(何かノリで国を構えることになってしまったよ。あれだな。選択を誤ったんだな。)
そんな感じで勇者が思っているとなんと会食に呼ばれてしまった。
(俺としてはさっさと帰りたいんだけど)
そんな思いを無視する形で会食が始まる。尚、この場所は謁見の間である(さっき戦ったところ)からさらに後ろにある所謂客と食事をとる場らしい。
「我が家臣らにひとつ話がある。...」
さっきまでの簡単な経緯を説明している。
「そして我はゼスディア・フォン・ルーデンベルクと言う。ディアとよんでくれ。」
その言葉に家臣たちは少しどよめく。意外なことらしい。
「俺はデューマ・フリデリクだ。どうぞデューマとよんでくれてかまわない。」
「ふ、それでは我らが魔界に甘美の一時を。 乾杯!」
少し笑いを含んだ合図に周りの魔王の家臣たちがワイングラスを上げる。それに真似する形でデューマもグラスを上げる。そして一人のメイドが一人ずつ付き話をしているが家臣の面々はほとんどこちらに顔を向けている。
(おお怖いわ~)
「今回のメインディッシュはカエルか蛇かカブトムシどれがよろしいですか?」
(うーんとりあえず普通の人間の食事でお願いします。簡単に言うと両生類か昆虫か爬虫類、どれかと聞いてるよね?普通の肉とかないんですね。さすが魔王何をするにも巣場抜けている。)
とりあえず、爬虫類を選択し、そして食事がながーいテーブルの上に乗る。しかしここで家臣の顔に少ししかめるものがいる。何故だろうか?
(おいおい怖いからやめてくれよ。こっちとしては家臣でも数秒で死ねるんだよ?とりあえず、このよそよそしい雰囲気について聞いてみよう。)
「おい、ディア。何か隠してないか?」
(ちょっ家臣全員こっちをすごい勢いで見てくるんだけど、やばいぞ)
(やはり気づいたか。私の面倒臭がりという本性にな!)
少なくとも自信をつけて言う事ではないのだが...
一方デューマとしてはとても静かで誰も答えようともしないから。さっきの発言をなかったことにして食事をいただく。まずは前菜ということで温野菜を使ったスープが来たのだが生憎視線で味がわからなかった。
(ん?さっき食べててたから気づいたけどこれ、チスの実を入れてるのか?)
チスの実
見た目は先が折れ曲がった形をしており、ギザギザとしたさわり心地の植物の実。赤という見た目通りの辛さを誇り配合を間違えると舌を殺られる。しかしそのきつい辛味が香辛料として保存食によく使われる。少量なら程よい辛さが料理への食欲を大いに引き出す。前菜にはもってこいの食材である。
「デューマ。まさかわかっていたのか?」
(ん?チスの実のことかな?)
「ああ、こういう隠れてるものを暴くのは得意なんだ。なんなら今当ててやろうか?」
「そこまでの自信があるのを疑うのはよくないか。」
(勇者は伊達ではないといったところか。)
ゼスディアがそう思っている一方で
(香辛料にこだわるってことはディアって結構グルメなのかな?)
暢気な勇者が一人。しかし魔王ゼスディアの一言で状況が一変する。
「じゃあ隠さなくていいか。おい!食事を持ってこい。待つのがめんどいから。」
(あれ?魔王ってこんなフランクだったっけ?)
家臣の面々がやってしまったという顔をして呆れている。しかし魔王のフランクな発言は会食が終わるまで止むことがなかった。
丁度メインディッシュが来る頃に家臣の一人が声を掛けた。
「貴方が噂の勇者くん?私は魔界序列三位のリーラ・ベル・ビクトリア、魔女なのよ。」
「これはこれはご丁寧に、私はデューマ・フリデリクといいます。どうぞお見知り置きを」
(のっけから序列三位とか洒落になんないよ。)
「そんな畏まんなくていいのよ?デューマくん。」
「いえ淑女に失礼のないようにするのは紳士のたしなみですので」
「あらあらこんな私でも淑女としてみてくれるのね。だって...」
ここでリーラは驚くべきことに
「軽く万単位で生きてるもの。」
(は~!?本当に?見た目三十代以下なのに?)
