合わせる。ショウにビクトリーランサーを差し出すと、ショウはそれを手に取った。

「パチュリーがお礼言ってたぜ。……じゃ、行くか?」

「ああ。レミリアからあの化け狐がもう一度現れる運命が視えたと言われたからな」

 そして、二人はそのまま駆けだすのだった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 クレナイ・ガイはヒカル達と別れた後、寺子屋に戻ってきた。覗き込む様にして入り口から顔を出すと、憤慨した様な表情の慧音がずかずかとやって来た。

「心配したんだぞガイ! 全くお前という奴は」

「悪かったって。勝手に行っちまった事に関しては」

「お前がウルトラマンだったとはな」

「ぶっ!?」

 慧音の一言に、ガイは思わず噴き出す。隠れて変身したはずなのに、目撃されていたのか。

「な、なんでそんなこと」

「お前が入っていった路地裏からウルトラマンが飛び出してきたのを見た。つまりあれは、お前なんだろう?」

 確信を持った目でじっとガイを見つめてくる慧音に、ガイは観念した様にため息を吐く。

「……誰にも言うなよ?」

「分かっている。私もそこまで馬鹿ではない。それにしても、ウルトラマンは人間が変身するものなんだな」

「ま、まあそうだな」

 ヒカルやショウはその通りなのだが、ガイの場合はオーブ自身がこのガイの姿となっているため厳密には違うのだが、それを話しても慧音を混乱させるだけだと思い、そういう事にした。

「それにしても、どうしてお前はこの世界に来たんだ? 最初は迷い込んだと言っていたがあれは嘘なんだろう?」

「まあな。言ってしまえば、あの魔王獣を倒すために来た」

「魔王獣? あの化け狐の事か?」

「ああ。世界を滅ぼす力を持った危険な存在、そいつを止めるのが俺の役目だ。だが……」

 ガイは後ろを振り返る。背後の風景は、数十分前とは大きく変わってしまっていた。

 建物は大半が破壊され、ガレキで埋め尽くされていた。人々は安全な場所を求めて魔法の森と呼ばれる場所やその他の場所に避難したが、中にはこの寺子屋に残っている者達もいる。

「守れなかったな。すまない」

「何を言っている、自分を責めるな」

「だが、中には死んだ奴もいる。そうだろ?」

 ガイの言葉に慧音は思わず黙り込んでしまう。あの魔王獣の攻撃で少なからず犠牲者が出ている、それは紛れもない事実。慧音の無言を肯定と受け取ったガイは拳を握りしめる。

「……俺は、無力だ……」

「そんな事無いぜ?」

 すると、ヒカルとショウが歩いてくるのが見えた。

「ヒカルさん、ショウさん」

「彼らは?」

「礼堂ヒカルさんとショウさん。二人が、ウルトラマンギンガさんとビクトリーさんだ」

「なっ……!?」

 ガイの言葉に目を見開く慧音。ヒカルは気恥ずかしそうに頭を掻く。

「守るべき人達がいる限り、俺達の戦いは終わらない。それがいなくなった時が、俺達にとっての敗北なんだ。一人でも守るべき人がいる限り、俺達は負けないし負けちゃいけない」

「…………」

 ガイの脳裏にかつて交流があった異国の少女ナターシャと現在交流があるSSPのメンバーの顔が思い浮かぶ。そして隣にいる慧音の顔を見る。

「そう、ですね。まだ終わりじゃない」

「ああ。今度こそ守ってやろうぜ、この幻想郷を」

「はい!」

 ヒカルとショウ、ガイは拳をぶつけ合う。その様子を見た慧音も笑顔を浮かべる。そこに。

「た、大変です慧音先生!」

「大妖精!?」

 緑の髪と透き通った羽が印象的な妖精、大妖精が走ってくるのが見えた。慧音は彼女を落ち着かせる様に肩に手を置く。

「何があった?」

「み、みんなで避難した魔法の森に、さっきの怪物が……!」

「なっ……!?」

「それだけじゃなくて、黒い巨人も一緒で」

「!?」

 四人の顔が、一気に緊迫したものに変わった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 マガキュウビをスキマで回収した紫はマガキュウビを藍の姿に戻していた。ダメージを受けたのか、藍が呻き声を上げているが紫は意に介さない。そしてダークケイオスも幽々子の姿に戻って帰ってきた。

