さて私は今王都近くの獣道から街道を見ています。何故ここに居るかって?そんなの簡単。
労働力の確保だよ!もう投げやりだよ!
え?そんなの祖国から厳選すればいいじゃん、と思うだろう?しかし思い出して欲しい俺の生きられて居る状況を
魔物が跋扈するこの森に誰が来るよ?明らかに討伐隊が編成される勢いだよ。だったらどうすればいいのか。それは
奴隷の利用
これに尽きる。奴隷が一番欲するものは自治する土地でも金でもない。持続する労働条件だ。たとえ金や土地を持っていても仕事がなけりゃそれを維持することは難しい。結局使い潰し土地を売り手放さなくてはならなくなるのだ。だから魔物が跋扈していてもある意味ウィンウィンの関係と言える。うんそうだとも。多分、おそらく…。
さっ!さて!このように至ったわけを話そう。
数日前
バンッと突然執務室の扉が開く。当然デューマは固まり驚きを内心で盛大に祭りを開催しており心の平静を取り戻すのをしばし時間が必要であった。周りには訝しげにこちらをみるデューマの姿があるように見える。そこに居るのはただの臆病な勇者かっこ笑であるのだが。また周りには家臣であるシルキーが控えている。いわゆる秘書だと思ってくれ。そして硬直が解け何事もなかったように扉を開けた張本人の妖精に尋ねる。
「…なにがあった?」
「は、はい!街道にて奴隷を載せて居ると思われる荷馬車が見受けられます。」
「ん、わかった。じゃあゴブリン辺りで対応してもらって」
「そ、それが…」
ため方が明らかに面倒事と言ってるかのような発言に内心ため息をつく。
おいおいおいやばいよなんかあった感じだよ!
最もこの男にはため息どころではなさそうだが。
「どうやら相手は大手商会のドレック商会と思われます。このまま襲撃しますと、大手商会に雇われる高位冒険者に蹂躙される恐れがあります。」
なに、この子!もう戦う気満々なのかよ!そこはさ交渉ごとを上手くやるとかの迂回策があるだろ。
この男にはどうやら話を聞かない、自ら動かない事と無理難題を押し付けるのが標準装備らしい。
なおこの状況になったのは他でも無い。ここの生活環境を整えたいと思ったのである。周りは森、又は魔物のこの場ではまともに魔王が来たりしたらと思うとそれにしてもなぜゴブリンに対応させようとしたかというと別に友好関係になろうというのではない。今、ヤッカリ王国と魔族とでは深い溝が存在して居る。人間である俺が対応すると「そもそも対応できないのだが」勇者という肩書きを持つとはいえ不審、不満を買うのは道理だ。その点魔族であるゴブリンに対応「戦闘に発展」させるとこの問題は解決する。つまりこれ以上溝が深まることなんてないくらい深まった溝を持つ魔族が来たとしてもある意味至極当然のように思えるのである。もちろん敵対関係という意味だが。と言ってもこれは小規模から中規模、いわゆるあっても無くても国としては大きな痛手ではない商会に対応する場合の話である。今回の問題点として大規模の商会であることにより従業員の練度が高く、高位冒険者が居るであろうことが想定される点である。補足すると中規模でも警戒するべきと思うだろうが実は中規模商会がその地位でいられるのは簡潔にいえば大抵ケチっているからといえる。と言っても交渉力は小規模の比ではないが、実際にそこまで金をかけないとも考えられるため先の問題点にはなり得ない。長くなったが解決方法は勿論ある。そもそも無視すればいい。我々の本拠地である森の奥とその街道は二つほどの街ができるほど遠い、だからわざわざ森の魔物が襲うにはしっかりと勝算がないといけないし不自然な点を残さないためにしっかり殲滅しないといけないなど危険な賭けになるのだ。なお、ここで俺たち重鎮が出るという策はない。主に保身的な理由で。
こういう知識もいかにこの国から出る確率を上げるために情報収集した、まぁ不発で終わったが今更使えるようになってももう遅い、だってもう手遅れだもん!
だから、
「わかった。じゃあ…。」
と見逃して別の商会を狙ってくれと言おうとしたのだが。いかんせん、となりには話を聞かない三人衆の一人シルキーがいたのだった。
「ふふ、デューマ様がその程度で怖気付くと思って?それにデューマ様はあなたになんて命令したのかしら?商会から奴隷を奪って来いと言ったのよ。
だから私はともかくデューマ様の言った意味わかるわよね?」
と威圧して言うのはどうにかしてほしい。俺がチビってしまいそうだ。
尚、目の前の妖精は涙目でコクコクと首を縦に降るくらいしかできなかった。だからと言って無謀とも思える特攻をさせるわけにもいかない。だからほんとしょうがなくまことに不本意ながらわざわざこういうしかなかった。
「いや、俺の我儘に付き合わせるつもりはない。…しょうがない。俺が交渉して見よう。」
そして現在に至る。
ほっんとなんなんだよ。俺の従者はろくな奴いねーよ。そもそも主人の会話に口を挟むなし。だから嫌なんだよ。
自分を棚にあげることは造作もないらしい。
ただそれにしても彼らが来るとは思わなかった。
彼らというのはエルフとワーウルフとゴブリンである。エルフは人間が嫌いならしく、ワーウルフはどこからともかく傭兵として仕事をもらいに、そして戦力になりづらいゴブリンは威光「悪魔」によって下に水たまりを作りながら来てた。汚いな。
「人間がこちらにあと一刻で参ります。作戦指示を」
これをいうのはワーウルフの…なんだっけな。確かザンダとかいったか?たくさんあってると顔くらいしか分からんからなー。うんしょうがない。
「わかった。そこの風妖精さん。」
というと慣れてないのか、ビクッと体を震わせる。
「な、なんでしょうか?」
「簡単な伝言を頼む。伝言は”全ての団体長は俺の元へと至急招集しろ”と伝えてくれ。」
「わかりました。風よ、我が言を乗せ給う。我が言はさすらう旅人のものなり。」
こうして奴隷救出という名目の悪役な勇者の仕事がはんば強制で始まるのである。