「な、なんでこのタイミングでこんなことをするんだ! まったく君たちの思考回路は全くわからないよ!!」
お膝をカックンされてなずーりんが怒っているのである。るーみあはそっぽを向いているのである。なずーりんよ怒ってはいかぬ。吾輩を見るのである。こまのもそう思うであろう。
にこにこ
なんだかわからぬがこまのはにこにこしているのである。吾輩はどうすればいいのかわからぬ。とりあえず、毛並みを舐めてみるのである。紳士には毛並みのけあが一番大事なのである。
「おっ、毛づくろいですねー」
そうである。こまのは吾輩を畳の上に下ろしてくれたのである。これで集中して毛並みをめんてなんすできるのである。ぺろぺろ、ううむ。今日は調子が良いやもしれぬ。
「ほうほう、やりますねー」
照れるのである。みればまた、るーみあとなずーりんがつかみ合いになっているのである。たまには仲良くすればいいのである。こまのもそう思うのである。こまのはあぐらをかいて、両手を組んでむっとしているのである。
「すとぉーっぷ」
!! ビックリしたのである。吾輩はいきなり叫んだこまのを見たのである。
るーみあとなずーりんも一緒のようであるな。こまのはぷんぷんほっぺたを大きく膨らませて言うのである。
「喧嘩をするのはいいですけどっ。ほこりがたっちゃいます。それにお客様にもきこえちゃったらだめなので、静かにしましょう」
そうである、静かにするのである。吾輩は紳士であるからちゃんとわかっているのである。
「この猫さんみたいに毛づくろいするくらい余裕を持ってください。そうですっ。じゃあみんなで毛づくろい……いやいや、へあーぶらっしんぐをしましょう!」
なずーりんが一歩前に出たのである。
「君は何を言っているんだ? とにかく私はもう狸寝入りにも疲れたし、買った茶碗をもって帰るだけなんだ」
「まあーまーあ。そんなこと言わずに、すわっください」
「わっ、君。何をするんだ」
こまのが無理やりなずーりんを座らせているのである。それからこまのはどたどたどこかに走り去って、すぐに戻ってきたのである。右手に袋。左わきに座布団を何枚か挟んでいるのである。
「さあさあ、皆さん座ってください」
おお、吾輩にも座布団が出たのである。るーみあもスカートを押さえながら、正座したのである。なんであろうか、るーみあが何か興味を持っているように見えるのである。なずーりんはあれであるな、不機嫌そうであるな。
「このまえ猫さんがあの、布都さんにブラッシングされているところを見てから、私も買ってみたんですよ」
袋の中からこまのがババーンと天井に向けてとりだしたのである。
「ぶらっしんぐぶらしー」
「おおー」
るーみあが拍手しているのである。吾輩も何かした方がいいのであろうか、とりあえず尻尾を振ってみるのだ。
「ふふん。それじゃあ、やりましょうね。ナズーリンさん」
「な、なんで君が私の名前を知っているんだ」
「そりゃあ、いつも見てましたから」
「み、見ていた? 君は、いったい……? あっ」
なずーりんの髪にそうようにこまのがブラシを動かすのである。するとなずーりんが黙ったのである。
さっさっさっ。
「ん……」
なずーりんが何か言っているのである。こまのはにこにことブラシを動かしているのである。
「練習しましたからね―。最近は霊夢さんも期待した目で見てくれますよ」
「……ふん」
「つやつやですね―。おなか一杯いつもたべていませんか? 一輪さんもそうですけど、最近買い食いが多い気がしますよ」
「……な、君がなんでそんなことを」
「見てましたから!」
「……すとーかーってやつかい?」
「ひ、ひどい」
さっさっ、話をしながらこまのもなずーりんの髪をとかしているのである。吾輩もやってほしいのであるがここは我慢である。吾輩はとりあえず自分の毛並みを舐めてメンテナンスするのである。
うむ? るーみあが自分の前髪をつまんでちらちらとこまのを見ているのであるな。
こまののブラシが動くたびになずーりんの髪がさらーと動くのである。なんだか見ていると楽しいやもしれぬ。
「はい! おしまいです。じゃあ次は」
「はーい」
るーみあが手をあげているのである。こまのはうーんと言いながら「ねこさんとどっちがいいですかね」と言っているのである。
るーみあよ吾輩を睨むのをやめるのである。吾輩は心が広いのであるからして、ここは譲ってあげるのである。
「じゃあ、とりあえずルーミアさんをブラッシングするので、ナズーリンさんは猫さんをなでなでしてあげてください」
「なっ、なんで私が」
「おねがいしますよー。今度、お寺に行った時にもぶらっしんぐしますからー」
「……はぁ。そんなのが交渉材料になるわけないだろ。まったく、仕方ないな」
なずーりんが吾輩見たので、吾輩はなずーりんのひざ元にのって丸くなったのである。
「これは、仕方なくやっているんだからな。わかっているな」
何か言っているのである。
なでなで
なずーりんもなかなかいいのである。るーみあもこまのにぶらっしんぐをされているのである。
「このリボン外していいですかー」
「はずれないわよ」
「ほんとだ、これどうなっているんですか?」
「しらなーい」
「知らないって、ふふ」
吾輩しっているのである、こういうのをがーるずとーくというのである。吾輩はものシリオなのである。なずーりんよ吾輩と何かしゃべるのである。なでなでもうまいのであるが、おしゃべりもやぶさかではない。
「……全くなんで私がこんなことを」
うっすら笑いながら何か言っているのであるが、吾輩にはよくわからぬ。まあいいのである。吾輩はなかなかお膝の上でも居心地がいいのである。吾輩の背中をなずーりんの手がすーとなでると、気持ちがいいのである。
みんなで集まって毛づくろいするのもいいものであるな。吾輩は気に行ったのである。るーみあもニコニコしているのである。
「ちょっと待ってください」
いくらでも待つのである。なんであろうか、こまのをほうをみたのである。
「私もぶらっしんぐしてほしいです! 誰かお願いします!」
吾輩が立ち上がった。やぶさかではないのである。
「え、えっと。大声を出して驚いちゃいましたか?」
何を驚いているのであろうか、こまのよ吾輩がぶらっしんぐをしてあげるのである。そのブラシを吾輩に渡してみるのである。
「い、いやぁ、猫さんでは厳しいと思うのですが。むしろ私がしてあげますよ。あれ? もしかして猫さん言葉がわか……」
おお、こみゅにけーしょんができるやもしれぬそうで
「あああああ!!!!! あの二人がいつの間にかいなくなってる」
ほんとである、るーみあもなずーりんもいつのまにかいないのである。
「ぐぬぬ。私がちょっと目を離したすきに部屋から出て行ったんですね。ううー。霊夢さんから怒らるかもしれないわ……勝手に出ていくなんて。ごくあくひどー」
こまのよ気にするではない。あの二人も大人であるからして、迷子に……そういえばさっきなっていたのであるな。まあ大丈夫である。
それはそうと吾輩も巫女とけいねに会いに行くのである。そう思って開かれたふすまから廊下に出たのである。
『猫さんはここにいて、あれ? ねこさーん。え、えー』
部屋の中から何か聞こえてくるのである。
吾輩はたったかと廊下を走るのである。神社を自由に走るのは初めてである。
「つ、捕まえますから」
おお、後ろからこまのが追ってきたのである! おいかけっこであるな!