「紫、今度はどうするつもり?」

「ちょっとこの子を強化してあげようと思って」

 そう言いつつ再度スキマを開くと、小さな影が落ちてきた。それを見た藍の顔が青くなる。

「ち、ちぇん……」

「藍しゃま……」

 それは藍の式である橙だった。藍同様、苦しそうに息を吐いている。紫はそんな二人に向けて手をかざす。

「さあ藍、橙? 今こそ二人の力を一つにしてより強力な魔王獣になりなさい」

「……ああああああ!?」

「うあああああ!?」

 二人がもがき苦しむ中、その身体が黒い光に包まれる。光が一つになってどんどん巨大化していくと、マガキュウビが再びその姿を現す。しかし、今度は全体的なフォルムが刺々しく攻撃的なものに変化し、目は血走ったかの様に赤く染まっている。

 体の模様も黄色と茶色の縞模様に変化し、二人が融合している事を示唆している。

『グギャアアアア!』

 声もより荒々しいものに変化し、理性を無くした獣の様だ。その姿に紫は満足そうに笑った。

「……行きなさい」

『ゴアアアアア!』

 マガキュウビがスキマを突き破る様にして出ていく。それを見送った紫は幽々子に視線を送る。その意図を察した幽々子は黒いアイテムをかざして再度ダークケイオスに変身し、マガキュウビを追いかけるのだった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

『ゴギャアアア!』

 マガキュウビが口から紫の光線を放ち、森を火の海に変えていく。森に避難していた人々は再び逃げ惑う事になっていた。

「くっそ、なんなんだよこいつ!?」

 偶然、森に戻っていた魔理沙がマスタースパークで応戦するも、マガキュウビには効果が無い。そしてダークケイオスも巨大化して森を蹂躙していく。

「アリスの奴、逃げてるといいけど……!」

 逃げる様に飛び回りながら、牽制でマスタースパークを撃っていく。しかし効果がない以上、魔力の無駄遣いになるので乱用も出来ない。どうしたものかと考えていると、三人の人影が走っているのが見えた。

「ヒカル、ショウ!」

 そのうちの二人は見覚えのある姿だったので安心しつつ地上に降りる。三人はマガキュウビとケイオスを見上げている。

「魔理沙!」

「ん? 慧音か?」

 少し遅れて慧音がやってくるのが見えた。もう一人は慧音の知り合いなのだろうかと考えていると、三人が懐からそれぞれアイテムを取り出しているのが見えた。

「これで決める」

 力強い口調でショウが言う。

「ああ、行こうぜ!」

 鼓舞するような声でヒカルが言う。

「今度こそ、守ってみせる!」

 決意を込めた声で青年が言う。そこに慧音が割って入る。

「待ってくれ!」

 その声に三人は振り返る。慧音は力の限り叫んだ。

「私は、いや私達里の人間は信じていいのか? お前たちが私達の味方だと」

 それに対して、三人はしっかりと頷いて応えた。

「ああ、信じてくれ」

「当たり前だ」

「慧音、この二人は決してみんなを裏切ったりしない。俺が保証する」

 それを聞いた慧音はほっとした顔を見せた。

「そうか。それなら、みんなに伝えられるな。ウルトラマンは味方だと。……行ってこい!」

 慧音の言葉にもう一度頷いた後、向き直る。そして三人は大きな動きを見せた。

【ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!】

 ショウの体が光に包まれビクトリーになり。

【ウルトラーイブ! ウルトラマンギンガ!】

「ギンガー!」

 同じようにヒカルもギンガへと変身し。

「ウルトラマンさん!」

【ウルトラマン!】

『ヘアッ!』

「ティガさん!」

【ウルトラマンティガ!】

『ジャッ!』

「光の力、お借りします!」

【フュージョンアップ! ウルトラマンオーブ、スペシウムゼペリオン!】

 二人のウルトラマンの力を借りながら、青年も変身する。

 三つの光が同時に降り立ち、マガキュウビとダークケイオスの前に立ちはだかる。三人のウルトラマンが守る様に大地を力強く踏みしめる。それを魔理沙と慧音はゆっくりと見上げる。