「魔女が研究を生業としているのは知ってるわよね?私は不老不死の研究をしているの。まぁまだ未完成で寿命を少し延ばす程度しかできないけどね。」
「すっすごいですね。それでも私は淑女として接させてもらいます。」
(し、知らなかった。下手に対応を変えると殺されそう)
「ふふ、嬉しいわ。」
この会話を筆頭にして家臣たちが話しかけてくる。
今回の会食は本当なら序列十位まで招待されていたが三人ほど欠席したらしい。
序列一位 ユリス・バザン・ダイボロー
悪魔族。作戦参謀にして魔王補佐を行う。彼の第一印象は値踏みするような目でこちらを見ていたが対応によっては仲良くなれそうだ。(仲良く=殺されないことである。)
「ゼスディア様に認められたのだ。期待に応えてもらいたい。これからよろしく頼む。」
「はい、こちらこそ」
(無難に無難に)
序列二位 ドレット・グランデ
本日欠席。序列一位であるユリス・バザン・ダイボローと同じく悪魔族。魔軍の指揮官である。繰り出される指揮才はまるでオーケストラのような団結を誇るらしい。歴代勇者を嫌う。(要注意人物決定)序列一位をライバル視している。
序列三位 リーラ・ベル・ビクトリア
魔女。魔法の里にてある戦闘経験から魔王軍に抜擢。魔力も相当なものでかなりの時間を生き続けた証拠でもある。彼女の研究テーマである不老不死についてはまだまだ十分な成果は出ていないがいずれ可能とさせるだろうと同胞からは畏怖の念を抱かしている。尚、仲良くできた場合の恩恵は大きい。
序列四位 メメ・ユーステル
序列五位 ナナ・ユーステル
ラミア族。絶滅に近い状態であり親から魔王へと託した。姉妹の姉であるメメは魔王軍の特攻隊長として姉妹の妹であるナナは副隊長として仕える。彼女らは二人で一人であり剣技の連携を駆使しあらゆる敵を薙ぎ倒す。子供みたいな思考で(実際に子供?)勇者のことを敵とも味方とも思わず魔王に指示を仰ぐ。(場合によっては殺されるかも、準注意人物)
「貴方は敵?それとも味方?」「駄目よ、ナナ。勝手に殺しちゃ。魔王様の指示に従わないと」「はーいおねぇちゃん」
「仲が良さそうでいいなー(やばい棒読みになってた。言葉に気を付けないと!)」
序列六位 アンジュ・フレバンス
本日欠席。種族不明。簡潔に言うと魔王が拾ってきた。同じ種族がいないことをコンプレックスとし味方であっても高圧的な態度もしくは無関心を突き通す。自室で何をしているかは不明。
序列七位 ロン・ドレイク
ドラゴン族。魔王軍の中では新参者であるが、剣術はユーステル姉妹の剣技に匹敵しているとされる。(実践はしていない。)ドラゴン族特有の強靭な力を大いに奮い、皆を圧倒させた。しかし熱血バカもしくは戦闘狂と噂されている。
「魔王様が認める相手、是非一つ試合を申し込みたい。」
「時間があったらな。」(絶対無理!助けて誰か!)
序列八位 ウライナ・ガトン
元人間。昔にいざこざがあり人間を憎む。過去は序列一位だったことがありカリスマならばどの序列の者であっても負けない。今の体は仮の姿であり、本体は別にいるが朽ち始めているらしい。
「ふぉっふぉっ人間は腐っても人間ではあるが、貴様は違うようだのう。若者らには負けてられんわのぉ。」
「私などまだまだですよ。ガトンさんこれからよろしくお願いします。」
「ニコッ。...今一度信じてみようかのぉボソッ」
そう呟くとしゃがれた笑った顔でガトンはあとにする。
序列九位 ショガレフ・アダムスキー
本日欠席。基本的に祭り男と言われるほど元気のいい男性らしいが怒られて牢屋に入れられている。
序列十位 コーラン・スロットル
不定形流動体無物質(種族名不明)多分この者が同胞から初めて言葉を理解した。俗に言うスライムと人間に言われている。決まった形はなくゼリー状の体を操りどんな隙間をも掻い潜る。同胞を操り農地を肥やす農業担当であるがその隠密能力にも一躍かっている。
「ヨロシク」
「おっおう宜しくな」
すると体を変化させて手を作り差し出す。
「ん、アクシュ」
少しひんやりと冷たくよいさわり心地であった。
「こんな、私だがよろしく頼むぞ。よき隣人そしてよき敵よ。」
会食が終わり締めの一言を言う。これは返さないといけないと思い、デューマも
「俺はどんな魔王でも構わない。今まで通りでいいんだ。俺は良き友としてこれからを生きたい。宜しくな」
(よしフォローもばっちり、ここで少しでも敵ではないんですよアピールをしときたい。)
そろそろ頃合いかとでも言いたげな顔をゼスディアはして
「入ってこい!」
「「「はい。ゼスディア様。」」」
三人?が入ってくる。もちろん三人とも魔物であるのは確かなのだが...
(どっかで見たような?)
「「「お久しぶりです。デューマ様。」」」
一人は、悪魔族、他もアルラウネ、シルキーと一貫性のない三人であるが。
「君達は、あの時の!」
そう彼らはここに来る前に訪れた、ある屋敷にすんでいた三人である。
長くなりましたがようやく完成ですね。説明文が多いのですが良いですよね?