わがはいは、わがはいである   作:ほりぃー

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ねこはあきらめないのである


どうしてもおこしたいのである

 今日はお散歩日和である。

 吾輩はここちよい風の吹く道を歩いていくのである。

 今日は吾輩の毛並みがさらさらとしているのである。これもふとのおかげであるな、たまにはいいことをするのである。

 

 吾輩はいつも思うのである。なんで空は青いのであろうか? ううむわからぬ。何度考えても分からぬのである、吾輩はその場に立ち止まってくしくしと後ろ足で首をかいてみるのである。何かいい考えが浮かぶかもしれぬ。

 いや、浮かばないのである。空に聞いてみたいのであるが、空の耳がどこにあるのか吾輩にはわからぬ。それに遠すぎるのである、今度もみじに空のところまで連れて行ってもらえぬであろうか?

 お空の散歩は前もしたのであるが、結構楽しいのである。

 しかし、なぜ空は青いのであろうか、ううむ。

 吾輩が深くそんなことを考えていると、吾輩の前で刀を持った誰かが止まったのである。もしかしたらもみじかもしれぬ。吾輩はそちらに目を向けたのである。

 

「あ」

 

 おぉ、ようむではないか。手に持っている袋は何であろうか。

 

「おまえ、どこにでもいるわね。幽々子様のお饅頭のお使いの帰りに会うなんて、奇遇というかなんというか」

 

 お使いの帰りであるか、吾輩もそのおまんじゅうをひとつほしいのである!

 吾輩はようむにそういってみると、ようむはいったのである。

 

「ねこはいいなぁ。気楽そうで……何考えていつも生きているのかな?」

 

 今は空がなんで青いかを考えていたのである! ようむは何か知っているのであろうか。

 

「……どうせ、今日のごはんのことでも考えてたのかも」

 

 いや、別に考えておらぬ。しかしそういわれるとちょっとおなかが減ったのである。ようむよおまんじゅう……。いや、なでなではいいのである。おなか減ったのである。

 

「はあ、幽々子様もそろそろおなか減らしているだろうなぁ、帰らないと」

 

 ようむはそういうと吾輩にかるくおじぎしてから「何猫におじぎなんてしたんだろう」と独り言を言ってどこかに行ってしまったのである。ついていこうか悩んだのであるが、吾輩はやめておいたのである。

 ついていったらきっとゆゆこと遊んでしまってたのしくて帰れなくなる気がするのである。吾輩はその場でふるふると体を揺らしてみるのである。それにしてもおなかが減ったのである。

 草むらには何もないのである。

 人里に行ってみるのもいいかもしれぬが。

……たんぽぽである。なんか目に入ったのである。

まっきいろなその花のまわりを吾輩はなんとなく回ってみるのだ。はっ、なんでこんなことをしたのであろうか。わからぬ、風に揺られているたんぽぽに吾輩は聞いてみたのであるが、なにも答えてはくれぬ。

 

「……おーい」

 

 びくっ。

 吾輩が驚いて振り向くとそこいたのは赤いリボンの少女である。巫女ではないのである。白い髪をしたもこおであるな。前に一度会ったことがあるのである。だから吾輩は背筋を伸ばして挨拶をしたのである。

 

「……おなか減ったなぁ」

 

 吾輩もであるが、ちゃんと挨拶をするのである。

 それにしてももこおはなんで吾輩に話しかけたのであろうか、髪が風に揺れているのである。もこおは草むらに座り込んで吾輩を眺めてきたのである。照れるのである。

 

「たんぽぽかぁ。一応食べられるんだよなぁ。さすがに今はいらないけど」

 

 そうなのであるか? 吾輩はたんぽぽを食べようとしたことはないのであるが、もこおは食べたことがあるのであろうか。いがいとものしりである。

 そう思っているともこおはごろんとその場に寝転んだのである。お昼寝であろうか吾輩もお昼寝したいのである。なんとなくもこおの真似をして仰向けでころんと寝転んだのである。

 

