やはり俺の界境防衛機関での物語は間違っている   作:つむじ

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彼は無自覚な将軍?

昼休み。

戸塚と喋っていると奴が来た。

俺にとって奴は天敵だが、奴にとっては俺はそのへんの石ころにしか見えてないだろう。

そう、奴の名はリア充のトップ、葉山隼人。

ほんと、何しにきたんですかね〜。

「・・・んだよ。」

冷やかしに来たの?

それとも戸塚のこと狙ってるの?

悪いが戸塚の事は俺がもう予約済みなんでな他あたりな。

「いや、なんかわかったかなって思ってさ。」

「由比ヶ浜に聞け、由比ヶ浜に。昨日俺いなかっただろ。」

「結衣が君にメールしたって言ってたよ。」

「あー、あれだ。アイツのメール内容俺には理解不能なんだよ。」

「はは、いつかなれるさ。俺も最初はそうだったからな。返信に困ってたよ・・・。」

どうやらリア充の王様でもアイツのメールは読解できなかったようだ。

つーかなに?あのヒエログリフみたいなの。

今どき流行らないぞ?

流行ったの約1900年ほどだけど。

「それで、分かったか?」

「いいや・・・。」

分かったことといえば、眼鏡をかけた女子の名が海老名さんというのと、海老名さんが腐女子だということだ。

あ、あと大岡が筆おろしが済んでいないことぐらいかな?

そう思い大岡たちの方を見ると意外な光景が広がっていた。

3人ともケータイを弄ったり、ボケーとしていて時折葉山の方をちらっと見る。

なるほど・・・そういうことか。

これなら依頼主の意に沿って依頼を解決できるな。

「どうかした?」

怪訝な顔で葉山が聞いてきた。

「ああ・・・、なんてことだ・・・謎が・・・解けて、しまった・・・!」

推理ショーはもちろん、Bパートからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

Bパート、奉仕部部室。

放課後、奉仕部部員3人と葉山が集まった。

「どうだったかしら?」

雪ノ下が俺と由比ヶ浜に報告を求める。

由比ヶ浜はえへへと笑い

「ごめん。一応女子に聞いたけど全然わかんなかった。」

まず、お前の調査の基準を知りたいぞ、由比ヶ浜。

なんで開口早々恋バナになるんだよ。

関係ねーじゃん。

もっと上手く相手を誘導しなきゃ欲しい情報は聞き出せねーっつーの。

「一応聞くけれど比企谷は?」

「なんで一応なんだよ。」

「あら、あなたじゃ誰にも話しかけれないと思って、私なりの配慮よ。感謝して早く答えなさい。」

「はいはい、わかりましたよ・・・結論から言って葉山の望む解決方法を1つ思いついたんだが、思いついたまでの過程、聞きたい?」

「勿体ぶってないで早く言いなさい。」

なんであなたはそんなに上から物を言うんですかね〜。

部長っていっても歳変わらないでしょ。

カースト社会において俺もお前も大して変わらんでしょ・・・。

「へいへい。じゃあ言うぞ。耳の穴かっぽじってよーく聞け。まず、あの3人の共通点からだ。なんだと思う?」

「みんな男子?」

流石由比ヶ浜、アホらしい答えだ、満点レベルの。

「そうだが違う。答えはあの3人の教室での立ち位置だ。」

「立ち位置?」

葉山よ、お前が一番関わってるのにまだ気づかないのか・・・

「そうだ、例えばだが、F組の男子が全員武士だとしよう。当然、そこには将軍がいる。そしてその下には将軍の直属の部下達がいる。さあ、問題だ。この立ち位置を説明しろ、葉山。」

「お、俺?・・・立ち位置か・・・俺は、みんな平等だと思ってるよ。」

「はい、ブー。なーに甘っちょろい考えしてるんだ。平等なわけねーだろ。お前から見て俺とお前は平等か?」

「あ、ああ。俺はそう思ってる。」

「お前の頭ん中ホントお花畑だな・・・。平等なわけがない。この前の事忘れたのか?あのナンチャッテお嬢様がテニスコート奪おうとしただろ。」

「な、ナンチャッテお嬢様?ゆみこのことかい?」

「ゆみこ?・・・多分それであってる。そのナンチャッテお嬢様は何故俺達からコートをとろうとした?」

「それはゆみこがテニスをしたかったから・・・」

「ちがうちがう、なんで俺達から・・・なんだ?」

「君たちから・・・?」

「そうだ。仮にアソコにいたのが校内人気ランキング上位にいる練紅覇だったらどうする。」

「どうって・・・君たちとの時と同じでテニスコートを使わせてくれって・・・」

「違う、あいつは俺らより自分の方が上だと思ったから俺達からコートをとろうとしたんだ。ほんと、何を基準にして俺を見下してんのかね・・・。これでも勉強は学年1位だし、ボーダーにも所属している。俺はあいつに劣ってるとは思ってなかったんだがな〜、葉山なんでか知らない?」

「い、いや知らない・・・。」

なんでそんなに苦い顔をすんのかね・・・俺なんか悪い事言った?

それとも、心当たりでもあるの?

