わがはいは、わがはいである   作:ほりぃー

60 / 100
ごはんをいっしょにたべるのである

 吾輩はてらこやの門をくぐったのである。

 そういえばこがさと一緒に遊んでのもここであった。なんだか懐かしいのである。こがさはよく遊びたがるから吾輩がちゃんとあそんでやらねばならぬ。おとなのつらいところであるな。

 

 てらこやのなかは静かである。今日は誰もおらぬのかもしれぬ。

 と、思っていると玄関から頭巾をかぶったけいねがひょっこりと顔を出したのである。吾輩はすぐに見つけてみゃあみゃあと挨拶をするのである。

 

「ああ、来たのか」

 

 けいねはゆっくりと笑って、吾輩を手招きした。吾輩はその後ろをついていこうとして気づいたのである。たてものの中に入るときは足を拭かねばならぬ。

 吾輩は紳士であるから、そのあたりはうるさいのである。

 というよりも昔怒られたのである。

 でも自分で足は拭けぬ……けいねよ助けてほしいのである。吾輩は声を上げて助けを求めたのである。

 

「わるい、わるい」

 

 くすくす笑いながらけいねが戻ってきて、ちゃんと足を拭いてくれたのである。ありがとうなのである。それにしても足を拭かれているとなんだか、気持ちいいのである。

 

「ほんと、その猫は慧音になついているのね」

「妹紅?」

 

 けいねはまたくすくす笑いながら玄関の外に立っているもこおを見たのである。

 

「なんだか最近この子と妹紅は一緒にくるね。仲良くなったのか?」

 

 吾輩はもこおとはともだちなのである。ヤマメをくれたことを吾輩はちゃんと覚えているのである。もこおは頭をかきながら、「んー」と何か考えているのである。

 

「まあ、そんなとこかな」

 

 なんだかなげやりなのである。吾輩は綺麗になった足でしっかりと立って、首を振るのである。吾輩ともこおはとても仲良しなのである。一緒にやまめを食べたことは忘れてはならぬ。

 

「それより」

 

 それよりといいながら、もこおがおなかをさすっているのである。

 

「あー、えっと」

 

口を小さく開けてぱくぱくしているのである。なんであろうか。

 もこおがそっぽを向いているのである。吾輩にはよくわからぬ。ううむ、何が言いたいのであろうか、吾輩はけいねにご飯をもらいに来たのである。けいねよどういうことであろうか、そう思って吾輩がけいねを見上げると、けいねも首をかしげているのである。

 

 うむ? けいねがぽんと手をたたいて笑ったのである。

 

「ちょうどいいところに来た。私は今からお昼にしようかと思っていたんだ。どうだろう妹紅、私ひとりじゃ味気ないし、食べていってくれないかな?」

「…………さすが寺子屋の先生ね。ごちそうになるわ」

 

 もこおが両手を上げているのである。吾輩は知っているのであるそれはこうさんのぽーずであるな。吾輩はよくわからぬが勝ってしまったのである。けいねよ吾輩もごちそうになりたいのである。

 そう思ってけいねの足元でしばらく鳴いてみると、けいねは「わかっているから」とにっこり笑っているのである。なんだか今日はよく笑う日であるな。そういう日はいい日なのである。

 

「ふふふ」

 

 しかし今日のけいねは不気味である。こう、なにかを企んでいるような顔をしているのである。

 

「お前が来るかもと思って、今日はすごいものを手に入れているんだ」

 

 すごいものであるか?

 

 

「外の世界の猫のごはんでか、かりかりだったかな?」

 

 ☆

 

「いただきます」

 

 もこおとけいねがまーるいテーブルに向かい合って座っているのである。その上にご飯とみそしるがほかほか湯気を立てているのである。あとは漬物であろう。吾輩はごはん以外は食べたことはないのである。

 

「ほら」

 

 畳で寝そべっていると、けいねが吾輩にもお茶碗をくれたのである。中には「かりかり」が入っているのである。吾輩はこれを食べたことがあるのである。りんのすけがたまにくれのである!

 ……かり……かり。うむうむ。おいしいのである!!

