さなえとるーみあが空に向かって何かを描いているのである。吾輩はそれを目で追うのであるが、何を描いているのであろうか、ううむ。難しいのである。
「あー。なるほど」
るーみあが何か言っているのである。なにが分かったのであろう。しかし、るーみあは吾輩をちらりと見て、にやりと笑っただけである。
気になるではないか! 吾輩も負けてはおれぬ。二人を真似して寝転がって前足をこう、フリフリして見るのである。むむっ、何か分かった気がするのである。空が綺麗である。
おぉ、いい天気であくびをしてしまったのである。吾輩は頭を掻いてごまかすのである。ついでに前足を舐めて毛並みのメンテナンスをしておくのである。吾輩はこうりつ良くやるのである。
はむはむ。
ごろごろ。吾輩はなかなかここが気に入ったやもしれぬ。さなえよ。
「……」
横を見るとさなえが吾輩をにこにこしながら見ているのである。なんであろうか、吾輩は気になってむくりと起き上がったのである。
「あれ? どうしたんですか?」
それはこちらのセリフである。吾輩を見ていたので気になるのである。吾輩はさなえに近づいてにゃあと聞いてみたのである。するとさなえは頭をなでなでしてくれたのである。
うむ。まあ、いいのである。
「よしよし。でもそろそろ降りないといけませんね。あなたもですよ」
「はーい」
るーみあも起き上がって体を伸ばしてあくびをしているのである。まったく、迷子になったるーみあをみんなで心配していた気がするのである。これはいかぬ。悪いことをしたら反省をするのである。吾輩はるーみあの足を舐めてみるのである。
「……!!」
おお、るーみあがのけぞっているのである。まいったか。いや……そんなに睨まれても困るのである。吾輩はただ反省してほしいだけである。
さなえも何か言ってあげるのである。うむ? どうしたのであろうか。手で掲げて空をみているのである。お天道様に手を振っているのであろうか。吾輩は足元に行って聞いてみるのである。
吾輩のなきごえにさなえは振り返ったのである。
「いや、お天道様を掴めるかと思うくらい近くて」
お天道様を掴むのであるか! それはすごいのである。吾輩もまだやったことはないのである。いや、でも捕まえるのはかわいそうである。そっとしておいてほうがいいやもしれぬ。
なんといってもお天道様は吾輩よりもちいさいのに頑張っているのである。屋根の下に入ったらすぐに見えなくなるのであるし、雲よりも小さいのである。それでもがんばりやさんであるな。
吾輩はとても感心しているところである。
それにしても吾輩も光ることができるのであろうか。練習が必要であるな。ちょっと丸くなってみるのである。こうしっぽも体にまきつけるようにすると真ん丸になれるのである。
「こらこら、もう下に降りるんですから。寝転がったらだめですよ」
さなえに怒られたのである。
☆
ロボから降りてさなえと別れるとるーみあと一緒になったのである。
目を離すとすぐに迷子になるから吾輩も気が抜けぬ。ちゃんとついてくるのである。
「あーおなか減ったわ」
吾輩もちょっとおなか減った気がするのである。むむ、何かいい匂いがするのである。いや、るーみあよ。吾輩よりも先に行くのをやめるのである。吾輩もいい匂いのする方にいくのである。
吾輩達はいい匂いのする方へ歩いていくのである。周りはお皿など売っているお店が並んでいるのである。吾輩達は並んで歩くのである。
「はふはふ。ん? なんだ、いたのか」
向こうに居るのはなずーりんであるな。
手に持ってるのは串に刺して焼いたヤマメである! しゃー!
「わっなんだ、いきなり」
いかぬいかぬ。
吾輩としたことが、かりのほんのうを出すところで会った。なずーりんよそれを少し分けてほしいのである。頼むのである。吾輩はさっきお昼寝をしておなかがへっているのである。
「はむはむ」
吾輩をちらちら見ながら、おいしそうに食べているのである……むむむ。るーみあよ何か言ってやるのである。
「それどこでもらったの?」
「いきなり人聞きが悪いな、買ったんだよ。ほしければ自分で買えばいいだろ」
「それ欲しい」
「いや、買ったらいいだろ」
「お金ないもん」
「もんって言われても……」
なずーりんはじりじり後ろに下がっているのである。なんであろうか、逃げるえも……なずーりんを追いかけていきたい気がするのである。それにしてもなずーりんはいつも何か食べているのである。
るーみあもじりじりとなずーりんに近づいているのである。
「な、なんだ君たち。す、少なくともこれは私が自分のお金で買った正当なものだ。君たちにあげるようなつもりもないから、両手を広げて近づいてくるのをやめてくれ」
るーみあは両手を広げて、じりじりと近づいているのである。後ろは吾輩に任せるのである。吾輩はなずーりんの真後ろに回ったのである。
「なっ、き、君たち。これはカツアゲじゃないか!」
かつあげ? かつあげとは何であろうか。食べたことはないのであるが、けいねがたまに作る揚げ物の一種であろうか。ヤマメを焼くとカツアゲというのやもしれぬ。
「そーなの?」
るーみあは首をかしげてキョトンとしているのである。吾輩も同じように首をかしげてみるのである。なずーりんははあとため息をついているようであるな。
「それはそうだろう。少なくとも人のものを取るようなことをしていいわけがないんだ。さあ、そこをどいてくれ。私はもう帰るつもりなんだ」
「ふーん」
うむ? なんだかなずーりんとるーみあの周りがまっくろになっていくのである。
「わわっ。な、何をするんだ。こら、やめろ。こんなところで力を使うなっ」
まっくらなところからなずーりんの声が聞こえるのである。
「やめろぉ、これはちょろまかせたお小遣い……いや、お金で買ったものだ。お前なんかに渡すものか」
「そーなのかー」
おお、何も見えぬ。真っ黒な中で何かが起こっているようであるな。
ふたりとも頑張るのである。吾輩はどっちも応援するのであるぞ。しかし、不思議である。突然るーみあの周りだけ真っ暗になることもあるのであるな。
「ふん、相変わらず地上の者は妙なことをしているな」
うむ? いつのまにかとなりに誰か立っているのである。むむ、なんとなく甘いにおいがするのである。上を見上げると両手を組んで青い髪の少女がいるのである。おお、帽子に桃が生えているのである。
吾輩もほしいのである! いや、しかし、ここではまずは挨拶をせねばならぬ。吾輩は礼儀ただしくにゃあと言ってみるのである。するとその少女は吾輩をちらりとだけ見て、どこかへ歩いていくのである。
「せっかく霊夢のところへ土産でも持って行ってあげようとおもったのに。どうするか」
何を言ってるのかわからぬが、なんだったのであろうか。
はっ、それよりも、るーみあとなずーりんとヤマメが心配である。吾輩は黒い周りでにゃあにゃあと言いながらぐるぐる回ってみるのである。
すると黒い靄が晴れてきたではないか、中から現れたのは……
「はあはあ、もうこ、こんな人の大勢いるところで暴れるなんて」
けいねである! おお、両脇になずーりんとるーみあを抱えているのである。重そうであるな。
「あわてて飛び込んだけど。さ、さすがに二人の妖怪相手のするのは疲れたよ。帰ろうか……」
けいねが吾輩に言ってきたのである。吾輩もそろそろ帰って眠るのである。そうであるな、神社で今日は寝るのである。