『ツェアッ』

『ショウラッ』

『俺の名はオーブ。闇を照らして、悪を討つ!』

「あいつもウルトラマンなのかよ、慧音」

「魔理沙。お前は知っていたのか、ウルトラマンの事を?」

「まあ、色々あったんだよ」

 三人のウルトラマンの姿を確認したマガキュウビとダークケイオスは戦闘態勢に入る。

『ゴグアアアアア!』

『フハハハ、現れたかウルトラマン』

『ギンガさんとビクトリーさんはあの黒い巨人をお願いします。魔王獣は俺がやります』

『ああ、任せたぜオーブ!』

『……そろそろ、切り札を抜くか』

 そう言いながら、ショウは青く塗られた、ウルトラマンヒカリのスパークドールズを取り出してリードする。

【ウルトランス! ウルトラマンヒカリ! ナイトティンバー!】

『先に行くぜ、ショウ!』

 ギンガがケイオスに掴みかかっていく中、ビクトリーは出現した青い笛を掴みそれを構えてメロディーを奏でる。それはとても綺麗で澄み切った音色だった。

 その刹那、ビクトリーの周囲を青いオーラが包み込み、解き放たれる様に広がっていく。

 ビクトリーがナイトティンバーのカバーをスライドさせると、その中から刀身が出てくる。ビクトリーはそれを天高く突き上げると、無数のビクトリウム鉱石が出現してビクトリーを取り囲み、エネルギーをカラータイマーへと注ぎ込んでいく。

 するとビクトリーの体が光に包まれていく。

【放て! 聖なる力!】

 光が収まると、そこには青い身体のビクトリーが立っていた。Vクリスタルの色も赤に変化しており、力強さを感じさせる。魔理沙も慧音も、その姿の美しさに思わず見とれていた。

「あ、あれは」

『ウルトラマンビクトリーナイト。ビクトリーの強化形態だぜ』

 ケイオスを蹴り飛ばしながら、ギンガの中にいるヒカルが告げる。ビクトリーは猛然とケイオスへ斬りかかっていく。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 その一方でオーブとマガキュウビも戦闘を開始していた。マガキュウビの突進をオーブが受け止めようとするが、前よりも速くなっている上に力強さも増しているためオーブは吹き飛ばされてしまう。

『グアッ!?』

 起き上がり、片膝立ちで構えるオーブだったが、マガキュウビは猛スピードでオーブの周囲を走り回り混乱させる。

『クッ、グッ……!?』

『グギャアア!』

 その勢いのまま再度体当たりをオーブにぶち当てていくマガキュウビ。直撃を受けたオーブは溜まらず吹き飛ばされていく。

『ウワアアア!?』

(くっ、こいつ……さっきよりも強くなっている? そもそもこいつは、どのウルトラマンさんの力で封印されていた奴なんだ?)

 魔王獣は歴代ウルトラマンの力によって封印されていた存在。オーブは目を光らせて透視光線を使い、マガキュウビの額にあるマガクリスタルの内部を調べていく。その中にいたのは、ウルトラマンの力が宿ったカードではなく狐の妖怪と小さな猫の妖怪だった。

(こいつらはなんだ!? ……そうか、玉響姫は魔王獣だけど魔王獣じゃないと言っていた。この二人を媒体にこの魔王獣は生み出された、そういう事か。なら、まずは二人を助け出す! けどギンガさんとビクトリーさんは黒い巨人の相手だ。俺が助け出すためには、この力を使うしかない!)

