【完結】熱血キンジと冷静アリア   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回はサブタイトルから色々と妄想が膨らむんじゃないかと思われます。にしても、この作品って結構多くの人たちが続きを待っててくれてたんですね。感想欄見ていて、改めて思い知らされました。この作品の愛されようが、非常に嬉しいですぜ。



103.熱血キンジと隙を生じぬ二段構え

 

 遠山キンジはカジノ「ピラミディオン台場」へ襲撃を仕掛けながら己の不利を悟って全力ダッシュで逃げ出したジャッカル男を追いかけていた。『最後のガラスをぶち破れ』と言わんばかりにカジノの窓を破壊して屋外へ逃亡したジャッカル男を追って、ピラミディオン台場を後にしていた。

 

(チィッ、思ったより早いな……!)

 

 キンジは内心、焦りを募らせていた。無理もない。ジャッカル男との距離を一向に詰められないのだ。それどころか、プロの短距離走者を彷彿とさせるほどに綺麗なフォームで走るジャッカル男との距離を徐々に離されているからだ。

 

 キンジは人間で、それゆえに体力には限界がある。蟲人形で、無限の体力を持っているであろうジャッカル男に追いつけない現状が続いてしまっては、いずれ逃げきられてしまう。

 

 どこか近くに都合よく自転車なりバイクなり車なりが転がってないだろうか。周囲の人々が得体の知れないジャッカル男の全力疾走に怯えて蜘蛛の子を散らすようにその場から退散する中、キンジは四方八方に視線を配りつつ、ジャッカル男に突き放されないように必死にくらいついていく。

 

 

「え」

 

 と、その時。ふと、キンジの前方に非常に見覚えのある桃髪ツインテールをたなびかせた幼児体型保持者の姿が移った。その人物は地面に視線を注ぎ物思いにふけりながらトテトテと歩いていたようだが、ズダダダダと重苦しい足音を立てて迫ってくるジャッカル男の存在に気づき、真紅の瞳でその姿をはっきりと射抜く。

 

「アリア!?」

(え、なんでここにいるんだよ、アリア!?)

 

 ジャッカル男の進行方向にアリアがいることにキンジは驚愕の声を上げる。というのも、キンジは本日、カジノ警備を行うにあたって自宅で未だ眠るカナのことをアリアに任せていたからだ。なのに、アリアがなぜか外出している。いつもの武偵高の女子制服姿でここまで赴いている。その事実を前にして、どういうわけか、先ほどから感じてやまない胸騒ぎが止まるどころか、加速度的に深まっていく感覚にキンジは襲われた。

 

「……今は大事な考え事をしているんです。邪魔しないでください」

 

 一方。ジャッカルの頭とムキムキな人間の体とを兼ね備えた異形を視界に捉えたアリアは苛立ち気味に呟くと、懐から二丁のガバメントを取り出す。巨体の化け物が迫っているというのにまるで焦ることなく、ジャッカル男の両膝をダダンと撃ち抜き、バランスを崩したジャッカル男の脳天目がけてダンと止めの銃弾を放つ。

 

 

「まさかここで会うとは思わなかったよ。アリア」

「え? えーと、どなたですか……って、あぁ、キンジですか。女装してること、すっかり忘れてました」

 

 例のごとくジャッカル男が砂鉄の小山に還り、その中から黒いコガネムシが飛んでいく中。アリアの元まで辿り着いたキンジが息を整えつつアリアに声をかけると、対するアリアは一瞬『誰ですか、この人。随分馴れ馴れしいですね』と言わんばかりの眼差しをキンジに向けた後に、合点がいったと言わんばかりに言葉を紡ぐ。

 

「忘れてたって、おい……」

「それにしても、やっぱり女装姿が様になってますね、遠山金子さん。ホント、貴方を見ていると女性としての自信を完膚なきまでに叩き潰されてしまいそうです」

 

 アリアはキンジの言葉をスルーすると、切れ長の瞳が特徴的なクール系の若手IT女社長に扮するキンジの全身を改めてまじまじと眺める。そうして、「ほぅ」と感嘆の息を零しつつキンジの容姿を絶賛するアリアにキンジは割とマジな口調で「その呼び方はやめてくれ。俺の男としての矜持がゴリゴリ削れてくから」とお願いした。兄と違って、キンジはまだ、自分が女装が似合うという事実を受け入れきれていないのである。

