わがはいは、わがはいである   作:ほりぃー

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パーティー編成


あたらしいあさなのである

 吾輩は満足である! 

 人里からの帰りにけいねはなんとやまめを2匹も買ってくれたのである。吾輩は今日はおなかが膨れて何も考えることができぬ。

 だからこうしてけいねの家でごろごろしているのである。明日はよくわからぬが陶器市に行くというので吾輩楽しみである。なんといっても吾輩は知らないことをする時には楽しいことがあるというのをちゃんと知っているのである。

 

 ごろごろごろ。吾輩は畳が好きなのである。外を見ればもう真っ暗であるな。ほうほうほう、と鳥の鳴き声が聞こえてくるのである。……それよりも、ろうそくのある部屋から外を見るといつもより暗く見えるのはなんでであろうか。ふしぎである。

 

「あれはフクロウかな?」

 

 けいねよ、あの鳴き声はフクロウではないのである! むむむ、これは吾輩がせんせいになれるちゃんすであるな。吾輩が教えてあげるのである。

そう思って丸いテーブルによりかかってお茶を飲んでいるけいねに近づくのである。吾輩になんでも聞くのである。

 

「どうしたの? もう眠たい?」

 

 背中を撫でられると吾輩は、うむ。ぶるぶる。眠たくなってしまうのであるが、そうじゃないのである。

 

「妹紅も泊っていけばよかったのにね?」

 

 きっと忙しいのである。今度会ったらもう一度おさんぽしたいものであるな。

 けいねはさっき吾輩とお風呂に入ったから手があったかいのである。そこ、そこであるな。いいのである。そういえばさっき吾輩はけいねに何を言いに来たのであったか……まあ、いいのである。

 

「うん、もうおまえも乾いたな、明日は朝から出かけるからもうお休みしようか?」

 

 けいねはそう言って吾輩を抱くと、ろうそくの燭台を片手にもって寝るところにぺたぺたと廊下を歩いて移動したのである。吾輩はどこでも眠れるのであるが……。

 そういえばけいねは白い寝間着になっているのである。巫女も寝るときは着替えるのであるが、吾輩も寝間着を用意した方がいいのであろうか……ううむ。

 吾輩がそう思って深い考えに耽っているとけいねの部屋についたのである。お布団が敷いてあるのである。けいねはお布団の傍らに吾輩をおろすと、ろうそくをふっと消したのである。

 それ吾輩もやりたいのである!! そのふっとするの、吾輩もやりたいのである。なんだか楽しそうである、

 

「こらこら何も見えないのににゃあにゃあ言っても分からないよ」

 

 ? 見えるのである。暗い方が吾輩いい時もあるのである。もしかしたらけいねは目が悪いのやもしれぬ……心配である。

 けいねは布団の上に座り込んでから手探りで中に入ったのである。髪をまとめているのがねこじゃらしみたいであるな。

 

「おいで」

 

 けいねがふとんを上げたので吾輩はするりと入り込むのである。うむ、なかなかのいごこちであるな、吾輩は布団の中で目を閉じたのである。

 

「おやすみ。ゆたんぽ代わりにちょうどいいよ」

 なーお。あったかいのである。

 

 

 やまめ、やまめ……ううむ。うむ? 夢であるか……。こがさとふとにやまめを取られそうになった……怖い夢である。

目の前が真っ暗である。

ここはどこであったか、なんだかいい匂いもするのである。吾輩はもそもそとそこから移動してやっとわかった。前の前ですうすう寝息を立てているのはけいねである、吾輩はほっぺたをぷにぷにしようとして、やめておくのである。

 吾輩は紳士であるから寝ているけいねを起こすことはせぬ。もこおは、まああれである。遊んでほしかったのである。

 

 吾輩はそろりそろりとけいねを起こさぬように、脱出するのである。

 

「う、うーん」

 