 

「いっぱいたべろ……。いいこいいこ」

 

 けいねはそう言って吾輩をなでなでしてくれたのである。これをいたれりつくせりというのであろう、吾輩はわかっているのである。もこおよ、ちゃんと食べているのであろうか。

 

 もぐもぐ。もこおもご飯を食べているのである。ちらりと吾輩を見ているのである。なんとなく寂しげな顔をしているような気もするのはどうしてであろうか。

 

「猫ってたまにうらやましい気もするわ」

 

 おお、もこおがぱるすぃと同じようなことを言っているのである。

それを聞いたけいねは膝でもこおに近づいて行って、その頭にぽんと手を載せてなでなでし始めたのである。

 

「いいこいいこ」

「いや、そういう意味じゃないけど……。わかってやってるからたちが悪いなぁ」

「なんだ、猫がうらやましいってそういう意味かと思ったよ。かりかりでも食べる?」

「おいしいの? 一つもらっても」

「いや、冗談! 本気にしないでくれ」

「……わかってて言った」

 

 くすっともこおが微笑んでからけいねもくすくす笑い出したのである、

吾輩も笑いたいところであるがこれを食べるのに忙しいのである。

 かりかり……かりかり……かりかり……?

 このお茶碗は端っこが欠けているのであるな。いや、別にどうということもないのであるが、かりかり。もこおよりも早く食べる勝負である! 吾輩はおいしく食べて勝つのである。

 

「ごちそうさま」

 

 もこおが言ったのである。吾輩はびっくりしてそちらをみると、お茶をすすっているもこおがいるのである。負けたのである。ううむ。別に悔しくはないようなきもするけど、くやしいのである。

 けいねはまだ食べているのである。さっきちょっと台所に行っていたのである。

 

「ねえ、慧音。ごちそうさまって……猫は言うのかしら?」

「……いきなりね。私に聞くよりも猫に聞いてみた方が速いんじゃない?」

「そうかな。おい。猫。ごちそうさまって猫語でなんていうのかしら?」

 

 吾輩に言っているのであるな。ごちそうさまがごちそうさまである、吾輩はしっかりと説明をするのである。

 

 にゃぁー、にゃー。

 

「なるほど」

 

 わかってくれたようであるな、吾輩はコミュニケーションのてんさいになってしまったかもしれぬ。これもさとりのおかげである。そういえば巫女とはまだあっておらぬ。後で会いに行くのである。

 

 ぱんっ!

 驚いたのである。見ればもこおが両手を合わしているではないか、なんであろう。

 

「にゃぁー、にゃー……やってみたけど恥ずかしいわね」

「いや、かわいいよ」

 

 いきなりなんであろうか? わけがわからぬ。吾輩は食事中におおきなおとをたてぬようにげんじゅうなこうぎをもこおにしたのである。

 

「ん? まだご飯食べてないじゃない。あとで遊んであげるわ」

 

 近寄ってみるとそういわれたのである。すべてを食べると遊んでくれるのであるな!

 

「慧音。隣の部屋を貸してくれないかしら?」

「ああ、どうぞ。お布団敷こうか?」

「座布団1枚貸してくれたらいいわ」

 

 そういってもこおがあくびをしながら隣の部屋に行ったのである。話が違うのである! 吾輩と遊んでくれる約束をいましたのである!! ううむ、ううむ。さびしい。

 

「おや? おまえ。お茶碗」

 

 けいねが吾輩のお茶碗をひょいと持ち上げたのである。まだ、食べ終わってはおらぬ。

 

「欠けているね。これを使うと危ないなぁ。代わりのお茶碗なんてないし……」

 

 けいねがお茶碗を置いて吾輩を抱っこしてきたのである。顔をずいと近づけてくるのである。なんだか甘いにおいがするのであるな。けいねはお菓子と友達かもしれぬ。

 

「私とお茶碗を買いに、でーとしようか?」

 

 よくわからぬがお散歩は大歓迎なのである!

 






もこおはなにも言わぬ。ばめんばめんの心情をわかってくださるとうれしい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。