タイトルの通り、熾音は死柄木と組みます!
薄暗い店内に似合わない程、笑みを浮かべ楽しそうに笑う熾音に死柄木は警戒していた。
なんだ、この男…俺が殺気を放ってるいるにも関わらず平気な顔して笑っていやがる……
いや、それよりも━━━
「お前、なんで俺の名前知ってんだ」
「さ~なんでだろうね?」
ニヤニヤと笑いながら答えをはぐらかし、熾音は自分の要件を言った。
「俺を
「は?何言ってんだお前バカかよ。知りもしねぇ相手を入れるわけないだろ?」
吐き捨てるように言う死柄木に、熾音は笑みを浮かべ、ゆっくりと死柄木に近づく。
「確かに、知らないやつと一緒にやるなんて嫌だよなぁ~でもよ、」
死柄木の目の前に立つと、その瞳で死柄木を見据え、言葉を続ける。
「チンピラ同然の奴を仲間に引き入れるのは、そいつらを知ってるからか?違うだろ?
なら、俺の事を知らなくても仲間に出来るだろ?それとも……
何か理由がないと駄目なのかな?死柄木弔さん?」
体が、動かない……
なんで俺は、こいつに恐怖してんだ…?
俺の個性なら、こんな奴、殺すことなんて簡単じゃないか…なのに、体が言うことを訊かない…
目の前にいるこいつは一体何者なんだ…?
死柄木は目の前にいる熾音を見て、やっとの思いで、言葉を吐き出した。
「…っ、お前は、誰…なんだ」
「やっと知りたいと思ったかい?
俺は━━」
「何を、話しているのですか?」
低い声が、薄暗い店内に響く。
熾音の自己紹介を中断した男は、先程までいなかった筈のカウンターに頭や手、服から出ている箇所が靄状態の男が、立っていた。
熾音が会いたいと思っていたもう一人の男…黒霧は熾音に視線を向けながら、聞いた。
「貴方は誰ですか?」
その問いに、熾音は楽しそうに笑みを浮かべ、答えた。
「俺は仙ヶ炉熾音。自分が楽しみたいことをする自由人さ」
「なんだよそれ、俺達とそんなに変わらないじゃないか」
はぁ、と頬杖をつきながらそう言う死柄木に熾音はニヤリと笑った。
「たいして変わらないなら、俺を仲間に入れられるだろ?」
熾音の言葉に、死柄木は苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ、黒霧の方へ視線を向けた。
死柄木の視線に気付くと、黒霧は熾音に言った。
「何故、仲間になりたいのですか?ヒーローになりたいとは思わないのですか?」
黒霧の疑問は、死柄木の疑問でもあった。
幼い時、誰もがなりたいと願ったモノ
悪を倒すその姿はとてもかっこよく、憧れのモノ
どんな困難にも挫けず、諦めないで前に進む姿は、見る人の胸を熱くする。
応援したいと思う。
特別な力があるからこそ、誰かを守る。
特別な力があるからこそ、悪に立ち向かう。
誰かが助けを呼ぶ声が聞こえるから、助ける。
どんなにボロボロになっても、どんなに諦めそうになっても、声が聞こえるから、助けを必要とする人の声が聞こえる以上、それを無下には出来ない。自分なら、この力なら、守り抜くことが出来る。悪に屈しないその姿を、人々はヒーローと呼び、称賛する。
力がある者が、無い者を守る。
助けを求める人がいれば、手を差し出す。
力の無い者は夢を抱き、憧れ続ける。
他とは違う力を持つ者はヒーローになり、人々を救う。
誰もが憧れるヒーローに、この世界は全員が叶えることが出来る可能性を秘めている。
だからこそ、人々はその夢を現実にするために、その道の学校へ行き、職業になったヒーローを目指す。
憧れのモノになれるというのはとても嬉しいことで、有り難いことだ。
ほとんどの人が、
だからこそ、わざわざ敵になりたいと言う熾音に二人は疑問を抱いたのだ。
何故、敵になりたいのか
何故、ヒーローを目指さないのか
必ずしも、ヒーローになれとは言わない。全員がヒーローになりたいと思っていても、己の力がヒーロー向きではないのであれば、その夢を諦め、別の仕事に就く人もいる。
でもそれは、初めっからヒーローになりたくない。と思っていた訳ではない。己の力が、向いていないと分かったからこそ、他の道を進むことを選ぶのだ。
だが、目の前のこの男は違う。
初めっからヒーローになどなろうとしていない、そんな目をしていた。
━━俺もヒーローなんかなりたいとは死んでも思いたくない。あんな社会のゴミなんかいらないんだ。偽善者面したあいつ等の皮を剥がしてやりたい。粉々にしてやりたい。
この男もそうなのか?