 

「わかりました。今日はこの辺にしておきましょう」

「今日は、かよ。まぁいいや。それよりどうしてここにいるんだ、アリア?」

「……実はですね、今朝キンジたちが出かけた後に、松本屋の取締役全員に緊急招集が掛けられましてね。私もオブザーバーとして招待されたので、会議に参加して、今後の企業戦略に少々物申してきた所です。今回の敵対的買収は何が何でも絶対に受け入れるわけにはいきませんからね」

「お、おう」

(お、おいおい、凄いなアリア。いつの間に松本屋の経営方針に口出しできるようになってんだよ。これもう事実上、アリアが松本屋の会長職乗っ取ったも同然なんじゃないか?)

 

 アリアはキンジの問いを受けて不機嫌そうに眉を寄せつつ、松本屋の緊急取締役会に参加した旨を口にする。そのアリアの答えにキンジが内心で戦慄していると、ふとアリアの透き通ったかのような真紅の瞳から光がスッと消え去った。

 

 

「全く、滝本発展屋の連中め、私を直接脅しにかかるだけでなく、このような下劣な戦略を取ってくるとは……そろそろ松本屋(こちら)も本格的な行動に打って出るべきでしょうね。松本屋(こちら)を舐めてかかり、調子に乗っている滝本発展屋(エネミー)どもを殲滅する必要があります。どうしてくれましょうか。やはり目には目を、歯には歯を。ここは滝本発展屋(エネミー)が仕掛けてきたのと全く同じ策を講じて、意趣返しといきましょうか。松本屋(こちら)に手を出した過去の己を、存分に後悔させてやるのです。ふふ、ふふふふふふふふふふふふふふ――」

「ア、アアアリア!? とりあえず落ち着けって! 目がやたら据わってて怖いから! すごく怖いから!」

 

 光が消え去り、据わりきった瞳。ブツブツと非常に物騒なことを口走る唇。やけに底冷えする声。心なしか、ブラド並みに凶悪極まりない笑みを浮かべる表情。好きな異性が目の前で思いっきり豹変したことにキンジは動揺のままにアリアの両肩を掴んでガクガクと前後に揺さぶる。すると、幸いなことに、すぐに正気を取り戻したらしいアリアが「っと、すみません。少し平静を失ってました」とペコリと頭を下げた。

 

「あぁ、そうそう。金一さんのことなら心配ありませんよ、キンジ。留守の間は武藤さんにお願いして見てもらってますから」

「そ、そうか。ならよかった」

「それで、キンジの方こそどうしたんですか? 見た所、このゴレムを追ってここまでやってきたようですが、何がどうしてこのような状態になっているんですか?」

「あぁ、それは――」

 

 アリアがカナのことを忘れずにちゃんと信頼のおける他人に任せていたことにホッと安堵したキンジはアリアから投げかけられた問いを前に、先の一件を脳内で整理する意味合いも兼ねてカジノで起こった一連の出来事を簡潔に伝えていった。

 

 

「しかし、改めて状況を整理してみると、わからないな。どうしてあそこは襲撃されたんだ?」

 

 アリアに一旦すべて話し終えた後。キンジはふと脳内に浮かんだ疑問を口に出す。いきなり襲撃を仕掛けてきたジャッカル男たちは誰か特定の客を狙っているようには見えなかったし、お金目的にも感じられなかった。

 

 奴らがまず第一に俺を狙ったとはいえ、だからといって俺の殺害が目的だと決めつけるのも早計だ。というのも、ジャッカル男たちは一階にも放たれていたようだし、わざわざ人目につくカジノで俺の殺害を目論む理由はないからだ。加えて、すぐ側にレキがいる状態で俺を殺そうとするのも何とも不自然だからだ。俺を殺したいのならもっと殺りやすい場所で、俺が一人の時に殺ればいいだけの話だからな。

 

「そうですか? そう難しくない話だと思いますが?」

「そうなのか?」

「はい。今回の一件は大方、エジプトの国粋主義者が雇った超能力者が主犯かと思われます。ピラミッド型の建造物をカジノとして利用するなんてことは、愛国心あふれる彼らには冒涜もいい所ですしね。言ってしまえば、外国人が自国の国旗を燃やして狂喜乱舞する映像を見た時のような気持ちになったのでしょう」