 ビクっ

 ……寝返りをしただけであるか、吾輩びっくりしたのである。まあ、いいのである、もう完全に目が覚めてしまったのであるからして、外に行きたいのである。吾輩は布団をふみふみしてから抜け出すのである。

 さて、どうやって出ようか、と吾輩が考えていると綺麗に張られた障子が目に入ったのである。白いぱりっと割れるあれであるな……。頭をいれて破るといい音がするのである。

 

 うずうず

 にじりにじり

 うずうず

 

 はっ! いかぬいかぬ。吾輩はやらぬ。ちらり。うむむむ。誘惑には断じて負けぬのである。怒られてしまうのである。

 吾輩はそのあたりをうろうろしているとふすまの間が空いているのである。そこに前足をいれて体をいれると、おお開くのである。そこから廊下に出たのである。

 

 寒いのである。廊下の床も吾輩は冷たいと思うのである。吾輩はふるふる体を震わせたのである。ちょっとお布団にもどりたい気もするのであるが……。

 それでも吾輩は渡り廊下にきて庭に降りたのである。ここは出るのも入るのも簡単であるが、けいねはちゃんと入ってきなさいというのである。今日は出るだけであるからいいのである。

 

 空が青いのである。うむむ、なんといっていいのかわからぬ。なんだかお山のあっちの方が明るいのである。それにしても静かであるな。

 くしくし。落ち着いて毛並みのめんてなんすができるのである。こう、1日でも怠ってはならぬのである。

 ? 屋根の上に誰か座っているのである。危ないのである。吾輩もよく屋根の上にはあがるのであるが、素人が昇ってはならぬ。

 吾輩はにゃあにゃあと読んでみると人影がこっちを見たのである。朝の風に赤いリボンがゆれて、にっと歯を見せて笑っている少女である。短い金髪がうっすら朝日に輝いているのであるが、ふわふわとこちらに降りてきたのである。両手を伸ばしているのである。

 なんだ妖怪であるか。けいねの家に妖怪も来ているのであろうか。

 

「のんびりしてたら、夜が終わっちゃった」

 

 そうであるか。何か言いながら少女は吾輩の前にすとんと降りてきたのである。ばっと黒いスカートが揺れたので思わず吾輩がパンチしてしまったのである。

 

「ちょっ、ちょっと破ける」

 

 すまぬ……わざとではないのである。この少女意外とおしゃれに気を付けているのかもしれぬ。スカートを指でつまんで破れてないか見ているのである。吾輩がにゃあというと、少女は赤い目で吾輩を睨みながら両手を上げたのである。

おお、見上げたついでに空にいい雲が飛んでいるのである。

 

「たべちゃうぞ」

 

 ……吾輩雲は好きである。今日もいい日になりそうであるな。

うむ? 少女よ大きな口を開けて何をしているのであろうか、すまないのである何も聞いていなかったのである。

 なかなか歯並びがいいのであるな……。いや、どうでもいいやもしれぬ。なんだか少女は固まっているのである。もしかしておなかが減っているのであろうか? なんだかかわいそうである、

 

 そうである! 吾輩はたったか走り出したのである。少女も「ど、どうしたの」とついてくるのである。

 吾輩は外からけいねの部屋に雨戸をかりかりするのである。ごはんがほしいのである。

 

「……う~ん。朝早くからどうしたんだ。おなかが減ったのか?」

 

 けいねがからから雨戸をあけて顔を出したのである。

 

「うわっ、なんだルーミア……だったか? なんでここに」

「しーらない。朝になりそうだから休んでただけだもの」

 

 ふーん。と言いながら少女……るーみあがそっぽを向いたのである。吾輩はその足元でごろごろ鳴いてみるのである。おなかが減ったまま我慢してはならぬのである。

 吾輩がみると、けいねはふっと笑ったのである。

 

「ご飯をお茶漬けにして食べていかないか? ルーミア」

 

 るーみあは振り向かずにどこかにむけて「そーなのかー」と言ったのである。吾輩からはちょっと笑っているのが見えるのである。

 




けいねとのふろはかっと

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