 もこおは両手をひろげた枕を頭に空を見ているのである。

 

「ねえ、あの雲」

 

 雲はいっぱいあるのである。もこおがどれを言っているのかよくわからぬ。吾輩はねころんだままもこおを見るのである。

 

「……なんでもない……ふぁーあ。ねむたいなぁ」

 

 ……気になるのである。どこの雲がなんなのであろうか、吾輩はとても気になるのである。もこおよ。教えてほしいのである。なにがくもがどうしたのであろうか? 眠ってないで答えてほしいのである。

 吾輩は体を起こして、ねむっているもこおの顔を舐めてみるのである。

 

「ううん……」

 

 手でどけられたのである。

 吾輩は負けぬ。起きてほしいのである。もこおの胸の上に乗っかってみるのである。

 

「おもい……」

 

 起きてほしいのである。

 おきぬ……どうすればいいのであろうか、吾輩は悩むのである。ほっぺたを肉球で押しても、顔を舐めても起きてはくれぬ。というかそのたびに手でどけられてしまうのである。しかし、吾輩はあきらめぬ!

 くものことがなんとなく気になるのもあるのであるが、もこおを起こし始めたのを最後までやりたいのである。なぜかはわからぬ。

 

「ああ、もう……。眠いから、静かにしてぇ……」

 

 くものことを聞いたら静かにするのである。吾輩とあそんで……いやいや、お話を最後までしてほしいのである。吾輩はもこおの周りをまわってみて、なんとか起きてくれぬかと思うのである。

 足を組んで寝ているのであるな。足にすり寄ってみてもおきぬ。吾輩はごうをにやしているのである。しかしごうとはなんであろうか? ごうがにやにやしているというときっと笑っているのかもしれぬ。笑うのはいいことである。

 

 吾輩はまたもこおの顔のそばに来たのである。「起こすなよ……」と聞こえてきたのであるが、気のせいであろうか? いいのである。吾輩はどうしても起こしたくなってしまうのっである、この気持ちは吾輩にもよくわからぬ。

 吾輩が一歩前にすすむともこおが「ぐるる」とのどを鳴らしているのである。なんか怖いのである。ううむ。どうすればいいのであろうか、胸の上に乗ったらすぐに降ろされてしまうのである。安定して乗りやすいのであるが……仕方ないのである。

 

 なんとなく耳を舐めてみるのである。

 

「!! ひゃ」

 

 もこおがはね起きたのである!

 吾輩もびっくりしてはねたのである。もこおが赤い顔で吾輩をにらんでいるのである。

 

「いたずら猫……」

 

 もこおも悪いのである。とても気になることを言っていきなり寝るのはいかぬ。ちゃんと答えて寝てくれねば吾輩も安心してお昼寝できないのである! これはせいとうな理由があるのである。

 

 しばらく吾輩と見つめあってからもこおはかっくり肩を落としたのである。

 

「猫と何を対抗しているんだ私は……まーいいか。よいしょ」

 

 もこおがその場で立ち上がっておしりをぱんぱんとはたいているのである。ちょっと耳たぶをつまんでもみもみしているもいるのである。痛かったのであろうか。もしそうなら悪かったのである。

 そういえば、吾輩もおしりをはたいた方がいいのであろうか、しかし吾輩はおしろのはたき方がわからぬ。その場でクルクル回ってみても吾輩の尻尾しか見えぬ。

 

「なにやっているの? ……今から慧音のところにでも行こうかな、おなか減ったし」

 

 吾輩も行くのである! 吾輩はぴったりクルクル回るのをやめてもこおのそばに近寄ったのである。もこおは両手をぽけっとにいれて、空を見上げながら歩いていくのである。

 

 吾輩も一緒に行くのである。お散歩は大勢の方が楽しいのである。

 もこおはたまに吾輩に話しかけてくるのでちゃんと吾輩はにゃあと答えておくのである。

 遠くに人里が見えるのである。

あれは白い煙が立ち上っていくのはごはんを作っているからだと吾輩ともなれば知っているのだ。

 


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