どうも、ふぁもにかです。今回は久々に早めの更新です。あと、今回はもしかしたら18禁な内容に片足突っ込んじゃってるかもなので、その辺はご了承ください。
理子「よい子の皆は見ちゃダメだからね! ボクとの約束だよ! ……絶対だよッ!?」
「ふぅ。少々話が過ぎたな。本心は隠してこそだというのに……まぁいい。折角だ、ブラドの弱点についても話すから後で神崎・H・アリアと共有しておけ。いいな?」
夕暮れが近づく選択教科棟の音楽室にて。ジャンヌはふと、上から目線な口調でキンジに一つの提案をする。
「弱点? そんな都合のいいものがあるのか? イ・ウーのナンバー2なのに?」
「疑問を抱くことでもないだろう、遠山麓公キンジルバーナード? 我や貴様も頭や水月は弱点だ、違うか?」
「あ、そういう認識でいいのか」
「うむ、それで構わない」
ジャンヌは大仰にうなずくと、どこからか取り出した眼鏡をかけて、これまたどこからか取り出した自由帳とサインペンとを使ってサラサラとブラドの絵を描いていく。どうやらジャンヌは自作の絵を使って俺にブラドの弱点について説明してくれるらしい。絵を描くジャンヌの手際のよさから、ジャンヌが画才に恵まれた人間だということがよくわかる。
「ジャンヌって目が悪かったりするのか?」
「いや、我の視力は両目ともに1.5だ。これはあくまで我が魔眼:
「……さいですか」
好奇心は猫をも殺す。キンジはジャンヌの言う
「よし。こんなものでいいだろう。受け取れ」
「え、いや、いいって――」
「いいから受け取れ」
「……はいはい」
そして、十数秒後。ジャンヌは今にも飛び出してきそうなやけに怖いブラドの絵の描かれたページをビリビリと自由帳から丁寧に破くと、キンジに差し出してきた。正直言って絵の中のブラドのムキムキ具合とかがリアル過ぎて逆に要らなかったのだが、ジャンヌの有無を言わせぬ物言いに対抗することができず、結局キンジはジャンヌ作の絵を受け取ることとなった。NOと言えない
(にしても――)
「ジャンヌ、お前……絵、スッゲェ上手いな。今にも飛び出てきそうだぞ。このブラド。どこぞの飛び出す絵本よりも飛び出してきてないか?」
「クククッ、これこそが魔眼:
「誰がするかよ、誰が」
「何だ、しないのか」
「当たり前だ」
(絵も上手いしピアノも弾ける。氷と雷と二種類も
自作の絵を称賛されたことでニヤリと笑みを浮かべて調子に乗るジャンヌをよそにキンジはジャンヌのスペックの高さを心の中で褒める。それから再び絵に視線を落としたキンジは思わず眉を潜めた。ジャンヌの絵が上手過ぎるせいで最初は気づかなかったのだが、絵の中のブラドがその顔といい体つきといい、とても人間とは思えなかったからだ。
「けど、これ人間か? どう見てもファンタジー世界にしかいなさそうな化け物じゃねぇか。これ、お前のブラドに対する憎しみ補正も入ってるんじゃないか?」
「クックックッ、いつ誰がブラドを人間だと言った?」
「……え? おい、ブラドって人外なのか?」
「気づいてなかったのか? さっき『やたら大きい鬼』がブラドで確定だと言っただろう?」
「……つまり、ブラドは正真正銘の鬼だと?」
「そうなるな」
(おいおい。鬼って三次元の世界にもいるのかよ――って、ちょっと待て。鬼がいるってことは俺が今までファンタジー世界の住人だと思ってたのももしかしたら実在するってことか? 天使とか悪魔とか吸血鬼とか、その辺の連中もどこかで生きてたりするってことか? ……マジか、マジかよ、マジですか!?)