…いや、違うな。こいつは、自分さえ楽しければなんでも良い奴なんだ…
ヒーローじゃなくても、面白いと思ってるんだな、こいつは………仲間に、入れるべきだろうか…?こいつの個性は知らないけど、でも、強いことは間違いなさそうだ。
チラリと黒霧に視線を送ると、死柄木の言いたいことが伝わったのか、コクりと頷いた。
死柄木は熾音の方へ顔を向け、両手を広げて、言った。
「歓迎するよ、仙ヶ炉熾音。
ようこそ
「よろしくなぁ~弔ちゃんと黒霧」
「おい、弔ちゃんてなんだよ」
熾音は死柄木を無視し、黒霧に握手を求め、右手を差し出した。黒霧は熾音の手をとり、握手した。
「何故、私と死柄木弔の名を知っているのか気になりますが、まぁ、良いです。
よろしくお願いします仙ヶ炉熾音」
「熾音で良いよフルネームはちと言いづらいだろ?」
熾音の言葉に、黒霧は少し考える仕草をして、答えた。
「では、お言葉に甘えて呼ばせていただきます
熾音」
「うん、仲が良くなった感じでいいな」
ニヤッと笑い、熾音は満足げに言った。すると無視をされていた死柄木は手を熾音に伸ばした。五指で触れれば触れた場所がボロボロに崩れる個性。それが熾音に迫っていた。せっかく、新しい仲間が出来たというのに、死柄木の短気さに、黒霧は溜め息を吐いていた。
死柄木の五指が、熾音の首に触れようとしていた。
だが、その手は熾音に捕まれた。
「そう攻撃的になるなよ……もしかして、寂しかったのか?一人にされたから?」
熾音は死柄木の手を掴んだまま、椅子に座らせた。掴まれたことが不服なのか、手のしたでよく見えない顔が、子供のようにすねているのが見てとれた。
熾音は笑いながら、死柄木の手を離し、その手を頭にもっていき、ポンポンと子供にしてあげるときのように、優しく撫でた。
「何すんだ…」
「こうすりゃ、落ち着くかな?ってね」
こんなんで落ち着くわけないだろ━━そう言おうとしたが、死柄木は何も言わなかった。
優しく、優しく撫でる熾音の手が気持ちよくて、死柄木は目を瞑って、味わっていた。
「な、落ち着けるだろ?」
「……少しな」
子供に撫でられて、何喜んでんだ俺…
気恥ずかしくなったのか、死柄木は熾音の手を振り払った。熾音は振り払われたことに特に何も気にしていないのか、ニヤニヤ笑いながら、死柄木に話しかけた。
「ああそうだ、俺は自由にやらせてもらうからな~あと、オールマイトと戦ってみたいから、良いかな?」
「何故それを?」
黒霧の問いに、熾音は答える。
「ん~なんとなく。でも、オールマイトがいなくなれば、皆が困るよね?
一人に頼りすぎ、助けてもらえるのが当たり前だと思い込んでいるあいつらに、知らしめてやりたいって思ってる。
まぁ、自分が楽しければそれで良いんだけどな」
死柄木の隣に腰をおろし、ニヤッと楽しそうに笑う。
「分かりました、良いでしょう。
ですが、我々の邪魔などはしないでください。」
「分かった」
「それじゃぁ、俺達の作戦を教えるよ」
死柄木は楽しげに、口元を緩め、これからする事を熾音に教え始めた。
━━仲間に入ったのはいいが、これからどうなるのか楽しみだな~
「まずはな━━━━━」
一人は社会のゴミを排除するため
一人は自由に生きるため
楽しみたいがために入った
その選択が、熾音にとってどう出るのか、
それはまだ、誰も知らない━━━
いまいち熾音の喋り方が掴めない…
死柄木は熾音にわりと心許したりしてます。
次回もお楽しみに!