 

 キンジはアリアの例示まじりの推理に「あぁ、なるほど。そりゃ襲撃したくもなるか」とうなずく。それだけ、アリアの理論展開がキンジの心にストンと収まったのだ。なのに。だというのに。キンジの胸騒ぎは未だ収まらない。止む気配はない。

 

 

(ったく、一体何だっていうんだ)

「なぁ、アリア? 話しは変わるけど、それの名前ってゴレムでいいのか? ユッキーは蟲人形って言ってたけど?」

「……ゴレムを知らないのですか、キンジ?」

 

 キンジははやる心を落ち着けるために先ほどから気になっていた件についてアリアに尋ねる。結果、「こんな一般常識も知らないのか」とでも言いたげなアリアのジト目が返ってきたため、キンジは「悪かったな、知らなくて」と顔を背ける。すると、キンジの怒りメーターが上昇したと判断したアリアは「あぁいえ。そういう馬鹿にする意味でいったわけではなくて、キンジは博識なイメージだったので、つい」と釈明した。

 

「ゴレムも蟲人形も等しく、超能力で動く操り人形を指し示す言葉です。他にも、日本では式神、土偶、埴輪、欧米ではブードゥーと呼ばれたりしますね。なので、キンジの呼びやすい名前で呼べばいいんじゃないですか?」

「なるほど、よくわかった。ありがと、アリア」

(じゃあゴレムでいいか)

 

 アリアの簡潔な説明にキンジが感謝の言葉を送った、まさにその時。キンジとアリアの元に等しく降り注いでいたはずの日光が、アリアの元にだけ届かなくなった。アリアを覆うように影が生まれた。いち早く異変を察したキンジがアリアの頭上を見上げると、今にもアリアに爪を突き立てんとアリアの背後から飛びかかるジャッカル男の姿があった。そのジャッカル男は、今までキンジが対峙してきたどのジャッカル男よりも一回り大きかった。

 

 

(なッ!? いつの間に!?)

「アリア!」

「わかってます!」

 

 アリアはキンジに名前を呼ばれるよりも早く背後へと振り向き、瞬時に取り出した二丁のガバメントでジャッカル男の頭部を何度も撃ち抜いた。結果、ジャッカル男はこれまでと同様に黒い砂鉄へと回帰する、そのはずだった。

 

「は?」

「え?」

 

 キンジとアリアは事態がまるで飲み込めないと言いたげにジャッカル男を見つめていた。無理もない。なぜなら、アリアに襲いかからんとしていたジャッカル男に中身(・・)が存在したからだ。砂人形でしかないはずのジャッカル男を構成する砂鉄が崩れ落ち、砂鉄を操っていたであろう黒いコガネムシが飛び去っていった時、その砂の中から一匹の成獣(・・)が現れたからだ。

 

 

「グァァァァアアアアアアウッ!」

「いッ!?」

 

 その成獣はアリアが困惑したまま動かないことを良いことに、アリアの頭部に前足を押しつけ、そのままドシャとコンクリート地面に叩きつける。100キロは超えていそうな巨体と重力を存分に利用し、コンクリートごと粉砕せんとばかりに容赦なくアリアを顔から地面に叩きつけたことで、アリアを中心とした放射線状に、コンクリート地面にビシリとヒビが生まれた。

 

「アリアッ!?」

 

 と、ここで。ハッと我に返ったキンジはアリアを前足で押し潰したままガルルルと自分を威嚇してくる成獣を見据える。銀色の体毛に荒々しさを隠そうともしないオーラ。これらの特徴を併せ持った存在にキンジは覚えがあった。

 

 

 コーカサスハクギンオオカミ。以前、キンジがアリアと理子との3人がかりで何とか撃破したブラドの下僕として活動していた存在だ。

 

 

(どういうことだ!? どうして、あのオオカミがここにいる!?)