ジャンヌによって明かされた新たな情報にキンジの背中を冷や汗が伝う。これまでSランク武偵として様々な相手との戦闘経験を積んできたキンジだったが、さすがに人外の存在と戦ったことはない。そのため、自身が全く知らない鬼という存在にキンジはゴクリと唾を呑む。一方のジャンヌはキンジの様子を知ってか知らずか、キンジの持つ絵を指差す形で説明を開始した。
ジャンヌの説明によると、ブラドには魔臓と呼ばれる小さな内臓が四つあり、体に魔臓の場所を示す目玉模様が刻まれている。その四か所の魔臓を同時に攻撃することでブラドを倒せるらしい。ジャンヌがわかっているのは右肩、左肩、右脇腹の三か所で、残りの一か所は不明とのこと。ちなみに。ブラドの弱点の場所が丸わかりになっているのはかつてヴァチカンから送り込まれた
しかし、逆に言うなら四つの魔臓を同時に破壊することでしかブラドは倒せないのだそうだ。というのも、ブラドには並外れた再生能力が備わっており、いくら攻撃してもあっという間に怪我が治癒されるかららしい。
「なら、ブラドは不死身だったりするのか?」
「それはない。もしも奴が真の不死身ならば奴がイ・ウーのナンバー2に甘んじている現状に矛盾が生じるからな」
「それもそうか」
ブラドは異様な再生能力を持った鬼。だけど不死身なわけではないし、バレバレな弱点も存在する。加えて、誰にも倒せない最強の存在でもない。これだけわかればいくら人外が相手でも戦いようはあるだろう。キンジはふぅと安堵の息を吐いた。
「ありがとな、ジャンヌ。色々教えてくれて」
「フン。我に少しでも感謝する気があるのならさっさとブラドを倒してこい」
「りょーかい」
キンジはブラドに関する情報を提供してくれたジャンヌに感謝の言葉を伝えると、ジャンヌのくれた絵を折りたたんでポケットにしまう。暗い部屋でこの絵は絶対に見ないようにしよう、魂でも喰われてしまいそうでたまらない、などと内心で素直な気持ちを吐きだしつつ。
「ん?」
と、その時。ふとキンジの視界に別の絵の描かれたジャンヌの自由帳が見えた。今度は即席で作ったものではないのか、ちゃんと色鉛筆で細かく配色がなされている。どうやらジャンヌは普段から何かしら絵を描いているようだ。
厨二病を患っているジャンヌはどんな絵を描いているのだろうか。どうせ厨二らしく非現実極まりないものでも描いてるんだろうなと予測をつけつつ、自由帳を手に取ったキンジ。だが。次の瞬間、キンジは絶句した。
『キンジ』
『アリア』
そこには、至近距離で見つめ合う上半身裸の男女が描かれていた。
『キンジ!』
『アリア!』
ページをめくると、ガシッと熱い抱擁を交わす上半身裸の男女が描かれていた。
『キンジ!!』
『アリア!!』
またさらにページをめくると、ディープキスを決める上半身裸の男女が描かれていた。
『キンジィ!!』
『アリアァ!!』
間髪入れずにページをめくると、本能の赴くままベッドインする上半身裸の男女が――
「ちょっと待てぇぇぇえええええええええッ!? 何だこれ!? 何なんだこれェ!?」
「何ってただの暇つぶしだ。前に二人で同じベッドで寝ていた貴様らなら、もうこれぐらいには進展しているのではないかと思ってな」
石像のごとく固まった状態から再起動を果たしたキンジは自由帳を思いっきり床に叩きつけると、ビシッとジャンヌを指差して声を張り上げる。対するジャンヌはキンジが床に投げつけた自由帳を拾って手で軽くほこりを払うと、「よく描けているだろう? 我の自信作だ」と自信満々な笑みとともに自由帳の中身をこれ見よがしにキンジに見せてくる。18禁展開に直行しているキンジ×アリアの絵を既に顔の真っ赤なキンジに自慢げに見せてくる。
「あ、あれは誤解だ! アリアが自分のベッドを間違えただけだ! ――ってか、まさかお前がさっき言ってた秘め事ってこれのことか!?」
「む、そうだが? それがどうした、遠山麓公キンジルバーナード? しかし、年上のお姉さん好きの人間もきっかけさえあれば
「違う! 断じて違う! 俺はロリコンじゃねぇ! 俺はノーマルだぁぁあああああああああああ!!」
キンジは頭を抱えて否定の絶叫を上げる。目を瞑った状態でジャンヌの発言を全力で否定する。そうでもしないと絵の中に描かれた年相応に成長したアリアでヒステリアモードになりかねないからだ。
(マズいマズいマズいマズい――!)