 ガイはウルトラマンジャックとウルトラマンゼロのカードをオーブリングに読み込ませ、ハリケーンスラッシュへとその姿を変えた。そしてすかさずオーブスラッガーランスを取り出して手に取ると、レバーを一回引く。

『オーブランサーシュート!』

 三叉の槍から光線が放たれてマガキュウビに直撃する。その隙を突いてオーブはランスをマガキュウビのマガクリスタルに突き立てようとするが、寸でのところで躱される。そのスピードを生かしてオーブから距離を取ったマガキュウビだったが、オーブもテレポートでそのスピードに対抗する。

『今だ!』

 マガキュウビが立ち止まった一瞬の隙を突き、オーブがランスをマガキュウビのマガクリスタルに突き立てる。クリスタルは音を立てて砕け散り、中から媒体に使われていた二体の妖怪が落下する。オーブはそれを掌で受け止めて慧音達の傍に降ろす。

「こいつらはスキマ妖怪の式か?」

「だよな。おいしっかりしろ!」

 オーブはその様子を見ながら立ち上がる。しかし、その背後を狙ったマガキュウビの閃光が直撃し、オーブはよろめく。

『ぐううう!?』

『ゴアアアアア!』

『ぐあああああ!?』

 マガキュウビは九本の尾から容赦なく閃光を放ちオーブを襲う。オーブは背後にいる二人と二体を守るため、その攻撃を受けるしかなかった。

 媒体を取り出したので弱体化すると踏んでいたのだがそんな事は無く、むしろより攻撃的にすらなっている気がした。

 オーブはがくりと膝を着き、ランスも思わず手放してしまう。そこに容赦なくマガキュウビの追い討ちが来る。オーブは慧音と魔理沙を巻き込むまいと必死に自らを盾にする。

『が、うあああああ!?』

「ガイ!」

 慧音が思わず叫ぶが、オーブは明らかにフラフラになっている。更に胸のカラータイマーも点滅を始める。

『ヘアアッ……!』

『グウッ……!』

 半透明のジャックとゼロがカラータイマーを点滅させつつ、辛そうにオーブの体からはみ出る。もう時間は残されていない。こうなったら最後の手を投入するしかない。

『こうなったら、この力を!』

 ガイは息を切らしつつ叫ぶと、二枚のカードを新たにオーブリングへとリードした。

『タロウさん!』

【ウルトラマンタロウ!】

『トアアッ!』

『メビウスさん!』

【ウルトラマンメビウス!】

『シェアッ』

『熱い奴、頼みます!』

【フュージョンアップ! ウルトラマンオーブ、バーンマイト!】

 オーブの体が赤い光に包まれる。その中から現れたのは、頭部に巨大な角を持ち、燃え盛る様な赤いボディを持った新たな姿のオーブ。マガキュウビは煩わしそうに吼える。

『紅に、燃えるぜ!』

 オーブはそのまま空中へ飛び上がり、何回も回転を行い、その勢いを利用してマガキュウビを蹴飛ばす。

『オオウリャ!』

『ガアアア!?』

 マガキュウビは思わず地面を転がる形になる。起き上がったところに燃える炎を纏ったパンチをマガキュウビに叩き込む。マガキュウビはその場で吹っ飛び、オーブの眼前で昏倒した。

『ガ、ギャ……!?』

『行くぜ、ストビュームバーストォ!』

 オーブが両腕で巨大な火炎弾を生み出し、それをマガキュウビに炸裂させる。直撃したマガキュウビは大きな爆発に巻き込まれ、ダメージを受ける。

『グギャアア!?』

 効果はあったようで、マガキュウビは大きく呻き苦しんだがまだ足りない。とはいえこれ以上炎系統の技を使っても森の被害を拡大させるだけだ。そこでオーブはスペシウムゼペリオンの姿に戻る。