 

 ジャッカル男に扮したコーカサスハクギンオオカミに不意打ちを喰らわされた。その事実にキンジの脳裏に疑問が突き上がる。ブラドという名のご主人様が捕まった以上、下僕という鎖から解放されてとっくに離散したはずのオオカミが、どうして今になってアリアを襲い、こうして敵意むき出しで唸っているのか。

 

(――って、今はそんなこと考えてる場合じゃない! 早くアリアを助けないと!)

 

 アリアを踏み潰したままのオオカミの前足から徐々にアリアの血が漏れ出ていることに気づいたキンジは事は一刻を争うかもしれないとオオカミに迷わず発砲する。が、オオカミがその場を飛び退いたことで銃弾は空を切り裂くのみとなった。

 

 キンジはなぜか自身に背を向けて走り去っていくオオカミの存在に最大限警戒を払いつつ、アリアの容体を確かめるためにアリアの元へと急ごうと足を動かす。あれだけ勢いよく地面に叩きつけられた以上、軽い怪我で済んでいるとは思えない。首の骨が折れていたっておかしくないし、最悪――死んでいてもおかしくない。

 

(そんなわけあるか! アリアはこんなことで死ぬような奴じゃない!)

「アリア! 大丈夫か!?」

 

 オオカミの足が外れてもなお、ピクリとも動かないアリアを前に最悪の状況が思い浮かぶも、キンジは即座に振り払う。振り払って、アリアの元へ駆けつけようとした、その時。どこからともなく颯爽と現れたジャッカル男がアリアの体を脇に抱えるようにして持ち、キンジに背を向けながらもこれまた颯爽と去っていった。

 

 

「ッ! 待て! 待てよおい!」

 

 ドンドン遠く小さくなっていくジャッカル男の背中。キンジはアリアを奪われてなるものかとジャッカル男を追いかけつつ、彼の両膝目がけて銃弾を放つ。が、後ろに目でもついているのか、アリアを抱えたジャッカル男は華麗なジャンプで銃弾を軽くかわしていく。眼前のジャッカル男の性能がこれまでのと段違いなのは火を見るよりも明らかだった。

 

 このままじゃあアリアが攫われる。なすすべもなくパートナーを奪われてしまう。キンジの中の焦燥感が膨れに膨れようとしている中、キンジとの距離を着実に離していたジャッカル男が唐突に立ち止まり、片膝をついて頭を下げる。その隣では、先ほどアリアに強烈な一撃を加えたオオカミが伏せのポーズを取り頭を垂れていた。

 

 アリアを脇に抱えたジャッカル男とオオカミが頭を上げて敬意と服従の意を示す先。その先に、ジャッカル男の肩に一人の女性がちょこんと座っていた。

 

 

「ごきげんよう、遠山キンジさん」

 

 肩にかかる程度の藍色ストレートの髪、濃い目のアメジストの瞳、淡い水色と白を基調とした清楚なレースワンピース、純白のコウモリ傘。上記の要素を兼ね備えた女性ことパトラ・Cが、自身の元までたどり着いたキンジを上から見下ろし、ニコリと柔和な微笑みとともに挨拶を送る。

 

 状況が状況でなければ、相手が相手でなければ、容易に相手を骨抜きにできそうなパトラ・Cの笑み。しかしキンジは逆に己の警戒心メーターを最大限にまで繰り上げていた。

 

 

――キンジさん。先ほどのパトラ・Cさんのことですが……もし今後彼女と会うようなことがあったら、くれぐれも警戒を怠らないでください

 

 この時、キンジの脳裏にレキの言葉がよみがえる。同時に、キンジの第六感が、先ほどから続く胸騒ぎの原因が目の前のパトラ・Cによるものだと声高に告げているのだった。

 

 




キンジ→今回はいい所がまるでない熱血キャラ。今はこんなでも近い内にこれでもかと輝いてくれるはず。だって主人公だもの。
アリア→せっかく久しぶりに出番をもらったかと思ったら早速顔面をコンクリート地面にグシャッと叩きつけられるというむごい仕打ちを受けたメインヒロイン。ただいま絶賛気絶中。とはいえ、メインヒロイン補正で顔面に傷は残らないようになっている辺り、不幸中の幸いか。
パトラ・C→原作以上のカリスマを携えて悠然と登場したお嬢さま口調の子。なぜかブラドが恐怖政治で使役していたコーカサスハクギンオオカミを下僕として従えている模様。一体何クレオパトラさんなんでしょうねぇ。