キンジはキンジ×アリアな絵を必死に掻き消そうとブンブン頭を振る。しかし、ジャンヌの絵が今にも3D世界に具現化してきそうなほどに上手かったせいで中々キンジの頭の中から消えてくれない。それどころか、キンジの脳裏に成熟したアリアの頬を赤らめた姿が鮮明に蘇ったせいでドクドクドクと鼓動が高鳴っていく。沸騰しきった血液が身体の芯に集まっていく。
そして、キンジは抵抗むなしく――
(これは、なったな)
――ヒステリアモードに移行した。脳裏に浮かべたカナ以外でヒステリアモードになったのは随分と久しぶりなキンジであった。
◇◇◇
「ところで、だ。遠山麓公キンジルバーナード。ここからが本題なのだが――」
(ん? 今までの話、全部前置きだったのか? それにしては結構長かったけど……)
「お、お姉さまが今どこにいるか、知っているか?」
「お姉さま? ……それは誰のことかな? 俺の知り合いかい?」
ジャンヌはコホンと軽く咳払いをすると、珍しく緊張した面持ちで『お姉さま』の行方を尋ねてくる。しかし、ジャンヌの言う『お姉さま』とやらに全く心当たりのないキンジはそこらの女性なら一瞬で魅了できるであろう甘いボイスでジャンヌに質問を返す。
「……ユッキーお姉さまのことだ」
「え、白雪? でも、なんでお姉さま?」
「そんなの決まってるだろう? あの時、我を優しく包んでくれたあの温もり、あの聖母のような慈愛に満ちた表情……聖剣:デュナミス・ライド・アフェンボロス・テーゼリオス・クライダ・ヴォルテールを失い悲しみに暮れていた我があれにどれだけ救われたことか。ゆえに、最近になって我は気づいたのだ。あのお方こそ、我の敬愛するお姉さまだとッ!」
(あのジャンヌの目がキラキラしてる。恋する女の子の目をしてる……)
「だというのに、同じ2年B組のはずなのになぜかお姉さまに全然会えなくてな。昨日監視カメラと盗聴器を回収するついでに寮で会おうと思ったが、その時もお姉さまには会えなかった。だが、貴様ならお姉さまの行方について何か知ってるのではないかと思ってな」
ジャンヌは憂いを含んだため息を吐き、「……ほんの些細な手がかりでいい。何か知らないか?」とキンジに期待のこもった眼差しを向けてくる。
(白雪は昨日出かけてたのか? 珍しいな)
「昨日のことはわからない。けど、今日は一日中家でゴロゴロするって言ってたから、今は寮にいるんじゃないか? 送っていこう――」
「そうか! 情報提供感謝するぞ、遠山麓公キンジルバーナード! ――待っててください! 我のユッキーお姉さまぁぁぁあああああああああああ!!」
女性を第一に据えるキンジはジャンヌを女子寮まで送ろうとするも、肝心のジャンヌはキンジが全てを言い終える前に全速力で音楽室を後にした。バヒューンとでも効果音がつきそうな勢いだ。
「……やれやれ。面白いお嬢さんだ」
結果。ヒステリアモードのままで音楽室に一人取り残されたキンジはしばしの間、ジャンヌの出ていった音楽室の出入り口の方へと温かな眼差しを注ぐのだった。
その後。キンジが白雪から『キンちゃんへ。えーと。よくわからないんだけど、何か色々あったみたいだからとりあえず星伽神社に帰ることになりました。そんなに長くならないとは思うけど、2週間ぐらいは神社の方にいるかも。今さっき出発したから今日の晩御飯はなくてOKだよ。それじゃあね。……里帰り、面倒だなぁ』といった内容のメールを受け取ったのと、女子寮で白雪と会えなかったジャンヌが「は、謀ったなぁぁぁぁあああああああああああ! 遠山麓公キンジルバーナードぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」と怨嵯の叫び声を上げたのは同時のことだった。
キンジ→体つきが高校生レベルまで進化したアリアの半裸絵を見てヒスった熱血キャラ。ヒステリアモードになるとユッキーのことを白雪と呼ぶようになる。
ジャンヌ→画才のある厨二病患者。軽く同人誌染みた絵も平気で描いたりする。白雪を『ユッキーお姉さま』として敬愛することに決めた模様。
てなわけで、節目の70話終了です。22話以来、実に48話ぶりにキンジくんがヒステリアモードになりましたね。果たして読者の何人がここでキンジくんがヒスると予想できたことでしょうか。そして、緋弾のアリアの二次創作のはずなのにこのヒステリアモードの発現率の低さは一体何なんでしょうね?
さて、それはさておき。次回はついに皆さんお待ちかね、紅鳴館に殴り込みの時間ですよ!
~おまけ(完全なるネタ ※閲覧超絶注意)~
武藤『キンジ』
キンジ『剛気』
至近距離で見つめ合う上半身裸の二人。
武藤『キンジ!』
キンジ『剛気!』
ガシッと熱い抱擁を交わす上半身裸の二人。
武藤『キンジ!!』
キンジ『剛気!!』
ディープキスを決める上半身裸の二人。
武藤『キンジィ!!』
キンジ『剛気ィ!!』
本能の赴くままベッドインする上半身裸の二人。そして――
不知火『帰ったぞ、キン、ジ――?(ドサッ ←買い物袋が床に落ちる音)』
武藤『……ッ!? 不知火……!?(ガバッ! ←ベッドから勢いよく起き上がる音)』
キンジ『亮!? ち、違うんだ! これはその――』
不知火『こ、こんの泥棒猫がぁぁっぁあああああああああああ!!』
編集者「――って、何ですか、これ?」
らんらん先生「平賀あやや先生の趣味だ」
平賀あやや先生「これは暇つぶしに描いたものなのだ! 割と枚数が溜まってきたから今度名前を伏せてコミケに出すつもりなのだよ!」
編集者「はぁ……」
関係図:不知火→キンジ←武藤
うん。つい勢いでやった。反省はしている。後悔はしていない。