 そして右腕を上に左腕を横に伸ばしてエネルギーを溜めた後、両腕を十字に組んで光線を発射する。

『スペリオン光線!』

 青い光線がマガキュウビの腹部を捉える。

『グガアアア!?』

 マガキュウビは断末魔を上げながら爆風に巻き込まれ、消滅していく。オーブは慧音と魔理沙の方に振り向くと、安心させる様に頷いた。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 一方、ギンガとビクトリーはダークケイオスを相手に立ち回っていた。特にビクトリーナイトになったビクトリーが目にも止まらぬ速さの斬撃で圧倒し、ケイオスを寄せ付けなかった。

『トウリャッ、ツェリャ!』

『ガッ、グハッ!』

 ビクトリーがケイオスの体を斬りつける度に青い剣閃が走る。ギンガもビクトリーを援護する様に追撃を加え、前回とは打って変わって二人がケイオスを押していた。

『図に乗るな! 幻葬『夜霧の混沌殺人鬼』!』

 黒いナイフの形をした閃光が二人のウルトラマンに迫るが、ビクトリーがナイトティンバーを振るい全て叩き落とす。

『何!?』

『ハッ!』

 ビクトリーが大きく飛び上がりながら、ナイトティンバーのカバーをポンプさせる。するとナイトティンバーの刀身にエネルギーが宿る。

【ワン! ナイトビクトリウムフラッシュ!】

『ナイトビクトリウムフラッシュ!』

 ビクトリーが空中で回転しながらケイオスに斬りつける。血飛沫の様に火花が舞い散り、ビクトリーはケイオスを貫く様にして滑り込む。

『ぐおおお……! ぐ、なかなかやる。こうでなくては面白くない。また会おう、ウルトラマン』

 ケイオスが斬られた脇腹を押さえながらそう言うと、スキマが開いてケイオスはその中に入り込む。ビクトリーはそれを追いかけようとするが、スキマが閉じる方が早かった。

『チッ』

 こうして戦いは終わった。三人のウルトラマンは変身を解除して、人間の姿に戻る。

「ち、ケイオスは取り逃がしたか」

「妖夢の主が変身しているって事、忘れるなよショウ」

「分かっている。だが咲夜の技までコピーしているとはな」

「この感じだと、霊夢のもコピーされてそうだな。厄介だぜ」

 ヒカルとショウが話しているところにガイがやって来る。その表情は感慨深げになっている。

「こうしてお二人と共に戦えたこと、本当に光栄です。俺はそろそろ帰らないといけないようです」

 そう言って振り返るガイの背後には、真っ白な光のゲートが出現していた。どうやらあれでガイはやってきたらしい。ヒカルとショウはガイの方に向き直る。

「オレの方こそ、感謝したいぜ。また何処かで会えるといいな」

「ああ」

 ガイはヒカルとショウにそれぞれ手を差し出す。二人はそれを取って、固い握手を交わす。

「ガイ!」

 そこに慧音がやって来た。ガイは名残惜しそうに振り向く。

「悪いな慧音、もう帰る時間らしい。お前には本当世話になったな。子供達にもよろしく言っておいてくれ」

「ああ、もちろんだ。……また会えるよな?」

「運が良ければな。それじゃ、またな」

「ああ、ありがとうガイ!」

 それだけ言い残してガイはハーモニカを吹き鳴らしながらゲートの中に入っていく。その姿が見えなくなると、ヒカルとショウ、慧音と魔理沙はそれぞれ倒れている藍と橙の介抱に当たるのだった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 紫のスキマ内部。ダメージを受けた幽々子が苦しそうに呻く中、紫が静かに歩み寄ってくる。

「ふふ。これはそろそろ……決戦の時かしら。幻想郷最初の怪獣の傷もすっかり癒えたようだし、こちらから仕掛けてみますか」

「紫、本気なの……?」

「当たり前じゃない。私はいつでも本気よ」

 そう言って笑う紫の張り付くような笑顔に、幽々子は背筋が凍る感覚に襲われた。




手駒となる怪獣を従え、ヒカルとショウに改めて挑戦状を叩きつけるケイオス。光と闇の全面対決が幕を開ける。果たして勝つのはどちらなのか。
次回、混沌魔人異変の章
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。