オオカミ「砂の中からこんにちワン!」

 というわけで、103話終了です。まさかのワンちゃん再登場。そしてせっかく出番をもらえたアリアさんが早速退場☆の巻でしたね。

 いや、違うんよ。別に私がアリアさんに悪意を持って接してるわけやないんよ。ただ、ただな。原作沿いに物事を進めると自然とアリアさんが不遇になっちゃうだけなんよ。私は悪くねぇ! 悪いのは原作者だ! なので、アリアさんファンの方々、本当にごめんなさい。


 ~おまけ(その1 ネタ:人選を間違えるアリア)~

「あぁ、そうそう。金一さんのことなら心配ありませんよ、キンジ。留守の間は中空知さんにお願いして見てもらってますから」
「……いや、いやいやいや。今のアリアの言葉のせいで余計に兄さんが心配になってきたんだけど」
(え、アリア? なんでよりによってその人に兄さん任せちゃうの? だ、だだだ大丈夫だよな? 兄さん、中空知の実験道具にされてないよな? あの中空知が、三次元では非常に珍しい男の娘をスルーするとは思えないんだけど?)

 名前を出すだけでネタになるって、凄まじい才能だと思うの。


 ~おまけ(その2 ネタ:肉球厨アリア)~

 アリアの顔面にオオカミの前足が当たった時。
 アリアは以下のようなことをつらつらと考えていた、かもしれない。

アリア(マズい、このままでは押しつぶされてしまいます! どうにかしてこのオオカミの肉球から逃れなくては! ……にしても、こ、これが犬の肉球ですか。もふもふしてて、むきゅむきゅしてて、ふにふにぷにゃぷにゃしてて……はふぅ。思ったより気持ちいいですね、これ。匂いも爽やかですし、頭に爪が突き刺さってて凄く痛いことを差し引いても中々に病みつきになりそうな感触です。まるで高級羽根布団に頭を埋めた時のよう。ずっとこのままの状態でいたいくらいです。……今の今まで猫の肉球こそ至高、その他の動物が持つ肉球は総じて邪道と考えてきましたが、ふふふ、猫科生物の最終兵器の異名を持つだけあって、肉球の心地よさは犬であろうとダテではありませんね。これまで犬は毛嫌いしてきましたが、こんなに人を惹きつける肉球を持っている以上、犬派を否定する考えはこの際改める必要がありそうですね。犬のことならユッキーさんですし、ユッキーさんに犬の肉球について色々と指南していただきましょうか? ……いえ、ダメです。何も知識が入ってない状態でただユッキーさんから犬の知識をいたずらに求めてはそれはただの努力をしないクレクレ人間と変わりありません。ユッキーさんに『ワクワク☆ドキドキ 犬の肉球講座』の講師を頼む前に、まずは自主的に情報収集するべきでしょう。確か、『わんわんおー』でしたか? あの延々と『わんわんおー』と言うだけの狂気のOPを採用しているアニメを1から見て犬への理解を深めるのが手っ取り早そうですね。あ、そういえば理子さんが『わんわんおー』の原作を持っているという話でしたね、確か。別にアニメを否定するわけではありませんが、まずは原作からアプローチした方がより犬についての造詣を深めることができましょう。そうと決まれば善は急げです。今度、理子さんから原作を借りなければいけませんね。それがダメだった場合はお店で借りるかネットカフェでも利用しましょうか。……って、ヤバい。なに長々と呑気に考えちゃってるんですか、私!? 今の状況わかってます!? 早くこのオオカミの肉球から逃げないとコンクリートに頭を叩きつけられちゃうんですよ!? さっさと逃げないと下手したら死んでしま――って、そういえば、どうして私はこうも長々と肉球を堪能できているのでしょうか? もしかして、時間の流れが遅くなっちゃってます? ……あれ、こういうのって確か死亡フラ――いッ!?)

 ドシャ! ←アリアが地面に叩きつけられた音

キンジ「アリアッ!?」

 肉球厨、それは猫科生物の肉球の感触を堪能するためならいかなる手段も厭わないキチガ……コホン。愛好家集団を指し示す言葉である。
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