短編集   作:猫パン

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若干千冬サイドでのなんたら。


原作 千冬サイド

 

 

 

今日は私の中で最悪の1日かもしれない、そう思えば気が楽になる。

 

今日から新しいクラスを持つと言うのに、何故こう面倒事ばかり重なるのだろう。

世界初だからか知らんがここまで書類が要るのだろうか。心なしか、そう思っていた私の歩く速度が落ちている気がした。

 

 

『……r斑一夏です。…………以上です。』

 

 

そのふざけた紹介を聞いた私は、手に持った出席簿を握り締め……教壇で突っ立っている馬鹿を叩くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

スパンッ!

 

「いっ!?」

 

叩かれた男子生徒は、恐る恐るといった風に振り返る。

 

「ゲッ、関羽!」

 

バンッ!!

 

「誰が三国志の英雄だ、馬鹿者が。」

 

叩いた張本人である女教師は、低めのトーンで落ち着いているため恐怖心を駆り立てる。

 

「あ、織斑先生。会議は終わりましたか?」

 

「ああ。山田先生、クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな。」

 

先ほどとはうって変わって高めのトーンで口を開く。

 

「い、いえ。副担任ですから、これくらいは……」

 

若干声を潤ませ、頬を紅くしながら言う。

これに対し、若干の溜め息を吐きながら口を開く。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。お前達新人を一年で使い物になる操縦者に育て上げる、それが仕事であり義務だ。故にお前達は私の言うことをよく聞き、そして理解しろ。出来ない者は出来るまで、わからない者はわかるまで指導してやる。私に逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな?」

 

女教師……否、千冬の言葉にクラス中の女子が悲鳴をあげる。

頬を染めて。

 

 

 

「キャーーーー本物の千冬様よ!」

 

「千冬様にご指導していただけるなんて!」

 

 

等、黄色い悲鳴で満たされる。

耳をつんざくような声に、少しガラスが震えていたが……然したる問題ではないだろう。

 

「はぁ、毎年毎年よくもこれだけの馬鹿を集めたものだ。……これだけは馴れないものだな、私も。」

 

悪態を付きつつ、頭を抱える千冬。

端から見れば本当に鬱陶しそうにしている。

だが……

 

 

「御姉様!!!もっと叱って、そして罵ってください!!!」

 

「でも時には優しく!」

 

「そしてつけ上がらないように躾を!!」

 

彼女達にとって苦ではなく、千冬にとっては苦になる事に。

実際千冬に耳があったら、タレ千冬になっているだろう。

 

「……馬鹿者共がこうも集まる。感心させられるが、何故私のクラスだけ多いのだ?ここだけに集中させているのか?」

 

若干不満げに、誰にも聞こえないような声量で愚痴を溢す。

 

そして意を決したように向き直ると、先ほどから突っ立っている男子生徒にこう言い放つ。

 

「で? 挨拶もろくにできんのか?お前は。」

 

「いや、千冬姉……俺はーー」

 

ズバンッ!!!

 

「ここは学舎、そして私は教師だ。故に織斑先生と呼べ。」

 

「……はい、織斑先生。」

 

このやり取りが切っ掛けか、回りがざわつき始める。

 

「え?……織斑君って、あの千冬様の弟?」

 

「それじゃあ、世界で唯一男で『IS』を使えるのもそれが関係して……」

 

「ああっ、いいなぁ。変わってほしいなぁ……」

 

等々、ちらほらと男子生徒……織斑一夏と織斑千冬の関係性がわかっていく。

 

そんななか、心底面倒臭そうに溜め息を吐く千冬。

 

「はぁ……さて、SHR(ショートホームルーム)は終わりだ。諸君らにはこれから、ISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後の実習では、基本動作を残り半月で覚えてもらう。いいな?」

 

「「はい!!!」」

 

鋭い眼光で見渡すと、その場全員(山田先生含む)が一斉に返事をした。


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