扉を開けると雪国だったなんでこともなく普通に雑多に並んだ工具が目に入る。住んでいた人が何の仕事やどんな風に過ごしていたがあまりわからないが、そもそもそんな趣味はないので気にしないことにした。
ふと、夜なのに明かりが点いていることに疑問を抱くと簡単に解決した。それは蛍光色に光るキノコである。びっしりと群生し辺りを薄暗く照らされている。幻想的なその光景から現実に引き戻されるまでそう時間がかからなかった。嗅覚がデューマの視覚からその現実逃避に近い空間を破壊したのだ。糧とされているのは恐らくはサーヤと思われる。一言で言うならばそれは遺体であった。ベッド気持ちよさそうに横たわりすらりと伸びる、しかし色の変色したその足の様は、見ている者を不覚にも惚けさせる。現実に戻されたデューマは、まず最初に壮大に吐いた。そこには、昼食べた何かしらの肉と胃液が入り混じり独特な臭いを発した。
はは今日も天井が綺麗だな…。無理だ。現実逃避くらいさせてくれ。なんで面倒ごとをよく(半ば強引に)受け持つのかな?来るとこ間違えたんだと俺は思うよ。
そう冷静?に考えることができるようになったのは発見してからもう東から日が出るようになってからであった。そして今だからわかることだが朝日に照らされて死体の腕に大切に抱えている一冊のノートが目に入る。それをとってから部屋を出た。
え?盗みじゃないかって?ははは、冗談がきついね。報酬だよ?だってこんな胸糞悪い状況を維持したここの館の奴らとここに誘導したあの仲間(笑)に文句くらい言いたいものだよ。それにしても何のこと書かれているんだろうね?
今日私が森を散策がてら材料を集めに行ってみると一人の赤ん坊が目の中に入ってきた。
女だとわかると彼女のことをマイナと名付けることとする。多分、悪魔は誇り高いと思っている節があるが所以だろう。恐らく、意味もなく子供つくり責任を放棄したと考えることにする。いずれにしろこの子の親はもう来ない生まれて早々天涯孤独なのだ。そんな彼女に同情したわけではないが、育ててみようと思った。彼女は本当のことを知らない。折角だし自分の酔狂なことを考える脳に預けてみようと思う。私がそう決心したのは…。
俺は読むのをやめた。そしてサーヤの部屋に再び入り遺体ともども灰にする。おかしいと思うだろうか?真実をそのノートを見せればいいじゃないかって思うだろうか。いいや俺はそうは思わない、彼女らの唯一の肉親がサーヤであるほうが、ある意味平和で幸せなのだろうと思う。ありえない?勇者じゃないの?みんなは一つ勘違いしているんだよ。俺は勇者である前に人だ、人間だ。彼女がなぜわざわざ自室に魔封じの鈴をかけていたのか。それに俺は彼女たちの幸せをしっかりと思っている。ただそれだけだ。そうして俺はこの館をそそくさと離れていく。