どうせならこいつの図太い精神をここで少しでも削っとこうかな。

そう思い、次の言葉を発する時だった。

「ひ、ヒッキー。話それてるよ。それに、わ、私、さっきの話の続き気になるな〜、なんて・・・。」

「・・・悪い。」

ちっ、由比ヶ浜に救われたな葉山。

「話を戻すぞ。まず将軍だがこの地位には葉山、お前がついている。」

「お、俺が?」

こいつ無意識なのか・・・?

「次にお前の直属の部下は戸部、大岡、大和の3人だ。あとのメンバーは雑兵、あしがる程度に考えとけ。」

「あら、あなた自分の事を下だと気が付いていたようね。でも残念。あなたは虫がそれ以下よ。ゴキブリヶ谷くん。」

「なら、俺を見たらあと俺が29匹いると思えー。」

「ずいずんと気持ち悪いわね。考えただけで悪寒がするわ。」

「うるせっ、また、話がそれちまったじゃねーか。でだ、時に将軍は部下達の会議を見たことがあるか?」

「それは当然将軍なら見るだろう。」

「なら、将軍のいない会議は見たことがあるか?」

「い、いや・・・。」

「そう!自分がいないのに会議は見ることが出来ない。それが今のお前のグループの状況だ。」

「そ、そうか・・・。なあ、あの3人を仲良くさせる方法はないのか?」

「多分俺の案を採用すればなることも不可能じゃないぞ。」

「頼む・・・俺に教えてくれ。」

「いいぞ、それはなーーーーーーーー」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

教室の黒板にはクラスメイトの名前が羅列されていた。

それぞれ3名ずつ一塊になって書かれたそれらは職場見学のグループを表している。

ま、今回は全員がボーダー本部に行くことになっているから班わけなど意味が無い。

それを聞かされたのはちょうど昨日のSHRでのことだった。

担任の坂田銀八先生がいつも通りに気だるそうに

『はい、職場見学での希望でボーダー本部が5分の4ほどいたんで全員ボーダー本部になりました。異論があるやつは来るなよ。レポート書かされるけどな。』

と言っていた。

なーんで皆さん和気あいあいとして班決めしてるんでしょうね〜。

結局みんなで行動するというのに。

俺はそんな行動をボーッと眺めていた。

俺は戸塚と班を組んでいるため焦る必要がない。

俺は黒板の名前を上から順に見ている。

俺と戸塚の班はまだ1人足りないため、あぶれた奴を入れるため探している。

ちょうど今名前を書いているグループがあった。

見覚えのある3人だ。

チェーンメールの被害者?達だ。

3人は名前を書くとお互いの顔を見てちょっと照れくさそうに笑った。

そこに将軍、葉山隼人の名前はない。そ不意に声をかけられた。

「ここ、いい?」

そいつは俺の返事を待たずに俺の前の席に座る。

「・・・なんか用か。」

俺から会話をきりだす。

「いや、礼を言おうと思ってな。おかげで丸く収まった、サンキュ。」

「俺は何もしてねーよ、実行したのはオメーじゃねーか。」

「そんなことないって。ああ言ってくれなきゃ俺も動けなかったし、あいつらは多分今もまだ揉めてるだろうし。」

「もめる必要はねーだろ。どうせ全員同じ場所に行くんだ。好きなやつと一緒に行動するに決まってらぁ。」

「はは、そうかもね。」

「たく、お前のおかげで昨日の俺の昼休みがパァになっちまってんだ。いつか償えよ。」

「なら、今日のお昼ご飯のアンパン奢ってやるよ。」

「いや・・・メロンパンでお願いします。」

「ああ、いいぞ。」

「それで、今回のことお前はどう思った?場合によっちゃまた起こりうる可能性があるぞ。」

「俺、今までみんな仲良くやれればいいって思ってたけどさ、俺のせいでもめることもあるんだな・・・。」

どうやらこいつはこいつなりに解を出したようだ。

葉山は、自分の友達、グループを守るために解決策を求めて奉仕部に来たのに俺が葉山に与えた解は葉山だけが辛くなる選択肢だった。

「俺があいつらと組まないって言った時は驚いてたけど、これきっかけにあいつらが本当の友達になれたらいいなっておもうよ。」

「・・・そーだな」

ほんとここまでイイヤツだとなんかの病気だろ。

嵐山さんでさえここまでは言わないぞ。

「ありがとう。それでさ、俺、まだグループ決まってないんだけど俺を君たちの班に入れてくれないかな?あいつらにはもう班決めてるって言っちゃったし。」

「別にいいが・・・カレーパンな。」

「君はホントに容赦ないね。」

「バーカ、学校問題になるようなことを二つも解決してんだ。これくらい当然だっつーの。」

「ホント、君って一体なにものなんだ?」

「ただの通りすがりのボッチだ。覚えとけ。」

「忘れられそうにないな。」

葉山はどこか嬉しそうに口元を緩めた。

なんだよ、俺みたいなのにこんな表情するのボーダー隊員除いたら初めてだぞ。

ホントこいつはいい人すぎる。

だから俺も気持ちがられない程度に微笑み返した。

 

 

 

 

 

あ、明日チームランク戦じゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、チームランク戦

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